2012年11月29日

非ニコマス定期消化(咲特集)

予告通り『咲-Saki-』特集。



どっちも百合で二つ名が乱舞する点は一緒。



珍しいアイマス曲によるMAD。あんまりな違和感のなさに。



この発想がどこにあったというのか。これぞ名作MADと言わざるをえない。あー三尋木プロかわいいなぁ。



まあ病んでるから強いんですけどね。



能力的にはこういうMADもあう。



末原先輩は出てくるだけで笑えるから卑怯。



実際3分でわかるからすごい。




上がショートで下がフル。下を何度見ても思わずうるっと来る。


次回は第9回MMD杯特集。  

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2012年11月27日

強い白鵬が見られてよかった

全体としては,ぼちぼちおもしろい場所であった。優勝争いがそこそこ盛り上がり,内容の無い相撲も無いわけではなかったものの目立つというレベルではなかった。立ち合いも,こう言ってはなんだが意外と綺麗であった。下位でも見応えのある相撲をとってくれた力士が何人かいたことが,その原動力ではなかったかと思う。上位陣が内容のある相撲をとるのは義務的であり,上位陣がダメな場所は大体全体としてダメだからである。千代大龍も舛ノ山も旭日松も,実力差で負け越した力士がいないではないが,よく取っていた。誰かのお陰で熱気があったというよりも全体としてまずまず良かったのではないかと思う。

その中で終盤5連敗した日馬富士については,確かに物足りない数字ではあるが,負けたのが隠岐の海を除けば全員大関以上である点や,なれない新横綱であった点で情状酌量の余地は大いにあるのではないかと思う。そもそも今場所こうなることは低からぬ可能性で考えられたわけで,一場所で判断すること自体が間違っている。私自身,前回の記事で「相撲ぶり自体はなんら変わっておらず,今後成績が安定するともあまり思えない。」と書いている通りである。取りこぼしではなく,大関陣に負けての9−6であるから,そう悲観することもあるまい,素直に来場所に期待しよう。一つだけ指摘しておくと,立ち居振る舞いが先場所までよりもやや落ち着いていたのは好印象であった。このまま行けば「地位が人を作る」ということになるが,この点もまた来場所以降に注目である。ところで,横審の某人は「早くも引退」とか発言したそうだが,冗談でもつまらない上に自分らが昇進を認めたことを忘れているようなので,ご自分が辞められてはいかがだろうか。

今場所は誤審はなかったものの,九日目に勝負がついていないのに審判が取組を止めてしまったという珍事が起きた(細かな流れはこちらへ)。これもまあ一種の誤審と言えなくはないのだが,取り返しの付かない誤審を防ぐために,過度に注意深くなった結果としてのミスである分,先場所のような誤審よりも段違いにマシである。行司差し違えの見過ごしになるくらいなら,この勘違いのほうが力士にとって被害は少ない。萎縮すること無く,どんどん止めてほしいと思う。再発防止として,「おかしいと思ったら行司が軍配を差してから物言いをつけて指摘する」というのも良い方針だと思う。


来年への展望は別記事に譲るとして,個別評に移る。まず優勝した白鵬。前半はそうさして褒めるところが無かったが,後半は往年の相撲が戻ってきており,久しぶりに「完全無欠に強い白鵬」の姿を見たような気がする。この点,多くの人が同じ感想になったのではないだろうか。足腰が強く,投げに切れがあった。どうせなら全勝優勝して欲しかったとは思うが,あの日の琴欧洲はなぜだか異様に強かったので仕方あるまい。日馬富士のほうは,上記のようにもともとの成績が不安定であり,さして今更指摘するようなところはない。立ち合いが低すぎる,下がるとこらえられない,体格がやや小さくて軽い,と弱点は明白である。強みを生かした相撲を見たい。

大関陣。琴欧洲は白鵬を破った日の一番以外はまるで見所がない。カド番脱出してからの相撲は,無気力とまではいかないが,見るからに気が抜けているのでむしろ印象は悪かった。稀勢の里と鶴竜はよくも悪くもあんなもんでしょう。琴奨菊はこんなに苦戦するとは思わなかった。地元補正もあって,優勝争いに絡まないまでもカド番脱出は早いと思っていたのだが。最近,うまいことがぶれていないような気がする。日馬富士の横綱も短命だとは思うが,琴奨菊の大関も短命かもしれぬ。で,陥落してしまった把瑠都は,来場所10勝して戻ってくるのではないか,と期待を込めて予想しておく。初場所の優勝はまだ記憶に残っており,ケガのせいとはいえ一年で10勝できないほど衰えるわけはない。返す返すも先場所の誤審→休場が惜しい。


三役。豪栄道の11勝は立派である。負けた4人も横綱二人を含み納得の行く面々。もともと体も強く相撲勘もあり,有望と見られていたのが立ち合いの弱さと腋の甘さをなかなか克服できず伸び悩んでいた。相変わらず弱点は直りきっていないものの,とっさの技のキレには磨きがかかっており,これを維持できれば関脇には完全に定着できそうだ。ただし,把瑠都復帰で5大関になるなら,琴奨菊がよほど早く陥落しない限り,大関取りは苦しい。妙義龍は負け越してはいるが,6−9と大負けしたわけではなく,日馬富士・琴奨菊・鶴竜と大物食いには成功している。負けた相撲も内容はあるので,来場所,というよりも来年に期待の持てる力士である。小結二人にはなんの言葉もかけようがない。

前頭上位。栃煌山は10−5で内容も良かったが,強いときの栃煌山はいつもこうである。これが数場所続かないのが問題なだけで。魁聖負け越しだが7−8,彼も妙義龍と同じで光明の見える負け越しではあった。もう完全に上位には定着したと言ってよい。横綱・大関陣には全敗しているが,取りこぼしがなかったのが強みである。押しても組んでもとれるので,対戦相手にあわせて使い分けて欲しい。碧山休場はとてももったいない,ケガせずとれれば彼も勝ち越せていたであろうに。

舛ノ山は「死力を尽くす」というのが比喩でない取組内容が観戦者の心を打った。星は5−10と大敗に近いが,心肺機能は仕方がないにしても左腕のケガは治せる。今度の上位挑戦は元気な姿で見たい。最後に松鳳山である。敢闘賞は妥当と言える働きをした。先場所は気力みなぎるものの,気力が先行する突き押し相撲一本でこの先もつだろうか,と考えていたものだが,今場所は気力そのままに,意外にも器用にとっていた。押し相撲かもろ差しで潜るかの二択になるだけで大きく違う。冷静に考えればまだまだエレベーターするだろうが,長い目で見たい力士である。


前頭中位。豊ノ島と旭天鵬は上りエレベーターだが,問題はこのエレベーターに乗れなかった阿覧と臥牙丸である。若い臥牙丸はまだしも,阿覧は本当にいよいよ上位定着できなくなってきたなと思う。ただし,何度か書いているが,あのはたき相撲は一見の価値があるので,雅山のCSPと同様,若手に対する門番として当分前頭中位でとってほしいとは思う。大道は日によって強かったり弱かったりが激しすぎるので落ち着いて欲しい。時天空の7−8残留力は神がかっている。今場所もけたぐりが見れたので満足した。翔天狼は終わってみると5−10と寂しい成績。押し相撲を主としつつ組んでも取れるはずが,どっちも中途半端で相手にあわせてとってしまっているという印象を受けた。勢は9−6だが,なぜかそれほど印象がない。

前頭下位。旭日松は塩撒きのインパクトで終わらないだけの相撲はとったと思う。ただし,体格負けが多く,押せずに負けるのならまだしも押しても負ける押し相撲というのはやはり修正の余地が大きかろう。結果的に6−9はいわゆる「残当」。千代大龍は敢闘賞でも良かったのではないか。千代大海・雅山・若荒雄の系譜を継ぐものと期待されてここまで来たが,今場所に限れば明らかに意識的に引き技を避け,15日とって1日しか決め技に引き技を使わなかった(11日目の豊ノ島戦のみ)。私は引き技嫌いではないものの,この決意は立派だと思う。それでいて,ほぼ幕尻とはいえ,新入幕半年の若者が10勝したのだから,大きな賭けに勝ったと言える。これで引き技が復活したら大成するのではないか。

十両は隆の山負け越しが残念なものの,佐田の富士と栃乃若の二人が復活したようである。特に栃乃若の復活はとても嬉しい。前頭上位に復帰するのを期待しておく。
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2012年11月25日

まどマギDSと冴えない彼女とさくら荘のアレ

・まどマギDifferent Story。上巻はBDの特典についていた,まどマギ前史としてマミと杏子がコンビを組んでいたときの話。上巻末でシャルロッテ戦後もマミが生き残っていることが明かされ,その理由としてさやかの契約したタイミングが本編よりやや早く,シャルロッテ戦を二人で乗り切ったことが中巻の冒頭で明かされる。ここが本編との分岐点である。マミとさやかがコンビを結成し,見滝原の魔女を狩っていき,その過程でほむらや杏子とも本編よりは幾分マシな関係を構築していき,今回こそは全員生存でワルプルギスの夜に挑めそうな様相を呈していた。その矢先,中巻の末にて,物語は一気に暗転する……万が一読んでいない人のためにこの先は伏せておこう。
→ 以下は下巻の内容を含めた完全ネタバレ。考察的に言えばこのDSの収穫は,どうあってもさやかは恭介との問題が解決しない限り魔女化するという。そして,魔法少女化のタイミングにもよるが,見滝原市の規模では魔法少女4人をワルプルギスの夜まで維持できるだけのグリーフシードは確保できない,ということ。なんだよ……ますますさやか要らない子やん……
→ そして,マミさんもどうあっても真実に耐えられないという。これを豆腐メンタルと言ってしまうのはちょっとかわいそうではあるが。さやか魔女化→杏子相打ちもマミさん生還で,本編よりはマシなワルプルギス戦かと思いや,ほむらの見ていないところでまどか契約の流れは本編を彷彿とさせる急転直下っぷりでとても良かった。しかし,このDSのせいでマミさんとさやかの株がいろんな意味で大変なことになったのもまた事実であるので,映画の第3弾でフォローされるといいなぁ。


・『冴えない彼女の育てかた』1巻読了。なんとか2巻の出るまでに読み終えた。私の観測範囲ではあまり評判のよろしくなく,その理由として「エロゲ文体から脱出できていない」というのが最も聞かれる理由であったが,自分で読んでみてもその通りであった。丸戸さんの元からの特徴であったが,文章が淡白で軽く,会話文が多めである。それがエロゲにおいては絵や音楽や演出でのフォロー,加えて2,3行ずつ表示する方式に完璧にマッチしていたので,あれだけ光ったのだろう。しかし,ラノベはそうしたフォローもなければ10行くらい軽く同時に目に入ってくる。脳内で2,3行ごとに区切る処理をしないと目が滑っていくので,軽い文体なはずなのに読みづらい。これはしんどい。
→ ストーリー的には導入なので現時点ではいかんとも。文体の修正も含めて2巻に期待しましょう。


・一部界隈で話題になったサムゲタン騒動は,案外とこういうものはニコニコ大百科が一番よくまとまっているの法則が発動していたのでこれを張っておく。 → さくら荘のペットな彼女原作改変問題
→ もう次の話も放送されており騒ぎそのものが沈静化されているので,その教訓を兼ねて個人的なスタンスを短くまとめておく。まず,騒ぎがどうでもいいところで盛り上がりすぎだろうというのが第一義なのは完全にその通り。その上で,騒ぎになってしまった後に外野がそんなことを言うのもまた無為,というのも大百科にある通りだろう。
→ ステマ説は陰謀論すぎて論外。スタッフが好きだったから説か,演出説のいずれかだろう。前者ならば「意図の無い原作の改変はそれ自体が悪」という立場から批判されても仕方がない,というのが私の立場である。もっとも,本作については私自身が原作未読なので口は挟めない。
→ 後者の「お粥よりもサムゲタンのほうが良い演出だと考えられての変更」という説のほうが,まだスタッフに瑕疵は少ない。これを検証しているブログが既にいくつかあり,その多くがそれなりに納得の行く説明をしている。が,その演出意図は不明瞭であり,少数の「ちゃんと視聴してる人」にしか伝わらなかった,かつ少なくない人にとっては逆効果だった時点で,演出としては敗北である。この点を無視して「ちゃんとした演出の意図があった」とする論陣は,少々説得力を欠いたように思う。
→ 今回の騒動は演出意図不明瞭な改変が嫌韓の方向に衝突してしまった不幸な事故であるが,この両方の要因がそろわなければこれだけ炎上することはなかった。韓国ネタだけならば直近でリトバスがキムチを出しているが,あれは演出意図が明瞭(姉御の嗜好)かつ原作通りの物であるから,何の騒ぎにもならなかった。また,さくら荘のここまでの話自体に様々な改変が見られるそうで(原作読者側が怒っている様子はちらほらと見る),にもかかわらずサムゲタン以外では炎上に至っていないことからも,韓国関連で無ければ炎上しなかったことは明白である。スタッフの方々も,まさかここで炎上するとは思ってなかっただろう(思わぬところで炎上したから”事故”なのではあるが)。
→ かといって,嫌韓な方々におもねって自由な演出ができなくなるのも問題なので,無論のことながら制作スタッフには気にせずこれからもやってほしいところである。が,今回の教訓として私的に重要だと思うのは「衝突事故」という点である。演出意図が明瞭で,原作より良くなっているのを多くの視聴者がつかめていたならば,こうはなっていなかったのではないか。この点を無視して「まーたいつものネトウヨか」で済ませるには,少々もったいない案件であった。  
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2012年11月23日

WORLD END ECONOMiCA Episode.2 レビュー

前作,Epi.1のレビューはこちら。Epi.3で完結する作品で,Epi.2はつなぎに徹した作りになっていた。そのため,この作品単体で,ネタバレ無しで語るのは苦しいし,ネタバレ込でも書けることは少ない。短く思ったことでもまとめておこうかと思う。プレイ時間は5〜6時間ほど。

以下,Epi.1プレイ済orネタバレ上等の方は。Epi.2のネタバレは伏字にしてるのでそこはご安心を。
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2012年11月19日

咲の後追いでいろいろ

・咲-saki-は能力バトル漫画としてみても素晴らしいという話 - karimikarimi
→ 後追い組としては,こういう記事が残ってるととても助かる。
→ 自分もこの通りだと思う。咲は能力者バトルとしても,部活スポ根物としても,麻雀物,百合物として見てもおもしろい。能力者バトルとして見るなら,この記事で指摘されている通りそれぞれの能力者に同情したくなるくらい,相性の悪いもの同士がぶつかるのがポイントだと思う。モモと和,衣と咲なんて典型的で。
→ たとえば,どなただったかの「天江衣は本来のラスボスが中ボスとして出てきてしまったのだけど,主人公の特殊能力がクリティカルヒットする仕様だったから勝てたようなもん」というのは非常に的確だと思うのだが,それでいて天江衣の格が落ちてないあたりは,麻雀描写も物語描写も本当にうまい。
→ 宮永姉妹について言えば,能力のせいで打点が上がりすぎず,チートキャラ的でありながら動かしやすいところがある。咲の槓・嶺上開花については散々言われているように,他人をあれで上がらせたり・おとりに使ったりなど使い勝手がいいし,照の打点上昇は野球で言う”イニングイーター”的なところがあって,テンポよく物語が進むし,一撃で差がつかないからこその焦燥感・静かな恐怖が演出できていると思う。逆パターンで来るなら大星淡が「一撃の恐怖」パターンで,名前からしても字牌支配が能力なんじゃないか,とだいぶ前から予想しているのだが,若干たかみーと能力がかぶるので,どうかなー。
→ 咲の能力についてはまだまだ語るところがあるのだが,大星淡の能力が判明したあたりで,また別記事で。


・【咲-Saki-謎】 宮守女子と遠野物語(咲-Saki-ほんだし)
→ 宮守女子の岩手妖怪軍団の名前の由来。これがあるから,天照大神説もわりと信憑性がある気がする。
→ 東方好きとしてはこういう細かいところでのこだわりはとても嬉しい。


・「咲-Saki-阿知賀編」松実玄さんはとてもイイ子なのが一目で分かる麻雀アニメ独特の表現(近代麻雀漫画生活)
→ 何より中ビームが全国区だったことに驚きだよ!うちの界隈では,あと「發爆弾」と「白バリアー」があった。この辺はどこまで共通認識なんだろう。誰か発祥とともに調べるべき(他力本願)
→ 長野県決勝中堅の捨て牌の並びは,よく気づいたなぁと。これは気づいた人がすごい。ちなみに,自分の捨て方は部長と同じタイプ。牌の上下はとても気になるが,位置が多少ずれてるのは気にしない。しかし,何よりも6で折り返してないと気になる。確認しづらいので。


・咲-Saki-の大将戦に登場した古役と、そこから浮かんでくる五筒と一筒に込められた意味について(半端は駄目だ)
→ 五筒開花は気づいてたけど,それ以外はこれを見て気づいた。
→ 天江衣の両親の設定は,逆に言ってこの辺から設定されたのかなぁと。
→ ロマサガ役「乱れ雪月花」というのはどうでしょう。白・一筒・五筒で,この順番にフーロすると成立する役満。条件は卓の全員がサガシリーズプレーヤーであること。


・咲-saki- 阿知賀編 団体戦成績表(ニコニコ大百科)
→ 準決勝先鋒戦,オーラスの牌譜・解説付。怜が何をどう改変したのかがよくわかる。怜さん,「実力は三軍のまま」言うとったが,ここまで計算できるんやったら十分やろ。


・咲-Saki- 阿知賀編 雑感考察 咲さん(の能力)かっこいい、すこやんin阿知賀編、レジェンドもう一度など(とっぽい。)
→ 熱の入った長文。
→ 準決勝先鋒戦は長野の決勝に次ぐ出来だったと自分も思う。玄のドラ切るシーンはちょっと泣いた。松実=待つ身は美しいね。
→ この辺までのレジェンドはなぁ……確かに擁護しづらいな(特にアニメ)。そのあとのもろもろはテコ入れだったと考えざるを得ない。
→ 他,読んでたら次鋒戦以降語れるところはいろいろあることを思い出したが,切りがいいので別記事で(またか)。  
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2012年11月14日

月に寄りそう乙女の作法 レビュー

大変に気分がいい。

とりあえずこう言っておかねばならないのかな的な。さて,本作は女装物である。そして本作が女装物(あるいは男の娘物)として成功していたか否かはやや疑問があるが,私自身それほどこのジャンルに興味が無いため,割りと評価には関係がなかった。というよりも,うまく「処理」したようなところはある。女装物として使えるギャグの大半は共通ルートで消化したし,お約束としてのシナリオは瑞穂ルートでやっているからこそ,他3ルートは別のテーマで引っ張ることができたように思う。無論のことながら,他のルートでは女装の意味が無かったというわけではなく,少なくともルナのシナリオは主人公が女装でなければ成立しない。が,ルナシナリオの本質は主従物である(プレイ済みの人には言うまでもないことだが)。

しかし,それ以上に私が強調したいのは,本作は天才たちの物語としてとても美しかった。努力する天才の姿とその輝かしき栄光は美しいものだ。湊のシナリオは練り込み不足だが,ユーシェとルナのシナリオはそれぞれ別方向に努力する天才たちの物語として良い物であった。細かいところはネタバレのところで書くこととしよう。横道にそれて少しだけ自分語りをすると,私自身も三国志だと曹操が一番好きな人物であるあたり,割りと衣遠の才能至上主義には共感を示すところはある。とりわけ芸術のセンスは稀有なものだと思う。しかしながら才能も上を見れば切りはなく,わずかながら学問の世界でそれを見た身としては彼らの苦悩もわかるつもりであるし,挫折した側の苦悩も身にしみてわかっているつもりである。そうした人種にとって,「才能」を認められるというのは,「人格」を認められるのとは別方向に,無上の喜びと言えるかもしれない。ましてやその両方が重なれば。いずれにせよ,女装物としても主従物としても,ある種の芸術家小説的に読んでも楽しめるのではないか。

あとシナリオ・テキスト面であと書いておくべきことというと,twitter上では服飾面の知識の中途半端さについて指摘があったが,これは私自身門外漢であるのでなんとも言いようがない。ギャグはいつものNavel。インタビュー記事いわく「俺つば,セカジョに比べると抑え気味にした」らしく,確かにあれらに比べるとぶっ飛んで無かったかと思う。が,基調のところでは変わっていない。世界設定としてはセカジョ世界と共通しているが,あちらをやっていなくても全く問題ない。むしろ,やっていても2,3箇所「ああ,これ亜子orアルメンドラのことだ」とくすりと笑えるものがあるだけである。まあそれはそれとして,本作がおもしろかったならセカジョもきっと楽しめると思うので,未プレイの方にはお勧めしておきたい。難易度は無きに等しく選択肢数は少ない。ただし,バッドエンド(ノーマルエンド)だけはやや入るのが難しく注意しておきたい。あのバッドエンドを見ておかないとルナシナリオが一部わかりにくい箇所があるので,先に見ておくこと。実際,それで本作の評価を落としているレビューはいくつかあった。


絵は西又&鈴平のコンビ復活。ただし,各種インタビューを見るに主導したのは鈴平で,塗りもそれにあわせて今までのNavelのものとは少し違ったものになっている。西又のファッションセンスで服飾物というのはちょっと,と思ったが,実際のところ彼女の担当した瑞穂・湊では服飾がそれほど強調されないため,さして気にならなかった。逆に,鈴平はさすがのセンスと言える。一番気合を入れたであろうドレスのCGはユーシェもルナもこの上なく美しかった。音楽は印象にあまり残っていないものの悪くはない。OPの歌(とムービー)はとても良く,今年のエロゲソングの中でも出色の出来。システムは使いやすく,シナリオスキップも実装されている。起動時に解像度を選択できるのがやや目新しい要素か。

総じて,個別ルートのシナリオの出来の差が激しいところだけが大きな欠点になってしまっている。全シナリオがルナ・ユーシェレベルで仕上がっていれば,『まほよ』『古色』あたりを押しのけて今年の界隈の評判を独占するような評価を得ていたと思うのだが,実際にはそうもいかなかった。瑞穂は王道が好きなら良,そうでなければ凡。湊は誰が見ても凡,厳しく見れば駄という出来であろう。点数的には80点弱。同じNavel作品で並べるなら,世間的評価は「俺つば>つり乙>セカジョ」になるだろうし,セカジョを偏愛している自分の目からすれば「俺つば>セカジョ>つり乙」になる。プレイ時間は20時間は行かないくらい。共通が4〜5時間,個別が3〜4時間×4。

が,逆に言って,このレベルの作品がコンスタントに出せるならNavelはAugust並に安定していると思うし,少なくとも次は無条件で買ってもいいかなという気になった。世間的にもかなりNavelを見なおさせる作品になったように見え,とても喜ばしい。驚いたことに,本作は一般的なシナリオ分業をしておらず,真紀士の持ち込んだものに,残りのメンバーが手を入れて形にしたのだそうだ。本作でもギャグの部分はかなり王雀孫や東ノ助が書いていたようにも思えたが,いずれにせよ彼ら二人に加えてこれだけのシナリオがまとまって書ける人が増えたなら今後も安泰だろう。  続きを読む
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2012年11月11日

マンチェスターからの水彩画

ターナーの水彩画文化村の英国水彩画展に行ってきた。マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵の水彩画の展覧会である。水彩画といえばイギリスであるというのはおおよそ異論のないところであろう。水彩画ということで安かったのか,ターナーやコンスタブル,ロセッティなどわりと豪華メンバーで,しかも150点以上の作品が揃っていた。時間を気にせず見ていたら2時間近く経っていたので,ボリューミーな展覧会ということは言えると思う。

水彩画には詳しくなく,それもあって勉強のつもりで見てきたのだが,見るからに油彩画と違って水彩画の特徴が出ているものと,これは油彩画でやってほしいと思えるものがあった。なんでも油彩画なら良いというものではなく,水彩画ゆえの軽みや淡いがある。一方で,重量感にはなんとなく欠けるところがあり,繊細ではあるのだけれど緻密かと言われるとどうだろうと思うところもあり,特に風景画の中の人物はかなり曖昧に描かれたものが多く見られた。美術以外でもジャンルの違いに関心があるので,こうしたところはどうしても気になる。

と同時に,今回の展覧会は水彩画が隆盛した18世紀後半から19世紀前半に中心に据えたものであり,自然とジャンルは風景画が多くなった。ピクチャレスクや廃墟趣味,中世趣味にオリエンタリズムに崇高など,イギリスの美学史の表象を確認する意味でも,今回の展覧会はなかなか楽しめた。どの概念にしてもそうだが,現地に行ってから手軽に描けるというのは大きなアドバンテージであると思う。とりわけ,絵の具チューブが発明されて広まった19世紀後半よりも以前の時代であるだけに。それだけに風景画ではないもの,特にウィリアム・ブレイクの作品はとても浮いていた。正直場違いだった。なぜに展示に選択してしまったのか……ブレイクに罪は無いが。あとラファエロ前派の連中は水彩画でも人物画を描いており,こちらもさすがにうまいものの,ブレイクほどではないがやはり浮き気味だったかなと。

有名所ではターナーに強く焦点が当てられており,彼だけで1コーナー設けてあった。本展覧会のチラシでHPのトップ画像もやはりターナーである。マイナーなジャンルの展覧会であるだけに,彼の知名度に頼ったところはあるのだろう。無論のことながらそれで悪いことはなにもなく,1コーナーあるだけあって作品数も質も十分であった。それにしても,水彩画で見ても,晩年の彼の絵はほとんど印象画と言ってよい。彼の先見性に驚かされる。あとは個人的に,サミュエル・パーマーとジョン・マーティンの絵が見られたのは嬉しかった。
  
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2012年11月09日

非ニコマス定期消化 2012.7月下旬〜8月中旬



前回に引き続きななひらウイルス。茶畑も含めて,いい声してるよね。動画も「2代目」が担当で豪華。



案の定靴がえらいことに。動画終了後,全然関係ない別の動画に飛ぶので注意。



京アニつながりとはいかなかったものの,良いコラボである。ドルジあり,くどわふたーネタあり。沙耶がはまり役すぎる。



当たり前のように違和感がない。コメントで指摘があるが,立ち位置がまほよと逆である(あっちは浮かんでる方が敵)。



三角ベースを大人が本気でやった動画。まずそんな公式ルール(らしきもの?)があるのに驚いた。実業団の野球チームと対戦してみたが,結果はちょっと残念かも。再チャレンジしてほしいところ。



これは実機で,というのがすごい。よくこれだけ育てたもんだ(種的な意味で)。



綺麗にまとめてある。やはり役満が鬼ヅモでそろっていく様子は見ていて気持ちがいい。大七星美しすぎる。最後の数え役満の翻数・符も必見。



今回もコミケ楽しかったですはい。バ行の腐女子だから全く不思議ではないが,すごい完成度。



良いモデルの姉妹。演出も悪くない。



カノンロックいいよね。なんにでもあわせられるカノンさんの懐の広さ。


なお,次回は咲特集の模様。
  
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2012年11月07日

陸海逆転世界

・今期のアニメ途中感想を短く。大体どれも4話時点くらい。
→ サイコパスはベタな話を演出でおもしろく,という感じはするが,今のところ楽しめて見れている。まどマギが例外で,元来ぶっさんが得意なのはこうした二次創作的なものではなかったか。という点から言っても,期待値のまま進んでくれそう。
→ ダークホースがさくら荘。軽いノリに見せて,けっこう重い青春劇。でもさわやかなのでそれほど重くは感じない。完全に原作ノータッチなのでこの先楽しみである。
→ 中二病は可も不可もない。かわいい,以外の感想が特に。見るのが苦痛ではないのでとりあえず継続,といったところ。リトバスは原作でもあまりおもしろくない部分をやっている上に,どうもテンポが悪くてちょっと不満。でもまあ,これはどれだけ不満たらたらでも最後まで見るでしょう。その点,ロボノがだいぶ危うい。切る一歩手前。サイコパスとくっついてるから見てるようなもん。


・「あの人は誰?」 「独島」掲げた韓国選手、尻尾切りに(虚構新聞)
→ とてもおもしろい。時事ネタかつ全方位的に風刺がきいている。
→ のだけれど,ネトウヨ的ではないから褒められているのだとしたらもにょるな,とはブコメの反応を見て思った。前から言ってるが,虚構新聞は,良くも悪くもそういうのに無頓着なだけだよ。
→ 「スポーツの祭典を代理戦争としか考えられないような程度の低い国は、元よりオリンピックに参加しない方がいいのではないか」ほんとだよ,と新宿の方角を見ながら。いやまあその人,投げ出してどっかに行っちゃいましたけど。


・世界で最も汚い川のひとつ、インドネシア、チタルム川(カラパイア)
→ ちょっと想像を絶する汚さ。
→ いや,こうしたゴミの山は発展途上国の陸地ならよく見るのだけれど,川となると。


・極端にやさしい遺伝子を持つ、ウイリアムス症候群の子どもと大人(カラパイア)
→ 極端に優しい,というよりも警戒心が欠如している病気。これが遺伝子による病というのは,納得する一方でやはり不思議である。後天的に警戒心がないなら,”病気”ではないだろう。
→ 実際には心理的なもの以外にも,知能や身体にも影響を及ぼしているらしい。以下も参照のこと。


・「外国人が陸と海を逆転させた世界地図が面白いと話題に」海外の反応(暇は無味無臭の劇薬)
→ 高低差を逆にしたものではなく,対岸の地形を反転させたもの。よって,海溝の部分が山脈になっているというわけではない。
→ このMAPで歴史SLGをやってみたくはあるw。資源や人口の配置もうまいことひっくり返せば,わりと行けるんじゃないだろうか。誰かEU2のエンジンでやってくれませんか。
→ 他の方のブコメにある通り,海の面積が少ないので地球全体の寒暖の差が非常に激しいことになりそう。特に太平洋の真ん中付近,砂漠にしてあるのはとても正しい。絶対に住みたくない地域である。この地球の人類がここを踏破するのはいつになることやら。
→ その意味で,どこに住む?と聞かれれば海に囲まれてる地中海かなぁ,とか。
  
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2012年11月06日

そりゃぶっさんも好きそうなキャラだよね

・『ぷちます』4巻。案外ネタが尽きないと言おうか,人間とぷちあわせて20人(?)以上いるからこそネタが尽きないのだろうなぁと。逆に言って,それだけの大人数でよくバランスよく回せているし(と言いつつ4巻はちっちゃんとやよがあまり出ていないのだけれど),関係性が複雑になりすぎていない。絡みのあるキャラの組み合わせが若干固定されてはいるけど,これはしょうがないということで。
→ ぷちたちの能力がうまいこと話を盛り上げているが,強力になりすぎて,そろそろ彼女(?)らで世界征服できそうな。今のところ能力が判明しているのは,やよとちびきとはるかさんとみうらさんといお?けっこうぷち間の戦闘力の差が激しい。
→ 一方で,知能レベルもけっこう差があって,ちっちゃんやたかにゃのような文字を書ける高知能もいれば,はるかさんのような動物レベルでしか意思疎通をできないのもいる。こいつら本当に同じ種類の生物なのか。あまがみするはるかさんがかわいすぎる。やばい。一匹ください。


・2ch まとめブログ界隈の状況 (2012 年 8 月版) (Life like a clown)
・2ch まとめブログ界隈の状況 (2012 年 10 月版)(Life like a clown)
→ 2chまとめブログの現況。
→ twitter,はてブではハム速以外のサイトが壊滅的打撃と受けたというように見える。ニュー速VIPは更新復活してから調子良さそうに見えたがそうでもないのか。
→ ハム速はレス転載禁止される以前からすでに2chからある種遊離・独立してたからこそ,ハムコメント欄のまとめという自給自足であるにもかかわらず影響力を減らさず生き残っているのだろう。コンテンツのおもしろみさえ減らなければPVも下がるまい。それでも内輪で閉じてるからか,私の巡回範囲では名前を見る回数が大きく減った。となると,今後長くはないかもしれない。


・仏像の腹から仏像の顔が タイ北部の寺(newsclip.be タイ発ニュース速報サイト)
→ 歴史的な意味合いとか全部すっ飛ばして「これは完全にデスピサロ」と言わざるをえない。
→ 本文中にもある通り,王朝がある程度勃興してきてから以降の東南アジアはおそらく一般的な日本人が考えているよりも激しく抗争しており,ビルマ系の王朝とタイ系の王朝の間もかなり仲が悪かった。略奪を避けてこうなったとするなら,おもしろい隠し方だと思う。


・まどマギ映画やるし架空の魔法少女作ってまど豚釣ろうぜwwwwww(ゴールデンタイムズ)
→ これは完成度高い。ただ,釣られるかというと完成度高すぎて不自然なので,出典不明ということに気づかれてひっかからなかった人も多かったのではないか。
→ ラフが上がるところまではよくある流れながら,DTP班が半端なさ過ぎたのが大成功の要因であろう。というかむしろ,どうせ釣るならこのくらいやってほしい。
→ キャラ好みという人が多いが,まどマギ好きの好きそうなキャラだよなぁと。ゴスロリ含め。  
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2012年11月03日

絶対王政について

絶対王政はルイ14世があまりにも有名であるため,またその名前のイメージから,専制君主との区別がついていない人が多い。実際には,絶対王政と専制君主は根本的に異なる。

絶対王政は,中央集権化・近代化の過程で西欧に出現した特殊な政体である。中央集権的な国家体制とは何かといえば,少なくとも前近代においては国家に直属する官僚制と常備軍にほかならない。言うまでもなく常備軍こそが国内外で国家の権力を裏付ける軍事力であり,これを維持するための徴税機構として整備された官僚制が必要であった。しかし,これだけならば近世アジアに出現した専制君主国家でも共通する要素であり,絶対王政に特有のものではない。

西欧で出現した絶対王政は,まず極端な封建制社会から脱して,長い時間をかけて中央集権化していったこと。そして,大航海時代以降急速に力をつけた市民層が,既存の権力層とは別に社会の主役として登場してきたこと。この2点が他地域の専制君主と,絶対王政の決定的な差異を生むことになる。

絶対王政の特徴は,具体的に2つ挙げられる。1つは,封建制でもなく,国民国家でもなく,社団国家の体裁をとっていること。もう1つは,政府(国王)が貴族と市民のバランスの上で成立していること

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Posted by dg_law at 12:00Comments(0)TrackBack(1)