星だけ見れば順当に終わったように見える場所だが、その実やはり手付きの厳格化にとことん振り回された場所でもあった。待ったが多すぎて仕切りの時間を短縮した結果、普段より早く終わってしまうなど運営側にも大きな戸惑いが見られた。場所明け真っ先にやらなければならないことは行司と審判団の意思統一である。特に番付上位は手を付かなくても見過ごされる場合が多く、不公平感が募った。安馬なんかは最初ちゃんと手を付いていたのに、上位陣同士の取組ほどチェックがいい加減なのを確認してから次第に普段の取組に戻っていった。完璧になめられている。幕内下位となると一転して厳しく、途中で放駒審判長にむっと来たこともあった。整合性だけは、なんとしても取り戻して欲しい。
各力士評。優勝自体は順当。ただ、朝青龍はもう少し気合を出すと思っていた。今の朝青龍と七年位前の、関脇時代の朝青龍を闘わせたらどっちが勝つかわからない、というレベルで力が落ちている。まだ再起のできる年齢ではあるが、それは果たして九州場所か、それとも来年の初場所か。白鵬は文句なし。一敗はしたが、まあ人間だから不覚を取るときもある。それも相手が稀勢の里なら尚のこと仕方が無い。
琴光喜はよく11勝したと思う。本来はそれが大関の責務ではあるのだが、今の状況では難しかろう。やはり今の大関陣では彼が最も安定しているということか。琴欧洲君にはがっくりですよ。異様に強いときと弱いときがあるが、弱いときにはやはり内股になって脚がそろっているため立ち合いで勝敗がわかる。千秋楽の千代大海戦は星の貸し借りが見え見えで萎えた。貸し借り自体は否定しないが、もっとうまくやってほしい。千代大海が組んだらあからさますぎる。カロヤン君には来場所二桁勝利を義務付けたいところ。魁皇と千代大海については特に言うこと無し。九州場所に凱旋できて良かったね、としか。九州人はもっと千代大海も応戦すればいいと思う。
今場所の安馬は本当に強かった。身体が軽いまま攻撃力が増したので相手が全くついていけていない。その分守勢に回ると弱そうだが、それは来場所真価が問われるところである。二日目の鶴竜と十四日目の豪栄道は完全に不覚といった感じで、正直白鵬以外全勝でもおかしくない内容であった。ただ、前述のように後半に行くに従って立ち合いが汚くなっていったのには閉口した。あと、煙草はやめましょう。身体に良くないというか、相撲に良くない。
把瑠都はまさか勝ち越すとは。しかも負けたのは二横綱三大関だから、取りこぼしは少ないと言える。北の富士勝昭さん曰く稽古嫌いらしいが、稽古してほしい。引き癖を直せばまだまだ強くなる。琴奨菊は今場所、がぶっても負けるという場面がしばしば見られた。体調が悪かったようだが、来場所は再起してくれるだろう。稀勢の里はまだ迷いが見られる。彼が迷いを捨て去るのはいつになるのだろうか。なんかシャア・アズナブルみたいなことになってるな。
安美錦は変化しすぎたと思う。中日にはああ書いたが、あそこまで変わられると汚くてしょうがない。せめて千秋楽くらいはまともに当たってほしかった。勝ち越してしまったが、来場所はまともにとってほしいと思う。豪栄道はよくがんばった。割を崩されて上位陣と当たらせられ苦しんでいたが、それでもいいところまで闘っていたのは大したものだ。来場所は新三役濃厚だが、それでも勝ち越せるんじゃないだろうか。
あとの注目は栃ノ心。グルジア第二の刺客はヨーロッパ人特有の引き癖が少ない。まだ身体が軽そうなのが気になるが、数場所後には三役になっていても全くおかしくはない。注目しておいて損はない。
以下は予想番付。
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