2010年09月29日

天皇賜杯おめでとう

魁皇が勝ち越すかどうかと白鵬の連勝が話題となった場所であった。実際に私自身,この2つが最も注目していた点であった。

白鵬については絶賛するほかない。「相手が弱い」などという戯言には寝言は寝てから言えと言いたい。30や40の単位ならまだそのような言い分も通るが,50を超えてからはいかに相手が弱かろうが達成は困難であり,まさに神域の偉業と言わざるをえない。仮に朝青龍がいたとして,今の白鵬を止められるとは思えない。そもそも,この62連勝の2勝目は朝青龍であった,ということを「中継を見ていない人は」忘れているのではないか。精神面についても,一昨年くらいまではまだ「優等生の振り」に留まるようなところがあったが,昨年次第によくなり,今では「振り」をとっても差し支えなかろう。このまま行けば来場所は七日目に69,中日に70連勝を達成する。その可能性は高い。魁皇については個別評で。

細かく見ていくと見所は他にもある。何よりも今場所は野球賭博の影響で番付が変だったことの影響が強い。ゆえに,分不相応に高い位置でとったものと,分不相応に低い位置で取ったものがおり,その中でも明暗が分かれた。前者の,分不相応に高い位置でとったもののなかでは,惨敗したのが若の里と高見盛,旭南海などかなり多い。彼らは家賃が高すぎた。逆に躍進の契機にしたのはもちろん栃煌山である。もっとも栃煌山は本物っぽいが。後者の,分不相応に低い位置で取ったのはもちろん全員博打力士だが,当然のように全員大勝した。あまり価値の無い十両優勝争いである。

全体としては中の中の評価。お,と思う相撲も多かったが前頭中盤に多く,上位陣は栃煌山と白鵬以外に見るところがなかった。連鎖的に発生する安易な引き技の多い日もいくつかあった。また,再び立会いでの張り差しが流行傾向にあるのが気になる。白鵬が使っているせいだと思うが,白鵬の張り差しは朝青龍と違い毎回というわけではなく,効果的なところで使っていることが多い。付け焼刃なまねをするよりは自らの立会いを貫いて欲しい。(なお,朝青龍の多用については,あれはあれで効果があったと思う,と補足しておく)。


個別評。白鵬については足腰の柔らかさを生かした鉄壁の防御で,危ない場面が少なかった。54連勝のかかった七日目の稀勢の里戦が一番危うかったが,やはりこの日の前後だけはどうしても緊張してしまったらしい。彼も人間である。横綱なんだから神だろう,と言われたら反論はできないが。さて,はてダのほうにも書いたが,栃東の白鵬評は正しいと思う。組んだらまず勝てないので(左四つであっても苦しい),離れて戦い,白鵬がたまにやる苦し紛れの技を放ったタイミングが唯一の勝機になる。自分が技をしかけているときは人体の構造上,どうしても足腰が地面に張り付いている状態を維持できないので,鉄壁の一部は崩れる。そこにしか勝機が見出せないってどうよ?という気はするが。

日馬富士はいつになったら膝治るの?以上。琴欧洲はいつものクオリティでした,言うことなんてない。把瑠都は相撲がまだ迷っている。もう数場所矯正にかかるかも。まだ大関在位3場所目なので,長い目で見ましょう。魁皇について言えば表現に窮する。まだ大関で8−7できる実力がある以上(互助会を含めても),降りろとは言えないわけだが,その相撲内容が大関として観客に見せられるものなのか,という点についてはぜひ自問自答してもらいたい。


関脇。阿覧はあんなもんだろう。まだ栃ノ心や鶴竜に並べるほど強くはない。魁皇に,変化せずに勝てるようにはなってほしい。もう一人の栃煌山については語るところが多い。今場所は攻防両面とも大きな成長が見られた。攻撃面については従来のもろ差しが強化され,入れば必ず押せるし,入れなくともおっつけやはずおしで押していけるようになった。今場所何番かそれで自分を救っている。お前いつから押し相撲力士になった,と言われんばかりである。防御面では腰が割れており,かなりの衝撃を吸収できるようになった。精神的にも大きくなったように見え,連勝が続いていたのに硬くなっている様子が無かった。これまでの栃煌山ならどこかで崩れていた。これが来場所続くなら,たとえ9−6であっても私的大関戦線1位に躍り出る(現状3位)。そしてその可能性は高い。負けた4番では白鵬を仕方ないとすると,把瑠都戦は張り差しに負け,阿覧戦は相手の立会い変化,初日の琴奨菊戦は自分が立会いに失敗している。総じて立会いで負けているので,当面の課題はここであろう。

小結。稀勢の里はいつもの稀勢の里でした,論評するところなんてねーよ。大関戦線は4位に転落。鶴竜については9−6ではあるんだけど,ようやく今までの最高レベルに戻った感じで,成長が見られたわけではない,という苦言は呈しておく。それでも現状大関戦線は1位である。これが守れるかは本人と栃煌山次第。

前頭。時天空大敗は意外である。まあエレベーターではあるけど,ここまで負ける要素はなかった。阿覧には勝ってるんだよなぁ……うーむ。確かに腰の粘りはなかったが。逆に若の里はこんなもんだろうと。残念だが,もう彼に上位でとる力は残っていない。豊真将は7−8だが,妥当な力量だと言っておきたい。よほど大化けしない限り,彼は大関にはなれないだろう。だが,好感の持てる力士であるという点は誰しもが肯定してくれるであろう。栃ノ心の9−6についても可も不可も無い,とあえて言っておく。大関戦線は2位で,栃煌山同様本当にあと一歩だと思う。あとは琴奨菊と把瑠都にがっぷりで勝てるようになることだ。

で,その琴奨菊だが,力量は確かで当分上位でとっても許されるとは思うが,ぶっちゃけ伸びしろとしては限界が来ている。毎場所相撲がまったく一緒。旭天鵬は家賃が高すぎた,いつも通りのエレベーター。徳瀬川は期待に対して物足りない成績ではあるが,今回が大関横綱初挑戦だったので星が伸びなかったのは仕方がない面があると思う。と同時に今場所は組まないと徹底的に勝てない,組んだら強いのに組むまでが遠い,という弱点が露呈した。弱点を直して捲土重来を計りたい。本当に良い相撲をとるので,次次期の大関候補には名前が挙がるだろう。安美錦には琴奨菊と同様の評価をしておく。ただし,彼には「真っ向勝負もできるトリックスター」としての役割があるので,上位での存在価値は比較的高い。

以下は目立ったところだけ。高見盛は久々の「17時の男」だったが,年齢ゆえの衰えが見え,もうこの時間帯は家賃が高すぎた。全然相撲になっていない取組も何番か。白馬は妥当な勝ち星。もうちょっと自身の軽さを生かした攻撃ができるようになれば,再び上位で戦えるのだが。猛虎浪は右肩のケガの割にはがんばったのではないか。北太樹は膝のケガが治って相撲になってきた,と言ったところ。この人も地力が高く,来場所には期待したい。

木村山,元気な春日野部屋の潮流に乗って彼も元気であった。押し相撲の力士ではあるが,引き技のうまい印象が強い。8−7という勝ち星の割には好印象。北勝力は諸手突きはいいのだが足が出てないので前から落ちる。そして頚椎損傷なんてことに……回復を祈る。嘉風はもろ差しがうまく勝つ理由が分かるのだが,相変わらず11−4になるほどの印象が無い。あと調子の波が激しすぎる。来場所に期待が持てるのか?疑問である。同部屋の豪風についても同じ。12−3の割に書くことがあまりない。そんなに良い押し相撲してたかな。尾車部屋ファンの方すいません。

蒼国来,内蒙古自治区出身というからモンゴル人と見分けがつかないかと思っていたが,意外と中国人寄りの顔であった。彼の出自が若干気になる。相撲もあまりモンゴル人らしくなく見え,確かに投げは強烈だがそれほど器用に見えない。今場所は新入幕初白星で立派であった。真価は来場所に問われる。臥牙丸は良い圧力だった。幕内初の勝ち越し&二桁。大分番付が上がりそうだが,あの相撲が徳瀬川,豊ノ島あたりに通じるかは注目である。最後に垣添。あまりにも「待ったさん」すぎて毎日腹筋を攻撃してくれていたが,3−12とあまりの負けっぷりにちょっと同情してきた。ひょっとして後半調子を落としたのは,「待った多すぎ」と協会に怒られたせい,とかだろうか。実際,前半で10回近く待ったしてるのに,後半戦は1回か2回しか待ったしてない。

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2010年09月28日

VictoriaR ほぼ全国家レビュー(6):その他非文明国

これにて完結。

●目標:最後まで生存する

・朝鮮
強さ………☆
伸びしろ…☆
難易度……☆☆☆☆☆

日本はイベント文明化,中国は自力文明化が用意されているのに対し,にっちもさっちもいかないのが朝鮮。AI明治日本との相性が最悪で,史実と違い20世紀の日の目を見る事はあまりない。明治日本があまりにも強すぎるのだ。人口は1200万人とそこそこ多いが,RGOが全土に渡り1.0か1.5という,ある意味史実を忠実に再現しているが,いくらなんでもこれはパラドが朝鮮に恨みでもあるんじゃないかと思いたくなるような状態である。これより酷い国はアフリカくらいにしか存在しない。史実イベントはいくつかあるが,列強の宣戦布告→オワタor国威下がる,の選択肢しかない。どうしても成り上がった朝鮮が見たければプレイヤーチートに手を染めるしかない。


・チュニジア/トリポリ/アルジャザール/モロッコ
強さ………☆
伸びしろ…☆
難易度……☆☆☆☆☆

おそらく,Vicで最も難しい国々。猛烈な過疎とサハラ砂漠によるRGOの貧困,国民総文盲に近い識字率とまるで何も無い。しかも全員AIフランス,AIイタリアとは致命的に仲が悪い。プレイヤーチートの限りを尽くせば生存できないこともない,という愉快な環境。唯一の利点は「国外には人口の多い」アラビアを主要文化に持っていることだ。この中だとモロッコが一番マシか。襲われる順番が最後というのと,最も人口,RGOがマシという点で。アルジャザールは……何をすれば生き残れるのかなぁ。nevilleかなぁ。


・アフガニスタン/カラート/マクラーン/パンジャーブ
強さ………☆〜☆☆
伸びしろ…☆
難易度……☆☆☆☆☆

人口だけは過多でRGOも豊かだが立地が最悪な上に,イギリスAIとの相性もロシアAIとの相性も文明化ペルシアAIとの相性もあまり良くない。史実イベントで滅ぼされることが無いだけマシかもしれない。アフガンはプロヴィンス切り売りでイギリスから技術を買い,マクラーン・カラート・パンジャーブ・ラダクを滅ぼして国力増強&海に出,中華銀行を利用しつつ多少のプレイヤーチートも織り交ぜれば,多少自力文明化も見えてくる……が筆者はやったことはないしやる気もない。パンジャーブは開幕直後イギリスに襲われて終了のお知らせ。が,国力の限りを尽くして軍隊を増やし,塹壕を掘って立てこもれば,とりあえず生存は可能だったりする。が,やはり伸びしろがない。


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2010年09月27日

VictoriaR ほぼ全国家レビュー(5):有力非文明国とどうにもならない文明国

●目標:とりあえず文明化

・中国(清朝)
強さ………☆☆☆
伸びしろ…☆☆☆☆☆
難易度……☆☆☆☆☆

「自力文明化」というイベントはこの国のためにあるようなもので(個人的にあの条件は納得していないのだが),国威は周辺の元朝貢国をいくつか併合(&即独立),工業点は適当に機械部品を輸入し,軍事点は胸甲騎兵を量産すればなんとかなる。アヘン戦争に敗北すると国威が-100になるのでやや自力文明化が遠くなるが,最速を目指すわけでもなければ気にしないほうがよい。沿海州はアロー戦争に負けなければ取られないし,少なくともその頃には文明化できているだろう。「文明化後は自分との戦い」とはまさに至言で,低い識字率と「計画経済」or「国家資本主義」オンリーな政党と内政する気を失わせる設定。まあ,それでも列強1位が狙えてしまう中国の伸びしろはとんでもないが。一応,辛亥革命に引っ掛けてイベント文明化もあるが,一連の歴史イベントを全部見たければどうぞ,という程度。


・エジプト
強さ………☆☆
伸びしろ…☆☆+☆☆
難易度……☆☆☆☆☆

非文明国ながらGC時点では正規兵を持ち技術水準もそこそこ高い。人口は1千万人弱とかなり恵まれておりRGOも豊か。にもかかわらずエジプトAIが20世紀まで生存していないのはAIがバカだからではなく,トルコAI及びイギリスAIと仲が非常に悪いからである。逆にフランスAIとは仲が良いが,彼はうちの工業力では支えきれないほどの援軍を送ってくれるので逆に迷惑である。国威が-100を割らないうちはイギリスもトルコも襲ってこないが,第二次オリエント危機に負けるか,フランスのせいで財政破綻するとすぐに-100を割るので,常に危険水域。イベント文明化はなく,自力文明化は一応可能ではあるが,中国と比べればかなり難しい。文明化の頃には国民の半数が兵士になっているような……それでも文明化さえしてしまえば,あとはなんとでもなる。主要文化:アラビアが非常に大きい。


・ハイデラバード(ムガル帝国)
強さ………☆☆
伸びしろ…☆☆+☆☆
難易度……☆☆☆☆☆

インドの非文明国群では最も強力である。インド独立は果てしなき道である。ムガル帝国復活のためには他のインド諸侯を併合する必要があるが,そのためにはイギリスを敵に回すことになる。もちろんイギリスは果てしなく強い。救いはVicのイギリスは,史実ほどインド統治に気合が入っていないことだ。

しかし,ムガル帝国が成立してもなお,イギリスのインド植民地を全て回収できるわけではなく,かつドイツかフランスの衛星国化が強制される。自力で戦争に勝利し英領インドを回収する必要があるが,宗主国はまったく当てにならない。そもそも宗主国から独立しないと外交自由にならないし,独立戦争後にようやく奪還戦争が始まる,という茨の道。むしろ文明化後のほうが辛いかもしれないくらいのうまみの薄さ。ムガル成立はプレイヤーチート無しにはまず不可能であるが,唯一希望が持てそうなのはハイデラバードくらいである。Vicを極めし者への挑戦状である。(筆者は無理だった)

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2010年09月26日

VictoriaR ほぼ全国家レビュー(4):その他中堅文明国

●目標:下位列強に滑り込みたい

・メキシコ
強さ………☆☆☆
伸びしろ…☆☆☆
難易度……☆☆☆☆☆

一見して国土は広そうだが,その大半は砂漠であり人口も過疎で資本家はいない。しかも悲惨な歴史イベントの豊富な国。まず,開始当初からテキサスとの戦争になる。史実ではここで敗北しているが,Vicでは勝てるのでできる限り瀕死の重傷にしておきたい。お勧めはBBRの上がらない衛星国化。1846年,米墨戦争が勃発しアメリカが攻めてくるが,勝つのはVic最悪レベルの難易度と言えるだろう。なんならあきらめてさっさと敗北講和するのも正解である。その際,講和条約の内容によらずアメリカの中核州は全部向こうに売り渡される上に,渡した数によらずこちらが得る金額は一定であるため,敗北時にどの程度譲り渡すかはほぼ完全にプレイヤー次第である。渡した数だけ国威も下がるので,相手の戦勝点の低いうちになんとかしてしまいたい。ただし,講和内容でこちらが失った勝ち点よりも多く渡してしまった場合(要するに土下座しすぎた場合),失望した国民の急進性が上がり思わぬ反乱祭りを食らうので注意。実のところアメリカに譲り渡した領土はカリフォルニアを除けば砂漠地帯なので,大して痛くは無い。どうしてもアメリカに勝ちたいなら,確率はかなり低いが,イギリスに防衛同盟を打診するか,独立保証をもらうのを期待することだ。または,アメリカとイギリスはカナダ国境策定イベントが45年に起きるので,イギリスAIの気分によっては交渉が決裂しアメリカと戦争状態になっていることもある。これはメキシコにとって大いなるチャンスである。加えて,61年まで粘れば南北戦争が発生するため,途端に楽になる。イギリス・メキシコ・CSAの参加国連合でUSAを倒すのだ。

アメリカに砂漠を売り渡した後は,実は売却金額がけっこうな高額なのでそれを元手に福祉を整えて移民国家になりたい。ただしメキシコはRGOが貧弱極まりない&政党が最悪の組み合わせしかないので,がんばったところで大して移民は来ない。とは言っても自国人口も過疎っており資本家も絶無なので自力発展はもっと困難である。メキシコの受難はまだ続く。1861年,借金が帳消しになる代わりに英仏西と戦争になるか,資金と国威が超失墜するどちらかを選ばされる,という絶望的なイベントが待っている(ただし,米墨戦争続行中ならこのイベントはパスされる)。英仏ともに大してやる気の無い戦争なので,開き直って戦争するのも勇気である。実はアメリカAIは米墨戦争で切り替わり,メキシコに対して優しくなるので同盟を打診するとけっこう通る。アメリカさえ同盟国になれば勝ち目はある。単独でも,移民獲得に成功していれば白紙和平もできなくはない。

さらに80年頃,ディアスがクーデターを起こし国民の急進性がとても高くなる。負けると大統領独裁制に政体が変化しアメリカとの友好度ががた落ちになり,そうでなくとも反乱多発期間は移民が全く来なくなるためいい迷惑である。最後に20世紀に入ると,またもやマデロとサパタが農民を引き連れて大反乱を起こす。これも負けるとやはり大統領独裁制に政体が変化し(ry。これらを鎮圧するとようやく一連の歴史イベントは終了するが,その頃にはもう大概立ち直れないほど国土が傷みきっていて内政する気にもなれない。GC開始時点では列強下位程度には国力があったとは思えない,トルコ以上の疲弊っぷりに思わず涙が。それでも下位列強に入れるかどうかは,プレイヤーの腕次第である。



・スイス
強さ………☆☆
伸びしろ…☆☆☆
難易度……☆☆☆☆

狭い国土だが,ベルギーに次ぐRGOの豊かさと人口を持つ。国土全体で1ステートというのも扱いやすい。初期では工場もなく資本家も少ないが,国土の狭さも手伝って簡単に工業化できる。ただし,そのままでは列強下位に入れない程度でしかないのもベルギーと同様である。しかし大いなる欠点として,海に面していないために植民地も拡大できないし中華銀行も利用できない。しかも海に出るにはフランスかサルディーニャかドイツ諸邦と戦争する羽目になるという厳しい条件である,という点でベルギーとは大きく難易度が異なる。しかも,永世中立を再現していずれのAIともあまり仲が良くない(イギリスAIは多少マシなので,根気で同盟打診し続けてみるのも手)。その中ではサルディーニャが一番くみしやすいと思われるので,フランスとの同盟・独立保証が切れているのを見計らって襲ってしまうべきである。それでもサルディーニャはかなり強力である。イタリアが成立したならもうあきらめよう。

スイスプレー時に気をつけることとして,数少ない歴史イベントで,まず1848年に反乱が起きる。そして50年代にオーストリアとフランスがそれぞれ襲ってくるが,イギリスがそれを牽制して事なきを得る,という茶番に近いイベントがある。そこでたまにイギリスがひよったり仏墺が強気だったりして両国と全面戦争になることがある。山がちで守りやすいスイスの地形を使えばまず負けることはないと思うが,どうせ茶番だから,と陸軍をさぼっているとそこでゲームオーバーに近いダメージを食らうことにもなる。どうせサルディーニャをいつか攻めることを考えても軍備は必要なので,常に国境線埋めるくらいは用意しておきたい。



・教皇領
強さ………☆☆
伸びしろ…☆+☆☆
難易度……☆☆☆☆

サルデ,両シチリアと並び証されるが,実のところ多少プロヴィンスが多いだけで,その二つよりはトスカーナやパルマに近いのが教皇領の国力である。教皇領のみで考えれば,その伸びしろは☆1つとしか評価しようがない。RGOは貧弱で工場もなく,イタリア統一まで常に財政難に苦しむことになるだろう。基本的にはイタリア統一以外に活路がないのだが,イベントで教皇領がイタリア統一の旗手になることはまずない(フランスが反動主義政権だと教皇領主導になるが,さすがにそこまでフランスAIもひどくない)。

また,サルデ・両シチリアと同じ戦略をとるにはデフォルトで帆船を持っていないという強烈なハンデがある。なので,GC開始と同時に帆船を輸入設定に変更し,輸入できたら帆船輸送船を2つか3つ整え,そこからようやくチュニジアを倒し……とワンステップ追加で必要になる。ただし,帆船が輸入できるかどうかは他列強の発展度に完全に依存しているため(初期で帆船工場を持っている国は極めて少なく,GC時点ではイギリスとフランスとアメリカのみ),かなりの強運が試される。また,正直な話初期の教皇領にはチュニジアを倒すだけの国力も無いので,意外と苦戦するのが悲しいところである。これは内政の腕との戦いにもなるだろう。さらに言えば,教皇領の財政では植民地兵でさえ財政に大きな負担となる。正規兵,植民地兵を合わせて5個師団,これを50年突入までに用意できれば割と勝ったも同然といっていい。

イタリア統一後の指針に関してはサルディーニャや両シチリアの場合と同じだが,どうせ元教皇領なのだから,カトリック世界に覇を唱えてもいいし,十字軍を提唱し旧五大本山(ローマ,コンスタンティノープル,アンティオキア,エルサレム,アレクサンドリア)を奪回するのもいい。どっちもイタリアの国力だと割と厳しい難易度になるが,ロマンは追いやすい国である。

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2010年09月25日

VictoriaR ほぼ全国家レビュー(3):移民国家

●目標:とにかく移民を集めること

・ブラジル/アルゼンチン/チリ/ウルグアイ/パラグアイ/ペルー/ベネズエラ/コロンビア/エクアドル

実は19世紀の南米は史実においても豊かであった。イギリスの保護下においてヨーロッパ向けの食糧生産地としての地位を確立し,USAに次いで移民を吸収して成長した。しかしいかんせん統治能力に欠けた田舎者しかおらず,愚かな富裕層によって無益な諸国間戦争を繰り返し,治安も安定せず,工業化も立ち遅れ,大恐慌までには世界でも貧国の部類に落ちぶれていった。21世紀の現代になってようやく,ブラジルだけが工業化に成功しつつある。まあそんな史実を踏襲する必要は全く無いので,洗練された都会人であるプレイヤーが適切に統治して,移民をかき集めればいい。具体的にはUSAとの移民の取り合いになるが,ある程度以上は運でしかない。それでもある程度集まれば十分工業化は可能であり,AIでさえ南米諸国が下位列強に食い込むのは決して珍しくない。ある程度移民が集まったら南米統一戦争をしてもいい。BBRが跳ね上がる大味なプレーになるがこれはこれでおもしろい。

さてしかし,移民には様々な条件がある。一番大事なのは,移民に適した政党が存在しているか否か,だ。条件としては

政体=民主制>立憲君主制>大統領(プロレタリア)独裁制>君主制
国家観=自由>平等>秩序(南米は大概「自由」)
政党=自由主義>社会主義>保守主義>その他(急進派政党はダメ,政体が大統領制になってしまうため)
宗教政策=信教の自由>倫理主義>一元的宗教>無神論
市民権=完全市民権>制限市民権>居住地の固定>奴隷制


まず,南米はブラジルが君主制であるのを除けば「大統領独裁制」スタートなので,少なくとも自由主義革命までに民主制に移行しておかなければならない。ただし序盤は資金不足な上に,多様性が低いままで選挙を実施すると敗北した側の急進性が鬼のように上がるという逆効果があるので,タイミングは慎重に。必殺技はGC開始直後に上流階級の直接税をMAXまで上げ,絶滅させてから資本家POPを一つだけ作って選挙制を「地主制」にして民主化。すると永久に資本家POPの支持する自由主義政党が勝ち続けるので,全く問題はない。富裕層=中産階級に選挙権をくれてやるのは,将校と聖職者の数を事務員が上回ってからでいいし,普通選挙の実施は同じく工員が農民+鉱山労働者の数を上回ってからで良い。とどめに文化技術「国家と政府」で人民主義を選んでおけば完璧だろう。

国家観は確か全国家「自由」なので気にしないで良い。違ったなら,あえて革命を勃発させれば変わる可能性がある。よって,あとは各国の政党がそれぞれ最も好条件な政策を行っているかどうか,という点が移民国家としての有利不利を決定付ける。それぞれ,2番目が1つあるくらいまでは許されるが,2つ以上あったり,3番目がある政党はしんどい。そこで,各国の自由主義or社会主義政党の,それぞれの政策を一覧にまとめて見た。一度に表示すると非常に縦長になって見づらいので3ヶ国ずつに区切って表示する。なお,結論を先に言ってしまうと,

ウルグアイ>エクアドル>>パラグアイ=ヴェネズエラ>チリ>コロンビア=ブラジル=アルゼンチン>ペルー


今ここに始まるウルグアイ最強伝説。ちなみに,参考記録としてボリビアはパラグアイと同格。北米諸国も加えると,USAとカナダがウルグアイと同格で最強,逆にハイチとUCAはペルーと同格で最低。メキシコさんは……お前新大陸の国としてやる気あるの?ってレベル。


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2010年09月24日

VictoriaR ほぼ全国家レビュー(2):準列強

●目標:中位列強

・ベルギー
強さ………☆☆  
伸びしろ…☆☆☆ 
難易度……☆

ザ・初心者御用達。史実においても,イギリスについで世界で二番目に産業革命を起こした国で,しかも世界初の立憲君主制の成文法憲法を制定した国。大日本帝国憲法の父はご存知プロイセン憲法だが,プロイセン憲法の父はベルギー憲法であり,偉大なる祖父とも,真のオリジナルとも言える。開始と同時にオランダと戦争中だが,適当に放置しておけばイギリスとフランスが介入してきて自動勝利となる。それが済んだらもうイベントによる戦争は無いので,ゆっくり内政すればいい。単位面積あたりなら世界最高のRGO群と,これまた世界最高レベルの識字率,そして大量の工場を所有している。しかもイギリスAIと最高に仲が良い。イギリスと同盟を組み,ドイツ国境にさえ注意していれば国防上の問題も解決する。生存だけならこれほど簡単な国はないし,内政のコツも学べるだろう。外交はなんら勉強にならないが。

ただし,いかんせん国土が狭く人口が少ないので(人口密度は高いのだが),発展の余地があまり無い。とるべき道は二つ。一つはアフリカやアジアの大地に夢を見る対外拡張路線である。もう一つはせっかくフランス文化を持っているのだから,BBR御免の対仏大戦争である。フランスAIはヘボなので,普仏戦争に介入すれば大きく領土を西に広げることが出来る。イギリスAIと仲が良いからできる戦法である。

もう一つ注意として,19世紀末に突然社会主義者が増加するイベントがあり,その時点で内政をミスっていると彼らが共産化し,思わぬところで地獄に落ちることになる。共産党が政権を握って革命が勃発すると周辺諸国との関係が全て-200になるので注意したい。社会主義政党が与党になるところで踏みとどまればいいが,それでも社会主義政党は使いづらいので,できればそれもなんとかしたい。また19世紀末といえば,Victoriaでは最強の司令官の一人であるブリアルモントの姿が拝見できるので,ぜひ彼を活躍させてやってほしい。とりあえず,列強6位程度で終わらせることができたなら,次はスウェーデンかプロイセンに挑戦である。


・オランダ
強さ………☆☆☆  
伸びしろ…☆☆☆  
難易度……☆☆

こちらはザ・中級編。RGOだけ見ると完全な農業国で,蘭領東インドも豊かではあるけど植民地である以上発展性はない(なお,総人口の六割をジャワ人)。その分,「工業化による経済発展」はベルギーよりも実感がわくかもしれない。インドネシアの収入で本国を工業化,これが基本路線となる。古参の資本主義国なだけはあって資本家の数と識字率は悪くないので,一度工業化にさえ成功してしまえば財政面は相当困らない。終盤にはイギリスとベルギーの同盟が外れていることが多いので,許すまじベルギーを目標にしてもいいし,東南アジア制覇を目指してアチェやシャム,アンナンを滅ぼす旅に出てもいい。ただし,AIベルギーは案外と強いので油断しないこと。中核州ではないので,BBRにも注意。


・スウェーデン(スカンディナヴィア)
強さ………☆☆☆  
伸びしろ…☆☆+☆  
難易度……☆+☆☆☆

開発元,パラドックスの国。Vic開始年代の直前まではフィンランドとドイツ北部を領有する上位列強国であったが,ナポレオン戦争での立ち回りにミスり,それぞれロシアとプロイセンにとられて列強から蹴落とされる。それでも,準列強としての国力は残っている。Vicとしても,単に内政するだけならこれほど簡単な国も無い。ベルギーと並んで世界最高峰のRGOと識字率を持つ。開始時点では工場が少ないが,有り余る資金で適当に資本家を育てれば工業化は早い。これほど金に困らない国も珍しい。巻き込まれ系イベントも無い。初期中核州にフィンランドが入っているが,(ロシアの中核州にもなっている)カレリア地峡をあきらめれば,技術か切り取った非文明国の領土と交換で回収できる。

しかしスウェーデンには,実は史実でも良い所まで行っていながらも最後の最後で破談になった,スカンディナヴィア連邦へと発展するイベントがある。スカンディナヴィアへの道はイベント豊富でおもしろいが,その選択肢を選んだ瞬間難易度は跳ね上がる。何より第二次シュレスヴィヒ・ホルシュタイン戦争に介入する必要があり,そこでは強敵プロイセンと戦わなければならない。しかも実入りが大きいかといわれると,1000程度の国威ボーナスは大きいが,併合できるのがデンマークとホルシュタインだけなので,難易度に比べると若干物足りない。まあ,ぶっちゃけロマンだよね。

ナヴィアになるにせよならないにせよ,工業化だけではベルギーやオランダと同様人口不足に悩まされることになると思われるので,アフリカの原野を開拓するか,文化系技術を優先して開発していくのが良いかと思われる。腕に自信があるなら,ドイツ統一を阻止した上でドイツ諸邦を食いまくるという某AARのような手法もとれなくはないが,大味なプレーになるのであまりおもしろくはない。

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2010年09月21日

VictoriaR ほぼ全国家レビュー(1):列強の面々

2も出たことだし,大体全部の国を一周はプレイしたような気がしたので,自分の中での移行のふんぎりとするためにもちょっと書いてみようと思う。

強さ………列強入り,列強維持のしやすさ。
伸びしろ…スタート時点の強さからどれだけ伸びやすいか。
難易度……初心者御用達からそもそも存亡が難しい国まで。その国の目標に対する体感難易度。


●目標:列強首位

・イギリス
強さ………☆☆☆☆☆  
伸びしろ…☆☆☆☆  
難易度……☆☆☆

ゲームのタイトルにもなっている主人公国家。ただし,領土が世界中に散らばっており、管理が非常にめんどくさい。ゆえに、慣れたプレイヤーじゃないと思ったほど伸びない。また、巻き込まれ系イベントが多く、プレイヤーの意に沿わない戦争を大量にさせられるので自由度は低い。無印ではAIが工業点でアメリカ,ドイツに抜かれる史実通りの存在であったが,Rになってからは終始最強をほこる存在となった。その割りにコンバートすると途端に弱くなるのはどういうことなのだろうか。


・アメリカ
強さ………☆☆☆☆☆
伸びしろ…☆☆☆☆☆
難易度……☆☆

序盤は小国のように思われがちだが,実はGCスタート時点ですでに工業力4〜5位の十分な強国である。伸びしろは文句なく☆5つだが,いかんせん移民頼りではあるため,「工業点5桁目標」などのプレイスタイルではかなり運に左右されることになる。難易度も,米墨戦争・南北戦争以外に大戦争もなく詰みポイントもないため難易度は低いが,では初心者向けかと言われると移民国家の経営もそれなりに手腕がとわれるため,そこまで簡単でもない。その意味では,米墨戦争と南北戦争の苦戦具合が初心者と中級者の見極めとはなるだろう。いっぱしのプレイヤーならば,どちらも瞬殺(半年以内)に終わらせることができるはずである。


・プロイセン(ドイツ)
強さ………☆☆☆☆☆
伸びしろ…☆☆☆☆☆
難易度……☆☆

国内のRGOと人口に恵まれた国。ドイツ統一戦争は48年に始まり71年まで続くから大変長いが、一つ一つの戦争は相手が弱い国ばかりなので楽勝である。おそらく一番厳しい戦いになるのが普墺戦争だが、それもアメリカの南北戦争と並び初心者卒業試験として最適なレベルの戦争であろう。ドイツ統一にさえ成功すれば、あとはビスマルクの教え通り孤立主義を保って内政をしているだけで自然と工業力と国威が首位を独走する。暇ならフランスにでも戦争を吹っかけて衛星国化するといい。フランスはBBRが20を超えているか、エルザス=ロートリンゲンをドイツが所有している場合、戦力差にかかわらず5年に一回宣戦布告してくるやっかいな存在なので、早々に無力化してしまうべき。それだけの国力は、統一ドイツにはある。内政がうまく行っていれば、アメリカ最大の国力源であるドイツ人移民を減少させ、間接的にアメリカの国力を削ぐことができる。ただし,史実通り第一次世界大戦を起こしてしまい,ロシア・イギリス・フランス3ヶ国を同時に相手にまわすとさすがに厳しくなるので注意したい。それを打ち破ってこその上級者,という話もあるが。


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2010年09月18日

第169回『ハプスブルクの文化革命』山之内克子著,講談社選書メチエ

オーストリア帝国,そしてその首都ウィーンというと,保守反動の権化のようなイメージがある。または,こちらは現在まで続くウィーンのイメージとして「芸術の都」,特に音楽と演劇の都というイメージが強いことだろう。少し歴史に詳しい人なら,カトリックの都というイメージを持つ人もいるかもしれない。はたしてそのイメージはどのようにして形成されたのか。また,そのイメージには偏見があるのではないだろうか。


18世紀後半,東欧には世界史上特異な政治形態が誕生した。啓蒙専制君主制である。すなわち,啓蒙主義に則り,君主自らが国家社会の合理化・自由化を図るというものだ。その合理化や自由化は自国の富国強兵に役立つかたわら,一方で絶対的な君主制そのものを揺るがしかねない危険性を秘めている,矛盾した統治体制であった。オーストリアの啓蒙専制君主といえば,ヨーゼフ2世と,広義ではその母親,マリア・テレジアが含まれるだろう。

この母子2代の君主は,啓蒙専制君主として,ウィーンという都市とその都市民に対して様々な改革を推進した。にもかかわらず,ウィーンという都市そのものが保守的で享楽的であるというイメージは,当時からすでに染み付いており,覆ることはなかったのである。それは彼ら2代の改革がうまく行かなかったからではなく,彼らの改革がウィーンの都市民の実情にあった形でなされ,そのオーストリア啓蒙専制特有の改革こそが,まさに現在の都市ウィーンを形成したのである。

具体的に言えば,マリア・テレジアもヨーゼフ2世も「人民の統治には娯楽が必要である」ということを強く認識していた。一方で粗野で下卑で暴力的な娯楽は追放し,その代わりに美食や散歩,演劇や行列といった視覚的な娯楽=「スペクタクル」が,啓蒙に則った人間の娯楽としてふさわしい行動だと考えた。ゆえに彼らは積極的に世俗の娯楽に介入し,都市民に新たな娯楽を植えつけた。結果としてこの「上からの新たな娯楽の提供」は,余暇と労働時間の分化を促し,カトリック教会の世俗化をも促したのである。

つまり,この君主母子は,「享楽の都」から娯楽を奪い去ろうとしたのではなく,娯楽そのものを啓蒙して,「芸術の都」へと進化させたのである。このラディカルではない変質が,他地域の啓蒙主義者にとって改革は失敗したかのように見え,彼らの喧伝がやや偏ったウィーンのイメージを歴史学に植えつけていたのである。特にプロテスタントの文化人にとっては,娯楽そのものが啓蒙主義的理性・禁欲とは相容れなかったがゆえに,このような喧伝・悪評を撒き散らしたのであった。しかし,ウィーンが実現した穏健な娯楽と市民の行動規範は,確かにドイツやフランスの場合とは経路が違ったが,しかし間違いなく近代的な市民像の萌芽であった。

本書はこの君主母子による「ウィーンの社会・文化改革」の進展とその受容,また啓蒙の先進地域であった他地域(特にドイツ)からの旅行者にはこの改革がどのような目で映ったのかを分析し,改革の実情とイメージ形成の過程を明晰に解き明かしている。その研究手法は,当時出版されていた旅行記や日記などの膨大な史料から読み解いていくという社会文化史研究の王道を行っており,その点でも非常に好感が持てる。2005年初版なので,ちょっと古めの本である。ただし,最近読んだ本では最もおもしろい本であった。ここ半年ほどで読んだ数十冊の中では最も興味深く読めた。


ついでに,自分用のメモも兼ねて,そもそもなぜウィーンが享楽の都となっていたのかということについて本書の内容を踏まえて記しておく。ある種地政学的な説明になるのだが,18世紀のハプスブルク家は東欧に広い領土を持ち,国土全体から見るとウィーンというのはひどく西端に位置していた。しかし,オーストリア帝国を西欧の国家として考える場合,やはり東欧に位置する国土の大半は後背地に過ぎず,その富は(収奪というとニュアンスが強すぎるが)国土の西側へ集められた。特にハンガリーとボヘミアという沃土は,ウィーンの都市民に食の娯楽を植えつけるのに十分であった。

その上さらに,ハプスブルク家というのは旧家であり,長い歴史の中で自らの宮廷を肥大化させてきた。実のところウィーンの18世紀初頭当時の人口は約13万人程度で,同時期のパリやロンドンが50万人都市,アムステルダム・ナポリ・ヴェネツィアで20万人都市であったことを考えるとまだ都市としては小さく,にもかかわらずその1/4以上は宮廷の直接の関係者であった。上記の他の大都市がすでに商工業者による都市人口増加が始まっていたいたこととは対照的に,ウィーンはほぼ完全に政治的都市でしかなかったことはうかがえる。ウィーンはヨーゼフ2世の頃にようやく20万人に到達するが,それでもこの割合は変化がなかったと思われる。であるからこそ,絶対的な宮廷の君主が,啓蒙専制を敷く事ができた。しかし,ヨーゼフ2世は宮廷の合理化に際し宮廷儀礼を大量に廃止し,「スペクタクルの民営化」を推進したため,宮廷はスリムになったが,これもまたウィーンの経済的近代化の基盤となったのではないか。なお,ウィーンが急激に都市化したのは,普墺戦争後のことである。


ハプスブルクの文化革命 (講談社選書メチエ)ハプスブルクの文化革命 (講談社選書メチエ)
著者:山之内 克子
講談社(2005-09-10)
おすすめ度:5.0
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
  
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2010年09月17日

非ニコマス定期消化 2010.5月中旬〜6月上旬



『TAXi2』は名作。ものすごい再現度。場面はけっこう飛んでいる。2時間を10分だから仕方ないが,名場面集ともいえる。素材はMMDでも3DCGでも,らぶデスでもなく,なんとグランセプトオート。東方はどの素材でも種類がそろってるからすごい。戦車がエイブラムスなのはご愛嬌。




これだけガチで男女どっちかわからなかった動画も珍しい。テトがかわいすぎるが,伸びた経緯がとてもニコニコらしい。工作被害もまたニコニコ。ようやく対策されるらしいけどね。




やまもと・のりおの新シリーズ。タイトルの通りコントローラーを二人で持ち,分担を分けてプレイ。そうとは思えない息のあったプレーと,夫婦漫才のごとき掛け合いに注目。のりおに注目がいきがちだが,楽しそうなやまもとにも注目していきたい。




これができる人はラジオ体操する必要がないかと思われます。




もう一つラジオ体操ネタから。古い動画ですが。タグもコメントも熱い。




大変珍しい大相撲×総統閣下MAD。相撲ファンの,しかも実況民じゃなければわからないネタだらけである。とある力士とは,万年小結の地位を守り続け,関脇に上がったはいいが一向に大関に上がる気配のない,某若手力士のことです。この説明でわかった人は見るといいよ。




キワミから流れ着いた。ティンベーとローチンの実在と,思ったよりもるろ剣のが似ていたことに驚いた。型としては生き残ってるんだなぁ。




制作時点ではEP4だけど,今でも通じるうみねこMAD。「大変なもの」自体も懐かしい。




解せぬの人。2回に1回くらいは載せてる気がする。紫様マジ迷惑。レミリアがオチ担当ではない変化球。そして,これは確かに解せぬ……展開。




Jさん華々しく久々の投稿。やはりこの人の歌は盛り上がる。

  
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2010年09月16日

芸術はコードだ

・「能は死ぬほど退屈だ」(猫を償うに猫をもってせよ)
→ 小谷野敦のブログ。芸術に関する話。
→ 要するに読解するコードのわからないものにとってハイカルチャーほどつまらない娯楽も無いという話。これは能に限った話ではないが,能は極端にコードが難解なような気はする。
→ 鑑賞する側にもコードが伝わらない文化は滅びる。その意味で,この伝統芸能は非常に危うい。


・役に立たないムダ知識、奈良時代の陰陽師の組織と労働環境(Kousyoublog)
→ 陰陽師も国家公務員だった時代の話。そう聞くとなんというか身もふたもない。
→ 古くは錬金術師が化学者だったのと同じように,当時の陰陽術師は天文学者や暦,時計を扱う一種の専門職であったのだから,国家公務員でもおかしくはない。
→ しかし,どちらかといえば陰陽道というより,律令国家の役人の様子がおもしろかった。思ってた以上に現代企業と変わらない。
→ 勤務日数から考えればブラック企業乙,なのだが,なんとなく楽しそうなイメージがある。偏見だろうか。


・あの「Googleが選ぶ20世紀の名著100選」を再審してみたら(読書猿Classic: between / beyond readers)
→ 俺でも知ってる名著がたくさん。
→ グーグル様調べの全インターネットが対象のものに文句を言ってもしょうがないのだが,文系と言いつつ哲学・社会学・経済学ばっかりである。
→ ひょっとして歴史系や文学系はインターネットとの親和性がいまだもって低いことの証明? それとも,研究者の数が世界的な規模で,前者のような分野と比べて少ない?謎である。
→ 書いてて思ったのだが,法学部系も少ない。
  
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2010年09月15日

地政学(4):朝鮮半島はなぜ長らく大陸型の国家であったか?

朝鮮半島は奇妙なのである。半島国家は大きな歴史的事情がない限り,多くの場合海洋国家的性格を持つ。ところが,朝鮮の諸王朝はそのほとんどが大陸国家的な性格を有した。朝鮮人はあまり外海へ漕ぎ出そうとはしなかった。その理由や例外の発生は,朝鮮半島の自然地理的条件と,歴史的条件,その両方に求められるように思われる。結論からずばっと書いてしまってもよいのだが,あえて朝鮮半島の歴史を概観することで検証していきたい。
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2010年09月13日

地政学(3):オランダはなぜ覇権を握れたか?

オランダが海上覇権を握った理由というのも,地政学的におもしろい。そもそも,オランダは半島でも島国でもないのに,なぜ海洋国家たりえたのか。


ネーデルラントがいかにしてハプスブルク家の領土となったかという経緯は以前書いたことがある。付け加えて言うなら,当時のフランドルは先進的工業地帯であり,イギリスはフランドルへの羊毛輸出が国家的産業であったため,ここを敵対的国家=フランスに押さえられるわけにはいかなかった,という事情が百年戦争勃発の原因の一つである。

上述の記事の繰り返しになるが,大航海時代の到来により大西洋岸の経済が活性化し,逆に地中海経済圏が衰退を始める。これだけならより大西洋に近いフランスやスペインが欧州経済の中心になってもおかしくないわけだが,それが東に引っ張られてネーデルラントとなったのは,もう一つ事情がある。すなわち,ドイツ・東欧・ロシアの農業的発展であり(再版農奴制),小麦や木材を西欧に輸出して外貨を稼ぐ体制が発展しつつあった。ゆえに,東西物流の結節点は大西洋岸でありつつもバルト海にも近い,ネーデルラントとなった。そして新大陸から収奪した富がスペイン経由で流れ込んだ。

しかし,宗教改革が起き,オランダで新教徒が増加すると宗教的対立が起き,イギリス支援の下で北部ネーデルラントは独立を果たした。すなわち,イギリスが存在しなければそもそもオランダの独立はなかったであろうし,大航海時代と再版農奴制のどちらかが欠けていてもオランダの経済覇権はなかったと言える。


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2010年09月12日

地政学(2):スペインはどの程度海洋国家であったのか?

さて,前回あえて据え置いた国家群がある。スペイン・ポルトガル・オランダ・イギリス,そして朝鮮の王朝と日本である。これらの国家群については,それぞれ別個に語りたかった事情があったからだ。まずは,前4つの国家群について。こちらは「なぜ覇権が推移したか」というテーマである。

この中ではスペインだけが異色である。なぜなら,スペインだけが海洋国家ではないからだ。スペインを考える際,2つ重要なことを念頭に置かなければならない。まず,イスラームの諸王朝を滅ぼす運動(レコンキスタ)によりできた国であるということ。次に,半島全体が山がちで国家の統一が難しい環境であるということ。この2点は,スペインが半島に存在するにもかかわらず,強く大陸国家的性格を持った王国となったことを裏付けている。征服にも統一にも,どうしても強い陸軍と強い王権が必要になる。

ただし,カスティリャとの連合前の,アラゴン王国に関しては海洋国家であったと思う。スペインがサルデーニャ島,南イタリア,シチリアを領有していたのはアラゴンの遺産であり,当時西地中海でジェノヴァに唯一対抗できる海軍力を保持していた。しかし,カスティリャとの連合により歴史に埋没してしまった。本土のみの国力で考えた場合,連合の時点で圧倒的にカスティリャのほうが大きかったためである。連合の首都がアラゴンのサラゴサではなく,カスティリャのマドリードに置かれたということも考慮したい。これもまた,国家の性格が政治的重点により変貌していく一つの事例であろう。

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2010年09月11日

地政学(1):海洋国家と大陸国家はどの程度入れ替わるのか?

この間ふと気になったことがあったので。

まずは定義の確認から入る。地政学とは言うまでもなく地理的条件から考える(国際)政治学であり,その大まかな根幹は大陸国家と海洋国家という分類にあるということに異論のある人はほとんどいないだろう。海洋国家とはシーパワーを持つ,もしくは持つ素養のある国家であり,シーパワーとは海軍力や海運能力を始めとする,海洋を支配する力を指す。国家や民族の性質も含むのが一般的である。島国や半島に位置する国は海洋国家化しやすく,重商主義的な発想になりがちである。大陸国家とはその逆で,ランドパワー(陸軍力等広大な土地を支配する能力)を持ち,重農主義的な発想が強い,とされる。

地政学の説明がなされる上で,定義が確認されると次は大体歴史上に登場する主要な海洋国家と大陸国家の例示である。しかし,最も重要な点はここである。大陸国家か海洋国家かということは,純粋な自然地理だけで決定されるものではなく,隣国や自国の政治経済事情も立派な地理的条件である,ということは比較的忘却されがちな要素であり,実のところ「建国以来の伝統的な海洋国家」というのは非常に少ないか,もしくは存在しない(しいて言ってヴェネツィア,オランダ,イギリスくらいなものであろう)。つまり,海洋国家と目される国家でも,大陸国家的な体制をとることはあるし,逆に大陸国家でも一時的に海洋国家的な性格を持つことも多い。しかし,長期的には長持ちせず,本来の性質に回帰していくのが大体の歴史的な流れである。そこで,まずはそれぞれの代表格として挙げられることの多い国家群を,実際のところどうであったのかを検証していく。

(1)では,その具体例として挙げられるもののうち,しばしば誤解されていたり,判断が困難であろうものを取り上げる。また,ポータル的にシリーズへのリンクをここに張っておく。
(2):スペインはどの程度海洋国家であったのか?
(3):オランダはなぜ覇権を握れたか?
(4):朝鮮半島はなぜ長らく大陸型の国家であったか?

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2010年09月07日

『東方コミュニティ白書』分析(2) pp.54〜108

続き。

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2010年09月06日

『東方コミュニティ白書』分析(1) pp.1〜53

非常に楽しんで読ませていただいたのだが,じっくり読んでいたためこれだけ時間がかかってしまった。

おそらくこれは筆者の狙いだと思うのだが,本書はデータ類が中心で,筆者自身の分析や感想はあまり書かれていない。読みながら読者自身が考えて欲しいということなのだろう。ならばそれに乗るべきではないだろうか,という意味もあるが,本音を言えば私としては久樹さん自身の文章も読みたかったと思う。

というわけで,拙いながら以下が私による本文の注釈である。ページごとに分けて書いていくため,手元に本書がなければさっぱりわからないと思うが,ご容赦願いたい。というかおもしろい本なので皆買いましょう。

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Posted by dg_law at 17:43Comments(4)TrackBack(0)