2016年04月30日

今でも伝承されているのだろうか>ミッキーを池に

・ニコニコ出身のミュージシャンでいちばん凄いのは誰なの?(増田)
→ 正直に言って詳しい分野ではないけども,その上でぱっと思いつくのはやっぱりヒャダインとZAQだなぁ。ボカロ関係だとsupercell。歌い手だと(ZAQと)やなぎやぎになるんだろうけど,ちょっと前にChouCho がニコニコ出身というのを知ってちょっと驚いた。藍井エイルも含めて,最近は本当に歌ってみたからデビューするんだなぁと。
→ ピアニート公爵はどう評価すべきか難しいw。ある意味小林幸子と同じで名誉の除外なんだろうけど。


・日本酒は水で薄めて飲んでいい(エルの楽園 )
→ 趣旨に同意。日本酒はこの件だったり醸造アルコールだったりの誤解が多くて,微妙に「自然」志向に近い胡散臭さがなくはなくて,割りと不思議ではある。
→ しかし,あくまで個人の趣味というと,私は割るのが苦手で,味が薄くなると逆に飲みづらくなるから,日本酒によらずほとんど割らない。ハイボールにするならウィスキーのまま飲む。その代わりお冷・チェイサーも大量に飲んでいる。特にワインはこれをやったほうがいい。記事中の
>醸造酒の場合、酒の体積の2-3倍の水を飲みながら飲めば二日酔いは回避できるとされている。
 は自分も聞いたことがあるし(ただ「酒と同じ量の水」と聞いた),実践してるし,実際二日酔いにならない気がする。まあ,それこそ飲む前に割るのか,胃の中で割るのか,この辺は完全に好みの問題かな。ところで「和らぎ水」というのは初めて知った。


・東方キャラの年齢ってどうなってるんだろうか サザエさん時空でも時間は流れてるらしいし(2ch東方スレ観測所)
→ 主要キャラだけ歳を取らず時空は通常通り流れている「こち亀時空」だろう……と突っ込もうと思ったらスレ内で出ていた。あれは非常に便利なんだけども,『こち亀』がギャグ漫画だから済んでいるところはあって,定期的に不自然な時空の流れ自体をメタネタとして消化しているからこそ出来ているところはあり。あと『こち亀』でも大きな弊害はあって,だんだん両さんの少年時代が「古き好き昭和の下町」じゃなくなりつつあるというw。両さんが三十代後半なのは動かしようがないからなぁ……
→ そこへ行くと東方も「全員少女」の建前を通しつつ時間経過があるとするとこち亀時空を取らざるをえないわけだけど,こち亀と同じ罠にかからないようにするとなると,霊夢や魔理沙の幼少期は半永久的に描けないということになり,ZUNさんが書く気があるかどうかは別として,ちともったいない気も。その需要を満たすが優れた二次創作,というのではあるけれども。


・「先輩が修学旅行のディズニーでミ○キーを池に突き落とした」問題について(今日はヒトデ祭りだぞ!)
→ 超あるある。そして東海民限定あるあるのようだ。うちの中学は素行が良かったせいか微妙に変形していて「他校の過去の生徒」であった。そしてディズニーランド自体は,うちの中学では旅程に最初から無かった。自分の学年だけでなく,前後含めてである。だからこそ「他校の過去の生徒」という形で伝承されていたのかもしれないが……
→ ところで,当時は割りと真面目君だったこともあり,「修“学”旅行なんだからそんなところ行くなよ」と嫉妬抜きに思っていたはずなんだが,いつの間にか「これも一種の““学び””だよな」「中学生くらいまでに一度は行っといた方がいい」と正反対のことを考える人間になってしまった。人間変われば変わるものである。  

Posted by dg_law at 22:17Comments(0)TrackBack(0)

2016年04月26日

自分ではソシャゲしてませんが

・商業エロゲが衰退した原因を分析する(Yahoo!知恵袋 )
→ ここで言うエロゲとはソフ倫を通した商業エロゲに限定されることに注意。記事中にある業界内の問題はけっこう疑問だが,業界外の問題はかなり同意できる。エロゲが一度頂点を取った結果として,エロゲ・ギャルゲ的手法が他ジャンルでも使われるようになって埋没したような気はする。自由で斬新な表現が尊ばれたエロゲ界隈であったが,ユーザー側は1プレイに恐ろしく時間がかかり,ライター側は苦労の割に儲からないというのでは,それが別のジャンルで楽しめる/できるのであれば,ユーザーもクリエイターも離れていく。表現の自由度という点においてエロゲはまだまだ魅力的なジャンルだと思うけど,それも同人エロゲが成長してきて特権的な身分でもなくなってきたのかも。
→ シナリオのアイデアとスタッフさえ一通りそろえば安価に作れてしまう紙芝居という形式を得て成長したエロゲだが,安価に作れすぎれるようになってしまって,流通ルートも整備されて「じゃあ同人でいいじゃないか」と言われると,商業は「商業でしかできないこと」という金かけた商品を作って差別化せざるをえない。というのは多分かなり前からクリエイター側で意識はされていて,脱紙芝居というかネオ紙芝居の模索は00年代末から盛んだったように思う。先駆けとしては『ef』の演出とか。そして,最近だとE-moteがその一つの正解ではあるかなと。
→ 付け加えるなら,エロゲの主要ユーザー層が皆ブラウザゲー・ソシャゲに流れたというのはあるかも。これは証拠がなくて実感しか無いが,それにしても私の周りの元エロゲユーザー,皆グラブルか艦これかデレステかFGOに忙しくてエロゲやってないんだもの。これ,ちゃんと学術的に調査して,理屈付けもできたら普通に社会学的な成果になるのでは。
→ 以下は自分語り。かく言う私も往時に比べるとここ2・3年ほどはペースが激減しているのだが,何かにつけて忙しく単純に時間がないのが最大の原因ではあれ,まあ正直に言って紙芝居には実際ちょっと飽きてきた。昔よりも「これくらいの面白さなら“読める”」ハードルが上がっているのは自覚せざるをえない。そのハードルを超えてくれれば一気に読めるのだけれど。絵や音楽に対するハードルはそれほど上がっていないので,やっぱり文章なのよなぁ。文章を読むことに対する体力が下がっているわけではないと思うが,エロゲ“外”で読む文章量は年々どうしても増えているので,相対的ににエロゲ“で”読める文章は減っているし,その小さな配分量で玉石混交の“石”に当たるのがだんだん耐えられなくなりつつある。つまるところ,玉璧だけ拾おうとしてプレイ本数が下がっているのだろう。


・五人衆謀反次第(増田)
→ SMAP騒動は「ヤクザな業界だなぁ」という感想しかなくてろくに情報収集していなかったのだけれど,これは名作。すごくそれっぽく仕上げてある。なるほどこれが江戸時代の庶民にとっての歌舞伎の感覚かというのがわかって新鮮だったので,その備忘録として残しておく。


・"コミュ下手"の蔡英文が総統選を制した意味 | グレーターチャイナ縦横無尽(東洋経済オンライン)
→ 蔡英文女史の為政者としての能力は横に置いといて,彼女の選挙の戦い方はとてもおもしろかった。
>大学時代は同級生の男性たちにけっこう人気があったらしい。恋人を不慮の事故で亡くした経験もあるという話で、現在まで独身を貫き、飼っている愛猫がパートナーとされる。
→ 全然知らなかったのだけれど,この辺の話何かはらしすぎて笑ってしまった。「オタサーの姫」ならぬ「アカデミーの姫」だったのではなかろうかとはなんとなく。美人であるとはいいがたくとも,童顔でかわいらしさはある。この辺が例の萌え化戦略に結びついたのだとしたら,本人かもしくは周囲のブレインはかなり慧眼だったと思う。あれがどの程度票に結びついたのかは歌がしいが,「プロデュース」の方向性としては間違っていない。政治家も一種のアイドル(偶像)か。



・小笠原高校生徒の「センター試験24泊25日」はどうすればいい?((石渡嶺司) - 個人 - Yahoo!ニュース)
・「センター試験24泊25日」を変えたい!〜一木重夫・小笠原村議インタビュー((石渡嶺司) - 個人 - Yahoo!ニュース)
→ 教育の機会均等から言って大問題だと思う。私大や国公立の二次試験だけならまだしも,センター試験は受験できなかった場合のハンデが大きすぎる。国公立大は門前払いだし,私大もセンター利用がないと大きく不利だ。
→ センター試験会場を離島に持っていくのは現実的ではない。下の方の記事にある通り,問題の保管とマークシートの輸送が大きな問題になる。この方向で解決するなら,問題冊子のpdfファイルを実施時間の30分前に指定されたアドレスに送信し,あらかじめ現地に派遣された監督官が印刷して配布。マークシートは逆に監督官がスキャンして大学入試センターに送信,ということになるだろうけど,この手段は機密性が非常に危ういので……
→ 受験生には東京都まで来てもらうとして,都の予算から出す&オリンピックセンターの無料開放が妥当な落とし所に思える。あと,記事中ではさくっと切り捨てられているが,案外自衛隊による輸送ありなのでは? ある意味災害や重病人の発生に近い状況ではあるような。
→ 根本的には,やはりセンター試験を全部CBTにすれば解決……というのは無理かろうな。  
Posted by dg_law at 07:30Comments(0)TrackBack(0)

2016年04月23日

黄金のアフガニスタン

キュベーレ女神円盤東博の黄金のアフガニスタン展に行ってきた。本企画展はある意味で展覧会の内容よりも開催の経緯の方が重要であるので,先にそちらに触れておきたい。

カブールのアフガニスタン国立博物館は1979年以後,長らく文化財破壊の危機にさらされ続け,特に1989年にソ連が撤退すると情勢が悪化した。タリバンが成長し,彼らが故意の文化財破壊を行っていたことと,内戦がカブール市街にまで及び始めたことがその原因である。実際に1990年代に,多くの博物館収蔵品が破壊されて灰燼に帰したか,略奪に遭ったとされる。しかし,博物館職員たちは極秘裏に最重要収蔵品を選び抜いて,それらを大統領官邸の地下金庫にしまいこんでいた。この行為は当時の政権はおろか,職員の家族にさえ秘密にされていたそうだ。そして米軍が進駐したことである程度安全が確保されたと判断されたため(皮肉にも“比較的安全”と判断されたのはソ連軍か米軍がいた時期なのである),2004年に地下金庫の存在が職員から明らかにされ,失われたと思われていた収蔵品の数々が約15年ぶりに世界に“蘇った”のである。「映 画 化 決 定」と茶化しが入るレベルの奇跡的な展開であるが,そういえば映画化の話とかハリウッドの方から来ていないのだろうか。(あった上で断っていてもおかしくはないが。)

しかし,その後もアフガン情勢が安定しないため,旧地下金庫の収蔵品はこうして国際展覧会として各国を巡回し,避難しつつ復興資金を稼いでいるというのは,巡回先の我々にとってはありがたいことだが,カブールの人々にとっては必ずしも喜ばしいことではない。ただし,本展覧会の開催の経緯はこういったことであるということは,鑑賞者も知っておいたほうがよい。ついでに,今回を機会として日本が保護していた流出文化財約100点がアフガニスタン国立博物館に返還されたことも。


そうして最重要を判断されて選ばれた品々であるが,タリバンの破壊を避けるためという目的だったこともあってか,圧倒的にプレ・イスラームの時期のものであった。展覧会は発掘された場所にしたがって大きく4つに分かれており,それぞれ青銅器文明時代,ヘレニズム時代(バクトリア王国),遊牧民の時代,クシャーナ朝時代である。

青銅器文明時代の遺跡テペ・フロールからは多数の黄金の器が発掘されているが,おそらくはメソポタミア文明とインダス文明の交易にかかわり,ラピスラズリを供給していたのではないかとされる。金細工はまだまだ原始的だが,メソポタミア文明の出土品としてルーヴルで見たものに近いなとは思った。図録にもそのようなことが書いてあった。

次にやってきたギリシア人たちの都市遺跡アイ・ハヌムは,完全なギリシア風都市だったようだ。出土品にも,どこかで見たことあるようなアンフォラ(壺・水差し)や人体彫刻が多数見られる。列柱の部分も展示されていたが,見る人が見たら一発でわかる見事なコリント式であった。当たり前のことだが,本当にアレクサンドロスの遠征はここまで来てギリシア人たちが多数移住したのだなぁと実感させられる。ギリシアで発掘されるようなものとほぼ同じものがアフガニスタンでの出土品として見れることのすごさである。ただし,大理石が無かったので,様々な代用品が用いられたことには注目してよい。それも一種の土着化というか,文明の融合であろう。笑ったのはある円盤(今回の画像)で,一つの円盤の中にヘリオス(ギリシア)とニケ(ギリシア)とキュベーレ(小アジア)が入っていて,彼女らが乗っている戦車とそれを祀っている神官の装束は明らかにメソポタミア風という混在具合である。すでにこういうことは起きてたんだなぁと思う一方で,ここまでは全て西から来たものばかりである。

遊牧民時代の遺跡ティリヤ・テペでは,その時代の王侯貴族とみられる人物の墳墓からの出土品が展示されていた。この墳墓自体が前500年頃の拝火教神殿跡地に,後1世紀頃に作られたものだそうだが,これはその宗教が滅んでも神殿自体は聖地と見なされていたということだろうか。埋葬された遊牧民の民族はよくわかっていない。パルティア系あるいは月氏,あるいはサカ族という説もある。バクトリア王国の末期からクシャーナ朝が成立するまでの間は実に様々な遊牧民が侵入しているので,特定は容易ではない,と図録にも書いてある通りである。なお,月氏とすると次のクシャーナ朝の直系の先祖になる。ここで見られる展示品は,ベルトや短剣・冠など,これまた明らかにスキタイや匈奴の影響の強いもので,既存の文明とはまた全く違ったものがここで入ってきたことがうかがわれる。青銅器文明のものとは打って変わって,細工の細かい実に見事な金細工を見ることができる。一方,この墳墓からはアテナやクピドらしき人物像やギリシア語による刻銘,パルティアの銀貨等も出土されており,以前の文化は失われたわけではなく,蓄積されていったことも見て取れる。さらに,すでにサンスクリット語の文と法輪の入ったメダイヨンも発掘されており,すでに大乗仏教の導入期に入っていたこともわかっている。

最後に出てくるクシャーナ朝時代の遺跡べグラムは,アレクサンドロス大王の遠征以後に栄えた都市で,特にクシャーナ朝の時代に繁栄した。玄奘の『大唐西域記』までは繁栄の記録があるが,いつの間にか遺跡と化しており,次に脚光を浴びるのは1937年にフランスの調査隊が発掘作業を始めてからになる。ここからの出土品はもう完全なガンダーラ美術で,ここに来て蓄積されたギリシア美術と新興の大乗仏教が完全に融合した。一方で,石膏ではなく象牙,ガンダーラというよりはグプタ様式な,純インド風の彫刻もかなりあって,ちょっと驚いた。インドからの輸入品という形では,すでに入ってきたのである。また,この時代にあってもまだヘラクレス像や,ローマ・エジプトからの青銅器・ガラス器何かも出土されている。内陸のアフガニスタンの人々に,海をイメージさせるポセイドンや魚を模したローマ産の青銅器が大受けしていた,というのはなかなかおもしろい話だ。出土品には中国からの漆器もあり,ここに来て東西南北の全ての文化が流れていく「文明の十字路」たるアフガニスタンの姿がはっきりと浮かび上がってきた。


アフガニスタン国立博物館からの出品は以上になるが,本展覧会では他に,前述の日本から返還される流出文化財約100点のうち,15点が展示されていて鑑賞することができる。また,残りの約90点は同時期に東京芸大博物館の方で展示されており,合わせて訪れれば全品鑑賞することが可能である。
  
Posted by dg_law at 16:00Comments(0)TrackBack(0)

2016年04月19日

むしろ「テクニックで解ける」ならそれでよいのか

・もし清盛が、平治の乱後、頼朝の首を切っていたら?(歴史的速報@2ch)
→ 大体出ている通りの展開になると思う。いずれにせよ以仁王の令旨から治承・寿永の乱が起きる→木曽義仲の挙兵は変わらずに起きる→清盛死後に京都陥落→西国の大飢饉で戦線膠着,までは史実通りに展開するのでは。ここで関東・東海の覇者になっている勢力が誕生していれば概ね史実通りにその後も展開するだろうけど,頼朝抜きにそんな奴が登場するかと言われると,いないだろう。
→ そうすると,義仲亡き後の北陸も群雄割拠に戻るだろうし,朝廷をかつぎ西国の盟主として君臨する平氏政権と,群雄が割拠する中部・関東,奥州藤原氏政権の3つに分裂したままかなりの期間を費やしそう。中部・関東の諸勢力も,平氏政権に名目上は従うものと,名目上も従わないものに分かれていそうで,なんというか中世イタリアのゲルフとギベリンを髣髴とさせる分かれっぷりに。
→ まずいのはそこで元寇が来た場合にどうなるか。西国の盟主であり,名目上は朝廷の支配者である平氏政権が対応することになるだろうが,勝てるかはかなり難しいところ。勝ってもこれが原因で西国の統治が乱れて余計に分裂がひどいことになりそうだし,負けた場合,高麗のように天皇の血筋にモンゴルが混ざって,後で揉める材料になるか,アッバース朝カリフのごとくそもそも断絶させられるか。いやまあ,平氏政権が意外とがんばって追い返して平穏無事という展開もなくはないがw
→ なお,これも指摘されている通り,義経や範頼の首が切られてなかったなら頼朝に代わる大将にまつりあげられていた可能性はあるものの,鎌倉幕府自体が頼朝個人の才覚によるところが大きいので,史実ほど上手くはいくまい。奥州藤原氏がどさくさに紛れて南下し,北関東や越後を手に入れて義経を奉じていたら,それはそれでおもしろくなりそうだけども,「信長の野望」の域は出ない。


・センター試験で出題された囚人のジレンマゲームの記述に納得がいかない人(Togetter)
→ これは明らかに出題ミスで,囚人のジレンマに則るなら,というよりも囚人のジレンマを知らなくても問題文から推測すれば,「相手の行動が読めても読めなくても」協調には至れないのが正しいのだから,1〜4に正解の選択肢がない。
→ 反論として出ている 「3が相対的に適切」「テクニックで解ける」という意見は決定的に間違いで,受験世界史悪問集の方では散々書いているが,入試問題にも学問的正確性はある程度要求されるし,教科書範囲を超えた知識を持っている受験生がかえって不利になる試験だけは絶対に避けなければならない。
大学入試センターは受験生の混乱を避けるために極力こういうのには訂正発表を出さない。「3が相対的に正しいから(震え声)」で押し通してしまうことが多い。案の定,今回も出さなかった。受験生の混乱と学問上の公正,いずれかが大事かと言われたらさすがに後者だろうと思うのだが,なかなかそうはいかないようだ。
→ なお,囚人のジレンマは高校の政経の教科書に大体載っている。国際政治のページを開いてみるとよい。なので,そもそも範囲外からの出題では? という批判はさすがに当たらない。
→ 世界史でもあったし,今年のセンター試験の社会科ボロボロじゃないですかね。新テストが導入されるからってやる気がなくなりすぎでは,という指摘もある。


・旅行者は注意…アメリカの警察が「あやしい」理由だけで、所持金などの資産を没収する例が増加(らばQ)
→ アメリカはアメリカで歪んでいるというか,これに限らず,たまにこういう発展途上国の不正かよって話を聞くので,よくわからない。  
Posted by dg_law at 07:43Comments(6)TrackBack(0)

2016年04月14日

非ニコマス系動画紹介 2016.1月下旬〜2016.2月下旬



本当に消えてて大爆笑したwwwwwwwwスタッフ笑ってる場合じゃないというか,わざとだろw。せめて背景が青だったら……



「その発想はなかった」タグがついてるけど,どちらかというと「発想はあったはずだったが,誰もやろうとしなかった」だと思うw。この三匹は生きてますわ。



ドラクエ6をアイテムだけでクリアした人が,ドラクエ7の縛りプレーに挑戦。「攻撃、呪文禁止。特技はその他のみ可。道具、防御、装備変更、逃げるは許可。真の仲間以外は縛り解禁」であり,縛り内容がおもしろい。しばらくは(ダーマ到着まで?)NPC頼りの戦いになりそうである。



FF5のチートバグの集大成のような感じ。壮大に何も起こらなかったり,突然壮大になったり。何をどうバグったらネオエクスデス戦のBGMに合いの手をつけられるのかw



MMD杯の名物が,MMD杯を外して投稿された。確かに,ここまで来たら無理に参加する必要はないかなと。イーノックがだんだん避けれるようになってきてるw



もう新作は全然追えてないなと反省しつつ。『美少女万華鏡3』はクリア済,名作でした。
『きみはね』は現在プレイ中。『すみれ』は積んでる,評判良くて何より。前作が割りとひどかったので。『サクラノ詩』は『すみれ』の次にやるつもり。『カスタムメイド3D2』はPCを新調したらやる予定。ここまでは確実にやる予定のもの。
以下は候補作。『奴隷との生活』は迷い中。『ポンコツアクマ』はSayori絵が好きなので気になってはいる。  
Posted by dg_law at 07:30Comments(0)TrackBack(0)

2016年04月13日

最近読んだもの・買ったもの

・『ガールズ&パンツァー 音楽道、はじめました!』。CDのジャケットのどこにもそんなこと書いてないが,パチスロ版のボーカル楽曲集である。どこにも書いてないのはイメージの問題だろうか。おかげで素性がわからず一回買いそびれた。
→ さて,本アルバム収録の「眠れる本能」は最高の名曲なので,ガルパンファンならマストバイである。歌はDream RiserのChouCho。歌詞は西住みほの視点でTVアニメシリーズを振り返るものになっており,ChouChoの情感あふれる歌い方もあって,情景を思い出しながら聞くと感涙必至である。パチスロ版にこんな名曲が存在していたとは……
→ タイトルの「眠れる本能」は西住みほの闘争本能のことであるが,彼女自身,大洗に来てからしばらくはよくわからない衝動に突き動かされて戦っていたんだろう。ひょっとすると,決勝まで自覚がないままだったのかもしれない。そうして出てきた言葉が「見つけたよ,私の戦車道」なんだから,あの言葉は重いよなぁ。それを「眠れる本能」と名付けた本曲は言い得て妙であるかも。





・『シノハユ』5巻。全国小学生麻雀大会編。
→ 赤土晴絵が小4なのに全国有力選手の調べっぷりがすごくて笑った。あれを見ちゃうと『阿知賀編』の監督としての観察力も納得せざるをえない。
→ ニワチョコかわいすぎる,というか丹羽さん正直ド直球で好みなんで(読者諸氏の「知ってた」が聞こえる),『咲』本編等で見たいですね(15巻の表紙裏はすばらしかった)。
→ 最後の最後で渡された母親からの手紙。『シノハユ』はこう,油断してるとふと泣かせに来るから油断できない。


・『がっこうぐらし!』7巻。大学編スタート,ランダルコーポレーションへの遠征計画。5・6巻の展開と比べると,一度落ち着いた感じ。
→ 胡桃が飛んでくる矢をスコップで弾き落とすという離れ業をやってのけた後に「これでわかったろ,あいつらじゃないって」と言っているが,むしろ人間離れしすぎていて説得力がないのではw
→ ヒカがゾンビの挙動について「エネルギー保存則……」と訝しんでいるが,そこ切り込むんだ……読者も気になっているところではあるけども。
→ 「外の世界はもうない」「世界の全域で国家に準ずる組織は消滅したと考えたほうがいい」と言われているが,実際には高校に一度ヘリコプターが飛んできているわけで(救助が目的だったかは不明だが),やはりあの地域だけが明らかに隔離されていると考えた方が自然ではあろう。このセリフはミスリードを誘っている形か。
→ 巻末のノートにだけ登場する「スミコ」は,おそらく理学部棟の人で,さすがにここはミスリードを仕掛けているということはないと思う(あまり意味が無いので)。彼女が穏健派寄りというのは,本編のどこかで効いてきそう。


・『魔法少女まどか☆マギカ 魔獣編』1巻。劇場版の総集編と『叛逆の物語』の間にあるストーリー,だそうなので,ほむらのソウルジェムが真っ黒になるところまで,ということか。
→ 発売がこっそりすぎて全然気づいていなかった。もうちょっと宣伝して欲しいところ。
→ 魔獣世界でのさやかの死に方も描かれている。杏子の「やっと友達になれたのに……」が不自然にならないよう接続されている。世界改変に伴う「設定」の変更も何点か明らかになっている。たとえば,ほむらとマミは旧知の仲で,さやかの死は“何らかの不調で”見滝原に不在だった期間の最後の夜の起きた出来事(ほむらは見滝原に戻ってきたちょうどその夜にさやかの死に遭遇した)ということになっている。
→ ほむらの“何らかの不調”はやや気になるところ。魔法少女であれば病気やケガということはないはず。また,ほむらは時間操作能力を失った代わりに,巴マミを超える超火力を入手したことになっている。これは『叛逆の物語』だとそれほど目立って無かったかな。
→ 見滝原に,従来のワルプルギスの夜にあたるような超大型魔獣が訪れているが,この魔獣名が「ゲダツ」。そもそも魔獣は4種類に分かれていて,ノーマル・「シュゲン」・「サトリ」・「ゲダツ」の順にパワーアップしていく。見た目も完全に上座部仏教あたりの修行僧である。新編のまどマギはキリスト教と仏教の代理戦争だった……?  
Posted by dg_law at 07:30Comments(0)TrackBack(0)

2016年04月11日

最近読んだもの・買ったもの(『へうげもの』21巻)

・『へうげもの』21巻。方広寺鐘銘事件の勃発,大坂方の決起,片桐且元と織田信雄の脱出,真田信繁参戦,金森重近の出家(宗和),織部暗殺計画始動,真田丸築城,近衛信尹倒れる,京五山大文字焼き計画,柳生宗矩と織部の一騎打ち,大坂冬の陣開戦,織部狙撃失敗,「犬」文字焼,近衛信尹死去,伊賀焼「破袋」誕生。
→ 列挙してみると,展開がかなりめまぐるしい巻。というよりも,方広寺鐘銘事件から大坂冬の陣中盤までの歴史的展開を一気に消化した上に,創作のエピソードも多く入っている。確かに歴史的な展開だけを追うとこの時期の織部は何もしていない形になるので,主人公の見せ場を作ったということであろう。その中でいくつか取り上げていく。

→ 方広寺鐘銘事件は,清韓に「国家安康」のアドバイスをしたのが織部であったのが何かのフラグかと思われたが,少なくともここでは不発のようだ。むしろ織部が自ら豊徳合体計画を破壊する口実を作っていたという皮肉だったとすると,このまま作中で触れられずに終わるのではないか。
→ 織部暗殺未遂事件は言うまでもなく創作だが,柳生宗矩の容貌が魁偉であり明らかに変人なのは何か理由はあるのだろうか。柳生宗矩というと腹黒で描かれることがあるが(史実の彼は実直だが創作上一つの伝統になっている),本作の柳生宗矩は必ずしも黒くなく(まあ暗殺に失敗すると証人になる配下を容赦なく斬殺しているが),これに乗っかっていない。乗っかっていないだけに容貌だけが突出して不可思議である。

→ 本巻123話で片桐且元に見出された片桐貞昌は,後に茶人として名を上げ,徳川家綱の茶道指南役にまで出世した。茶道石州流の祖とされる。茶道の上では重要とはいえ,細かいネタを拾っている。同123話で金森重近が廃嫡され,出家して宗和を名乗っているが,この経緯は史実通り。
→ 真田丸築城は非常にタイムリーだが,本作の連載スタート(2005年)時点では全く予想できなかったタイミングの一致だろう。大河ドラマの方がこれをどう扱うのかは気になるところ,と言いつつ私大河全く見てないのですが。評判が良いので見とけばよかったとやや後悔している。
→ 左門がダヴィンチ式戦車を作っていた……無論のことながら架空だが,この見取り図はスペイン人宣教師→高山右近→左門という経緯になっており,20巻で渡されていた。本来つながりが全く無いはずの二人を何故会わせたのかと思ったが,確かに徳川方でダヴィンチ式戦車は出せまい。

→ 近衛信尹が「大」の字を書きつけたものを見た金森宗和が「当代一の能筆」と褒め称えているが,実際に近衛信尹は「寛永の三筆」の一人として歴史に名を残している。また,近衛信尹が五山送り火の創始者という説は実在し,それなりに信憑性も高いようだ。これは私自身,連載当時に調べてみるまで全く知らず,驚いた。一つだけ突っ込むと,あれは盂蘭盆会の一環であるので,実施は例年8/16であるから(旧暦の頃は7/16だったそうで),大坂冬の陣の最中ということはありえない。そこだけは完全にフィクションである。また,作中では伝達ミスから「犬」文字焼になってしまったが,これは足利義政説もあって近衛信尹説で固まっていないことを逆に利用したものと思われる。推定にすぎないからこそ,大胆なフィクションを混入させられるのだ。

→ 最後に,伊賀焼の銘「破袋」は実際に2つ実在する。ただし,世の中的に1つしか存在していないと思われているのは仕方がないところで,1つは五島美術館の所蔵品で定期的に表に出てくるが(私も見たことがある),もう1つは個人蔵でほとんど表に出てこない(というか今回初めて知りました)。作中で大野治長に贈られた「いかつい方」が五島美術館にあり,弟の治房に贈られた柔らかい方が個人蔵である。なお,元々は柔らかい方のみが銘「破袋」だったそうだが,いろいろあって混同されて両方とも銘が「破袋」になったそうな。作者の山田芳裕があとがきで「ご興味ある方はお調べくだされ」として自分で述べるのを避けているが,なるほどややこしい。



  
Posted by dg_law at 07:30Comments(2)

2016年04月10日

ジンバブエを羽織る

・神職の方々がやらかす失敗談が面白すぎると話題に→「しめたはずの魚が祭典中にまさかの蘇生」他(Togetter)
→ 生け贄が生き返っちゃうのは,Togetter内にある通り,世が世なら神の所業ということになって伝承になりそうw
→ ジンバブエは笑いすぎて鼻水吹いた。「陣羽」までは合ってたのにどうしてそんなことに。


・【永久保存版】地元・大阪人が選ぶ大阪に行ったら絶対に立ち寄りたい観光地まとめ(SPOT -おでかけコンシェルジュ-)
→ 記事自体はさすがはヨッピーという感じですばらしいんだけども,さすがに「案の定粉モン食ってばっかじゃねーか」感は否めない。逆に粉モングルメガイドとして活用すると良いのかも。と思ったら,はてブで「大阪って京都や奈良と違って見に行くところじゃなくてその場で食いに行くところだからな。」と言われていたので,これで正しいのだろう。
→ 見に行くところというと天王寺動物園とか中野島の東洋陶磁美術館とか万博記念公園(&民博)とかだと思うけど,USJ以外はいろいろとばっさり省かれているのはちと残念。記事尺の都合と,万博記念公園何かは遠いという事情かな。


・アイマスクエスト非公開設定の日(めぐりあいクロニクル)
→ この記事を見るまでアイマスクエストの非公開化は知らなかった。ショックが大きいが,記事中で言われているようにコメントが荒れっぱなしになるのを見るのも嫌なので,非公開は英断かもしれない。またこれも記事中で言われている通り,実質的なポータルサイトとなっていた投票所HPが閉鎖されていたことと,ておくれP自身がリアル都合による何度かシリーズ休止を宣言していて,最後の再開時にはいつ止まってもおかしくないと言っていたこと等から,こうなる覚悟はできていた。とはいえ,言いようのない喪失感に苛まれたのは胡桃坂さんと同じである。
→ 自分は逆に,アイマスクエストとはコメント付きで見るものというイメージがあるので,保存しようという発想自体わかなかった。ただ,本編はともかく,ておくれPのその時点での設定が開陳されていた章末のおまけ動画は,更新が止まってしまったからこそもう一度見直しておくべきだったとやや後悔している。あとは各自で結末を脳内補完するしかないか。




→ 正直言ってこういう設定大好きです。こう,情念が漏れてる感じの。もっとやれ。  
Posted by dg_law at 07:30Comments(0)TrackBack(0)

2016年04月07日

授時暦は“何の影響”を受けて成立したのか?

受験世界史(高校世界史)の闇をほじくるシリーズ。


1.授時暦とは
「授時暦」は元朝で施行された暦で,郭守敬を中心とした科学者グループによって作成された。この授時暦の作成は,二つの理由から世界史上の特筆すべき事象とされる。
・前近代の科学史において,最も精確な太陰太陽暦の一つであること。
・イスラーム世界の天文学の影響を受けており,パックス=モンゴリカ下の東西交流を象徴する成果であること。
特に後者を理由に,高校世界史上でも郭守敬と授時暦は最重要項目となっている。センター試験でも出題されるし(そういえばいつぞやの出題ミスも授時暦絡みであった),各種私大・国公立大の二次試験でも出る。中でも東大は東西交流史を極めて好むため,驚くほど出題率が高い。何と2007・2011・2015年と近い間隔で,しかもそれぞれ論述の重要なファクターとして出題がある。

2.受験世界史参考書の記述の混乱
ところが,これだけ重要な事項であるにもかかわらず,参考書やネット上の文献では,実に多様な表現が見られる。代表例を以下に挙げる。

・イスラーム“天文学”(アラビア“科学”)の影響を受けて,郭守敬は授時暦を作成した。
・イスラーム“暦学”の影響を受けて,郭守敬は授時暦を作成した。
・イスラーム“暦法”の影響を受けて,郭守敬は授時暦を作成した。
・イスラーム“暦”(ヒジュラ暦)の影響を受けて,郭守敬は授時暦を作成した。
・イスラーム暦の中で最も精確とされる“ジャラリー暦”の影響を受けて,郭守敬は授時暦を作成した。

なお,天文学・暦は自明なのでよいとして,暦法・暦学とはなんぞやという方もおられると思う。それぞれ代表例として辞書(コトバンク:デジタル大辞泉)の意味を載せる。
・暦学:天体の運行の観測や暦を作ることに関する学問。
・暦法:こよみに関する学問。また,暦を作る基準。法則。
つまり,暦学は天文学に近い意味合いで,天体運行の観測を含む。その目的が暦の作成に限定されるだけであるから,現代的な意味での天文学の下位概念にあたる(そもそも前近代の東アジアでは暦学と天文が区別されていたが,現在ではどちらも「天文学」である)。一方,暦法は,天文学の成果を受けた後のカレンダーの作り方を指し,とりわけ東洋の暦では二十四節気の振り方や吉兆を占う日食の日付等も含まれる。太陽暦・太陰暦・太陽太陰暦の違いも当然暦法の違いになるし,同じ太陽暦でもユリウス暦とグレゴリウス暦では暦法が違う。旧暦2033年問題なんかは純粋な暦法の問題であろう(それを国立天文台が扱っている辺りは,暦法の研究と天文学の近さを感じさせるものではあるけど)。


これらの表現は正確なのか? 今回はこれを追ってみた……が,結果を言う前に二つ書いておくべきことがある。まず,実はこれまでの「受験世界史(高校世界史)の闇シリーズ」と異なり,教科書の表現は7冊とも一貫している。「イスラーム“天文学”」である。実教出版のみ“暦学”を併記している。つまり,この混乱は非公式的な文献,参考書の類に限定されることは先に述べておきたい。(まあ,この辺で今回の結論が読めた方もいるかと思うが,それで正解である。)

次に,今回の調査に先立って,実際のバリエーションを把握するべく某大手書店の世界史参考書コーナーを片っ端から立ち読みしてきたのだが,未だもって「モンゴル人第一主義」「オゴタイ・ハン国」「ラマ教」と書いている参考書の多さにめまいがした。出版年が古いのなら許されるが,ほとんどは2013年以降の出版であった。山川出版社の名誉のために書いておくと,あそこの参考書はこれらの記述がなく、またイスラーム天文学で統一されていたので,執筆者によらず編集部の校正が入っているのだと思われる。他社は執筆者の原稿ノーチェックなのではないか。他のページに良い記述があるかもしれないから全く価値がないとは言わないけど,モンゴル帝国史・元代について言えばゴミとしか言いようがない。


3.授時暦はイスラーム世界から何を摂取したのか?
これについては,実のところ前回のフランス東インド会社と違って,非常にあっさりと文献が手に入る。科学史上の金字塔であるジョゼフ・ニーダム著『中国の科学と文明』があり(完全な邦訳がある),さらに中国天文学史・暦法研究の大家である藪内清京大名誉教授の諸著作があり,後続の研究もそれなりに盛んである。それらの文献を読むと,これまた今回欲している答えに簡単に当たることができる。

郭守敬が参照したのは,科学的な意味でのイスラーム天文学のみである。それも観測機器の採用のみに絞られる可能性が高い。ジャマール・アッディーンなるペルシア人がイスラーム天文学を中国に持ち込んだのは事実である。しかし,郭守敬がそれをどの程度参照したかは不明であり,導入が確実視されているのは観測機器のみである。また,イスラーム科学を含む古代オリエント・ギリシア由来の天文学は黄道座標系を用いていたが,中国の天文学は伝統的に地球の赤道が基準であった。郭守敬はイスラーム伝来の観測機器を導入した上で,中国式の赤道座標系のものに改良して観測結果を記録し,その記録を基に授時暦を完成させた。赤道基準の方が精確な観測結果になると気づいたからであるとも,単純に中国の伝統に則ったとも言われている。郭守敬を高く評価する向きの研究者は当然前者の説を採っている。

いずれにせよ近代天文学は赤道座標系を用いているが,イスラーム以西の天文学が初めてこれを採用したのは郭守敬に遅れること300年後の,ティコ・ブラーエだそうだ。ニーダムはティコ・ブラーエが自主的に赤道基準の重要性に気づいたとは考えづらいとし,授時暦を参照した可能性を指摘しているが,これについては現在でも定説がなく議論が続いている。ニーダムの主張が実証されれば,科学史が大きく書き換わるところだ。また,薮内清氏が「イスラーム天文学の影響は観測機器の改良に限定されるのであるから,これを強調するのは郭守敬の独創性を損ねることになるし,中国天文学の成果を矮小化することになる」と随所で書いていたのは印象的であった。現在の高校世界史の「グローバルヒストリーの申し子」的な存在になっているのを見たら,どういう感想を持つだろうか(氏は2000年に亡くなっている)。これについては私自身も授時暦を便利に使っているところがあるので,若干反省している。

そして,授時暦は“暦法としては”純粋な中国の暦である。そもそも中国王朝の皇帝にとって暦を示すことは「天子」として重要な仕事であった。天の法則を民に与えるのである。もちろん実態としては政府が天体観測をさせる役所を設置し,その観測結果を基に,伝統的な暦法に則って暦を作成させた。モンゴルが出自の元も,フビライが中国統治の正統性を示す上でその必要性を感じたために,暦の作成を郭守敬らに命じている。ここにイスラーム由来の暦法の要素が混じっていたら,目的を損なうことになる。

ついでに言うと,イスラーム暦自体はそれ以前から中国に入ってきているから(唐代の長安や広州にだってムスリムはいた),わざわざ元の時代になってから参照する意味は無い。また,イスラーム暦は完全な太陰暦で一年が354日であり,太陰太陽暦で一年を365.2425日とした授時暦とはそぐわない。また,ジャラリー暦は太陽暦であるから,やはり太陰太陽暦の授時暦の参考にはならない。目にしていた可能性はあるが,目にしていたら記録に残るだろうし,諸研究者が言及しないはずがないので,おそらく目にしたことがないか,読んでいても授時暦の成立に影響が無かったというのが現在の研究の成果と考えてよいだろう。


4.結論

・イスラーム“天文学”(アラビア“科学”)の影響を受けて:○
→ 最も適切な表現。
・イスラーム“暦学”の影響を受けて:○
→ セーフではあるが,暦法と暦学が混同されている様子の現在の高校世界史においては,使わないほうが紛らわしくなくていいかも。
・イスラーム“暦法”の影響を受けて:×
・イスラーム“暦”(ヒジュラ暦)の影響を受けて:×

→ これらはアウト。
・“ジャラリー暦”の影響を受けて:極めて高い確率で×
→ “暦法”とヒジュラ暦についてはまだ「誤解の産物」という雰囲気があるが,これは出典不明で,受験世界史の参考書以外では一切見ない。これまたどういう経緯でこの説が出てきたのか気になるところ。

ところで,先ほど「教科書の表現は7冊とも一貫してイスラーム“天文学”である。」と書いたが,旧課程の用語集は教科書を同じ表現だったのに対し,2014年からの新課程の用語集は「イスラーム暦法の影響を強く受けた太陰太陽暦」とある。つまり,表現が後退している。これは由々しき問題であると思う。
  
Posted by dg_law at 00:00Comments(0)

2016年04月03日

「初詣に細かなルールは無い」は目から鱗でした

・クルマ史上“最大級のスキャンダル”VWショックとその後(Blogos)
→ 全然情報が入ってこないなと思っていたら案の定。企業が大きすぎると経済への影響が大きすぎて潰せない,の最大版か。
→ しかし,環境問題の国際会議の場での欧州の立場にはある程度影響あるのではないだろうか。そこでの武器になるくらいでないと,さすがに他地域の人間としてはやってられない。


・冬コミ(C89)の評論・金融島での時限販売騒ぎ。(syncのにっきver3.0)
・コミックマーケット89 3日目(2015/12/31)評論・金融島・時限販売騒ぎ(Togetter)
・島中でも列を作るべき場合もある(今日の言わせれ)
→ 需要の予測ミス・島中配置が重なって起きた事故で,評論島だと珍しいけどコミケ全体ではよくある事だと思う。とはいえスタッフ側にこの需要を予測しろというのは無理がある話で,責められるところではないだろう。また,サークル側に不備があるとしたら,自主列の形成が起きるという予測はすべきだったという点である。しかしこれも,自主列が形成されたのを察知した段階で「厳禁」という再告知をしていたので,かなりの部分免責されるのではないかな。要するに,個人的な判断では全面的に悪いのは自主列を形成してしまった購入側である。コミケ全体の決まり事やスタッフの指示に反しない限り,頒布するサークル側のいうことには従いましょう。
→ 3つめのリンク先はコミケの元スタッフさんの主張なだけあってとても納得した。時限販売はグレーゾーンなのね。それは私も初めて知った。しかし,ほとんどの人は迷惑をかけるつもりで時限販売をするつもりはないはずなので,「周囲に迷惑をかける形での時差頒布」では骨抜きのルールなのでは……


・オペちゃんさんの靖国神社遊就館レポート(Togetter)
→ やはり遊就館は解体して兵器は別途管理すべき……という話を横においておくとしても,大東亜戦争が聖戦だったとアジりたいなら尚更そこで使われた兵器くらいちゃんと学芸員を置いて修復管理してはどうか,という皮肉の一つでも言いたくなる。
→ しかし,実際に軍事博物館を国立で別途作ろうとしたら,反発は強そう。特に自民党がやるとどうしても政治色が付きまとうので,こういうのこそ左派政権が成立したタイミングでやって欲しい気が。それこそ靖国神社と切り離して扇動目的で使われるのを避けるという名目が立つので,むしろ左派政権の方がやりやすいのでは。
→ ついでに言うと,近代兵器はそれとして,刀剣とかの管理は大丈夫なんか……そっちも心配になってきた。


・初詣は新しい参詣スタイル!?――鉄道が生んだ伝統行事(平山昇 / 歴史学)(SYNODOS)
→ これは知らなかったし,ちょっと驚いた。明治期に創られた「新しい伝統」は多いが,これもそうとは。なんとなく江戸時代後期くらいの町人文化発祥なイメージがあった。それも鉄道による行楽とのセットで普及とは意外であった。
→ 言われてみると「初詣には明確なルールがない」のはその通りで,寺社仏閣ならどこでもいいわけだし,日本人の宗教を象徴しているのかも。


・サウディ・イラン対立の深刻度 | 酒井啓子 | コラム | (ニューズウィーク日本版)
→ イランの急激な国際復帰は国際社会のほとんどにとっては歓迎すべき事態であるが,サウディにとってだけは悪夢である,というのはこう言ってはなんだがおもしろい。そのトリガーがイラクに“名目上は”民主的な政権が成立したことというのも。サウディは過剰反応の連続で,自らを窮地に追い込んでいるように見える。
→ しかしまあ,サウディが周辺諸国を巻き込んでイランと断交したところでどの程度国際社会全体に対する効果があるかは疑問であり,そのうちサウディ側が折れるのではないだろうか。イランは全世界の敵みたいな状態だった以前に比べれば屁でもないような。サウディがさっさと民主化するのが根本的な解決策ではあるが,まあ遠かろうな。
→ この記事の本題とは直接関係がないが,アメリカがイラン・キューバと和解し始めたというと(これにミャンマーの民主化を加えてもよい),本格的に東アジア以外の冷戦が解体して次の時代に入ってるだなぁと……本邦の周辺諸国は早く何とかならないんでしょうか。台湾の戒厳令解除・盧泰愚政権成立と来た流れで,第二次天安門事件が失敗に終わったのが歴史の転換点だったのだろう。
  
Posted by dg_law at 12:00Comments(2)TrackBack(0)

2016年04月02日

Pasmo以外持ってないや

・【東方】永琳と純狐が会って何を話すのか気になる(2ch東方スレ観測所)
→ 優曇華のプロデュース方針以外に話すこと無いのかw
→ 優曇華の扱いは横に置いておくとしても,この二人の絡みは見てみたい。永夜抄組と良い二次創作の鉱脈が開かれていると思う。儚月抄であれだけぐちゃぐちゃになったところから,上手いこと立て直した感ある。永夜抄好きなので,神主ありがとう。もっとも,本人も多分気にしてたんだろうなとも思うけどw


・マガジンの麻雀漫画・甲斐谷忍「無敵の人」はどこへ向かうのか(近代麻雀漫画生活)
→ 週間少年マガジンで麻雀漫画は,ひょっとして『哲也』以来? 私は天鳳を全くやらないのでこの説明はありがたい。 取り上げられている1話の八萬の件は普通にミスらしい。
→ 先週までの展開は普通に面白い。主人公と,当面のボスっぽい人以外は一切特殊能力を持っていなくて(この二人の能力もオカルトでない),主人公が相手を蹴散らしていく展開はまさに「無敵の人」。当面のボスっぽい人に当たるまではこの展開が続くのかなと思う。
→ 麻雀の描写で言うと,主人公の能力が効かない・効きづらい人が現れて,しかし主人公はそれも乗り越えていく,という話作りでここまで来ているので,そろそろもう一捻り欲しいかなとは。


・共通ポイントがカオス化してきてる(増田)
→ 力作。よくまとまっていてありがたい。
→ 自分ではあまり興味もないこともあって全然把握していなかったし,現実的にTポイントしか使っていない。生活インフラの中心がファミマなので,どうしたってTポイントが便利なんだよなぁ……
→ これに電子マネー勢力争いの図を重ねると尚更カオス。誰か作ろう(提案)


・日韓慰安婦問題合意 外相会談「最終かつ不可逆的に」解決(毎日新聞)
・慰安婦問題、歴史的合意を待ち受ける課題(ニューズウィーク日本版)
→ これは昨年末にあった大事件だけれども,現時点では全く何とも言えない。日韓双方にこれでは納得できない人がいるが,じゃあ破棄されるかというとそれが許される国際社会の状況でもなくなりつつあるような気はするし。
→ 一つ言えるのは合意に至ったこと自体が青天の霹靂で,内容面も思ったよりも練られていた。10億円という金額の多寡は横においておくとしても,ニューズウィークの記事で触れられているように,アジア女性基金の欠点を踏まえた内容ではあるように思う。加えて言うなら,随分韓国側が譲歩した内容にも思えた。パククネ政権側に飲まざるをえない事情があったのだろうか(無論,アメリカを主とした西側諸国に「対中を踏まえていい加減日本と仲直りしろ」と圧力がかかっていたのはあろうが,それだけで? という意味で。)
→ まあ我々が心配すべきは,非常に陳腐な一般論にしかならないが,日本側の破棄を狙っている人々の動向としか言いようがない。安倍首相が,というよりも自民党政権がどの程度真摯に償う気があるのかはこれまでの事情から疑われているわけだが,少なくとも韓国国民が「日本は本気で反省した」と思わせられるような態度でないと,合意の意味はなくなるだろう。慰安婦自身たちは当然として,この場合は韓国国民全体の問題でもあろうから。  
Posted by dg_law at 12:00Comments(2)TrackBack(0)