白鵬優勝はけっこう喜んでいる。だって、今年に入って本割57-3で優勝回数1回なんてことになったら、過去に例のない勝負弱い横綱ということになってしまう。実際には、白鵬は数字ほどには勝負弱くない。彼がそんな汚名をかぶらなくて済んだなら、それは喜ばしいことだ。
とは言いつつも、白鵬の相撲内容に関しては言うところがない。先場所や先々場所の相撲振りと何ら変わるところはないからだ。時折突然慢心するという弱点まで含めて、進化も退化も無い。まさに、優勝するべくして優勝した。ちなみに今回の「双葉山」発言は別に驚くところではなく、彼は以前から「いまだ木鶏たりえず」を引用してみたり、過去の大横綱のDVD鑑賞が趣味だったりで、大相撲に関する知識は相当に深い。相撲雑誌上でも何度かインタビューや対談が掲載されているが、どれを読んでもよく研究してるなと。
朝青龍はなんだか寂しい。順調に衰えていっている。立会い、張り差しになんとも力が無い。K-1のピーター・アーツのように、ここから復活できるか。やはりファイトスタイル、相撲振りの変更が必要不可欠なのではないか。それでも、千秋楽の白鵬戦はすごかった。差し出争いの厳しさ、巻き替えの速さが異常で、やはり彼は魅せてくれると思う。日馬富士戦で見せたやぐら投げも圧巻。負けた五番のうち、魁皇に負けた一番だけは擁護できない。魁皇に腕を極められたら終了のお知らせなのは百も承知であるのに、よりによってテーピングを巻いている左腕(魁皇にとっては右腕!)がまるで無防備であった。この油断も含めて、弱っているということか。
今場所元気だった、佐渡ヶ嶽部屋の大関二人。盛り上がった要因には違いないのだが、琴光喜はハナから期待していなかった。相変わらず立会いが汚かったりまともだったり。そのじらしはガラスのハートのなせる技か。しかもそのじらしは大して功を奏していない。特に、十三日目の安美錦戦の立会いが最悪。それでも12-3はすばらしい成績で、来場所二桁ならちょっと見直す(とブログに書いて二桁だった試しがないが)。琴欧洲は非常に良かった。やはり次の横綱は彼か。今年に入ってから10-5,10-5,9-6,13-2は十分に安定していると言っても良いだろう。(その前二場所は両方8-7なのではあるが……)
日馬富士はまだまだ精神が脆い。猛稽古すれば改善されるものでもないし、どうしたものか。勝った取組だけ見れば、いい圧力で前まわしを取る形ができているのだが、負けた相撲を見ると前につっかけすぎていたり圧力が足りていなかったりする。特に負けが込んでくると焦りからか、不用意な投げを打って逆に崩されるという場面が増えていくのは悪癖と言ってもいいだろう。典型的なのが十四日目の白鵬戦。あんな首投げで白鵬を崩せると思っているのなら、先場所の優勝は忘れて出直したほうがいい。
千代大海大先生は、CSPのキレが異常だった。初日からいきなり綺麗に決まったし、何より九日目の朝青龍に決めた引き落としと、十一日目の琴欧洲に極めた叩き込みが神がかっていた。特に、十一日目の琴欧洲戦で見せたCSPは芸術的といっていいレベルで、あれが恒常的に打てるなら彼はまだ幕内で大関を張るだけの価値がある。そういえば今場所、五日目に組んで栃煌山に勝ってて吹いた。実況板も大揺れですよ。決まり手小手投げとかなんなの。ありえなくね。あと、十年前の名古屋場所の映像で、すでに大関でしかも角番だったのを見て腹筋崩壊した。十年前から何も変わってない。
魁皇は……彼もまた、右上手が取れるかとったりが打てる状況まで持っていければ必勝、という形がとれる以上は存在意義があるのかも。でも、やっぱり互助会は老害だ。ところで、十四日目千代大海戦に勝ったのは、千秋楽の琴光喜と話が付かなかったのか、それとも逆に千代大海の側で鶴竜と話がついていたのか。それとも、ひょっとしてガチ?
それ以下の番付について。鶴竜はせっかくの東関脇なのにここぞというところで勝てない。まあ彼は長い目で見たい。稀勢の里は五日目に魁皇を破った内容を見て、今場所こそは二桁いける!と思ったら9-6だった。場所前にブログで書いた及第点ギリギリの成績。琴奨菊と旭天鵬が鬼門すぎる。中日の朝青龍戦は良かった。あれは立会いで決まっていたわけだが、あれを土俵際で逆転された朝青龍油断、とか書いている各社スポーツ新聞記者はセンスがなさすぎる。今まで何を取材してきたやら。
旭天鵬はエレベーターお疲れ様です。阿覧と豪栄道、豊響はまるで良いところ無し。それでも豊響と阿覧は経験不足と擁護できるが、豪栄道がそれじゃあねぇ。栃煌山は先場所の豊真将を見ているかのような。段々、豪栄道と栃煌山は残念という声も聞こえつつある。
岩木山は内容が悪くなかったが、家賃が高すぎたか。把瑠都の成績はあんなもんだろう。帰り小結は確実。今場所はやたらとクレーンにこだわってたなーwと。何人釣り上げられたんだ?二日目、四日目、七日目、十三日目、千秋楽。自分のメモに残ってるだけで五人。高見盛、17時よりも遅い登場はちょっと重役出勤すぎたか。来場所はまた17時きっかりの男に戻りそう。
安美錦はエレベーターで元の位置へ。来場所の琴欧洲南無。栃ノ心はいい加減ふんどししっかり締めなさい。翔天狼は大勝しているがそんなに印象に残っていない。山本山は、ケガを治すついでに痩せて肌も治すべき。朝赤龍はようやく勝ち越したけどまだまだらしくない内容が続く。エレベーター化するか?
出島は本当にお疲れ様でした。ガチで幕内在位75場所は、単純に偉大だと思います。正直に言って最近の「出ない出島」か「出すぎた出島」の印象のほうが強いんだけど、それでもケガとうまく付き合いながらどう取るべきか、老獪でかつまっすぐとはいかにあるべきか、そういったことを体現した相撲振りだったと思う。
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