(最初に。忙しすぎて一日30分以下くらいしかプレーできず、クリアまで20日以上かかってるので、なんかもったいない作品の浪費をしてしまったような気も。明け瑠璃MCまでエロゲできないかもなぁ。できて一作か。)
エロゲ批評にある種の生きがいを感じている人種に対しては、コンセプトですでに勝ってる作品。そして予想以上のコンセプト達成状態に、クリア直後は良い意味であいた口がふさがらなかった。有名な話だが、開始3分で告白して5分でHシーンに突入する。
玖羽は「二次元でもこんな子いねぇよ!」ってくらい、いい子。だからだろうか、どことなく人間味がない。この作品はヒロインを気に入るかどうかが全て、としばしば言われるが、本当のところはこの人間味のなさにどれだけ耐性があるか、ではないかと思う。
だが、男のほうもいい子なので、この二人にはぜひとも幸せになっていただきたいと、自然に思える。そして実際そうなる。これはこの作品の美点だと思う。また、世の中には「こんなにラブラブな状態のまま持続するカップルなんてねーよ」と言う人もいそうだが、それに関しては
すごく身近にそういうカップルがいると私が自信を持って答えることにしよう。あのカップルも8年目やぞ、おい……>関係者各位。あいつらいつまでラブラブやねん。
シナリオは全部ありえないほどこの二人にとって幸運に推移するが、それもゲームのコンセプトの一部かなとは思う。でも、自然甘味料じゃなくて人口甘味料的な甘さに感じてしまう、というのはやはり前述の玖羽の人間味の無さのせいか。ただ、人口甘味料っぷり自体は徹底していて、二人は一度もケンカしないし別れるという話になったことさえなくエンディングまで到達する。そこは褒めてもいいと思う。これでケンカしてたら「話が違うじゃないか」と言って投げていたかもしれない。
もう一つ、エロゲではよくあることだが玖羽が主人公に依存しすぎてて怖い。社会性低すぎて、よく今まで高校生やってこれたと思うレベル。これで成績優秀とか言われても。まあ、付き合うことで社会性の低さが解消されていくのがこのゲームのテーマの一つなので、ある程度仕方が無いのではある。
『いちゃラブ大全』の感想のほうで述べた、「ちゃんと将来を考え、結婚まで到達し、周囲からも応援されるようなのは見ていて気持ちが良いいちゃラブ」を地で行く形で、二人が付き合う仲で玖羽が次第に第三者(=友達)を増やしていく。この流れはおもしろかった。
この周囲の人間も、ご都合主義の一部と言われればそれまでなものの、本当に良い人だらけだった。特にハワイ君。最終的にあんなにキャラが立つとは思わなかった。というよりも「(家族が)ハワイ好き」という設定は意外と新鮮だった。トドちゃんも世良さんもマジ良い人。互いの両親もマジ良い人。遠藤父はいいタイミングで出現しすぎ。
最後に、ネタバレにもならないと思うので言ってしまうが、前述の通り開始3分で付き合い始め、ほとんど回想なしにそのままいちゃいちゃし始めるので、付き合ってからがゲームの大半を占める。途中で同棲を始めて挙句結婚するわけだが、これだけ「同棲以後」を中心に描いたゲームは、自分の知る限り『とらハ2』以来じゃないかと思う。自分で気づいて笑ったのは「そうか、設定上18歳以上だから高2でも結婚できるんだwwwwww」ということ。ゲーム内ではどう見ても高校二年生だからなぁ。やられた。「子供が出来ても、中年になっても、おじいちゃんとおばあちゃんになっても……私たちは、恋人同士」けだし名言ですわ。いちゃラブじゃないけど、『とらハ1』の綺堂さくらエンド思い出した。
Hシーンは非常に多く、1ヒロインなのに33シーン。正直遠藤君絶倫すぎるw。使えるかどうかはミヤスリサが好きかどうかによるのでノーコメント。
点数は前述のようにコンセプトとその達成度だけで言えば100点なんだろうけど、テキストや音楽、ビジュアルのレベルはまるで70点前後でしかないのがどうしたもんか。これで玖羽に人間味を持たせることができたら完璧かなぁという期待も込めて、やはり高い点数は与えられない。
どうでもいいけど、「一緒に暮らしたい」のシーンでウリナリのショートコント思い出した。歳なんですね、わかります。