2009年03月31日

最強の不知火型力士

今回最大の焦点は、朝青龍の敗因だろう。まず、朝青龍は先場所に今までのスピードとテクニックに頼った取り方から少しばかり変えてきていたように思えた。そして今場所どうするのか、そのまま路線変更を続けるのかと思っていたら初日、全盛期を思わせるスピード相撲に戻っていて驚いた。だからこそ前半には抜群の安定感をほこっていたのだろう。

しかし、やはり衰えが隠せなかったのは九日目の把瑠都戦以降だ。把瑠都戦で思わぬ大相撲になったがために、強引に押し出した。その結果そこで左ひじのケガを再発させてしまった。要するに、全盛期の戦い方をするにはすでに身体のあちこちがついていかず、それでも強行すると最も痛めている左ひじへの負担が大きくなりすぎるということなのだろう。十日目から十四日目は大関陣相手に2-3と負け越している。つまり、左ひじを痛めた朝青龍は関脇か小結程度の実力しかない。二桁勝利を続けるだけならもう1、2年は闘えそうだが、優勝を目指すとなると次の場所での取り口変更が鍵になってくるだろう。「一場所一番限定」の、封印された邪気眼のような左ひじを抱えての白鵬とのマッチレースは、把瑠都や日馬富士の存在を考えるに辛すぎる。

逆に白鵬は文句の付け所が本当にない。特に今場所は「左上手をとれば確実に負けない」という必殺技を手に入れたため安定感が違った。それだけに他の上位陣は白鵬に対し左を取らせないように必死に立ち回っていたが、最終的に取られて負けていった。唯一惜しかったのは琴欧洲で、彼だけは完全に左を刺されないまま土俵際まで白鵬を追い詰めた。しかし寄りきろうとした瞬間に(左上手をとられ)うっちゃり気味に投げられた。今の白鵬を倒すならあの戦法しかないのかもしれない。全勝優勝は本当に立派。来場所もこの調子なら、いよいよ白鵬も認めていい。いや、すでに不知火型最強の力士で大横綱ではあるのだが。


その他、今回全く影の薄かった力士たちについて。琴欧洲は前述のようにまあ頑張った。二桁取ったし、白鵬を唯一あわてさせた。あとは旭天鵬、時天空辺りの取りこぼしとしか言えない負け方を無くせば優勝争いに絡めるだろう。負けるときは立ち合いが異常に不用意である。先場所も十勝していて、安定感は出てきたかもしれない。日馬富士も序盤は不安だったが、終わってみると彼らしい立ち合いが多かったと思う。しっかりと前まわしをとってから力を入れて欲しい。あわてると自分から飛び出してしまい負けやすい。魁皇は勝ち越しが決まったあとの相撲振りがあまりにも無気力すぎて怒りを覚えた。琴光喜はもはやどうでもいい。朝青龍に勝ったのは奇跡で本来なら負け越していたし大関も陥落していた。千代……大…海……?そんな大関いましたっけ?

関脇に移って、把瑠都。白鵬と朝青龍戦で大きな見せ場を作ったという意味ではほめられていいし、白鵬の優勝を大きくアシストした存在とも言える。負けた相手の名前を見るに順当に負けたと言ってもよく取りこぼしをしなかったという意味では偉い。ただ、せっかくの「クレーン」を持っているのだからここで安住してほしくはない。稀勢の里は本当に芽が出ないなぁ……まっすぐ当たりすぎるのがよくないのかも。あと、インタビュールームで不機嫌すぎるのはどうかと思う。

豪栄道は稀勢の里に代わり覚醒した。こういう前へ進む押し相撲な力士は見ていて気持ちがいい。技能賞を受賞していたが(しかも二回目)、あれって技能なのだろうか。旭天鵬は印象に残らなかった。なんとなく負けてった感じ。上位に来るとあっさり負けるようになったなぁ。このまま前頭中位に定着してしまうんだろうか。

北勝力にはどうせなら15敗してほしかった。鶴竜は応援してたので二桁勝利は嬉しいが、今場所はちょっと変化が多かったかも。豊ノ島は何とか勝ち越したがケガが酷すぎて動きがにぶい。なんとかしないと、来場所は大負けフラグが立つ。豊真将は本来の取り口が戻ってきた。七枚目で11勝は立派だが、問題は次。高見盛は負け越しが単純に残念だった。17時の男がまた遠のく。出島も負け越しか……年齢かのう。無様に前のめりに倒れる印象が強くなってきた。

朝赤龍は番付から言ってもっと勝つと思っていた。朝青龍同様衰えてるのかな。取組を見てるとそう思えなくも無いところが悲しい。阿覧と千代白鵬は十勝しているが全くそんな印象がない。だから三賞の声もかからなかったのだろう。阿覧は番付的に次はかなり上位に上がってくるが、対抗できるかは相当に疑問である。山本山は毎日おもしろい相撲をありがとう。嘉風戦でまわしが取れかけたときは爆笑した。しかし今場所の山本山は、先場所デブらしい負け方をしていたのに比べれば随分と工夫が見られたように思える。自分の身体についていけずにずっこける、というのはかなり減少した。ひょっとしたら来場所はもっと大きく勝ちこせるかもしれない。


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2009年03月30日

K-1GP in 横浜 2009

いろいろと予想外の結果に終わったのが今回だった。試合結果によらず、試合内容としても。判定がどうだろうというのがなきにしもあらずだったが、それも難しい判断を求められる状況が多かったように思う。ただ一つ思ったのは、ヘビー級チャンピオンをワンデイでやる必要はあったのだろうか。そもそも、次回の防衛戦からまたワンマッチで交代していくことになるわけで、今回の参加者はむしろ不利だったのでは。

以下、例によって左が勝者で右が敗者。

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2009年03月26日

時期はニアミス

東山魁夷《春静》山種美術館の「さくら2009」展に行ってきた。千鳥ヶ淵沿いにある美術館なだけあって毎年やっていたらしいのだが私が行ったのは初めてで、来年にも山種美術館が渋谷区広尾に移転してしまうため、さくら展はこれが最後となるらしい。幸か不幸か、最後だけ鑑賞することが出来た。

内容は山種美術館らしく近現代の日本の画家で占められる。狩野常信一人やけに古かったが後はおおよそ明治から昭和にかけての作品であった。主だったところは横山大観、河合玉堂、速水御舟、加山又造、小林古径、土田麦僊、菱田春草といった感じ。画像は東山魁夷のもので、彼らしい作品である。知らない画家の中では石田武という画家の作品が良かった。東山魁夷に少し似ている。それにしても、土田麦僊は相変わらず人間の描写が適当である。今回の屏風なんて明らかに下絵のまま放棄したもので、キャプションにもそう指摘されていた。玉堂と御舟は前回も多かったわけだが、おそらく大量に所有しているのだろう。

小品が多くあまり語るところはないが落ち着いて鑑賞することが出来、相変わらず入場料の600円が妥当に思える感じである。展示数もやはり50点強で、一時間見積もればお釣りが来るだろう。一つだけ注文をつけるのならば、桜展と銘打っているのならもっと桜が大々的に描かれている作品を集めてきてもよかったように思う。ほぼ全てを自らの収蔵品だけで固めたせいか、確かに桜が映ってはいるが中心ではない、目立っていないという作品がやや多く、それほど強いインパクトはうけなかった。これは少々もったいない。もっとも、所有物だけで固めたから600円という値段が達成できているのかもしれないが。

残念ながら千鳥ヶ淵の桜はまだ時期尚早で(行ったのは一週間ほど前)、今日辺りに行けば五分咲、来週末で満開といったところじゃないだろうか。一方で菜の花は内堀沿いに見事に咲いており、こっちはしっかりと鑑賞できた。あとは、季節外れになりつつある椿もまだ生き残り春を彩っていたか。人はむちゃくちゃ混むかもしれないが、本物と絵の競演が見たいのなら、ぜひ。

  
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2009年03月25日

WBC 2009

記事にしてなかっただけで実はけっこうばっちり観戦してたりしたWBC。二次リーグ以降は大相撲中継の直前にやってくれた上に就活が見事に一段落して、いろんな意味でタイミングが良すぎた。

キューバに関しては三年前に比べて明らかに弱かった。珍しく内紛も起きていたらしい。アメリカはいつも通りだろう。日本や韓国のプロ野球がほぼ総力戦で、その他の国はそもそもほぼアマチュアというパターンが多いのに、今回「も」1.5軍程度のメンバーしか招集できなかった。一軍メンバーは、ドミニカやプエルトリコの選手は仕方ないにしても、それ以外でもメジャーの球団が拒否ったのが多い。まあワールドシリーズ(笑)はメジャーの決勝戦だという慢心があるのだろう。

そこへ行くと、韓国はやはり強かったと思う。日本が拙攻をしただけだった、安打数は五試合まとめてみると圧倒的に日本が上回っているというデータもあるが、それが点に結びつくかどうかも含めて考えるのが野球なのではないか。それを言い出してしまうと我が中日ドラゴンズは毎年安打数や本塁打数はセリーグほぼ最下位で、それも防御率も必ずしも一位でないながら、ずっとAクラスを保持してきた。それでも弱いチームと言ってしまえるのだろうか。

ということは責めるとしたら原監督の指示ということになるはずだが、彼は彼なりによく指揮を取っていたのではないかと思う。ときどき謎采配はあったけど、それが的中して謎代打がヒット打ったりしたし、結果オーライの部分も多かった。結局、やはり韓国が粘り強い、勝負強かった、しいて責めるとしたら原監督、という言い方しか私にはできない。最初から日本と韓国だけが飛びぬけて強かった。まさにアジアダービーだったんでしょう、今回は。

MVPは全体的に頑張ってくれたけど(福留は打ってなかったが)、決勝に関してはイチローが全部持ってった。誰しもが言っているが、前半の不調は伏線だったとしか思えない、6打数4安打で決勝点。メッセで友達に聞かれたときに「イチローさんは決勝トーナメントから本気出す」って言っちゃってただけに嬉しい。全体を通すとやっぱ杉内か青木なんじゃないかなと思う。いや、岩隈や中島の名前が挙がってもおかしくないし、ワンポイントで目だったという意味では川崎も良かった、村田も無念の帰国が無ければ。何はともあれ、おめでとうございました。
  
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2009年03月23日

スキマ妖怪のスキマは良いスキマ

買ったはいいけれども5分であきるだろwと思い、いざ使ってみると案外使い心地がよくて結局テーブルの上に鎮座している、パチュリーさんのおっぱいマウスパッド。谷間のところがちょうど手首の置き場としてジャストフィット。これはひょっとして世紀の発明なんじゃないだろうか。しかし、視覚的には大変危険はブツでありまして、どうすんのよ事情知らない人が部屋に上がってきたら。一発アウトなんですが。というか、昨日おかんが来た。撤去した。

ちなみにパチェのおっぱいの大きさですが、個人的には比較的着痩せ派寄りのこだわらない派。別にパチェの魅力はそこじゃないんでどうでもいいです、ただイメージとして文学少女なら着痩せしてほしい。東方世界が少女しか表象しない(それ以外も存在はしているけど表現されない)理由はその少女性の強調であって、神主絵が下手と謗られつつも竹本泉絵からぶれないのもそこにある。とするならば、イメージで語ってもも問題あるまい。だからこそ描く人の自由が保証されるのでもあるし。そういうわけで、私は着痩せ派です。

咲夜さんはレイマリよりはあるけれど的な。PADネタというよりもあまり大きいと瀟洒ではない。よって紅魔館的には中国>小悪魔>>パチェ>咲夜>>>レミィ=フラン。幻想郷標準(レイマリ)は咲夜とレミィの間くらい。いや、本当にどうでもいいですねこれ。

  
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2009年03月22日

次は切子を見に行く

色絵金彩春秋図耳付花瓶江戸東京博物館の薩摩焼展を見に行ってきた。なんというか吹っ切れたかのように美術館に行っているわけだが、やはり自分にとってはストレス解消なんだなぁと改めて思う。これで三月場所が東京だったならそのまま相撲を見ていったのだが、大阪でやってるんだからしょうがない。自転車で神田川沿いをずっと走っていったんだが、すごく良い気候で、花粉を除けば過ごしやすい季節になったもんだと思う。思わずコートを脱いでしまった。国技館では某専門学校の卒業式をやっていて、両国駅周辺は意外と混んでいた。

で、今まで薩摩焼なんて大して見る機会も無かったので知らなかったのだが、土の色のせいか焼き方のせいか、どこか色がついていて全くの白地というわけではない。加えて貫入(釉薬のひび割れ)が激しいのが特徴らしく、砧青磁を至高として見る自分としては終始違和感をぬぐえなかった。しかもそこにごてごてと金と赤で装飾するため、こう言ってはなんだが、同じような装飾なのに伊万里と比べるとどこか野暮ったささえ感じる。しかも、絵としては大変上手なので尚更残念な感じがする。順序としては逆なんだろうが、失敗したマイセンのような。

そろそろ鹿児島県民に怒られそうだが、だからこそ逆に蛇蝎釉の茶碗はおもしろかった。貫入の激しさを全面に押し出し、見た目にもでこぼこしている感触が感じ取れる。あとは、宋胡録(すんころく)という模様のものも珍しかった。タイの影響を受けたものだそうだが、またしてもこう言ってはなんだが、確かに熱帯的な模様に感じられた。

最後に、併設展として現代の薩摩焼が展示されていたが、2007年制作のものもあり、かなり新しい作品の混じった展示であった。どうやらフランスに巡回したものの帰りらしい。こちらのほうは随分とセンスがよくなっていて全く野暮ったさが無くなっていた。しかし、一方でこれは薩摩焼なんだろうか、現代工芸一般に共通する部分が強いような、そんな気がしないでもなかった。

いろいろ注文はつけたがそれは自分の中での陶磁器に対する要求が高いからであって、内心としてはけっこう満足した展覧会であった。小腹が空いたので、美術館出たところにあった甘味処であんみつを食べた。うまかった。
  
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2009年03月21日

実は三回目くらいとか

西美に行ったメンバーでその翌日に上野動物園に行ってきた。目的はハシビロコウさんだったが、大の大人三人で年甲斐も無く目移りしまくり、結局五時間近く動物園に滞在してしまった。いや、普通に楽しかったです、正直に言って。

一番笑ったのは、上野公園在住動物たちのフリーダムさ。鳩もカラスも雀も檻の中に入り込んで、我が物顔で餌つついていた。別にお前らを見に来たわけじゃない、お前らは見飽きている。動物園のペンギンコーナーには、なぜか必ず一羽はいる水鳥も当然存在していて、色からしても見事に紛れ込んでいた。一番ふてぶてしかったのは雀で、その中でも最強は梟の檻の中の餌をつっついてた雀。いつ彼自身が餌になってもおかしくないというのに、他の檻にも似たような餌箱はあるというのに、なんという偉大なるチャレンジャーにして身を張ったギャグ。彼は生粋のエンターテイナーなのかもしれない。

お目当てのハシビロコウさんは期待通りだった。何あのかっこいい鳥。全く動かないの。三人で十分以上凝視していたが、微動だにしなかった。看板に「ハシビロコウが動くまで待って、その間環境問題について考えてみてはどうでしょう」と書いてあるのだが、それはおそらく論文が書けるレベルなのでは。あ、もちろんハシビロコウの檻の中にも雀はいました。お前ら自重しろ。

土日で春休みだったので家族連れで異様に混んでいたが、今度は平日の真昼間に来てもいいかもしれない。  
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2009年03月19日

反宗教改革さまさまではある

ヴーエ《エスランの聖母》西美のルーヴル美術館展に行ってきた。ルーヴル美術館展自体はさして珍しくもなく、それこそ今度は国立新美術館に別のが来るわけだが、今回は国立西洋美術館五十周年記念企画展示なので若干力の入り方が強くなっている。また、担当した学芸員が幸福先生とあって、中心が黄金期のオランダ・フランドル絵画ということも、今までの"ルーブル"展とは毛色が異なるものになっているといえよう。とは言いつつもカタログを読むに、この後京都に行き、その後海外の別の場所を回ってルーヴルに帰るみたいなのだが。(海外における展覧会名は「古典主義時代の諸変革」であるとのこと。確かに、日本でそのタイトルをつけても受けが悪そうだ。)

17世紀とは確かに不思議な時代である。「ヨーロッパ全般的危機」の時代と言われる一方でオランダは黄金期を向かえ、フランスはルイ14世が即位し、イギリスは正教徒革命、名誉革命を経験し議会制民主主義国家へと突き進んだ。科学の非常に発展した世紀で、ざっと挙げただけでもガリレオ、ニュートン、ライプニッツ、ケプラーとそうそうたるメンバーがそろっている。その一方で、宗教改革後のカトリックとプロテスタントの対立も激しかった。挙げた中でもガリレオが反宗教改革勢力に弾圧されたのは有名な話であるし、何より三十年戦争の悲劇的な展開はそれらを象徴している。そして何かのブームのごとく神を幻視した人たち、列聖された人々の多い時代でもあった。本展覧会も、そのまま「黄金の世紀とその影」「科学革命」「宗教」の3つのセクションに区切られている。

第一部「黄金の世紀とその影」、入った直後を出迎えてくれるのはプッサンの《川から救われるモーセ》だが、その背景はどう見てもローマ(テヴェレ川)である。ピラミッドがあるが、あの独特の鋭角頂点なピラミッドはローマのものであり、何よりも水道橋がある。しかしこのプッサンはどこか硬質であまりプッサンらしくない。次の絵は《マリー・ド・メディシスの肖像》だが、彼女も17世紀ヨーロッパを象徴する人の一人かもしれない。洗練された料理をイタリアからフランスに伝えた女性としても有名である。三枚目、フォントネイの《金色の花瓶に活けられた花束とルイ14世の胸像》は前にどこかで見たことがあった気がしたのだが、多分ルーヴルに行ったときにそこで直接見たのだろう。けっこう好きな作品である。

レンブラントやハルスといった画家の作品がよく見られたのはよかった。また、オランダの都市景観画も見たのだが相変わらず遠近感が狂っている(褒め言葉)。フェルメールの《レースを編む女》は、かなり長期間日本に滞在なされたんじゃないだろうか。九ヶ月くらい?その他、戦争画が三枚もあったというのは特徴的である。確かに戦争ほど「光と影」の両方を示しているものもないかもしれない。

第二部「旅行と科学革命」で、まず目に付いたのはブラジルの風景画である。これは当時の人気の高さが偲ばれる。有名な作品ではやはりクロード・ロランの《クリュセイスを父親のもとに返すオデュッセウス》。これもプッサンの作品同様、表題に反して描かれているのは非常に現代的(17世紀的)である。ここもまた、ギリシアではなくローマなのだろう。ロイスダールの作品は珍しくも海景画であったが、やはり良い。

第三部「聖人の世紀、古代の継承者?」では、ヴーエの《エスランの聖母》(今回の画像)が良かったが、エスランってなんぞやと随分気になっていた。帰って図録を眺めたら普通に画家の庇護者の名前だった。しかし、エスランとは何か聖書に出てきそうな名前である。なのでそっち方向で考えてしまっていた。そしてカルロ・ドルチの《受胎告知》連作二枚。ガブリエルのほうの愛らしさが異常な件については、誰も異存はあるまい。あとはまあ、ムリリョの聖母が相変わらずだなぁと。

ピエール・パテル(父)の《ナイル川にモーセを遺棄するヨケベト》は、冒頭のプッサンの作品と話的につながる上に、こちらの作品もやはり背景がローマになっているカプリッチオなわけだが、どうせなら隣同士におけばよかったのではないかと思う。逆に、展覧会のほとんど最後に飾った理由を知りたい。


総じて約70点という数の少なさを感じさせないヴォリューム感であり大変満足できた。美術に興味が全く無い人に来てもらうというより、自分の含め美術ファン層にとって最も喜ばれる類の作品が多かった展覧会であったといえよう。ただし、かなりこだわって一部から三部までを区分けしていたように見える割に、大して特色が感じられなかったというのは指摘しておきたい。ところで、図録の論文の、「二条城が東に約三度傾いている件」がおもしろかった。しかし、これは展覧会の主旨とあまり関係無いのでは。  
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2009年03月17日

東方曲について語ってみる




これはおもしろかった。しかし、自分自身が割と音楽から入った人間なのでランキングが「あるあるw」といった感じで見れたところも大いにある。

いい機会なのでついでに、延期に延期を重ねていた東方曲語りをしてみよう。神主はゲームの雰囲気にあうように作曲しているのは言うまでもないことだ。そこで、あくまで私の主観ではあるが、東方Projectのゲームの雰囲気を大別すると明るくさわやかな系統と、暗く泥臭い系統に分かれる。明るい系統の最右翼が風神録で、次が妖々夢、やや真ん中よりにいるのが永夜抄と花映塚。逆に暗い系統のゲームは紅魔郷と地霊殿、旧作にあたる。

古き強き人妖が出演するゲームは暗く、逆に割と幻想郷新参で軽いノリのゲームは明るい。まあ、あくまで主観での区別なのでここをつっこまれると私の理論は崩れるわけですが、ご容赦いただきたい。ただ、旧作や周囲の曲人気を見ていると暗い系統が正統的な神主曲なのかなとは思っている。また、ゲームごとで大雑把に区切ったが例外もある。たとえば「ネクロファンタジア」は妖々夢だけど最も胡散臭い部類の曲に入るし、「恋色マスタースパーク」や「少女綺想曲」は永夜抄ではあるがいかにも旧作からのアレンジを思わせる、良い意味での古臭さがある。風神録でも「妖怪の山」だけはちょっと暗い。ちなみに、星蓮船は空中だから爽やか系で来るのかなと思ったら、三面までは紅魔郷くらいには泥臭い。ということは、話が意外と重いか古い妖怪が出てくるか。


で、私は明るい系統のBGMのほうが好きである。特に風神録は名曲だらけだと思う。この間の人気投票でも投票したのは「千年幻想郷」「幽雅に咲かせ、墨染の桜」「ヴォヤージュ1969」「神々の恋した幻想郷」「Demystify Feast」「懐かしき東方の血」「夢消失」の七曲だが、見事に作品が偏っていて、例外が「夢消失」くらいしかない。次点で消したのはもっと顕著で「少女の見た日本の原風景」「遠野幻想物語」「広有射怪鳥事」「天空のグリニッジ」であり、ここでも最後の大空曲を除けば見事に明るい系の道中曲で固まっている。

実際、ラスボス二曲は演出補正がひどいので、単純な曲の威力で考えると道中曲である「神々の恋した幻想郷」か「懐かしき東方の血」、「遠野幻想物語」の三曲が最強かもしれない。私が上のランキングを見て驚いたのはそれがゆえである。「遠野幻想物語」が一位だったのだ。今でこそ少し相対的に下がったが、2006年末の東方を知り始めた頃は狂ったように「遠野幻想物語」を聞いていた。それだけに感慨深い。その他、私の好きな曲が大概ランクインしていたというのは、動画を見れば納得していただけると思う。「広有射怪鳥事」が22位という高い位置だったのは自分でも驚いた。

「千年幻想郷」が低い理由(といっても100曲以上の中で38位だが)はなんとなく理解できる。「ルナ・ダイアル」「ネクロファンタジア」は50位圏外、「恋色マスタースパーク」が50位ちょうどというのはいかにも東方を知らない人のチョイスだなあと思う。逆に「セプテット」の30位や「少女綺想曲」の25位は意外と高いと思ったくらいだが、まあ素で聞いても良曲だよね。「ラクトガール」の8位と「少女さとり」の4位が一番意外だった。暗い曲でも受けるやねぇ。「UNオーエン」が15位だったが、あそこまで突き抜けてると東方知らなくてもインパクトに残るw。あれほど聞いてて不安になる曲も珍しい。

この調査、もっと広い範囲でできないかな。より正確なデータが出るとおもしろいんだが。やってくれる人、いません?henriさんとかカシンさんとか。

  
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2009年03月13日

東方UFO

以下、東方星蓮船ネタバレ有。ついでに『いつ空』のネタバレ有。


某友人(こめ)とのメッセでの会話。

こ「雲居が雲戌亥に見えた」
俺「いいたかないがあんた眼科行けw」
こ「これはラスボスは間違いなくふたみ先生」
俺「それどっちかといえば地霊殿wwwwwwww」
こ「雲と太陽とカラスとグングニルは出たので後はフェンリルとガンダールフですか」
俺「 そ れ だ 」
こ「おっと、雷切とタイガー戦車を忘れていたぜ」
俺「でも今回空中戦だから零戦じゃね」
こ「霖之助が邪気眼を解放したらガンダールフの真似事くらい楽勝な筈」
俺「いつ空とゼロ魔ってそこかぶりすぎだよなw」


会話終わったあとに気づいたけど、二面ボスが和傘じゃないですか。CVはまきいづみで確定ですな。ということが彼女が影の実力者でEXボス(ry

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2009年03月09日

第134回『『カラマーゾフの兄弟』の続編を空想する』亀山郁夫著、光文社新書

非常に長い時間がかかったが、本編ともに読破した。ただ、なんとなくブックレビューが書きづらくて放置していた。そしたら本編読破から年単位で、本書自体からでも半年以上経過していた。それでも備忘録を兼ねてなんとか形にしておきたい。以下、ネタバレ注意。


『カラマーゾフ』の特徴、というよりもドストエフスキーの特徴なのだろうが、『罪と罰』同様哲学的な内容を裏に敷きつつ、表のサスペンス自体がおもしろい。結局真犯人誰だよと思いながら最後まで読んでしまった。意外と特異なのかもしれないが、私が一番怖かったのはアリョーシャだった。本書でも言及されている通り、アリョーシャの中身のなさ、鸚鵡返しには本編の第一部で早々に気づいてしまい、こんな人間が主人公の小説だなんて、と戦々恐々としながら読み進める羽目になった。本書の結論には大幅に反するが、個人的にはこいつならテロを起こしても仕方が無いと思う。

そして『カラマーゾフ』は未完であり、できる限りの精度でその続編を空想してみようというのが本書である。まず、こういった二次創作的なことが許されるということ自体に驚くと同時に画期的な新書であったと思う。もちろん探せば他の小説でもあるのだろうが、これだけ話題になって売れた、世の中に受け入れられたというのも特筆すべきである。

言うまでもなく私は二次創作が隙であり、その醍醐味は「世界観を崩さず、かつシナリオを拡張する」という縛りにあると思う。逆に言えば、そんなのは別の作品の二次創作やオリジナルでも出来るんじゃないかというのはあまり好まない。だからこそこの筆者の態度には好感が持てた。精度を保つための条件設定に相当心を砕いたのではないかと思われる。二次創作も研究の領域に入ればこれだけ厳密になるものなのだ。

ただ、一方でこの筆者は政治状況の抑圧、特に「アリョーシャが直接的なテロの犯人になる小説が書けるわけがない」という点にこだわりすぎたと思う。そのこと自体は完全に納得できるのだが、この主張が何度も同じフレーズで登場するのには若干辟易した。第二章か第三章の末項に集中させてしまえば、同じページ数でより多くのことに言及できたのではないかと思う。



『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する (光文社新書)『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する (光文社新書)
著者:亀山 郁夫
販売元:光文社
発売日:2007-09
おすすめ度:4.5
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2009年03月04日

夜明け前より瑠璃色なMoonCradle レビュー

『明け瑠璃』ファンディスク。無印と塗り方変わった。というかFA塗り。べっかんこうの原画もかなりFAに近く、元の絵と比べると若干の違和感がある。個人的には明け瑠璃本編の頃が一番好きなのでやや複雑。あと、全体的に目が大きくなった?多くのキャラがロリっぽく見える。特に菜月さんは誰こいつ率が若干高かったような。不満といえば不満かも。

シナリオをいくつかやってみて思ったことは、やっぱり明け瑠璃は世界がしっかりしていて、世界に没入するだけでもう楽しい。キャラが全員立ってるんだよね、フィーナから仁さんまで。仁さんまでというか、仁さんとおやっさんのキャラの立ちっぷりは半端ないんだけど。個別シナリオは本編ED後という設定だが、開始時に「あなたの隣にいたのは○○ですか?」という聞き方をするのも感じ出てる。こういう細かいところで気配りができるのは良い。

その個別シナリオはPC版から攻略できるキャラに関しては一人一時間程度でHシーン1回。ただしメインヒロインであるフィーナは本作でもオオトリを務め、Hシーンも二回。麻衣は本編での「エロかわいすぎて死ぬ」というユーザーの声が届いたのか、短いシナリオに二回もHシーンが詰まっている。PS2版から攻略できるようになった二人と、MC追加キャラであるシンシアも二回ずつ。シンシアシナリオのみ三時間弱とやや長め。全員クリアするとヒロイン9人なので、Hシーンをすっとばせば10時間弱程度。

サブヒロインのカレンさんはシナリオが欲しかったところだが残念ながら実装されず。その分と言おうか、多くのシナリオで出番増量中でシリアスもギャグもいけるさらにおいしいキャラになった。ところで、前から思ってたがカレンさんの私服が相変わらずパジャマ、もしくはパチェに見える。ナイトキャップがとても欲しくなる衣装なんですが……。

個人的にはリースシナリオが大幅に補完されてて嬉し涙。シンシアシナリオも非常に出来がよく、さすがはオーガストだなと思わせられた。何よりシンシアシナリオでSF要素がが強くなり、これでこそオーガストのシナリオというのを味わうことができたので良かった。あと、おまけシナリオおもしろすぎる。榊原拓がギャグ方向に覚醒していたような。まるであごバリアのような進化だ。

ファンディスクなので点数をつけるのは難しいが、明け瑠璃PS2版とあわせて85点くらいあげてもいいんじゃないだろうか。ここで私は明け瑠璃を私的エロゲ殿堂入りさせることにしたい。


以下、クリア順にメモしたことを。
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2009年03月02日

俺の寿命がESでマッハなんだが

ゲーマガ購入余裕でした。




ヤングビレッジP糞ワロタ。せめてJeffP並のごまかし方は欲しかった。でもこれはおもしろい試み。決してMADを公式が認めたことにはならないけど、その決定的な一歩は踏み出してしまったという印象。今回はゲーマガ(ソフトバンククリエイティブ)だったし、前のはネットスター(NHK)だったけど、さて本家(バンナム)は。

2/28の祭は平日にがんばればいいやと明け瑠璃MCを優先した結果、エコノミータイムが広がってDGさんは深い悲しみに包まれた。保管庫の更新は一日一動画もできそうにない。


いや、ブロント語は割と昔から使ってたんですが誰にも気づかれなかったという。「隙はなかった」「汚いなさすが○○汚い」「さすがに○○は格が違った」「これで勝つる」辺りは多分ブログを検索したら去年の10月くらいからぼちぼち引っかかるはずなんだが、身内含め誰にも一度も指摘されなかったので想像を絶する悲しみがDGさんを襲ってしまうところだった。最近のニコニコでの流行はとても嬉しい。


某友人に言われて気づいたんだが、この間のはじCさんの記事の「未来はにい」について誰もつっこまなかった件。ニコマスには広まっていないのか。


  
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2009年03月01日

ヨスガノソラ レビュー

なんだかんだで先にクリアしてしまったのでレビューを掲載。明け瑠璃MCは当分待って。鈴平&ハッシーという原画陣、穹(実妹)のためだけにプレイした。というよりも批評空間の穹はキモウトという評価が気になった。どちらかが欠けていても手に取らなかっただろう。


まず総評から。典型的な「ヘタレだけどもてる  ※ ただしイケメンに限る」を地で行くエロゲ。テキストが眠すぎる、というのがレビューの一行目に出てくる時点でいろいろ悟って欲しい。誤字も多い。合う→会うとか、写す→移すとか。一々「スイーツ」っていうのがすごく気になる。処々の言葉遣いに違和感がある。

日常パートは大事だけど、ライターはそれを冗長さと捉えてはいけない。男友達ポジションの、亮平のうざさは異常。留年しているという設定も妙に頷けてしまう。そういう意味ではリアルなのか。彼が妙にどたばたして、日常をワンパターンにしてしまっている。テキストの使いまわしも多い。しかも、一々未読判定にされるためフラストレーションが溜まる。『アオイシロ』でも思ったけど、テキスト使いまわすならそこの部分は既読スキップしてほしい。

シナリオは一見爽やかな一方でどこかドロドロしてて、田舎らしさは感じた。地縁と血縁にまつわるしがらみがテーマの核心にいて、特に穹シナリオは近親相姦にまじめに取り組んでいてけっこうえぐい。キモウトという評価も頷ける。ただし今ひとつ残酷に書ききれていない、投げっぱなし気味なところもあって、テキストが一方的に足を引っ張っているとも言いがたい。シナリオにも大分改善の余地がある。

Hシーン一人3〜5つはすばらしい。こう言ってはなんだが、画集という自覚はあるらしい。共通は短い。個別に入ってからは1ルート2〜3時間くらい。総合して12時間はかからないくらい。ただ、本当に中身がなかったのでけっこうボイススキップして読んでたから、きっちり読めば15時間くらいかかるかもしれない。

あと、サブヒロインでクラス委員長がいてこの子はけっこうかわいいのだが、この子は攻略できないからこそ光る典型的なキャラだと思う。地味すぎる。委員長がメインとして光るには、明け瑠璃PS2の翠シナリオレベルの補正が必要だ。


推奨攻略順は一応 ダメイド→お嬢→巫女→メガネ→妹 としておくが、共通ルートで眠気を感じたならメガネ→妹の二人だけでもいい。また、どうにもメガネが嫌いなら巫女→妹で。その場合、妹ルートの序盤ちょっとわかりづらい描写があるかも。自分はメガネを最初に攻略し、その後巫女→お嬢→メイドと進んで最後に妹に行ったためすごく失敗した。お嬢→巫女の順番は確実に守ること。

あまりこういう点数の付け方は好きじゃないが、穹シナリオとそれに付随する設定だけなら75点ほど。それ以外のシナリオは60点前後と言わざるを得ない。そこで平均して、画集としての点数を加点しても65点くらいしかあげられない。全部穹シナリオくらいのシナリオ&テキストレベルだったか、そうでなくとももっと田舎の閉鎖空間を売りにした個別ルートのテーマ設定をしておけば、かなりマシな評価ができたと思う。


以下ネタばれ。
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Posted by dg_law at 12:00Comments(0)TrackBack(0)