ようやく近代美術館の「揺らぐ近代」に行ってきた。
明治期の日本画と西洋画を併置して鑑賞させるのは確かにおもしろい試みだったと思う。実際おもしろかった。明治と大正時代というのは「揺らぐ」のが許されるのが時代であって、そういえば今までそういう試みが無かったのが不思議なくらいだ。洋画とか日本画というよりも「明治画」とか分類すればいいんじゃなかろうか。
で、実際の展示を見てみると確かに西洋画と区分すべきか日本画と区分すべきかわからない絵が多かった。油絵で描かれてはいるものの明らかに日本画の筆遣いだったり材が日本風だったり、膠顔料だけど技法は洋画だったりした。木下先生が「もっといい作品が集まったんじゃないか」とか批判していたが、とりあえず十分だったんじゃないだろうか。
具体的に述べてみると川上冬崖は個人的に好きだが超レアでよくあったなと思う。高橋由一と狩野芳崖は当然充実していた。やはりこの三人は外せない。原田直次郎の《騎龍観音》は見れてよかったと思う。原田直次郎がこんな大作を描いていたなんて驚きだ。
チラシにも使われていたが、小林永濯の《道真天拝山祈祷の図》が確かにこの展覧会の目玉かな、と思う。あれが日本画とはなかなか思えない。かといって荒々しい筆遣いといい色使いといい、洋画の影響は大だ。
残りは萬鉄五郎とか藤田嗣治とかいたがそこら辺まで行くと何か違うと思う。エコール・ド・パリとかキュビスムまで行くと、○○派というより個人主義なのであって、それを西洋画とか日本画とか言うのは無理やりかなと。この企画展示のテーマだったら明治・大正で展示をやめておくべきだったと思う。
あと、入れ替え品が多くて残念だった。それならそれでそう宣伝してほしかったな、と思う。まあそれで二回行くかどうかは微妙なところだけど。