昨年の。数は例年通り10+α。今年は前半がんばって後半さぼったかなという気がしていたが,まとめてみるとそうでもない。上半期5・下半期5の綺麗な半々であった。
1.第200回『シラノ・ド・ベルジュラック』エドモン・ロスタン著,渡辺守章訳,光文社古典新訳文庫(2/9)
ブックレビュー枠。今読んでもこれは文章としてよく書けていると思う。書評としても自薦できるが,それ以上に自分の翻訳文に対する思考,そして芸術観が簡潔に現れている。その意味でも自薦しておきたい。
2.世界征服彼女 レビュー(2/25)
エロゲレビュー枠その1。この作品については,私にしては珍しく「世評が不当」と割と本気で考えている。それゆえに,その魅力を伝えるのがレビューではないか,本作には読み込むだけの内容があるのだ,というのを伝えなくてはならない,というある種の使命感があった。結果として長文化し,可読性が下がったような気がしなくもないものの,再読しても自分で納得できるだけのレビューになっている。
『月に寄りそう乙女の作法』のレビューも,自分なりによく書けていると思っているのだが,あちらは世評が十分に高いので,選外とした。というよりも,批評空間の点数を見る限り私のつけた点数よりも世評のほうが高い。
3.受験世界史悪問・難問・奇問集 ver.2012 その1(上智大・慶應大)(3/7)
受験世界史悪問・難問・奇問集 ver.2012 その2(早稲田大)(3/8)
今年最大のヒット作の一つ。はてブはそこまででもないが,検索によく引っかかるためか,一ヶ月に一度ほどの周期で爆発し,恒常的にアクセスを集めている。一応来年もやる予定だが,万が一上智大さんと早稲田大さんが悪問を出さなくなったら終了ということで。
4.無限煉姦 レビュー(3/20)
エロゲレビュー枠その2。こちらの作品は世間で十分に評価されているが,案外と『EXTRAVAGANZA』との関連で語られたレビューを見なかったもので,こうなった。バンヤー好きの方にはぜひ読んでほしいレビュー。
5.虚構新聞騒動雑感(5/18)
今年のネット事件簿枠。昨年のカオスラウンジ騒動・現代邦楽議論に比べると事件としては小粒感もあるものの,あの2件はどちらも比較的私自身の関心項目に近かったのに対し,これは本当に岡目八目的な記事になっている。結局1コメさんはマジだったのか,狙ってやったのか,いまだもって気になる。
6.アイマスクエスト考察(1)(7/11)
アイマスクエスト考察(2)(7/12)
アイマスクエストは名作である。視聴者の年代的に考えても,古いドラクエのファン層とアイマスのファン層はおおよそ重なっていると考えてよいだろう。一方で,どうも楽しむべきポイントが押さえられていない・余分な雑音による議論が生じていることに対する懸念によって書かれたのが(1)。だから(1)の内容に関しては「ドラクエ・アイマス・”ニコニコ”」の要素合体が本作の骨子であるという点,本家の楽曲展開がマスクエの展開にも影響を与えている点の二つを指摘したものとなっている。(2)は設定が複雑になってよくわからないという意見をちらほら見たのが,書かれた動機になっている。もっとも,半ば自分用ではあって,終末に向かって急激に設定が増えたとは思う。理解の助けになった方がいれば幸いである。
7.松実玄の能力で打ってみた(8/27)
今年の実生活における最大の変化は,まず間違いなく『咲-Saki-』関連に触れたことである。無論のことながらもっと早く手を付けておけば良かったなという後悔がないわけはないものの,逆にちょうどよくインフラが整った時期に参入できたので,うまいこと入り込めたなという気もしている。それで,最初に書いた記事がこれになる。次はたかみスロットでも実践してみようかなと思っていたが,すでに実例多数であった。そうするとあれかなー,亦野さんかなー。
8.第212回『西洋美学史』小田部胤久著,東京大学出版会(9/6)
これは書評枠というよりは,読書会の楽しかった記憶として,自薦しておく。約一ヶ月の駆け足ではあったが,久しぶりに(仕事外で)本気で勉強した。整理された知識も新しく得られた知見も多い。しんどかったけど,またこういうのやりたいな。
9.「入試問題の正解(解答例・講評)は公開されるべきか」について(10/13)
世間に向けての意見公開という点では,最もブログの本分を全うしている記事。記事中に書いているが入試問題を見ていると「大学の教育機関としての姿勢を疑う」ことが本当に多いので,あまり残念な気分にさせないで欲しいと思う。
10.絶対王政について(11/3)
最後の最後で歴史物枠。書いた動機としてはセルクマコメの通り「ちょっと自分なりにまとめておきたかったので」。リアクションが嬉しかった記事というと,自薦10の中でも一番がこれになる。実は書いたのがけっこう前で,すっかりお蔵入りしていたのを発掘して投稿したものだということをこの場で明かしておく。続編的に啓蒙専制について書こうかどうしようか迷いつつ,途中の原稿がお蔵入りしつつあるので,どうなるかは。
選外
・彼女と彼女と私の七日 レビュー
あんなに伸びると思っていなかっ記事の一つ。『WWE』のレビューもそうだが,同人ゲーのレビューは伸びやすい傾向にあるらしい。伸びた理由は,どちらかというと前半の同人ゲー論,価格論だと思うのだが,書いた本人からするとこの記事はそうした大上段に構えたものではなくて,単純にこの作品の評価をしただけのつもりであった。ゆえに,よく書けているとは思うが選外。
・(割と古い)PCの捨て方
今年,というよりも私がブログを始めて以来,最も伸びた記事。ちなみにどのくらい伸びたかというと,日間2万PV・UUを達成したくらい。普段は1千PV強/dayなので,約20倍に近い。にもかかわらず選外としたのは,何よりこれは私じゃなくても書けるという独自性の低さと,それに付随して,私は別にPCに詳しいわけではないという点を考慮してのことである。まあでも,PCリサイクルマークのついていないPCの捨て方についての知見が広まったなら幸い。
・美術展の展評と大相撲関連の記事が一つも入っていないが,あれらはどちらかというと記録的意味合いが強いので。自分の中でよく書けたなと思えたものがないでもないが,他ジャンルの記事と比べたときに自薦するほどのものかという問いに耐えられず,落選した。大相撲関連については昨年の自薦集には入っていたのだけれど,あれは八百長騒動という事件があったからであり,むしろ喜ばしくはない。