2015年08月31日

最近読んだもの・買ったもの

・『ゴールデンカムイ』3巻。杉元の脱出,白石のパーティー加入,アシㇼパ味噌を食う,土方歳三本格始動,二瓶鉄造の登場と対決。
→ 金塊に興味が無い,人殺しを忌避するアシㇼパにとっては父親の復讐もおそらく名目上の理由であって,じゃあなぜアシㇼパさんは杉元に付いていくのか。ましてや命がけで救出したりしたのか。つまるところ,彼女は徹頭徹尾「新しい時代のアイヌの女」であって,危うい好奇心ではあろう。杉元への好意もあり,和人への興味もあり,大人への憧れもあり。特に彼女は猟師としていっぱしで杉元の相棒として十分すぎるから年齢をごまかせてはいるが,まだ12-13歳ほどの少女にすぎない。「俺が死んでも覚えててくれるか」と問う杉元に対し,酔った勢いで「死ぬな杉元」と叫んでしまうあたり,本来の年齢が出てるなぁと。じゃあ目的意識が弱いかというとそうでもないのは,前述した通り命がけで杉元を助けたあたりで明確なわけで。この辺のギャップは後々問題として浮上してくるかも。
→ 土方歳三がめちゃくちゃかっこいい巻。彼の理想,北海道独立は何やらアイヌ急進派(本来の金塊を集めた人たち)との提携を見据えているようだが,アシㇼパ陣営にどうかかわってくるのか,期待。
 

・『アド・アストラ』5・6巻。第二次ポエニ戦争の前半のハイライト,カンナエの戦いとその戦後。スキピオによるタイトル回収「困難を通じて天へ(per aspera ad astra)」。マルケルスの出陣まで。
→ カンナエの戦いでとったハンニバルの戦術についてはすでに有名であり,本作でも仰々しく取り上げられていて特にコメントはない。マハルバルの「あなたは勝利を得ることができるが,それを活用することは知らない」もきっちりと回収している。実際,ハンニバルが野戦の才能だけではなく,攻城戦の才能もあったら歴史は大きく変わっていたのだろう。この点,攻城戦にも創意のあったと思しき大スキピオとの差異が作品上にも現れてくるのかも。
→ カンナエの大敗を覆せなかったのは権力が足りなかったからだ,と悟らせて,スキピオに権力欲をもたせた展開は秀逸。本作のスキピオには,就任年齢を大幅に乗り越えて執政官になるような野心が足りてなかったが,ここで。


・『U.Q.HOLDER』7巻。まほら武道会の開催告知,まさかのネギ本人?の登場,刀太の出奔,重力剣の会話機能,刀太の出自の判明と同じくクローンの登場,と書いてみるとめまぐるしく動いた巻だった。
→ まほら武道会でクーフェと夕映が優勝してたというのは目新しい情報。夕映好きとしては嬉しいところでの『U.Q.HOLDER』出演だ。
→ 刀太と造物主は近づけてはいけない,というよりも直接刀太を狙っているのは造物主で,フェイトとエヴァンジェリンはそれを避けようとしている(ので保護している)というのがわかったのが今回の収穫。やはりナギ・ネギともに造物主封印のために囚われているとかそういう系統か。刀太は封印解除の鍵になっていそうで,明日菜もかかわってそうな雰囲気だ。
→ ところで刀太が「クローンねぇ 羊かよ」と言っているのは年代的にかなり違和感ある。『U.Q.HOLDER』って2086年じゃなかったか? ヘタしたら今の10代でさえ「ドリー」は通じないと思うんだが。


・『ガールズ&パンツァー もっとらぶらぶ作戦です』4巻。VS巨大アライッペ。実際あれはキモカワイイというかカワイイかどうか危ぶまれるゆるキャラだからなぁ……戦車と戦うの,よく許可してもらえたと思う一方,いい役回りではある。アライッペが勝っても大洗戦車道チームが勝っても面倒なところ,10式戦車を出して花を持たせたのは普通に上手い解決だった。マジレスすると紗希はよ赤ちゃんを返せ,ではあるがw  

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2015年08月26日

トラベリング・オーガスト2015参加記録

トラベリング・オーガスト2015というコンサートに参加してきたので記録を残しておく。一昨年の感想はこちら。

まずチケットについて。前回は1800席1回で熾烈なチケット戦争になった(追加公演もあったが)。今回は1632席で3回だから前回よりは余裕だろうとは思ったものの,警戒して,抽選漏れも考えて初手からS席で申し込み。するとあっさり席が取れたどころか,先行販売では完売せず,どころか一般販売も完売せず,結局当日券も販売され,最終的に売れ残ったようであった。自分が行ったのは3回目の最終公演だが,SSS〜S席までは完売,A席はほぼ丸々残っていたように見えた。こうなると,次のトラベリング・オーガストの戦略が難しい。次はSS席あたり狙ってみようかと思う。何よりもまず,次回があるのかが不安になるが。せめてもと思ってグッズはそこそこ買ったし,後日発売されるであろうコンサートDVDも買おうと思う。ただ,S席でも音響は全く問題なかったし,スクリーンも見やすかった。歌い手さんの顔を見るのにはオペラグラスが必要かどうか微妙なところだった,というくらい。

会場が東京オペラシティというのには決まった時に驚いたが,パンフレットを読むに押さえるのにかなり苦労したらしき記述がある。確かに本格的なコンサート会場だった。OYOYOさんが「オサレというよりもハイソ」と書いていたが,全くの同感で,個人的にはそんなアウェー感が無かった。服装はポロシャツで一応襟付きということにしておいたが,あのハイソさに合わせるならクールビズでもいいからYシャツだったなーとはちょっと後悔している。周囲はこう言ってはなんだが意外とTシャツが多かった。過去にオーガストの公式で販売されたTシャツを着ていた人もちらほらといて,それはこの場ではスーツ以上に「正解」だったのでは? とも。瑛里華様Tシャツ着てけばよかったか。

オペラシティの地下一階に成城石井があって,そこでバ会でお勧めされた白バラコーヒーを買って飲んだ,という話はまた今度別の機会に書くとして。その地下一階の広場では,東京ヘブンアーティストのある一団が,FF8のあの曲にあわせて踊っていた。そういえば上野公園以外で初めてヘブンアーティストを見たかもしれない。東京都の指定が偶然の一致だったのか,それとも今日のイベントを知っててわざわざこの場所この時間を指定したのか,システムを知らないのでなんとも言えないが,後者だとすると良い読みをしていると思う。多分,オーガスト信者の年齢層(でかつコンサートに来るような年齢層)ってその辺だろう。

コンサート自体は前回以上にすばらしいの一言。演目はOYOYOさんが載せてくれている通り(として労力を省く)。フルオーケストラの豪壮感をよく活かしたオーケストラアレンジだったと思う。会場の演出,ムービーも良かった。最初の作品の『明け瑠璃』で,会場全体が青く染まり,ムービーは原作の見事な瑠璃色の地球。ああ,10年前にこのムービーにやられたんだよな,と感慨深くなり,『深青Philosophy』のしっとりした雰囲気から始まる。それが最後には『未来パレット』のカラフルな演出,多幸感に変わっていく。この『未来パレット』あたりから涙腺が危うかったのだが,真裏にいたコスプレイヤーさんがすでに泣いており,代わりに泣いてくれた感あって自分では泣かなかったという。あのコスプレイヤーさん最後まで泣き続けてた上に「私この後物販担当なんだけど大丈夫かな」と言っててほんと大丈夫か。

『フォアテリ』は一転して真っ赤。明るい学園風景からの急転直下,最後は伽耶様が出てきてしんみりと,という原作の流れそのままに。『MEGUMI』と『ひとしずく』がまた泣かせに来る。次は『大図書館』で,学園の白と大図書館の紫という対比。こちらは様々な表情を見せる大ボリュームのゲームを一気に駆け抜けた感じが強い。曲数多めで一曲一曲短めだったのはそういうことかなと。『夜空のステアーズ』は御園千莉のヴォーカルの人のソロで,やっぱりこの人すごいなと。

一旦休憩を挟んで,次がいよいよ『ユースティア』。前回のトラベリング・オーガストは『明け瑠璃』を中心に据えて前後の作品,最新作の『大図書館』はちょっとだけ,という雰囲気だったが,今回は二歩進んで『ユースティア』を中心にしてその前後の作品,という全体構成だった。色は夕焼けの鮮やかな紅色。演奏されるパイプオルガンに落ちゆく羽を写す演出はとても良かったと思う。ただ,楽曲は元がオーケストラっぽい曲だからか,あまり驚きは無かった。あと,例によってムービーの素材不足感が強く,原作のアニメの使い回しが大方。いっそのことトラベリング・オーガスト用にアニメ作ればよかったのではと思わないでもない。最後にトラベリング・オーガストメドレーで,新作『千の刃濤、桃花染の皇姫』のテーマ曲も発表。突然打たれた拍子木にちょっと笑ってしまったが,これも豪壮かつ疾走感ある曲で,オーケストラながらがんばって和風にしようとしている様子だった。これはむしろオーケストラでなくなったときにどうなるのか気になるところ。

最後はスタンディングオベーションで終わり。今回はオフ会が無かったので(あったようだけど行きそびれた),終わってすぐに帰宅した。次はトラベリング・オーガスト2017か2018あたりで開催されるのを期待している。  
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2015年08月25日

地元の萌えキャラとか

・穂の国娘。公式WEBサイト|愛知県東三河PR萌えキャラクター
→ いつの間にか地元にも萌えキャラが誕生していた。普通にかわいいので,良いイラストレーターの人を捕まえたと思います。いろんな人から即座に「とりあえずDGさんは東栄町だよね」と指摘されてぐうの音も出ない。
→ それぞれの由来をわかる範囲で記しておく。東三河は「穂の国」と呼ばれていたため(ただし古墳時代までさかのぼらないといけない),グループ名と豊橋さんの名前はそこから。最近の豊橋はやたらと「穂の国」押しである。実際,現在でも農業生産高は全国屈指である。また豊橋さんの名前の「火」は手筒花火が有名であるため。豊川は言うまでもなく稲荷。田原さんは強風と花卉園芸。蒲郡さんはよくわからないが,観光産業からの「みゆ」と外見ではあるかなと。新城さんは紅葉と長篠の合戦。
→ ここからが難易度が高い。奥三河三人の「鬼」は花祭が元ネタだろう。豊根さんの「桜」もこれだと思う。東栄さんの「星」は天文台から。ただ,地元民的にこの天文台が有名かというとそうでもなく,普通に東栄温泉から何か取って来るべきだったのではないかと思う。
→ 設楽さんだけどうにもわからない。山「菜」がよく取れる地域ではあるが,外見と全くつながらない。ジビエも有名なので獣っ娘にするか,この人に相談するのが正解だったのでは(註:経営者が大の東方ファン)。
→ なお,豊橋さんの中の人はけっこう素質ある。橋本環奈までは無理でも豊橋市民のアイドルくらいには十分なれるのでは。また,まじめに考えると休養明けの野川さくらを起用しなかったのは残念。向こうも休養明けで仕事があまり入ってないようだし,Win-Winだったように思うのだがなぁ。


・沈まぬ太陽、苦しい断食=白夜のイスラム教徒−スウェーデン(時事通信)
→ こんなのとっくの昔に問題になってて,それ相応のファトワーが出ているもんだと。今まではどうしてたんだろうか。
→ 参考事例として,宇宙飛行士のマレーシア人がいる。実は私はときどきこの人のことを言及しているのだが,もっと知られていい事例だと思う。そういう意味では大砂嵐も将来的に画期的な事例になるのでは。日本在住のムスリム自体はそう珍しくもないが,日本の神事に加わる初のムスリムになるかもしれないので(参加しないならそれはそれで画期的な事例になるだろうし)。


・2000年代、女性の歌手の曲で歌詞しかわからない曲があります(Yahoo!知恵袋)
→ これは本当に腹筋崩壊させられた。この豪速球を投げた質問者,見事な正解を返した解答者,発掘したはてブの皆様,人力検索の必要性につなげたブコメ,全てに拍手を送りたい。美しい連携でした。


・works_petrowka - コラム/ゼークト
→ ゼークトの発言ではないというのは知ってたけど,ちゃんと正しい人物(ハマーシュタイン)まで特定されていたのね。それは知らなかった。
→ 発言の対象が士官であって人間一般ではないだろうとは思っていた。召集兵で処刑されてはたまらん。

  
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2015年08月23日

ルター・バイアスとかの話

・イスラーム教をなぜ理解できないか(1)「こころ教」のガラパゴス(中東・イスラーム学の風姿花伝)
→ 大筋で納得するし同意する内容。世俗主義が浸透しきった結果,宗教があくまで個人の心の安寧に関するものとなり,他の側面が捨象されてしまった。これはこの間取り上げた「カルトほど宗教を『まなぶ』と呼称する問題」にも近い。宗教は倫理や哲学というだけではない,ということが忘れられているとは私自身思う。無論のことながら,世俗主義は近代が生んだ便利な発明であり,利点の方が多い。しかし,その視点から世俗主義が浸透していない世界を見ると誤解の元になる。
→ 宗教が神秘主義的な側面と律法主義的な側面があるというのは一つの分析概念としてありで,かつ神秘主義的な側面の方向に突っ走るとここで触れられている「こころ教」,もっと言えば宗教の融合や統一という発想,宗教という概念自体への問いなどの方向に進んでいく。今の日本のカオスな宗教状況はまさにこれだろうし,シク教の成立過程などを考えても歴史上繰り返されたことだ。
→ しかし,スーフィズムを「「イスラーム文明」の発展の中で許容された余剰の部分」と言われてしまうと,けっこうなムスリム(特に非アラブ人)が泣くのでは……池内先生は池内先生で,以前からアラブ世界の特権化やいわゆる「原理主義」に融和的な態度が目立つような。それが本人の思想的な範囲ならばいいが,こういう政治的言説にかかわる認識で出てくると,がっくりする。そういう認識の下で「世界にはまだまだ律法主義が主流で残っている」と言われても説得力に欠くよなぁ。

・イスラーム教をなぜ理解できないか(2)リベラル・バイアスが邪魔をする〜米国のガラパゴス(中東・イスラーム学の風姿花伝)
・イスラーム教をなぜ理解できないか(3)「ルター・バイアス」が曇らす宗教改革への道(中東・イスラーム学の風姿花伝)
→ 続き。これらもよく分かる話であり,同意する。というか,欧米のリベラルな知識人の多くが(2)で論じられていたようなリベラル・バイアスや,ルター・バイアスにかかっているのなら,彼らはダメすぎる。
→ 特にルター・バイアスについて言えば,ワッハーブ派の成立がルターの宗教改革に近い形で登場したということは日本の高校世界史の範囲の話であり,ここで論じられているたぐいの欧米の知識人はそれすらできていないということになる。もっとも,その教育を受けてきたはずの本邦の知識人が,どの程度正しい認識を持っているのかと問われると,いろんな意味で答えに窮するのだが。
→ また,「ルターのような人物が出てきて、原典に立ち返り、教会権力と聖職者たちから解釈権を奪って宗教解釈を民主化すれば」という発想自体が歴史修正主義と言っていいレベルで誤った歴史認識であり,実のところ宗教改革と啓蒙思想の発展は直接的に結びついているわけではない。領邦教会制やイギリス国教会の成立経緯やその後の歴史を鑑みてもわかろう。こういう誤解は,おそらく「欧米の」というよりもアメリカ人の発想なのではないかと思う。アメリカ北部中心史観に則ればこういう素朴な認識が出てくるのも不思議ではない。


・幕府代表とペリー艦隊の飲みニケーション全5回まとめ(Kousyoublog)
→ 歴史の一幕としてすごくおもしろい。日本人食い過ぎ&飲み過ぎ。
→ 他の方のブコメに「このエピソードだけで映画一本作れそうなほど面白い」とあるが,全力で賛同する。ネタがネタだけに難しいかもしれないが(一応は不平等条約なので),『超高速参勤交代』のような方向性で作ればかなり盛り上がるネタだと思う。


・邦画オールタイムベスト10を集計しました(破壊屋ブログ)
→ 洋画中心なので,7本しか見てるのがなかった。
→ こういうランキングに三谷幸喜作品が一作も入らないのは,あれはいわゆる「邦画好き」には受けない作品群ということか。「アニメ映画好き」に新海誠が敬遠されるのと似たような雰囲気を感じる……というよりもこのランキングにアニメ映画もランクインしていて,新海誠が一作もない(もっともそれには納得するのだが)。




→ あるある。どんなジャンルでも大体こんな分類になりそう。
→ 2のリアクションになるときは,聞く方の聞き方も上手い印象。具体的な作品持ってきれくれないと論評しようもな。私自身,「世界史の学習法」を聞かれたら,「具体的にわからないところを持ってきて。『全部わからない』なら適当にセンター1年分でも解いてきて」と返事をしている。  
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2015年08月22日

非ニコマス定期消化 2015.5月中旬〜6月下旬



テンションとマダンテは偉大であった。完結おめでとうございます。よし,次はドラクエ7だ!(無茶)



意外と競技として成立しているのが笑える。駒の動きを瞬時に判断しないと行けないので,慣れの差が大きそう。しかし,ボールを浮かせればゴール前を固めていてもあまり意味が無いので,まじめに考えるならそこはなんとかしないと。



これも頭が悪くてすばらしい。なんでも遊戯王ノリにするとおもしろいのはそうだが,いかにそのゲーム自体を遊戯王っぽくするかが,本当におもしろくなるかどうかのポイントではありまして。ネーミングのそれっぽさといい,無駄なデュエルディスクといい,これはがんばってる。



18:20から,皆大好き「ドライブをAPに」。あれもTASさんがやるとこうなります。



バグらせると部分的な挙動がおかしくなるんだけど,目だけおかしくなるというのは割りとよく見る。目は独立したパーツなんだなぁ。



4分過ぎからのFF5と8分過ぎからのポケモンで大爆笑。



二期は京アニにしよう(提案)。敷波の中川先輩っぽさと,磯風の麗奈っぽさよ。



これは良い静止画MAD。めっちゃおしゃれ。



すっごい出落ち。謎の再現度の高さ。



安心と信頼のけいえむアレンジ。
  
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2015年08月20日

C88参加記録

13日:前日
新潟・草津旅行から帰宅。ブログの更新をしたりアニメ見たりしながらダラダラと。ORATORIOが来る予定だったが,急に仕事が入って三日目のみ参戦となる。とりあえず彼に「現時点でのチェックリストください。」とスカイプで話しかけて様子見。意外となんとかなりそうだったので,参戦する三人(旅行と全く同じメンバー)で分担して考えることにする。結果的に,自分の買い物がほとんどなかった頬付くんにほとんど投げることになったが。22時頃に就寝。


14日:初日
いつも通り午前3時40分頃に起床。4時出発,4時40分頃着,西に待機。今回の初日の西入場待機列は,プロムナードの時点で「企業行き」と「同人誌行き」に分かれていた。ついでに言うと列の圧縮時間が830じゃなくて845だったのだが,これは前からだっけか,ちょっと記憶が無い。なお,初日なだけあって「企業行き」の列は始発組到着後大惨事になっていたが,「同人誌行き」は列の伸びが最後までゆるかった。目測で人口比は4:1くらい。なお,「同人誌行き」は館内入場後に西1・2行きと東西連絡通路行きにさらに分かれたが,東西連絡通路行きの方が多かった,これまた4:1というくらいの人数比。開幕直後の西1・2ホールは相当に過疎っていたのではないだろうか。

この日の午前はほぼずっと曇り空で,気温はじりじりと上がっていったものの,日差しが少なくて健康管理の面では楽であった。1Lのアクエリアスを持っていったが,帰宅までに飲み干さなかった。午前5時過ぎにちょっと小雨が降って不安になったが,終わってみれば雨が降ったのはそのタイミングだけで,まさに天運に恵まれたコミケ初日となった。これだけ快適だった夏コミは,自分のブログに残っている夏コミの参加記録を読む限り2008年の夏コミ三日目以来のようである。9時20分頃から列移動開始,40分で固定,東西連絡通路のど真ん中辺り。例年ならもうちょっと前まで行けるので,東西連絡通路ルートが知られてきてしまったのかもしれない。10時5分頃に会場入り。

私は東方の買い物の方が圧倒的に多かったので東456スタート,残りの二人は艦これ関連からということで東123からスタート。そんな気はしていたが,東方側の方が比較的まだマシで,艦これゾーンの方が混んでいた。もっとも大差があったわけではなく,いずれも異常な混み方には違いなかったのだが。私の初手は劇毒少女だったのだが,前回の参加記録で「次のコミケあたりはシャッターじゃないか」とか書いていたら,本当にシャッターになっていて笑った。戦果はまずまず好調で,作戦会議ミスで誰も買いに行かなかったサークルが1つあったのと,葉庭の出店が完売していたこと,乱痴気乙女が爆速で完売したこと以外は,ORAの注文分も含めて全部買えた。乱痴気乙女は,まあ突発的急激に人気になって島中にサークル配置するとそういうこともあるよね,という。サークルの中の人は気に病むことなく,こんなことは気にせずにいて欲しいところである。

艦これで列のさばきというと,比村乳業は感動的とすら言えた。前回の「魔性の潮」が出たときは大惨事の極みだったが,今年はサークル側が対策を大幅に強化,グッズが売り切れるや否や列に並んでいる人に両替させて500円を握りしめさせるという徹底ぶり(新刊は500円なので)で処理の迅速化を図った。列に並んでいた側も,前回のリベンジということはわかっていた。結果として,大量に入荷された「続・魔性の潮」は開場からわずか1時間半で完売となった。そして比村さんのこのtweetである。コミケの列処理の難しさを知っている人からすると,ちょっと泣けるレベルですよこれ。





最後に企業に行って,オーガストだけ買った。相変わらず長蛇の列が爆速で処理されていき,10分弱で購入。周りを見渡した感じではニトロプラスとufotableが大惨事になっていて,角川がそれに次ぐ行列になっていた様子。ところでオーガストはフルカラーの宣伝用冊子を無料で配布するという剛毅極まりないことをやっていた。金あるなぁ……お布施している身が言うのもなんですが。 ニトロプラスは人事ながら,男性向け列と女性向け列分けてやればいいのに,とは思った。刀剣乱舞の図録目当ての女性ファンが多い中,『楽園追放』の小説が欲しかった男性陣は完全に被害者では。

13時10分頃に終戦。30分頃に残りの二人と合流して帰宅。昼飯を食って戦利品を読み,18時頃から仮眠。0時に起床してデレマスアニメを視聴。終了後再び意識が途切れた。


15日:二日目(不参加)
9時頃起床。二日目は不参加で,欲しいものはMukkeさんに頼んだ。TLを眺めつつネットサーフィン,ブログの更新。昼飯をくったり昼寝したり。この辺あまり記憶がない。18時頃に通称「バ会」へ。昨年の反省を活かし飲み過ぎに注意しつつメロン日本酒を食す。今回も大変楽しいオフ会でした。あの場でしかできない話をしたり聞けたりしたので良かった。そうそう,この場で白バラコーヒーというものの知見を得たので,今度入手して飲みたい。「DGさん,MAXコーヒーが好きならお勧めですよ」と言われたら飲むしかない。なお,この辺の会話でわかる通りバーストリンカー(隠語)は全体的に甘党であり,「健康診断の中性脂肪がヤバイ」という話題で盛り上がるという思わぬ展開を見せ,「バーストリンカー(隠語)は頭使うから仕方ない」という納得せざるを得ない理屈付けがなされたので,この場で報告しておこう。あ,私はMAXコーヒーの常飲をやめた結果,まともな数値に戻りました。

22時過ぎ,ORATORIOが到着したのでバ会を離脱して帰宅。翌日の準備をして0時頃に就寝。


16日:三日目
初日同様,3時40分頃に起床,4時過ぎに出発し,4時50分頃到着。やや出遅れたかと思われたが,西に並んでみるとそうでもなかった。この日は初日ほど楽ではなく,7時を過ぎたあたりから日差しが出始めてじりじりと焼かれた。9時10分頃から列圧縮・移動を開始,館内の思っていたよりも前の方まで来られたが,これは初日よりも西1・2ホールに行く人が多かったせいだと思われる。9時40分頃に固定,10時7分頃に会場入り。初日を鑑みるに艦これゾーンが地獄になりそうだったので,人の空いているうちにこちらを撃破しておこうと思い,三日目は先に艦これゾーン(東1・2)へ。結果的にこれは正解で,東の買い物をすべて終えてから西1に渡るために再度東1に行ったところ,完全に地獄絵図だった。初日の反省からつゆは提督のサークルに早めに行ったのだが,意外なことに列は全くなし。人の流れは読めない,わからない。

11時頃に東123が終わって456へ。まほ〜びん,Redrop,VISTAとそこそこ列のあるサークルを3つ撃破して12時,アイマスの島中を回って12時半に東は終戦,西へ。これまた意外にも列がゼロだった徒然チルドレンを買って,みかんの星で「猫を殺す話」を買い,13時頃に終戦。Mukkeさんに会って二日目の戦利品を引き取る。その際,偶然にもMukkeさんの妹を見かけたので,実在したことをはてな村の方角に報告しておく。実は彼女である可能性が微レ存……? Mukkeさんから二日目の戦利品を買い取った時点で,残り所持金が216円であった(電子マネーへのチャージを除く)。いろいろと限界である。残りの面々を待って,14時頃に会場を脱出,15時過ぎに帰宅。お疲れ様でした。  
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2015年08月17日

新潟・草津旅行記

11〜13日に新潟・草津に旅行したので,記録を残しておく。

11日:東京→新潟
旅行の準備を持ったまま出社して午前中は仕事。午後を有休にして,同行者(頬付隙間坊主)の車に職場近くから拾ってもらう。関越自動車道に乗って一路新潟へ。11日はほぼ移動しただけであった。なお,初日の旅行先が新潟になった理由は「ちょうどいい距離のドライブ先」であり「旧斉藤家別邸が話題になっていたから」の二点しかなく,深い理由はない。

関越自動車道で思ったのは,埼玉県の西半分は本当にど田舎であること。群馬県の山々の風景は意外と富山県や石川県あたりの風景を思い起こさせてやや感動したこと(私の心の原風景)。反面,新潟県は妙高を抜けると早々に360度一面水田になってしまい,これはこれで趣深かったものの若干意外であったこと。関越トンネルは本当に長かったこと,あたりであろうか。

あとは,川越の芋納豆が大変に美味かった(高坂SA)。しかし,甘納豆の時点で納豆とは無関係なところ,材料が豆ですらない芋納豆が納豆を名乗るのは経緯を知らないと意味不明ではという疑問が拭えない。元は「甘納糖」であったが語感の近さと原材料の共通から「甘納豆」になり,原材料が大豆以外の豆(えんどう豆や小豆)が使われるようになったことから「甘納豆」が製法名に転化,その製法を芋に適用されて「芋納豆」になったらしい。ググると川越の老舗には「芋納糖」を名乗る店もあるようだが,字面の問題から言えばそちらのほうが正しい。

長岡JCTで北陸道に変わり,新潟中央ICで降りて,17時頃に新潟市着。この日の観光は無理ということで早々に旅館にチェックインして,夕飯を探しに。事前の調査で古町の辺りに飲み屋が固まっているとわかっていたので,そこら辺に。知らなかったのだが,こういう中核都市で駅前と繁華街が別個に存在しているというのは珍しいと思う。また,歩いてみて思ったのだが,人口が80万人もある都市にしては全体的に平べったく,贅沢な土地の使い方をしている印象を受けた。他のこういう都市はもうちょっと雑然としていると思う。富山や金沢もそうだから,雪のせいというわけでもないだろう。しいて言えば越後平野がかなり広いので,都市機能を密集させる必要がなかったということなのかもしれない。翌日の観光で,そもそも新潟市は他の日本海側の都市と比べて雪が降らず20cmくらいまでしか積もらないと聞いた(佐渡ヶ島が盾になっているため)。

結局,とある居酒屋でのどぐろ,のっぺい等を食した。



のどぐろはめちゃくちゃ美味しかった。また日本海側に行った際には必ず食したい。あとわっぱ飯も良かった。日本酒は言うまでもなし。適度に酔って就寝。


12日:新潟→草津
午前中は新潟市内観光。まずは目的の旧斉藤家別邸。ここの建物と日本庭園は本当に良かった。あまり深い動機もなく行ってみたが,ここは行く価値がある庭園だと思う。建物や庭園は解説員の人が常駐していて,かなり丁寧に説明してくれる。その意味で,特に日本庭園に慣れてない人は行く価値が高いと思う。



「庭園と建物の一体化」をテーマにした建築物であり,その一点に創意工夫がふんだんに込められている。建物の側はどの部屋であってもいかに鑑賞者を邪魔しないかに注意が払われ,逆に庭園の側は建物の中から見られることを最優先に構成されていた。たとえばこの写真は入ってすぐの大広間から撮られたものだが,不安になるくらい柱が少ない。典型的な数寄屋造り・書院造りの建物ではあるが,建てられたのはほぼちょうど100年前の1918年であり,直接目に見えないところではかなり近代的な造りになっている。つぶやいた人も書いているが,だからこういう無茶が出来たのだろう。

逆に庭園の側は建物すぐそばの大池を超えるとすぐに丘が迫っており,建物の屋根もあって眼前すべてが樹木で埋まるように設計されている。この丘は築山ではなく新潟砂丘の一部だそうで,かなり驚いた。実際に登ってみると,確かに樹木が生えていないところはあからさまに海岸の砂浜になっていておもしろかった。これは作庭するの苦労しただろうと思われるが,建物内に展示されていたこの地域の歴史を読むと,海岸に向かって急激に盛り上がる砂丘を利用し,松を植えて防砂林にしつつ鑑賞用にもする作庭は江戸時代後期からすでに行われていたそうだ。考えることは昔の人も同じであった。自然風景を見立てるための築山を見立てて自然の砂丘を用いたのだから相当なねじれである。枯山水よりひどい。

なお,旧斉藤家別邸は文字通り斉藤家の所有であり,別荘・来賓用として用いていた。しかし斉藤家は戦後の農地開放と当主の死亡による相続税に耐え切れず売却,加賀田家という建設会社が購入。この加賀田家も維持に苦しんだ末2005年に売却,購入者が取り壊そうとしたところ反対運動が盛り上がり,2009年に市が買い取って補修,2012年に観光名所としてオープンした。つまりオープンしたのはかなり最近である。これについては新潟市の英断に感謝するしかない。上手く宣伝していけば本当に新潟市随一の観光名所にできると思う。

もう一箇所行ったのが,旧斉藤家別邸のお向かいの北方文化博物館新潟分館。建物を建てた人は油田で一発当てた人だそうで,大変に新潟らしい話である。こちらも同じような明治末・大正時代頃の建物だが,一言で言えば「センスの良い田舎のおばあちゃんち」で,昭和の中期まではこういう豪邸が地方のどこでもあったんだろうなと思う。風通しの良い畳敷きの広い部屋から板葺きの縁側に続き,そこから直接庭に出られる。庭で小うるさく鳴くセミを聞きながら,スイカでもかじりたくなる(売ってないのが残念)。たまに野良猫が縁側で寝ているそうだが,それって完璧なのでは(建物の保存上はまずいが)。



受付の方曰く「雰囲気を出すためにわざとというわけではなく,壊れるまで使っているだけ」とのことだが,調度品もいい感じに昭和中期・後期で,この写真にあるような扇風機に,20年は経ってそうな冷蔵庫やコンロとこうした邸宅系観光地としては珍しいほど生活感にあふれた状態であった。あまりにノスタルジーあふれる雰囲気に思ったよりも長居してしまった。

この二つを見て,昼飯。へぎそばを食べたかったが上手く見つからず。これも次に来た時の宿題にとっておこう。そうして新潟を離脱して草津温泉へ。途中志賀高原に立ち寄る。ここのドライブは非常に良かった。

志賀高原

全然知らなかったが,国道最高地点(2172m)だったらしい。白根山を通るルートを予定していたが,警戒レベルの都合上午後17時以降は閉鎖されていて,通りがかったのがちょうど17時5分であったがために通れず,迂回。これはちょっと残念。18時半頃に草津温泉に到着。硫黄の匂いが立ち込めているのを嗅ぐと,温泉地に来た感覚が強くなってよい。標高1200m付近なだけあって,半袖Tシャツだとかなり涼しかった,というか寒かった。そういえば典型的な避暑地に泊まるのは人生で初めてになるような気がするが,避暑地なめてました。ペンションブルーベルというところに泊まったが,経営者のおじさんのジョークがユーモアあっておもしろく,夕飯はおいしかったし,風呂は当然温泉,2匹いる猫はモフり放題で欠点が見当たらない(しいて言うと壁は薄い,隣の部屋のいびきが聞こえた)。ここはお勧め。


13日:草津→東京
午前中は草津観光。湯畑を見学。



湯畑に「草津に歩みし100人」と題して,草津温泉を訪れた有名人100人が挙げられた表札があったのだが,

草津温泉

この絵面はちょっとシュール過ぎるのでは。大和武尊は実在が怪しいし,入りに来たのかも怪しい。その意味でルシウス・モデストゥスがいるのはいい緩衝材なのかもしれない。言うまでもないが,草津温泉は『テルマエ・ロマエ2』の舞台となった。その他の人物は歴代の首相や種田山頭火などの詩人,岡本太郎などの芸術家など。その後は西の河原温泉に入って,温泉まんじゅうを買う。12時頃に離脱し,東京へ。榛名山を通って「榛名さんは本当に大丈夫なんですか?」と言うお約束,イニシャルDの聖地巡礼をこなして(ドリフトはしてません),17時頃に帰宅。翌日からのコミケに備えてのんびり過ごした。
  
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2015年08月15日

C88サークルチェックリスト(三日目)

まあ,いつも通りな感じです。

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2015年08月13日

C88サークルチェックリスト(初日・二日目)

初日は艦これ少なめ,東方多め。二日目は不参加予定。

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2015年08月12日

新々課程の社会科全般について

前回の議論の続き。今日の議題は残りの「地理総合」と「公共」だが,先に「地理総合」から取り上げる。地理総合は地理Aを改変して設置する必修科目(予定)だが,この科目が出てきた事情は,現在の地理Aおよび地理Bの置かれたちょっと特殊な状況から振り返らなければならない。

まずデータから見てみよう。平成27年度センター試験(本試)の受験者数は地理Bで146,846人,地理Aで1,843人であった。地理Bの受験人数は昨日の記事で紹介した世界史Bの受験人数(84,053人)よりもよほど多い。これでなんだ人気あるじゃないかというのは早計で,実は地理Bの受験者の大半は理系である。どういうことか。地理Bは,同格の世界史や日本史に比べると暗記量が圧倒的に少ない。用語数がおおよそ半分しかないというのが界隈の定説である。特にセンター試験はその傾向が強く,用語を暗記していないとどうにも解けないという問題が少ない。だから,暗記慣れした文系と戦わなくていい戦場という点で,地理は理系にとって相対的にマシな科目になる。代わりに提示された統計資料や地図から当てをつけて推測する能力が問われる問題が多いが,そういうたぐいの問題なら文理はあまり関係が無い。

逆に言って,純粋な文系としてセンターを越える地理Bの勉強をしている人は,実は非常に少ない。全統記述模試なり駿台記述模試なりの科目別受験者数を調べてみると,文系としての地理の模試受験者数は大抵の場合で日本史や世界史の半分以下しかいない。特に私大専願に限ると一気に十分の一程度まで減ってしまう。これが文系の地理人口の実態だろう。これにはちゃんとした理由がある。大学でちゃんとした人文地理学科があるところが少ないのだ。結果として地理を教えられる高校教員が育たない。地理は日本史と競合する選択科目なので,高校としては日本史を設置して逃げる。ゆえに受講できる高校生は限られる。当然,大学で人文地理学科に行こうと考える高校生のパイ自体が限られる。結果として,大学教員として人文地理学を専門とする研究者も限られるし,人文地理学科が新設されにくい原因にもなる。負のスパイラルに近い。(ちなみに,こうした事情からか,入試問題もひどいものが多いし,批判する人も少ない。是非ともどなたかに『絶対に解けない受験地理』を書いてほしい。)

これらにより,本邦の高校生は理系に行くと地理を勉強するが,文系に行くと地理を勉強しないという謎のねじれが発生している。それで「全く勉強しない」のはまずいということで,文系の地理Aの必修化案が浮上した。しかし,A科目が全般的に機能していないのは昨日書いた通りで,地理Aも例外ではない。名目上ではあるにせよ近現代重視ということになっている世界史A・日本史Aに比べて,地理Aはそういう特性すらなく,単純に地理Bを簡素化したものというぞんざいな扱いであった。だからこれを機会にてこ入れして,環境問題と防災にだけフォーカスする。ついでに看板も掛け替えてしまおうというのが「地理総合」の趣旨である。こういった経緯と趣旨なので,少なくとも設置の意義は理解できる。もっとも,受験科目にならない以上は未履修問題が浮上するのは必然で,何の工夫もなく設置すれば現在のA科目同様に実態上存在しない科目と化してしまうとも思う。

また,履修の体系における地理総合の位置づけは大きな論点になる。再度書くが,現行の地歴は「世界史AまたはB」から1つと「日本史AまたはB,地理AまたはB」から1つという構成だ。ここから「地理総合」を必修としつつ,「歴史総合」も必修として設置するとすると,おそらく下のいずれかくらいになるのではないだろうか。あくまで私の予測でしかないが,それなりに近い形になると思う。

・地理総合(2単位) + 歴史総合(単位数不明,多分2単位) + 日本史B or 世界史B or 地理B(4単位) 計:8〜10単位

他教科との兼ね合いを考えると,合計8単位以内には収めたい。まずまず合理的だと思う。大学受験を考えた場合の話もしたい。2020年からセンター試験は「新テスト」に置き換わる(予定,新国立競技場並に泥沼と化している現状に目を背けつつ)。仮に「新テスト」がセンター試験と全く同じ科目配置だとすると,ほとんどの大学は4単位科目しか受験科目として認めていないので,これらの場合はやはり歴史総合や地理総合は有名無実な科目と化してしまうだろう。

これを避ける手段は2つ思いつく。1つはちゃぶ台を返すようだが,地理総合は廃止にしてしまって地理Bを必修科目とし,歴史総合は4単位にした上で,以下の履修体系にする。
・地理B(4単位) + 日本史B or 世界史B or 歴史総合(4単位) 計:8単位
もう1つは,履修体系はいじらず,「新テスト」で「地理総合」と「歴史総合」を国公立大学の必須科目にしてしまい,50点+50点とする。これにB科目1つ(世界史・日本史・地理)の100点分を加え,国公立の文系社会科は原則として200点満点を要件にすれば,皆強制的に地理総合や歴史総合を勉強するようになるだろうし,テストの難易度を低く抑えれば受験生の負担もそれほど増えない。


「公共」についてはまた書く余裕がなくなってしまった。別の機会に何か書くか,まあ書かないでいいかになるかはわかりません。
  
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2015年08月11日

新々課程の「歴史総合」について

2022年からの高校教育課程について,社会科の科目の抜本的改革が提唱されている(リンク先は日経新聞)。今回提言されているのは「歴史総合」「公共」「地理総合」の設置である。これらに対する解説と評価は,一応の歴史教育系ブロガー(?)として論じておかねばなるまいと思ったが,書いていたら長くなったので,前後編に分けることにした。先に結論だけ書いておく。

・「歴史総合」は実態として機能するかが大きく運用と「新テスト」にかかっており,受験科目化するなら評価できる。
・「地理総合」はおそらく実態としてあまり機能しないが,設置意義は評価できる。
・「公共」は発案した奴誰だよ。無駄の極みだよ。


この前編では歴史総合について扱う。「歴史総合」は,世界史と日本史の近現代史部分のみを扱う科目である。これは現行の制度崩壊に関する議論から生まれた発想だが,その制度崩壊を説明しておきたい。

現行の高校地歴科の必修は,「世界史AまたはBから1つ」と「日本史AまたはB,地理AまたはBの4科目から1つ」の合計2科目履修となっている。しかし,現状のこの課程は全く上手くいっていない。ポイントはAとBの違いである。
1.B科目は内容が厚く難関大学を受験する高校生向け。A科目は競争率の高くない大学の受験生や,受験を意識しない高校生向け。
2.日本史・世界史のB科目は前近代から近現代まで満遍なく履修する。A科目は近現代を重視する。前近代はほとんど扱わない。
3.B科目は4単位でA科目2単位である。つまり,B科目の履修にはA科目の倍の授業数が必要。
(多くの高校ではB科目は2年かけて終わらせるが,A科目は1年で終わる)

一見すると上手い住み分けのように見えるのだが,実際には早期に崩壊した。理由はいくつかある。まず何より,選抜性の低い大学も含めたほぼ全ての大学においてA科目は受験科目として認められておらず,相手にされていない。国公立大はセンター試験が必須,私大専願でも今時は必ずセンター試験を受けて私大入試に利用する(センター利用と言って,入試をセンター試験の点数で肩代わりする制度がある)。そして受験要項を見ると,ほとんどの大学はB科目を要件にしていて,A科目では受験できないのである。難関大学だけではない,偏差値的にはかなり下位の大学であってもBを要件にしている。その結果は受験者数が雄弁に物語っている。A科目の受験者数はB科目の50分の1以下に過ぎない。具体的な数字を出しておこう。平成27年度センター試験(本試)では世界史Bが84,053人に対し世界史Aが1,376人。日本史Bが155,273人に対し,日本史Aが2,409人。

また,センター試験自身も制度を裏切っている。A科目の難易度はB科目より有意に易しいとは言えない程度には難しく,前近代からの出題も多く,矛盾した話だがB科目を勉強していかないと高得点にはならない。結果として,平均点は世界史・日本史いずれもB科目の方が15点以上高い。受験者層のレベルに比して,A科目の難易度が明確に高すぎるためだ。この実態から乖離した難易度は幾度となく指弾されてきたが,とうとう是正されないままセンター試験自体がなくなりそうである。大学側がB科目を必須要件にするのは,難関大を自称したい見栄の問題もあっただろうが,それ以上にこのセンター試験A科目の惨状を鑑みてのことだろう。

A科目の闇はまだある。進学校の世界史A未履修問題である。2006年頃に発覚して話題になった。上述の通り,高校生は地歴のうちから2科目が必修だが,ほとんどの受験生は地歴を1科目しか使わない。ゆえに高校の側も,使わない方の科目をAで履修登録させておいて,実際には受験で使う方のB科目の授業を受けさせるか,自習時間にしてしまう(当時のうちの母校は前者でした)。受験に使わないならせめて近現代史だけでも軽くさらっておけというのがA科目の存在意義の一つであったはずだが,軽くですらさらいたくないというのが進学校の本音である。

それでも,大学受験を全く考えない層の多い高校にはA科目が必要なのでは? という意見があるかもしれない。私はその意見には反対である。なぜなら内容の軽重は高校教員の主体的な判断・裁量に任せられるべきで,受講する生徒の力量を鑑みて教える内容を決めればいいのである。高校の教員にそのくらいの権限があっても良かろうと思う。教科書だって現行でさえB科目なのに受験を意識しない高校生用のものがある謎の状態なので(その存在自体がA科目のアイデンティティクライシスである),A科目を廃止したところで全く影響が無いのは明白である。


それで,私がここで改めて訴えるまでもなくA科目廃止論は長らく議論されており,どう廃止するかが焦点であった。しかも,折からの安倍内閣の要望で日本史の必修化議論が出てきた。しかし世界史を必修から外すのは大学の側から猛反発が出て,世界史と日本史の両方を必修にするというのは現場の事情から言って不可能である。そこで出た発想が実態上ではなくお題目上の(ここ重要)世界史Aと日本史Aを融合させた「歴史総合」であり,これを必修にする代わりに,世界史と日本史を両方とも必修から外すというものである。経緯を知っていると,容易に否定できない科目であることは,理解していただけると思う。

さて,これが実態をなすかどうかは,前述の結論で述べたように運用上の問題が大きいと思われる。世界史Bや日本史Bと並ぶ受験科目として認知されれば意義の大きい科目になるだろうが,ならなければ現行のA科目同様に没落するであろう。だから,あらかじめカリキュラムの側で,世界史Bや日本史Bと同格に並べてやればよいわけだが,現状「歴史総合」が2単位か4単位なのか自体が明らかになっていない。活きた科目にするなら4単位としてほしいものである。
  
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2015年08月10日

最近読んだもの・買ったもの(MA07他)

・『マグダラで眠れ』1巻。支倉凍砂の『狼と香辛料』の次の作品(と言っても連載開始は3年ほど前)。舞台は似たような中世ヨーロッパ後期,主人公は錬金術師(という名前の原始的な科学者),ヒロインは錬金術師を監視するために派遣されてきた修道女である。1巻はまだ舞台・設定の紹介で大きく物語は展開していない。2巻を読んで様子見といったところ。正直,現時点では『狼と香辛料』や『『WORLD-END-ECONOMiCA』のようなわくわく感はない。
→ 同時に『少女は書架の海で眠る』も買ってはあるが,未読。読んだらまた何か書きます。


・『ヒストリエ』9巻。フォーキオンへの計略,カロンとの再会,そしてカイロネイアの戦いの開戦。某所のレビューにもあったが,いよいよカイロネイアの戦いが始まって,遅々として進まなかった物語が大きく動き出したような感覚がする。戦争が始まっただけで終わったわけでもないのに,別に大きな伏線が回収されたわけでもないのに,それに近いような感動を覚えた。それが本作の積み重ねではあるのかなと。


・『アド・アストラ』3・4巻。ファビウスの持久戦略の開始と,それに従えない民心,離反する兵卒,カンパニア平原の攻防戦からゲルニウムの戦いの敗北,そしてカンナエの戦い前夜。
→ こんだけボロボロに何度も大敗してるのに,まだハンニバルに正面から戦って勝てると思ってるとかアホかとか,いまだもって軍事独裁が怖くてシチリアからマルケルスを呼び寄せないとか何余裕ぶっこいてんのとか,後世の人間だからこそ言えることはたくさんあるが,それも歴史物の醍醐味か。カンナエの大敗フラグが着々と積み上がりつつある4巻であった。


・アイドルマスター『MASTER ARTIST3 07 如月千早』。というか『細氷』。万感を込めて歌っているとしか表現しようがないこの曲。すでに過去の千早曲との関連性は指摘されている。



→ 暗い過去に抗って,戦って,受け入れて,それでも前に進んでいくというのが千早曲で,これは『蒼い鳥』から『細氷』に至るまで基本的に変わっていない。それでもあえて言えば,『蒼い鳥』も『目が逢う瞬間』も後ろ暗さがあった。『眠り姫』はまだ夜明け前だった。『約束』は765プロの他のアイドルに助けられての楽曲だった。そして『細氷』である。やっと彼女は突き放しすぎることなく,悲しみに沈みすぎることなく,前を向くことができるようになったのだ。「悲しみや切なさのない光」を待っていたのは,何よりも彼女自身であろう。歌詞が異常に長くしかも詰め詰めだが,感情が溢れすぎていて“言葉にならない”のをよく表現している。だからこそ最後は「心に溢れてく気持ち分け合えたのなら あなたへとあなたへと想いを込めて歌うの」と来る。それを歌う今井麻美の感情表現もすばらしい。『約束』といい『細氷』といい,こういうのを歌わせたらえげつない。歌詞といい,今井麻美の歌い方といい,完全に如月千早の集大成だった。
→ 歌が好きなのが春香で,歌が人生なのは千早,というのはやや千早に対してネガティブ気味に語られてきた対照で,だからこそ春香がアイドルマスター世界における完成されたアイドルとして扱われてきた節がある。今回でやっと重すぎるくらい歌が人生だった千早が,重いままでもよいのだと自己を肯定してくれたような気がして,千早Pとしても万感あふれる。これは逆説的に,劇場版あたりから千早が歌以外にも興味を持って接することができるようになったことともつながっている。
→ ところで,これを作詞した人は『目が逢う瞬間』と『隣に・・・』と同じ人である。毎回すごい歌詞が来るな……


・『スカーレットオーダー』4巻(完結)。言うべきことは一つ,これで完結とか誰も納得してないよ? 正式に続行できないなら同人誌で補完でもなんでもいいので,ちゃんとした『ダンスインザヴァンパイアバンド』シリーズの終わりを見せて欲しい。
→ 一応,伏線の大多数は回収したんよなぁ。敵(偽姫様,真祖の男)との決着がついていないだけで。回収できていない伏線というと,李大公家の内情と,偽姫様の行動の目的,赤御魂に触れたミナ姫の変貌くらいか。  
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2015年08月09日

超長期的社会変革は誰が主導するのだろうか

・決して救われない社会的弱者「キモくて金のないおっさん」について語る(Togetter)
・ 男女平等、格差対策、少子化対策のトリレンマ(KYの雑記ログ)
→ 上のTogetterだけだと何が何やらわからなかったが,下の解説は腑に落ちた。そうしてTogetter本文を読むと,まずまずなるほどと思える。今回の話の主眼は女性の社会進出支援と少子化対策が結果として「キモくて金のないおっさん」をさらなる窮地に追い込んでいる可能性がある,という点にある。
→ ただし,下の記事を除いた全体の議論の流れでは,ここから「おっさんは男性である時点で既得権益がある」という批判の方向に話の主軸が行ってしまったのは残念である。言うまでもなくこれ自体はフェミニズムの側からすると真っ当な主張で批判されるものではないのだけれど,今回はそれとは全く別の話なところ。同様の理屈で「キモくて金のないおばさん」の救済についてもまた別の話で,そりゃおじさんもおばさんも救済すればいいだろうという話にしかならない。「ネットの議論は互いの陣営の愚か者批判に堕しやすい」の一例と言えるかも。
→ 下の記事に対しては「パワーカップルへの課税は誰が反対しているの?」という反論が見られたが,もう一度下の記事を読みなおした方がよい。上手い形でパワーカップルへの課税をしなければ女性の社会進出を阻害する可能性が指摘されている,と記事中に書いてある。「金持ちの女性は「キモくて金のないおっさん」を専業主夫として結婚しろということか?」とさえ読まれている節がある辺り,下の記事がこれだけ誤読されること自体に,この社会問題の闇を感じる。
→ 根本的に事実婚やシングルマザーを許容しなければトリレンマが起こるのであれば,これはもう少子化単体の問題ではなく既存の社会構造自体が間違っているという話になるが,では今から結婚制度や一夫一婦制自体を全く別の制度に転換できるかというと,超長期的な社会変革になると思う。完全に人事として発言するなら,現在の北欧諸国は大規模な社会実験になっている感が強いので,どうせなら超長期的な社会変革にならないよう,行き着くところまでやってほしい気もする。
→ しかし一方で,そこまでやるなら「専業主夫を社会がより強く許容すること」や「女性は自分より年収の高い男性としか結婚したがらない風潮を打破すること」を目指した方がまだしも短期的に改善できるのではないかと思う。ついでに言うと,これらの原因は結局のところどこかで男性優位の社会が残っているから女性が保守的にならざるをえないという背景がある気はする。


・太陽誘電が光ディスク事業撤退。「想像を超える市場縮小」(AV Watch)
→ これはけっこう驚いたニュース。CD-RだけではなくてDVD-RやBD-Rすべてから撤退するとは。実際,自分自身を振り返っても外付HDDが出てきて,さらにUSBメモリが出てきて,数年前から全く使わなくなっていた。まあ,世の中からCD-Rがなくなるというわけではないので,象徴的ではあれ社会的影響は大きくなさそう。


・第一次世界大戦の影響で汚染された、知られざる立ち入り禁止地域。フランス「ゾーン・ルージュ(レッドゾーン)」(カラパイア)
→ 二次大戦はわかってたけどしょうがなく世界が破滅に突き進んでいった感じがするが,一次大戦は破滅への道だと知らずに未曾有の大惨事に突っ込んでいった感じがする。これもその一つだろう。
→ それにしても意外な広範囲で,塹壕戦とはそういうことだよなぁ。


・沈没船が明らかにする奴隷貿易の変遷(ナショナルジオグラフィック)
→ これは貴重な発見&研究。記事中にある通り,ほとんどの黒人奴隷は西アフリカ(セネガルからアンゴラまで)出身だった。モザンビーク発とは非常に珍しく,貴重な資料になるだろう。
→ ところで「大西洋奴隷貿易の時代に船に乗せられた1200万から1300万人の奴隷のうち、東アフリカから送られたのはおよそ40万人に過ぎない。」とあるが,数字が大きすぎて感覚が狂っているが40万人でもかなり大規模である。ついでに言うと,東アフリカ(ソマリアからモザンビークまで)はイスラーム世界としても奴隷の供給地だったはずで,モザンビークのソファラはもともとその意味での奴隷貿易港だった。時期が7世紀から19世紀と長いものの,人数はこちらも1000万人規模と推定されているから,決して小さくはない。  
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2015年08月06日

非ニコマス定期消化 2015.4月下旬〜5月上旬



午後4時・5時からの午後7時,そして午後11時で午前3時はもう狙ってるとしか。よし,お風呂に入って夜戦の時間だ!



151名版。BGMの効果もあって泣いてしまう。悔しがって轟沈するのと,史実の話をしながら轟沈するのは反則ですよ。



これは名作MAD。



本当にかわいくて上手いお二人です。




こちらは同じ曲で踊るイベントで,ぺんたとこずえ。他の人のもけっこう見たけど,やっぱりこの二人なんだよなぁ。



エディ先生の新シリーズ。またしても魔大陸が酷使される模様。低レベルで飛空艇バグを起こすのが辛いのが視聴のポイント。



昨年は「絵フォルダ無」が最大の衝撃ではあったかなと。ゲーム自体の出来は下を見れば下がいる国ではあるので比較的マシだったようだが,被害者数と事後の対応という点ではクソゲー史に名が残った。「ギャングスタ・リパブリカ」のFDやザウス本醸造を含め,古株や有名どころのやらかしが目立った気はする。「カスタムメイドオンライン」は最新作の評判が良いので,その養分になったと思えば……sealの他作品流用検証はすでに完全に文献学状態なんですがそれは。



狩猟生活二年目が開始。今年は昨年の収穫を活かして食糧環境は万全。



丸一年あるとTASさんはどれだけ稼ぐのか,という本シリーズを追っていた人には大変気になっていたこと。

  
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2015年08月05日

他教科だと東京書籍が強い

・『上坂すみれのオールソフィアンズニッポン』レポ(2015.5.31 in 上智大学)
→ 「大学のホームカミングデーの一環」で母校に呼ばれて,「恩師・上野俊彦教授の登場」で取れる笑いと,すみぺは本当に期待を裏切らないw。
→ 実際,私を含めてすみぺのファンは少なからずそのガチさに惚れているところは多かろう。ガチさを売りにするのではなく,売りになってしまうのは幸せなことだ。


・2015年度使用高校教科書採択状況 地歴編 (益体無い話または文)
→ 世界史Bはちょっと前だと山川の『詳説世界史』が70%近いシェアだったはず。今は約50%なので,相当下がっている。背景には東京書籍・帝国書院の方が難関国公立大の論述向けというのが認知され始めたことが大きかろう。というよりも,拙著にも書いたが,東京書籍は経済史の比重が厚く,帝国書院はグローバル・ヒストリーに拠っている。で,最近の難関国公立大の論述は明らかに社会経済史とグローバル・ヒストリーに重点を置いている,という言い方の方が正しかろう。その認知にはネットが大きくかかわっているので,山川は間接的にネットの登場で苦境になったと言える。それで山川の『詳説世界史』も新課程ではがんばってグローバル・ヒストリーに則ってみようとしているが,シェアを取り戻せるかはわからない。
→ ちなみに,山川と同様に苦戦しているのが実教出版で,ここも昔は10%以上のシェアがあって東京書籍と肩を並べていたはず。関西圏で強かった印象。いつの間に約6%なんて状況に。内容は悪くないんだけども。シェア最下位の『新世界史』は山川が半分趣味で出している教科書なので,指導者が読む分にはおもしろいし,論述の解答作りには役に立つけど,高校生の履修用の教科書としては使いづらい。シェア最下位は妥当なところ。
→ なお,世界史Bでも,シェア2位の東京書籍の『新選世界史B』と山川の『高校世界史』の2冊は受験を目的としていない。この2冊を抜いた冊数を100%として再計算すると,山川の『詳説世界史』が約66%である。受験を意識して教科書を使っている層に絞れば,まだ山川の『詳説世界史』のシェアが圧倒的とは言えそう。
→ 「世界史A」は受験を意識しない高校,または世界史が必修になっているから仕方なく履修させている進学校(高校生は日本史または地理を受験に使う)のいずれかが用いている。ゆえに冊数の割には話題にならないし,内容についての社会的影響力も高くない。こちらも昔は東京書籍の圧勝だったはずだが,今は帝国書院がシェア1位の模様。理由はわからないが,世界史Bの情勢もあわせて,帝国書院は実はすごい成長企業なのでは。資料集のシェアも高いはずだし。
→ ついでに。世界史Bは旧課程だと11冊の検定教科書が存在したが,新課程になった昨年に7冊まで減少した。三省堂,清水書院,第一学習社が撤退した会社である。もともとシェアは小さかったものの,三省堂なんかは独自色が強くておもしろかったので寂しい。
→ 日本史Bは,世界史よりも山川の『詳説』が根強い模様。確かに世界史と異なり,「山川の『詳説』だと論述で不利」といったような向き不向きの話は全く聞かない。比較的ではあるものの,こちらの方が実教出版のシェア順位が高いし,清水書院が生き残っている。日本史の方が保守的なのかも。
→ 地理Bは当然のように帝国書院の圧勝。というか新課程だと3冊しかないのか……


・国籍なきロヒンギャ族 実は群馬・館林に定住進む(朝日新聞)
→ グンマーとネタにされていた群馬に本当にミャンマーからの難民が来るとは。
→ まじめに考えると良いことだと思います。ただでさえ難民受け入れてなさすぎて国際社会に怒られている日本なので。


・閲覧注意?有明海のエイリアンを知ってるか 本家も注目(朝日新聞)
→ こちらは佐賀県。ワラスボはロマ佐賀2でもラスボスだった。よほど推しているらしい。記事になぜかPVへの直リンがないので,ここに張っておく。


→ このPVといい,ロマ佐賀といい,佐賀県は最近PRがんばってるし,上手いと思う。ロマ佐賀が県,ワラスボPVは市だから,連携していないはずだが,偶然重なったならすごい。これだけ宣伝されると行きたくなるが,残念ながらちょっと予定がないかなぁ。

  
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2015年08月04日

咲関連の気になったもの(15年2月上旬〜15年5月下旬頃)

・平和の作り手(咲-Saki-ブログ!〜麻雀下手でも咲が好き〜)
→ デュエルで使われていた銃について。和が持っていた銃がピースメーカーだから,平和系の役を作っていたのではないかという推察。そこで掛詞というかだじゃれになってるとは思わなかった。
→ その他のキャラについてはダヴァンがアサルトライフルでお前一人だけ時代新しすぎないか,という。多分これだと思うんだけど,とすると100年以上の差が。ユキは次記事で解説されていて,FN P90らしいとのこと。とするとダヴァンと同じメーカーになる。これもピースメーカーに比べるとかなり最近の銃器。では絹恵さんはどうかというと,別記事で言及があるが,M1861ネイビーとのこと。これまた古い。記事中でも言及されているが,ダヴァン・ユキが新しめ,和と絹恵が古めというのは何か対比があってのことなのだろうか。打ち筋ということなら一番納得できるが,和ってむしろ最先端なのでは。もっとも,和は自分で表示させているアバターがファンタジーであって「新しくて古い」感があるので,打ち筋の新しさに対してダヴァンから見たアバターは古くさい,というギャップを狙ったのかも。絹恵さんは本当にわかりません。


・『咲―Saki―』第138局[好機](さくやこのはな)
→ さすがにフェニキア文字は読めない。『咲-Saki-』はフェニキア文字読解まで必要とするのか。
→ その他,138局におけるユキの聖書引用や,左手を使った意味について。左手については純粋に物語の要請だけで言えば,部長が和に左手を使わせるフラグなんだろうけど,聖書的意味合いはちょっとわからない。リッツのことだから何かしらの仕掛けがあるとは思うのだけど。
→ コメント欄にも出ているが,索子の並びが「1818」なのも気になるところ。あれも多分わざとなんだと思うけど,よくわからない。『シノハユ』なら一索が特権的な地位なのでそれ自体に意味があるところだけど。
・138局のユキちゃんについて・補足(さくやこのはな)
→ 左手の使用についての補足。右手が子であるキリストを示す印をしていて,左手が父なる神を示す神聖四文字で発光しているなら,ユキ自身が聖母であるとすると西欧の伝統絵画の構図から言って理屈が成り立つ,という。なるほど。


・神境の姫はなぜ鬼になるのか?(かんむりとかげ)
→ こちらは日本神話・宗教からのアプローチ。少なくとも咲世界の霧島神宮の信仰は現実とはかなり異なっていて,「永水女子の属する霧島神境には南西諸島の文化、琉球神道の要素が入っている」のは間違いなさそう。
→ 『咲-Saki-』のキリスト教ネタは割りと素直というか,表現の段階でひねってはあっても,元をたどるとキリスト教そのままとわかる感じ。一方,日本の信仰を扱ったネタの場合は,いろいろ混ざっていて明らかに小林立独自の宗教になっている。hannoverさんのブログ記事を読んでも毎回思うけど,事の正否というか,一体リッツの中で創られた霧島神宮の宗教はどういう宗教なのか,大変気になります。
→ おそらく作中で開陳されることはない(し,望まれてもいない)ので,これについては『咲-Saki-』が終わるまで作者と読者でコミュニケーションが続くんだろうなぁ。


小林立先生HP更新(NaNじぇい)
→ 5/28時点のもの。ハギヨシ19歳は衝撃。
→ 言われてみるとその通りだわw>「>むちむちでもスレンダーでもどちらでもいいです。 設定厨なのに絵にする段階ではどうでも良くなってるのか・・・(困惑) 」
→ あとこれも,良いところを突いた指摘。返す返すも阿知賀編のコンセプト自体が惜しい。>「新道寺の出してない設定多すぎるでしょ阿知賀編相当無理して削ってたのが日を追う毎に露になってく 」
  
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2015年08月03日

最近読んだもの・買ったもの(アド・アストラ他)

・『アド・アストラ』1・2巻。サブタイトルの「スキピオとハンニバル」の通り,第二次ポエニ戦争を題材とした漫画である。主人公は一応後のアフリカヌスこと大スキピオということになるだろうか(作中では親父が生きているので小スキピオだが)。基本的には史実を忠実に追っていく形だが,史実がよくわかっていない部分や細部に関しては若き日のスキピオがやったことになっていて,18歳にしてすごい軍功だなぁおいという状況になっている。まあ,主人公補正と,後の史実補正ということで。その辺も含めて,正統派な歴史漫画と言えよう。
→ この漫画,歴史漫画にはなぜだかありがちなことに描き込み量がすさまじく,1巻ではまだがんばれという感じだが,2巻以降飛躍的に画力が増していく。刊行ペースのゆったりさもあり(半年に1冊),ほとんどpixivの「絵師一年進化録」状態になっていておもしろい。無論多くはトーンの貼りこみではあろうが,特に人物の陰影が版画かな? という状態になっていく。そういう意味では絵自体がヨーロッパ的でそれっぽく見えるのは思わぬ利点だろう。
→ 1巻は第1次ポエニ戦争終結から第二次ポエニ戦争開戦,ティキヌス川の戦いまで。2巻はトラシメヌス湖畔の戦いまで。なお,ティキヌス・トレビアの戦いは詳細に描写されるが,トラシメヌス湖畔はスキピオが参戦していない関係で1話でさっくり終わる。





・『痕』4・5巻(完結)。どうせやるならもっとしっかり終わらせて欲しかったなと。確かに漫画からいきなり入ってゲームの方を全く知らないという人はおそらくほとんどいないと思われるものの,説明を端折り過ぎてて全貌が見えてこない。千鶴と楓の話は大体出てきた気もするが,梓と初音の話がほぼなかったような。まあ初音の話はいいとして,梓ルートはやらないと「たかゆき」って誰だったのかという話に。というか長瀬刑事と柳川刑事どっかで出てきましたっけ? ひょっとして最初からいなかった? まあ私もクリアしたの死ぬほど昔なので,細部覚えているかと言われると全くなのだが。
→ 原作終了後20年近く経ってからの,それも月吉ヒロキを登板させての漫画版としては不満の残る内容と言わざるをえない。そういう意味では,月吉ヒロキには文句がなかった。エディフェルと楓がとにかくかわいかった,そこは満足。


・『火ノ丸相撲』4巻。久世VS火ノ丸編。戦法の全く異なるレスリングの國崎,空手の佑真でも無理なら,正攻法で身体の足りない火ノ丸でも無理だった,という。火ノ丸の初めてのまともな敗戦であり,おそらく本作通しての最大のライバルとなるであろう久世を印象づけた巻であった。心で勝ってて技が互角なら,身体で負けるのは道理であり,じゃあどうすればいいんだよというところでうまい具合に5巻に話が続く。
→ 大和国親方は前からちらほら出ていたが,顔がわざとずっと隠されたままで,はっきり出てきたのはこの巻の28話が初めてである。火ノ丸視点ということか。
→ ところで第28話で登場した久世母がかわいい,第33話の潮母もかわいい,というかこの漫画に登場する大人の女性はなぜに全員こんなにかわいいのか。5巻にはあの子も出てくるし,レイナさんの立場がない。


・『ぷちます』7巻。連載が進むにつれて,ぷちたちが変な能力を持っている→人間たちが能力を活用しだす→ぷちたちが自分らの特殊能力に気付き,自発的に使いはじめると段階を踏んでるのがおもしろい。それにともなってぷちたちの知能もどんどん向上しているような。ちびきなんて明らかに初期より賢い。召喚した動物たちを現地に帰す話が一番笑った。
→ そんな中,一向に人語を介さず人間社会に溶け込まないはるかさんは逆に貴重な存在になりつつあるのかも。  
Posted by dg_law at 20:30Comments(0)

2015年08月02日

2015春アニメ感想

・『Fate/stay night UBW』。見事な映像美でのアニメ化,ありがとうございました。劇場版も期待しております,以外の感想が特に無い。
→ 一つケチをつけると,会話劇が原作の華というのはわかるんだけど,アニメでそれをそのままやるというのはアニメの美点を殺してないか。原作は文章だから会話劇でもダレないわけで,それを声優が読み上げるアニメとは性質が異なる。そこでアニメが原作の良さを残しつつ違った見せ方をするのが脚本家の腕の見せ所で,「アニメ化」というものなのでは。正直に言って19−21話は原作との違いが少なかったという意味でつまらなかった。


・『SHOW BY ROCK!!』。ニコニコでやってなかったら絶対に見てない系統のアニメ。だが,おもしろかった。1話は突拍子もなさすぎる話で不安だったが,2話の説明回がよく機能していたと思う。1話のあのテンションで続いていたらちんぷんかんぷんすぎて切っていた。
→ おもしろかったはおもしろかったんだけど,終わってみると「プラズマジカがかわいかった」以外の感想が特に無いという。6話が頂点で,後半はちょっとマンネリ感あったかも。


・『グリザイアの迷宮/楽園』。並行して原作もやっていたのだけれど,アニメの方が綺麗にまとまっていたような。特に楽園パート。原作は余分なことを説明しすぎてたところがあったり,そのイベントいらないんじゃ,というのがあったりしたが,アニメ版はそういう部分をばっさり切り落としてくれたので,テンポ良かった。原作からかなり切り落としたという点は『果実』も同じなのだが,『果実』は大きく切り落とさざるをえなかった事情からか,正直かなり壊れてしまったシナリオもあったが,『迷宮』・『楽園』は時間的余裕があったおかげでそういう憂き目に遭わずに済んだ。原作は通して「カプリスの繭」が一番おもしろかったが,アニメは普通に『楽園』パートだった。こういう“再編集”はアニメ化の喜びの一つであろう。


・『響け!ユーフォニアム』。今期一番楽しみに見ていたのは間違いなくこれ。優れた評論が飛び交い,自分の周囲としても一番盛り上がっていたように見えた。部活動にまつわる「ガチ勢」と「まったり勢」の対立,板挟みになる部長に,組織には興味ない副部長あたりは文化系の部活動物としてあるある。一方,吹奏楽ほど大所帯になるところもなく,学年別やパート別でいろいろ派閥あるんだなというのは割りと新鮮だった。その「派閥の論理」が最大限衝突する再オーディションをシリーズのハイライトに持ってきたのはさすが。
→ 派閥とかあまり気にしたことがなくて出来ればかかわりになりたくない,ふわふわ生きていたい(その意味であすか先輩に近かった)久美子が,麗奈に段々と引き寄せられていってガチ勢最右翼になっていく。フラットな久美子だったからこそ部で起きる諸事件を冷静に眺めることができたが,再オーディションはそれを許さなかった。フラットな久美子のターニングポイントはやはり8話である。久美子の態度の切り替わりも,麗奈のカリスマ性も,見事に表現した1話だった。8話までの久美子はフラットであるがゆえに主人公であったし,9話以降は能動的であるがゆえに主人公だった。これだけ多くの登場人物が登場し,強烈なインパクトを残していった本作であるが,主人公はどうしたって久美子だったのである。ただ,そう書くと実は部長までの『島耕作』と同じストーリーラインだったんだなぁという謎の比較対象が。
→ 再オーディション自体も実に見事で,中世古先輩は自らの負けを納得するために(また部の混乱を収めるために)負けとわかっていて再オーディションを受け,デカリボンこと優子先輩はゴネ得になればと思って動けば動くほど自体を悪化させ(何より彼女自身が二人の実力差をわかていた),麗奈は久美子にだけ見せていた圧倒的なカリスマ性を部員全体に広げ,滝先生は改めて部内での指導権を確立させた。それぞれの意図が絡まり合っての再オーディションと大団円だったのだ。その裏で,それを眺めるだけのはずだった久美子の変化が描かれているのも美しいし,久美子と優子先輩の間に立っていた中川先輩のポジション取りもおもしろかった。
→ ところで,あれだけ百合百合しく描いておきながらも最後の一線は超えていないというか,セリフにしろ行動にしろ麗奈も久美子も“(半ばおふざけと)わかっててやっている”ギリギリ感がすごい。セリフで取り上げるなら麗奈は「本気なのは滝先生」と明言してるわけだ。原作の展開から言っても久美子は塚本との絡みが増えていくそうだが,2期があるのなら,百合で飼いならされた視聴者を前にどう軌道修正していくのか,期待がかかると同時に不安でもあるかな。


・『忍殺』。うん,やっぱり動かなすぎたよね。あれはあれで味があるという意見には納得するし反論する気はこれっぽっちもないのだが,個人的にはどうにもあわなかった。紙芝居はエロゲで十分なのです。6話くらいまでは追っていた……ぶっちゃけて言うとヤモトさんが出てたからそこまで引っ張ったのだが。


今期見てるのは『デレマス』2期と,『がっこうぐらし』,『Charlotte』,『GATE』の4つ。『デレマス』は安定の神クオリティだが,美城常務の今後の扱いが気になる。丁寧に物語を進めてほしいところ。『がっこうぐらし』は真相のネタばらしの一発ネタに凝りすぎなかったのが勝因で,1話で早々にばらしてしまったのが良かったと思う。原作からの大きな改変があるらしいところがやや気がかりだが,ここまでは高評価していいおもしろさ。『Charlotte』は最後まで見てみないとちょっとわからない。『リトバス』になるか『Angel Beats』になるか。『GATE』は4話まで見たけど,5話次第では正直切りそう。素直に「地球なめんなファンタジー」をやってればいいところ,原作の噂も含めて何か違う方向に行きそうな。そうすると趣味があわない。  
Posted by dg_law at 19:54Comments(0)TrackBack(0)