2016年12月30日

2016年自薦記事10選

今年はそもそもブログ記事あんまり書いてないからやめようかなと思っていたが,なんだかんだで10個くらいは自薦できそうなものがあったので書いておく。それぞれに読み返した感想とか裏話とかをつけておいた。「受験世界史悪問集」は別枠としてあえて選ばなかった。これが今年最後の更新です。それでは良いお年を。


1.授時暦は“何の影響”を受けて成立したのか?(4/7)
→ 今年唯一の「高校世界史」シリーズだろうか。実はストックはあるのだけれど記事になっていないものがあるので,いつかお披露目できれば。

2.黄金のアフガニスタン(4/23)
→ 今年一番行ってよかった展覧会というと若冲展だが,一番おもしろかった展覧会というとこっち。アフガニスタン国立博物館の宝物は,本当にいつか故郷で安住できることを願う。

3.稀勢の里スマイルに始まり終わった場所かも(5/22)
→ 今年の大相撲は稀勢の里のアルカイック・スマイルに振り回された印象が強いので,その象徴でこの場所の感想記事を。

4.中国麻雀を打ってみた感想(6/3)
→ あれからも打てる人が4人そろうたびに打ってる。仲間内の恒例行事化しそう。皆ルールを覚えてやりましょう。

5.書評:『三国志』宮城谷昌光著,文春文庫(6/9)
→ 長らく自分の中の宿題になっていて,やっと消化できた記事。それだけに良い文章が書けたのではないか,と思っている。

6.書評:『ルワンダ中央銀行総裁日記』服部正也著,中公新書(6/24)
→ こちらは読んですぐに書いた書評。今年も『まなざしのレッスン2』や『哲学の誤読』など,おもしろい本はいろいろと読んだが,読む前の印象と読後の印象が全然違ったのは本書である。そのことを書けたのを書評に書けたので良かった。

7.『シン・ゴジラ』感想(8/22)
→ 書評や映画評・展覧会評はなるべく独自の意見を載せる,そうでない場合は見たこと自体とおもしろかったかどうかだけにして簡潔に,を最近心がけているのだけれど,この『シン・ゴジラ』評は比較的独自性の高い感想になっているのではないかと思う。
→ なお,『君の名は。』で感想を書いていないのは,凡百の感想しか書けそうにないので,他の映画とあわせて2・3行で済ませようと考えているから,だったりする。

8.『ブロークバック・マウンテン』(11/7)
→ 今年発表のものかどうかを考慮に入れないなら,今年見た中で一番おもしろかった映画。「私が見た映画の傑作トップ20」候補一覧も記事中に書いたので,自分への備忘録もかねて自薦しておきたい。

9.最近読んだもの・買ったもの(『NEW GAME』3・4・5巻)(12/7)
→ 漫画・アニメに限って言えば今年最大の出会いは間違いなく『NEW GAME!』になる。こんなにはまるとは全然思っていなかった。感想で少しでも良さが伝われば。

10.「真田丸」(12/22)
→ ついこの間書いたものなので裏話も久々に読み返した感想もないのだけれど,大河ドラマを見た記念で。
  

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2016年12月29日

C91チェックリスト(3日目)

引き続き,思ったより艦これが長生き。アイマス関係は現状維持くらい。グラブルは順調に増えてる。Fateは大人気。何が減ったんだろう? サークルの総数自体が増えたのも確かだが。

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2016年12月28日

C91チェックリスト(1・2日目)

二日目は量が非常に少ないので,行かないか,行っても重役出勤と思われます。初日もおそらく西には行かない。なお,今回は西2が無くて東7があります。

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2016年12月27日

栃木県旅行記(鬼怒・日光周辺)

うだうだ書かずにいたら一ヶ月経ってしまったが,先月の中旬に二泊三日で栃木県の方に旅行に行ったので,報告を簡潔に。


・龍王峡
ご覧の通り,典型的な美しい峡谷である。龍王峡の場合は火山から噴出した火成岩が水流によって削られてできた峡谷だが,厳密に言うと岩の種類によって岩肌の色や削られ方が異なり,3つのゾーンで少しずつ異なった景観を見せている。おそらくほとんどの人がイメージする龍王峡は最も手前にある「白竜峡」で,いわゆる「主な見どころ」的なスポットも大多数がここにある。

龍王峡3
龍王峡1


名前の通り,そしてご覧の通り,岩肌は真っ白に近く,岩はかなり柔らかいようで水流によってゴリゴリに削られており,奇岩,あるいは「山水画によくあるやつ」と言っていいような形の岩がゴロゴロしていた。岩がもろいせいか亀裂が多数入っていて皴法にしか見えず,松の木も無理やり生えるのに成功しており,これらがまた山水画っぽさを助長している。岩肌の白さと,透明度の高い緑色のコントラストがすばらしく,その意味では水墨画というよりも青緑山水画,端的に言って真っ先に思い出したのは川合玉堂の絵であった。まあ,あれは多摩川上流なのだが。自分の感想はそんな感じだったのだが,同行者が「どう見ても少年漫画で修行する場所」とか言い出し,そう言われるともうそうとしか見えなくなった。あー間違いないわー,ここで飛天御剣流の修行してそうだわー。岩の亀裂も必殺技の修行の跡ですね間違いない。

白竜峡のゾーンを過ぎると次に来るのが「青龍峡」で,看板を超えるとすぐに岩肌の色ががらっと変わるのでおもしろい。そして確かに青い。またこの辺の岩は水に触れた部分は赤茶けていた。明らかに岩の成分ごと違う。

龍王峡2


また,岩が若干硬いのか,こちらは剣撃で割れたような亀裂が岩に入っておらず,切り立った崖になっていることもあって,これはこれで「ザ・渓谷」という様相に。この白竜峡と青龍峡の境目までがスタート地点から大体30分ちょっとで,ここで折り返すとジャスト1時間ほどで帰ってこれるちょうどいいハイキングコースになる。個人的には青龍峡も越えて次の「紫龍峡」まで見てみたかったのだが,諸事情により行程が遅れ気味だったのと,同行者が歩く気なさそうだったので,ここで引き返した。ついでに言うと,狭義の龍王峡はその紫龍峡までになるが,ハイキングコースとしてはまだ先が存在していて,最後まで歩くと片道3時間コースになる。ゴール地点はちょうど川治湯元になるので,温泉もあるし東武鉄道も通っている。がっつりハイキングしたい人はフルで歩いて温泉に入って帰るとちょうど良さそうである……というよりも,思っていたよりも良い場所だったので,ここはそのフルコースで歩くべく,来年の夏か秋の早々にリベンジしたい。


・加仁湯
今回の旅行が栃木県になった決定打。ここは鬼怒川温泉ではなく,奥日光でもなく,奥鬼怒温泉である。ここ以外にも奥鬼怒温泉の宿はいくつかあるが,数は4つと多くない。その中では加仁湯は有名な部類らしく,若干矛盾のある表現になるが「有名な秘湯」である。ということで奥鬼怒温泉まで行ったわけだが,驚くべきことに,途中で公道が無くなる。つまり一般車では途中までしかたどり着けない。もっともこの公道もかなりすごかった。しっかり舗装されていたのでその意味ではまともな道だったが,むしろよくこんなところを舗装したなと思うようなうねりの効いた山道である。で,舗装が途切れたと思ったら「一般車通行禁止」の看板と大きな駐車場が見えてくる。ここで降りろということだ。

そこから先は温泉宿が出しているバスに乗るか,ハイキングで行けということになる。逆に言ってバスが無かったら強制的に歩いて行くしかない。幸いにも17時頃に「これが最後」というバスに滑り込みで乗れたので歩きは避けられた。実のところ距離はそんなになく,楽勝で歩ける距離(加仁湯のHPには1時間半ほどと書いてある)だが,歩くとしたら日中昼間しかダメだろう。日没しかけの17時からここを登山したくない。
1.車道と歩道の区別がない上に狭く,公道ではないので交通量は極めて少ないものの,夜中にすれ違ったらまず避けられない
2.落石がむちゃくちゃ多いらしく,ガードレールが全てひん曲がっていて全く機能していない
3.滑落したら間違いなく死ぬ

加仁湯帰路


画像は帰路に撮ったものだが,ガードレールはマジで大体ずっとこんな感じ。そういう意味ではバスでも割りとスリルがあって楽しかったです(震え声)。バスの運転は安全運転で問題なかったけども,そういう問題じゃない。これは龍王峡をガチハイキングしてバスを逃していたら我々は大変なことになっていたのでは。日本で東京から半日で来れる場所にまだこんな場所があったんやな……という新たな発見であった。一応,加仁湯や八丁の湯で検索してみると,やはり午前中に上って温泉宿で温泉につかり,昼飯を食べて下山というハイキングと温泉を複合した楽しみ方をしている人が多かった。良い休日の過ごし方だと思う。

温泉は濁り湯で,泉質は大変良い。ただし,温泉の温度は一切湯もみせず垂れ流し状態であり,湯船によって全く温度が違うので要注意。いくつかの湯船は明らかに人間の入っていい温度ではなかった。お夕飯は一般的な旅館の夕食という感じで可も不可もない。山奥らしさはイワナに,栃木県らしさはかんぴょうに現れていたかな,というくらい。まあ,ご飯で売っている旅館ではないので。施設は超絶ボロいことを想定していったが,思っていたよりも新しくて快適だった。ネットのレビューを見ると中にはやはり「ひどい」としているものもあり,部屋によるのかもしれない。


・日光湯元〜戦場ヶ原〜中禅寺湖〜華厳の滝〜いろは坂〜日光
二日目はこれらを一気に観光したのだけれど,意外とそんなに見どころがなかった。日光湯元はよく知らなかったのだけれど,ここは完全に「登山の前日にひとっ風呂」というベースである。男体山や白根山に登らないなら用事は無いと思われる。戦場ヶ原は地質学的にはおもしろいらしいのだが,全く知らないで見るとただの湿原であった。雨が降っててとんでもなく寒かったのでさっさと撤退した。中禅寺湖も一応湖畔をドライブして旧イタリア大使館別荘記念館だけ寄った。悪くない建物ではあるが,このくらいの洋館なら日本全国にあると思う。華厳の滝はさすがにすごかったが,最寄りまで行けるエレベーターのお値段が異様に高くて萎えた(乗らなかった)。

そうそう,高いと言えば,日光東照宮も建て替えで資金不足という事情はわかるのだけれど,一般1300円はさすがに高すぎると思う。それも建て替え中で,三猿・眠り猫・陽明門が全部見られなかったのに値下げなく1300円とられたので,正直印象は悪い。あまりに腹が立ったので一銭も賽銭を入れなかった。「これもう真田丸は豊臣方を応援するしかねーわ」とは同行者の弁である。

唯一楽しかったのはいろは坂で,同行者の一人が『イニシャルD』のファンで,前日に皆で該当回を鑑賞していたので,聖地巡礼に否応にもテンションは上がる。特に“仕掛けるのはこの先の”で有名な33コーナー。サントラを聞きながら駆け抜けた(法定速度は守っていました)。実際ここでジャンプはできないよな。でも真似しようとしたバカはやっぱりいたようで,明らかにガードレールにぶつかった跡とかタイヤ痕が。聖地巡礼以外の話もしておくと,秋のいろは坂といえば紅葉と渋滞が名物だが,ピークから時期が1・2週間ほどずれていたせいか,むしろ我々以外の車をあまり見かけなかった。じゃあ完全に散っていたかというと,半分ほどは残っていて,かえってゆったりと楽しめた。意外とピーク明けなら穴場なのかもしれない。

いろは坂


写真は明智平から撮ったもの。こうして見るとやっぱりすごいヘアピンカーブ。

あとは霧降高原に行って,同行者が持ってきたドローンを飛ばして遊んでいた。高原とドローンは相性が良いかも。まず間違いなく飛行禁止区域になっていないので(一応事前に調べましょう),自由に飛ばせるし,ドローンは上空500mくらいまで飛べるので,最大まで飛ばせばかなりいい風景を見ることができる。バッテリーが重く,持って登るのがしんどいのだけが難点。本体は軽いのだが。



雲海が非常に綺麗でした。この動画だと1分過ぎから。


・明治の館
今回最大の掘り出し物。日光市内でお夕飯を探していて発見したのが明治の館。日本コロムビアの前身となった会社を創設し,日本に初めて蓄音機を紹介したアメリカの貿易商F.W.ホーンが建てた建物で,格調高いクラシカルなジョージアン様式。日本の明治・大正時代の洋館というとどうしてもお雇い外国人コンドルの血が入っていることが多いが,全く別の様式であるのでかえって珍しい。コンドルの建築に見慣れた人からすると,全く明治時代の建築物がそのまま残っているとは思えないだろう。さすがにレストランとして再活用する上で多少直したようだが,それを加味しても保存状態は極めて良く,こんなに知名度が低いのは驚きである。もっと建物を宣伝しよう(提案)。

明治の館


歴史好きからすると最大の衝撃だったのは,東京大空襲の後(1945年4月)に外相・重光葵が疎開したのがこの建物で,その約5ヶ月後に,この建物からミズーリ号に向かったということ。普通に史跡なんですが,むしろなんでレストランなんですかね。お料理の方は普通に美味いというくらい。ワインの種類はけっこう豊富。お値段はワインを入れても4・5千円というくらいだが,栃木牛のステーキだけは別格に値段が高いので,注文の際は注意すること。19時30分と閉店が意外と早いのが最大の注意点かも。
  
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2016年12月24日

年の瀬なので己の萌えを再確認する。

約3年前。

・東方
1位: パチュリー・ノーレッジ
2位: 八意永琳
3位: レミリア・スカーレット
4位: 秦こころ
5位: 茨木華扇
6位: 稀神サグメ
7位: 古明地こいし
8位: 聖白蓮
9位: 八雲紫
10位: 純狐
11位: 博麗霊夢
12位: 西行寺幽々子
13位: マエリベリー・ハーン
14位: 宇佐見蓮子
15位: 本居小鈴
16位: 古明地さとり
17位: 霧雨魔理沙
18位: フランドール・スカーレット
19位: 堀川雷鼓
20位: 上白沢慧音
21位: ルーミア
<コメント>
サグメ様と 純狐が新規にランクインした以外は全く変わり映えのしないランキング。解説することもないので省略してもよかったレベル。書籍・CD組が多いのが特徴と言えば特徴。


・モバマス
1位 神崎蘭子
2位 渋谷凛
3位 北条加蓮
4位 鷺沢文香
4位 白坂小梅
6位 神谷奈緒
7位 二宮飛鳥
8位 依田芳乃

9位 高垣楓
10位 アナスタシア
11位 新田美波
12位 三船美優
13位 鷹富士茄子
14位 森久保乃々
15位 佐久間まゆ
16位 佐城雪美
17位 橘ありす
18位 浅利七海
19位 松永涼
20位 三村かな子
<コメント>
こっちはアイドルが増えたこともあってけっこう変動が。まず鷺沢文香が急激に上昇。これはデレステ効果で,普段の生活は前髪を垂らして伏し目がち,アイドル衣装になると綺麗な目というギャップは前からだったけどデレステで一気に目立つようになった。完全にあの瞳にやられました。3年前版は10位までしか載せてなかったから見えてなかったが,実は三船さんも順位が上がっていて,これもデレステ効果。特にあのドレスは反則的にかわいかったぞ。純粋に増えたのは飛鳥くんとよしのんと七海の三人だろうか。3年前では10位まで全員クールだったが,よしのんのおかげでその大惨事は避けられた……避けられてない気もしてきた。なお,21位は桃華です。


・艦これ
1位 響
2位 叢雲
3位 加賀
4位 浜風
5位 不知火
6位 Graf Zeppelin
7位 時雨
8位 夕立
9位 野分
10位 蒼龍
11位 浦風
12位 磯風
13位 鹿島
14位 綾波
15位 Warspite
16位 Pola
17位 Saratoga

18位 弥生
19位 霧島
20位 親潮
<コメント>
一番変動が激しいのがこれで,3つのジャンルの中で最も新キャラが増えたというのもあり,自分の中での好みの変化もあり。浜風って3年前いたっけ? あまり記憶がない。全体的に陽炎型の順位が高いように見えると思うが,全員好きなので間違ってない。20位までに6人入っている上に,20位台に舞風がおり,30位台に嵐がいます。当然駆逐艦・艦種別の順位では陽炎型が一番高い。もっと言えば谷風の順位も別に低くないので,どうやら17駆が僕の天国らしい。次点は暁型で,この2つは相当に僅差。白露型はどうなのかというと,20位以内には時雨と夕立しか入っていないが,実は23位・24位が江風・海風でけっこう惜しかった。あとは30位台に山風いて,最近の瞬間風速だけで言えば山風とコマンダンテストさんが1・2位かもしれない。残りの子は正直そんなに興味がありません。

駆逐艦以外。Graf Zeppelinが入ったのは説明不要であろう。WarspiteさんとPolaさん,Saratogaさんと3人急に魅力的な海外艦が来て私はとても嬉しい。Polaさんは三越のお衣装もよくお似合いでした。鹿島も3年前にはいなかったか。


(追記)
『咲 -Saki-』が無いのでやってみてくれという要望があったので,こっそり更新しておく。
1位: 渋谷尭深
2位: 雀明華
3位: 東横桃子
4位: 滝見春
5位: 天江衣
6位: 園城寺怜
7位: 真屋由暉子
8位: 郝慧宇
9位: 獅子原爽
10位: 宮永咲
<コメント>
実は5位と6位の間にけっこう大きな溝があって,5位以内は多分半永久的に変わらないと思われる。多分,他の作品のランキングに比べると独自性が強くて,たかみーと明華が好きという人はかなり珍しいのではないか。ハオさんはキャラも好きだが,中国麻雀が好きなのでその補正もある。高校別だと10位以内に二人いて,残りのキャラも嫌いな子がいない,臨海女子と有珠山は間違いなく平均値が高い。次点で白糸台,鶴賀,龍門渕あたり。あとは,プロ抜きでやったので,入れるとどこかに三尋木咏が入ってきそう。
  
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2016年12月23日

前転ならぬ禅展

瓢鮎図東博の禅寺展に行ってきた。禅とは鎌倉時代から江戸時代前期に渡って日本の文化に多大な影響を与えてきた要素であり,特に室町時代の文化となると禅抜きにはほとんど何も語れない。ひどく大風呂敷を広げたな……と思ったらその大風呂敷通りの展覧会で,上手いこと何とかまとめてしまっていた辺りさすがは東博の企画展である。

前半は禅の歴史のお勉強で,達磨の中国渡来,そこから禅宗が芽生えて臨済義玄により臨済宗が開かれる。さらに中国で多様な禅が開くが,その中で栄西が臨済宗を日本に導入し,日本でも禅が普及していく過程を,物品を使って説明していた。そもそもこの展覧会が開かれたのは臨済義玄没後1150周年・白隠禅師没後250周年だからだそうで。中国の方の展示はさすがにそこまで充実していたわけではないが,雪舟の「慧可断臂図」が見れたので良しとしようと思う。中国の伝説的な禅僧紹介掛け軸シリーズがけっこうおもしろくて,キャプションに「◯◯をしている途中に突然大悟した(悟りを開くこと)」とか書いてあり,人間どこで悟るかわからないものらしい。自分も日々悟りを探して生きていこうと思いました(棒読み)。

一方,日本の古刹,とりわけ五山十刹・臨済黄檗十五派(重複有)の各寺院の紹介は非常に充実していて,十何年か前に高校日本史で京都・鎌倉五山の名前だけ機械的に覚えて今はだいぶ忘れてしまっている身にはあの寺そんな意味があったんだ,と十何年ぶりに情報を更新した形である。ただ,頂相にはあまり興味が無いので,師弟関係が極めて重要な禅宗であるからこその頂相とはいえ,こうも「うちの寺の祖師シリーズ」で頂相がずらっと並ぶと,壮観ではあれ若干飽きが来たのも事実である。一応,十五派が地域的にそれなりに散っていることから,「京都と鎌倉に行けば全部見れるんじゃん」と言われずに済んだ展示にはなっていたかなと。

後半は禅宗と戦国武将という企画のゾーンと,江戸時代の禅僧をピックアップしたゾーン,そして禅から派生した文化という企画のゾーンである。戦国武将が禅僧をブレーンにしていたのは広く知られた話であろう。チョイスは北条早雲・武田信玄・三好長慶・織田信長といった面々。トリを飾ったのが以心崇伝で武家諸法度の写本という構成はなるほど戦国の終わりである。以心崇伝直筆の草稿で,さすがに重文であった。江戸時代の禅僧はやはり白隠中心であった。まあ,自由な人である。禅文化のゾーンはお察しの通り水墨画と茶器が中心で,日本の茶が『喫茶養生記』から始まっていてわび茶も禅の影響があるから,茶道とは切っても切り離せない関係にある。ここでは何度見てもすごい東洋陶磁器美術館の油滴天目や瓢鮎図が私の目を楽しませてくれた。あと新田肩衝を久しぶりに見た。

こうしてみると前半は歴史に沿ったお勉強展示で後半は禅の影響力を示す総花的展示と,役割分担がなされていたのが,テーマの割に拡散した展示にならずに済んだ工夫であったのかなと思う。見応えがあって満足感は高かったが,見応えがありすぎて若干ゲップが出た感じも。こんなわがままを言っている自分は仏教的な中道の精神には程遠いのかもしれない。
  
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2016年12月22日

「真田丸」

非常に珍しくも,大河ドラマを見ていた年であった。見るようになったきっかけは,丸島和洋先生のtweetである。この歴史考証に関するコメントとセットで見れるなら,確かに面白かろうと思って見始めた。

私は三谷幸喜のそれなりのファンである。過去の映画は大体全部見ている(最新作の『ギャラクシー街道』だけ見ていないが,あまりの酷評っぷりに見る勇気がない)。『笑の大学』か『ラヂオの時間』あたりは人生で一番笑った映画ランキングベスト5に入れている。にもかかわらず今回ちょっと敬遠していたのは,『ギャラクシー街道』は無関係で,『清州会議』がぶっちゃけて言うと割りと微妙で,この人にちゃんとした史劇が書けるんだろうかという疑問が先立ったためである。結果から言うとそれは杞憂だったというよりも,三谷幸喜は明らかに『清州会議』の二の舞は避けていた。「真田丸」は時折「コメディ寄りすぎる」という批評を受けていることがあるが,私に言わせるとむしろ,おそらく『清州会議』の反省でコメディに寄ったのではないかと思うし,それは成功していたように思う。多分,あの人にシリアス一辺倒で史劇は書けないのである。しかし,大河ドラマである以上全面的なコメディにはできない。その折衷であの「真田丸」ができたのではないかと思う。

おそらく一番面白かったのは大阪編という人が多いと思われるが,秀吉の出す緩急の激しい空間の雰囲気は,方向性が異なるだけでコメディの作り方に近かったのだろうと思う。天正壬午の乱も面白かったが,あれは単純に天正壬午の乱自体が見慣れぬ事件であり,細かい展開を知らない視聴者が(私を含めて)多く,一応最終的な帰結は知っているはずなのに展開自体に引き込まれたところは大きいと思う。その意味では考証の平山先生の功績かもしれない。一方,最後の大阪の陣編はここまで張ってきた真田丸全体のテーマをすごい勢いで回収していて,最終的にはコメディコメディ言われつつもちゃんと“大河ドラマ”に仕上げたのだなという感慨があった。信繁が幸村と名乗ったところで「ああ,この作品はここで史劇から講談に飛翔するんだ」と,作品の雰囲気も視聴者の認識も上手く切り替わり,地に足の着いた展開から割りと何でもありに切り替わったことで,そのままの勢いで最後まで駆け抜けていった。

そんな中でやはり批判を浴びがちだったのは合戦回で,とにかく迫力がなかった。予算の影響でエキストラの人数が少なかったのもあろうが,それをごまかすカメラワークがあったわけでも脚本の工夫があったわけでもなく。関ヶ原をやらなかったのは信繁か信之かきりが見ていないものはなるべく映さないというより深い理由があったとはいえ(本能寺の変も無ければ大坂城落城も無かった),やらなくて正解だろう。序盤の小規模な小競り合いや個々の殺陣のレベルなら不満は無かった(それでも不満は無かったレベルだが)ことを考えると,要するに三谷幸喜に大規模な合戦は書けないということなのだろう。


「真田丸」の大テーマは敗者たちの物語だそうで,それは極めて巧みに描かれていたと思う。時代に取り残され,大きな流れについていけなかったものたち。それでも,そこには積み重なった無念があるのだ。最終的にその無念の全てを背負った信繁が,真田幸村となって華々しく散り,自らも敗者になって終わる。天正壬午の乱の後半から大阪編の中盤にかけてあからさまな伏線が多く,「源次郎はどんだけ呪いをかけられるんだ……w」と視聴者に茶化されていたが,あれは本当に呪いであったのだ。しかし,彼にとっては呪いではなく,力の源であり,そこに悲壮感はなかった。結局,彼にかけられた呪いは史実通り解放されずに彼を死に追い込んでいったのだが,最後の信繁が非常に満足そうだったのは,背負っていたものが自らの無念ではなく,あくまで他人の無念であったから,自分もまた果たせなかったという無念よりも「やりきった」という晴れがましさの方が強かったからだ。

史実の信繁が実質的に大阪の陣まで何もなしていなかったことを逆手に取って,「まっさらな身体にありったけの先人の無念を溜め込んだ人物」として描き,50回中40回近くを(信繁の行動に限れば)伏線を張ることだけに費やしたのは,非常に大胆かつ史実を活かした展開であった。にもかかわらず秀吉の御伽衆で大名クラスの知行を得ていたという最近発見された史実は,この展開の工夫にとっては大きくプラスに働いた。秀吉に目をかけられていた見込みのある若者を不自然なく描くことができ,結果的に不自然なく桃山時代末期の主要人物と信繁を接触させることができ,彼を敗者の無念を回収する人物に仕立て上げることができた。

信繁自身はむしろ作中では屈指の“時代の流れ”を読めていた人間であったという描写だったのも上手く,信繁の悲劇性に拍車をかけた。実のところ本作で印象深いシーンというと,犬伏の別れで昌幸に切れる信繁というシーンである。あの前半の主役と言ってよかった昌幸はすっかり時代の流れが読めなくなっており,これを諭す信繁。しかし,彼はその昌幸についていき,信之とは別れを告げる事になる。この言動がまさに本作の信繁の,極めて典型的な言動であったのだ。

これに関連する話でもあり,まさにそこが丸島先生のtweetがおもしろかった部分でもあるのだが,本作の裏テーマは「中世から近世へ移行する日本社会」であり,自力救済から法治国家へ,地方分権から中央集権へ,ひいては封建制から社団国家へと移っていく様子がよく描かれていたと思う。表の大テーマと関連することが多かったとはいえ,これをよくぞ描いてくれたと,時代区分警察を自覚する自分の立場からもここに書いておこう。  
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2016年12月19日

立体卜字路なら割とある気がする

・理想的な「立体Y字路」を探して (デイリーポータルZ)
→ 『君の名は。』を見て真っ先に思い出したのがこの記事だったという。ラスト付近で非常に印象的な立体Y字路が出てきた。視覚的な気持ちよさとしては割とわかるつもり。
→ 有名なローテンブルクのY字路は『カタハネ』でも出てきた。ここも印象的なシーンで使われていた。


・新人記者(オタク女子)が行く:爆発的ヒット『君の名は。』 昔からの新海誠ファンが抱く複雑な感情とは?(ITmedia ビジネスオンライン)
→ 全体的に「あるあるwwww」すぎる会話。鑑賞後にこんな会話をした30歳前後のオタクどもは多かったのでは。自分を含め。ストーリーにツッコミどころが多いとか。
→ ネタで「俺たちの新海が旅立っていった……」とはどうしても言いたくなるけど,実際嫌な気持ちにはならなかったかな。コメディータッチでハッピーエンドではあったけど,結局のところ「やっぱなかなか会えないんじゃんw」というところとか,奥寺先輩の扱いとかが完全に今まで通りの新海誠だったので。売れるように作ることと核の部分の接合点が上手く見つかったのなら,本当に良いことだと思う。ちなみに現時点では206億円を突破したそうな。
→ 「今後、新海監督には、どんな作品を作ってもらいたいですか?」には,100%ネタで「今こそ『はるのあしおと』の劇場版アニメ化をですね……」と言っておこう。できれば楓ゆづきルートでお願いします。


・秀忠、織部に武家茶へ転換指示か 茶道史の定説変える可能性(共同通信)
→ 漂う『へうげもの』どうするんだよ感。実際に『へうげもの』でもそう描かれたように,「これまで、千利休に代表される町衆の茶道に代わる武家茶道(大名茶)を定めるよう織部に命じたのは、豊臣秀吉とされてきた。」ので,まだ史料が1つ出てきただけだが,覆れば本当にすごい新説になる。ま,まあ『へうげもの』はもうすぐ連載終わるから(震え声)


・【悲報】ワイの職場、25年務めたパートのおばさんが辞めそうで現場大パニック【働くモノニュース : 人生VIP職人ブログwww】
→ すごくありがちな光景。スレ内でも出ている通り「似た様な状況になってる職場 日本では今かなり多いんやろうな」と私も思う。
→ ただこれは,「賃金カットや非正規で人材育成を放棄したツケを払う時が来たんやな・・」というよりも,この人がパートではなく正社員であっても全く同じことは起こりうるわけで,特定の誰かがいないと回らない職場は脆弱というより単純な話ではないかと思う。その人がどうにも辞める前に,まだ引き継ぎができる余裕のあるうちに新体制を構築しておくのが間違いなく正解ではあるのだろうけども,なかなかそうも行かないのがなぁ。
→ 「このおばちゃんが正社員じゃないのは不当」というのはちょっと的外れではあり,人間事情により非正規雇用の方が都合がいいことは多い。たとえば正社員だと週5日全部出るのが基本になるが,フルタイムでは厳しいという事情の人も多かろう。論点はむしろ,同一労働同一賃金になっていないことではなかろうか。  
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2016年12月17日

最近読んだもの・買ったもの

・『U.Q.HOLDER』12巻。
→ マガジン連載分最後の巻。私もここまでは雑誌で追っていた。本作は『ネギま!』の続編である一面と,不死者たちの物語であるという一面,バトル寄り・ラブコメ寄りの普通の少年漫画という一面があった。そして少なくとも10巻頃までは割りと良いバランスで進んできていたと思うのだが,ここに来て急速に『ネギま!』の続編という一面が濃くなってきている。この先バランスが崩れそうで少し怖いし,これが移籍が決まったことで巻に入っているのが原因ならかなり残念である。
→ もちろん,『U.Q.HOLDER』という連載自体の最大の目的が,『ネギま!』で果たされなかった伏線の回収にあると思うので,これをやり遂げないと終われない。不死者たちの物語という要素と,少年漫画という要素はあくまでも物語をおもしろくするための要素であって,物語の目的ではない(あるいは赤松健はその3つの全てを描きたかったから融合させたのだろうけども,現実が要求するのは『ネギま!』の完全完結だけだった)。その意味で,これはゆったり連載させてほしかったのだけれども,うーん。個人的には,確かに『ネギま!』が伏線を回収しきらずに終わったので残された謎をきっちりファンに明かしてほしいという気持ちと,『ネギま!』の終盤は物語がかなりだれていたのであれの繰り返しを見せられるのは勘弁願いたいという気持ちの両方あって,けっこう複雑な心境である。


・『球詠』1巻。
→ マウンテンプクイチ氏の女子高生野球漫画である。百合で有名な人ではあるが,氏は野球好きで同人誌を読んでいると時折野球観戦が趣味の女子が登場する。今回はその観戦するのが趣味の女子高生ではなく,プレイヤーの側の女子高生たちが活躍する。野球と百合という組合せ,氏としては完璧な組合せであり,むしろ今まで同人誌で出てこなかったのが意外なくらい。
→ 設定としては落ちぶれた古豪に,あれよあれよと有望な選手が集まり,素人を含めて9人(マネージャー除く)がそろってしまったので,いっそのこと全国を目指してがんばろう,というよくあるパターン。ピッチャーの主人公は幼少期にゴムボールで練習していた関係で異様に曲がるカーブが投げられるという設定で,野球漫画としてはこれがこの先どの程度生きてくるかによっておもしろさが変わってくるのだろう。あとピッチャーが主人公一人しかいないので,いかに高校野球といえども控えは必要になるだろうから,どこかで新キャラを増やすか,初年度はどこかで負けるか,が見どころだろうか。
→ ところで,野球で魔球というと探偵ナイトスクープのゴムボールで超鍛えた帰宅部VS金本知憲選手の超落ちるカーブなんだけど,同様の連想をした人はそこそこ多かろうと思う。





・『FAIRIES STORY』。作者得能正太郎による『NEW GAME!』の画集。各イラストにかなり細かく作者のコメントがついている。以下,メモ書き。
→ 1巻の絵がたまにぼやけている現象,自分の気のせいかとも思っていたけども,やはり実際にぼやけていて,作者も原因不明で苦しんでいたらしい。カラー原稿の描き方の問題だったようで,途中から修正されている。
→ ねねごん回は人気が高いらしいぞ?
→ ひふみの性格はやはり「そのままだとマンネリ化するから」ということで,いろいろ考えているらしい。
→ 「肉じゃがメッセ回」はやはり描いてて楽しく,作者としてもお気に入りらしい。
→ 水着絵は読者サービスというよりも「密度が低いから早く描ける」という理由で選ばれることが多い気がする,とのこと。なるほど。『NEW GAME!』の場合は服装が割りとおしゃれだしな……
→ 服装といえば,一品物のイラストでは思い切りおしゃれにして,作中では会社員だからおしゃれすぎないように(ゆんと大学生のねね以外)ということでやっているとのこと。確かに作中の青葉はほとんどスーツだし,りん・コウ・ひふみ・はじめの4人は服装が簡素。
→ 『PECO』のキービジュアルコンペの,コウと青葉の絵の大きなバージョンも載っている。青葉が下手に見えず,しかしちゃんと差は見えるというのは難しかったそうだが,実際に構図だけで二人の実力差がわかり,かつ青葉が下手には見えなかったので,これはすごいと思う。
→ ロングインタビューでここまでのキャリアも語っているが,それで調べてみると昔の作品と今の絵が全然違いすぎて驚いた。昔の絵は整ってはいるけど正直個性がない。前作(漫画デビュー作)『こもれびの国』のAmazonのレビューで散々「画集」って言われれて笑ってしまった。絵が整っていつつもわかりやすい方向に進化したのは意外にも『NEW GAME!』からで,なるほど,いろんな意味で“化けた”んだなと。
→ 青葉がうみこに薬莢を渡されて困惑するシーンは実話(実体験)だそうで……まじかよ……現実にアレやった人いるの……ゲーム会社ぱない。


  
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2016年12月14日

ハンガリー系力士も躍進してほしいなぁ

・新弟子検査にポーランド系イケメンの露草…立大中退「相撲は男のロマン」と入門(スポーツ報知)
→ レスリングの伝統と接続しやすいらしく東欧・中欧ではしばらく前から相撲が盛んで,世界大会だとロシア勢やハンガリー勢が強い。そのうちロシアとチェコとブルガリア(と入れていいならグルジア)は幕内力士を輩出しているので,その延長線上にポーランド人が出てきてもおかしくはない。
→ 力士人口が多いのはロシアとハンガリーだが,ロシア出身力士はやたらと大麻騒動やら八百長騒動やらの不祥事を引き起こす・巻き込まれるパターンが多く(大半は自業自得だが),現役の阿夢露を最後に頭角を現す力士が出てこない。また阿夢露は「あむうる」の名前の通り沿海州出身であるから,東欧出身の文脈には乗らないかもしれない(現役で幕下の大露羅もブリヤート共和国出身)。ヨーロッパ=ロシア出身・レスリング出身最後の大物としては2010年に関脇まで上った阿覧が最後となるが,彼が引退後実業家に転身して相撲との縁が切れてしまったのが手痛い。別に大相撲協会とケンカ別れしたわけではなく,むしろ師匠の定年退職・部屋の閉鎖が原因での気力減退が引退理由なので,余計に。
→ ハンガリー出身力士は競技人口に比してパイプがないのか,パイプが無いせいで「1部屋1人縛り」に参入できずにいるのか,現在のところ舛東欧以外出てきておらず,舛東欧にしたって最高位は幕下である。
→ そして,かえって幕内力士を輩出しているのがチェコ・ブルガリア・グルジアという。この文脈だけで語るならポーランド出身力士も成功しそうなものだが,どうなるか。なお,さくっと調べてみたところ,先の九州場所は序の口で5勝2敗だったようだ。


・これからは「ペフボトル」 東洋紡、「ペット」を進化(朝日新聞)
→ 仮に素材が変わっても,あの形態を指す言葉としてペットボトルが残りそう。ほら,しばらくの間家庭用ゲーム機=ファミコンだったのと同じノリで。


・「なぜ金魚を川に放流してはいけないの?」から外来生物問題を考える(紺色のひと)
→ 挙げられているような説明がきっちりと容認派全体に伝わったとは考えられないことに加えて,やっぱり「金魚」だったから,なんでダメなのか感情的に理解できない(したくない)人が多かったので,訴えた側がクレーマーに見えたという点は大きいだろうと思う。「鯉が外来種」と言われて納得しづらい人が多いのと同じかな。鯉の方は井の頭公園のかいぼりの時に,鯉を戻すのかどうかで議論になっていた記憶が。
→ それはそれとして「無自覚な荒らし,記事本文を読まない」の法則が如実に表出されたコメント欄で,ブログ主さんにはお疲れ様ですとしか言えない……


・丸山政男『ソヴェートの市民生活』(紙屋研究所)
→ 確かによくある誤解かも。ただ,第一次5カ年計画の途中で方針転換したというのは私も知らなかった。
→ 「日本国憲法に勤労の義務が入った経緯(Kousyoublog)」を思い出す話。共産主義も突き詰めると能力主義・成果主義になって,「働かざる者食うべからず」で貧乏は罪になるというのは,そりゃそうだと思いつつも世知辛い話である。
→ ただまあ,丸山政男(真男ではない)の擁護自体はそれなりに説得力があろうかなと。あくまで純粋に共産主義的な考えをするのであれば,労働者から資本家に転身する奴が出てくるのを避ければよいのだから。まあ結局はその転身の許せなさが,ソ連を滅ぼしたとは言えるだろうが。  
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2016年12月08日

非ニコマス系動画紹介 2016.8月下旬〜2016.9月下旬



狩猟生活を乗り越えて食料が充実したので,カメ五郎の遊びが見えておもしろかった。これからも短編をがしがし投稿してほしい。



ココル原人さんは本当に上手いなぁ。




MMD杯で知った曲だが,いろいろ聞いてみて良いなと思ったのはこのあたり。



爽快感とおしゃれさのある良いMADだった。




完結。こんなに強いアルティミシアは初めて見た,と言えるような運ゲーであった。というよりもアルティミシア以外は意外と苦戦しなかったとも。



なんでこれをRTAでやろうと思ったの。一発で成功してるし……




一気見した。前半のしんどさに比べて後半は意外とすんなり。そしてシドーよりもハーゴンが強かったりと,ドラクエ2の意外な側面の見えた縛りプレーだった。
  
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2016年12月07日

最近読んだもの・買ったもの(『NEW GAME』3・4・5巻)

・『NEW GAME!』3・4・5巻。
→ 「実は3巻からが本番」とは言われていたが本当にそうだった。断言するが,本作は3巻で化けます。アニメから入った人は5巻までまとめて買って損はない。これは「二期はよ」って言われちゃうわ。

・以下ネタバレ注意。3巻のハイライトはビジュアルコンペで青葉が勝ってしまった後の展開で,言うまでもなく昔のコウの経験があり,2巻ラストの青葉の「理想の上司です!」があっての,この展開。まだまだ“クリエイター精神”なるものがつかめておらず不用意な発言をしてしまう青葉に,自分が大人にならなくちゃいけないのに咄嗟にそうはできないコウ。仕事なので,クリエイター同士なので,人間そうそうなかなか上手くはいかない。その上で作品の質を上げていくにはどうしたらよいかというのは実体験を踏まえても身につまされる話

・4巻はキービジュアルコンペの話が最高であった。ここでもクリエイターの精神を尊重したい(そして青葉にも尊重するようになって欲しいと願う)八神コウと,尊敬する気持ちが上回って一歩引いちゃう青葉の関係性が,もう何とも言えず尊い。青葉がコウにけしかけられてクリエイターの挟持を身につけるシーンでもあるし,尊敬する人の凄さを再認識するシーンでもある。50話の青葉の「あぁ…凄いなぁ…」は思わず青葉にもらい泣きさせられた

・話の本筋以外でも本作は3巻以降でずいぶんと深まっていて,これについてはtoppoiさんが大いに語っているところなのでリンクを張っておこう。本当に1・2巻では単調でテンプレなキャラ造形に近かったものが,少しずつずれつつ重なっていくことでテンプレを脱し,飛躍的に引き出しが増えていっておもしろさも増していく。toppoiさんも挙げているが,ギャグ回でのハイライトは4巻の46話の肉じゃがメッセ回で,ひふみのコミュ障とコウの天然さ,りんの嫉妬心が見事にクロスした瞬間であった。ひふみが青葉やはじめ・ゆんほど年齢が離れておらず,ある程度昔のコウ・りんを知っているからこその関係性でもあるかなと。ひふみが本気でコウの鈍さに苛立っているところで一番大爆笑した。あのコウちゃんはいくらなんでもひどいw。

・5巻は本編から離れての全編書き下ろし,青葉の高校時代編。ねねっちはきらら女子大に進学するわけですが,アニメでモデルになっていた大学そのままとすると「私は入れそうなところに入る」「(選んだ理由は)近いから」という人によっては殺意の波動が生じそうなセリフを吐いているので,ある意味必見。多分,作者自身は全く考えていなかったと思われるが,「教科多い」「滑り止めの方は遠方」あたりは国立のあの大学とするとリアリティが微妙にあって怖い。



  
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2016年12月04日

「静岡大陸」と呼ばれるだけのことはある

・家から5分の金閣寺について(真顔日記)
→ 自分も割りと史跡の多い地域に長らく住んでるけど,今でも陳腐化しておらず,それなりのオーラを保っている。「ここに前田の屋敷があったんだよな」とか,「樋口一葉この辺住んでたんだよな」とか,散歩をしているとふと物思いにふける瞬間がある。これは,私が思い入れと憧れを持って住処としてここを選んだから,という影響は大きいように思う。その意味では,自分で思っていたよりも長いことこの土地への自分の思い入れが抜けない,ということに驚いてはいる。私はいつまで夢の中で生きていられるだろうか。


・ジュットランド?ジャットランド?ユトランド?(討死館)
→  なるほど。そういえばユトランドってどこから来たんじゃろ……とは思ってた。意外と受験産業だったりする可能性を指摘されて俄然興味がわいてきた。フランス東インド会社と同じオチだったりする可能性とも言える。受験産業マジで害悪だな。
→ なお,さすがに私も1979年以前にさかのぼるような古い山川の教科書は所持していません。ついでに,現在の高校世界史でユトラント沖海戦はほぼ範囲外(教科書・用語集収録対象外)で,ただし教科書の挿絵の地図や資料集には小さく名前を載せているものもある。1つ前の課程の時点ですでに範囲外になっており,範囲内だったのは少なくとも15年以上さかのぼることになる。とりあえず手元でさっと出てくる最も古い用語集(1983年版)でも用語集頻度は1で(最高は15),その当時の時点で早慶レベルのマイナー用語だったことがわかる。表記は「ユトランド」。同年度の山川の教科書(『詳説世界史』)でも「ユトランド」であった。
→ 本題自体は,半島の名前なら英語ならジャットランド,ドイツ語ならユ(ー)トラント,デンマーク語ならユーランか。あるいはドイツ語だとスカ(ー)ゲラク海峡からとっているようなので,まずそのいずれかから選ぶということになりそう。ただ,戦場を地図で見てみると,スカーゲラク海峡からは少し外側ではないか。「ユトランド」からの合わせやすさを考えるとドイツ語の「ユトラント」が最優先の候補になると思う。


・うたパス Presents あの人と音楽談 Vol. 6 振分親方(音楽ナタリー Power Push)
→ 高見盛がオタクなのは知ってたけど,曲のチョイスがあまりにも同世代のオタクすぎてここまで同族だったとは,ちょっと驚くと同時に笑ってしまった。高見盛は元々スーパーロボット大戦シリーズのファンだそうで,そこから入ってガンダムに行き,2000年頃流行ってたのはまあSeedだよな,でTMRevolutionか,ちょっとさかのぼって逆シャアからのTM NETWORK,それとは別に西川貴教とのコラボから水樹奈々,と大体予想がつく感じ。その意味で経路がよくわからないのがfripSideかな。


・こち亀:40年の長寿連載に幕 コミックス200巻で完結(まんたんウェブ)
→ 一応実家に全巻あって,1話から全部読んでいる身としては感慨深い。最近の単行本の出方とか話の展開を見ていて終わりそうとは思っていたが,本当に終わると言われるとやっぱり驚いた。しかしまあ,秋本治が執筆をやめるというわけではなくて,すでに今後の新作漫画をいろいろと考えているらしいのがすごい……『こち亀』連載期間中もMr.Cliceとかちょいちょい描いてたこともあったしなぁ。


・「JR禁止の旅」東京→大阪2016(Togetter)
→ 読み応えがあっておもしろいレポートだった。
→ 東京→小田原までは小田急線で,そこから箱根までは箱根登山鉄道がある。豊橋から先は名鉄・近鉄でゴールまで行けてしまうので楽勝(実質的に豊橋がゴール)というのはわかっていたが,間の静岡県は私としても未知のゾーンだった。こんなに苦戦するゾーンだったとは。静岡県の移動がバスだらけで,JR以外の鉄道の貧弱さがうかがいしれる。フェリーが出てきたのにも驚いたが,フェリー禁止にすると詰みはしないけど徒歩が約6km分増えるそうで。そうそう,新所原から豊橋までが徒歩とバスというのも意外だったところで,静岡は最後までとことんJR以外の公共交通機関が貧弱というのを見せつけられた感じがする。


  
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2016年12月02日

百合妄想はRPGプレイの必須スキル(大嘘)

・女同士は「百合」っていうけど(増田)
→ 思わず「薔薇」と答えたくなるものの,考えてみると「百合」がかなり広範囲を意味するのに対して,薔薇はかなり局所的になるので,非対称であるなと。薔薇の方が先であることを考えても,これはけっこうおもしろい現象かもしれない。
→ 実際問題面倒ではあるので,何か上手いこと「薔薇」と「BL」と「JUNE」と「やおい」を上手いこと統合するような概念ないですかね。しいて言えばやおいなんだろうけど,二次創作のイメージが強いので。


・ロリババアモノの類型(増田)
→ 『永遠娘』(発売日に即買いしました)を読みながら,全く同じことを考えていた。パターンがどうしても狭いので,類型化可能であるなと。
→ 基本的にどれもおいしくいただけるのですが,個人的に一番好きなのは1で一のパターン,次点で1で三のパターン。ロリババアにはやっぱり神秘的であり,かつ時間の流れで擦り切れてしまった哀愁があるとよいと思うのです。1で三だと昔愛した人の面影を子孫に感じてしまったりするのは王道だけど,王道だからのこその良さが(以下自粛)


・【株の知識ゼロ】バカが考えた株の漫画
→ 有限会社って今(ほぼ)存在してないだろwwwwwと思わずつっこんでしまったとこで降参である。これはおもしろかった。GOサインを出した三田先生は太っ腹である。まあ原作も「何言ってんだこの漫画……」ってなることあるけど。
→ ウォール街が出てくる有名なホラー映画って何かあったっけ……? と思い読んでいたら「エルム街の悪夢のことか?」とつっこまれていた。わかるか……そんなもん……! ちなみに調べてみたらエルム街の設定はオハイオ州である。


・石垣島 グリーンイグアナ捕物帳 〜食味レポートを添えて〜(デイリーポータルZ)
→ いろいろな珍しいものの味に興味があるので,これは普通に食べてみたい。ワニは昔某所で食べたことがあるが,鳥肉っぽかった。両生類やハ虫類はどれも鳥肉っぽいという話を聞くが,イグアナもそうらしい。
→ 接写の画像を見るとたしかに恐竜を連想する。こんなにいかつくてごついが,グリーンイグアナは草食なのだよなぁ。あらかじめ持っている知識と実物の乖離だ。



・主人公の性別が選べるゲーム、同性or異性どっちでプレイする? 大学生男女の多数派は……(ニコニコニュース)
→ 選べるゲームはほぼ必ず女性を選んでいると思う。ドラクエ3・4とか聖剣伝説LOMとか。なので,自分と同じ性別を選ぶ人の方が圧倒的に多いというのは,自分の感覚からすると意外な結果に思えた。
→ これはつまるところ「ゲーム中の主人公は自分自身か,意志を操作できるだけの別人か」というやつに突き当たるのだと思われる。主人公自身がそれなりに強い人格を持っていてストーリーに絡んだりするかどうかにもよるところは大きいだろうが(そうしたゲームだと性別を選べないことが多いが),自分と同じ性別を選ぶ人は割りと主人公は自分自身の分身という意識が強いのではないかと思う。
→ ひるがえって私が女性主人公を選ぶことが多いのは,第三者視点でゲームをやっているので,画面に一番映っているキャラが女性の方が単純に嬉しい。あと,パーティーも女性だけで組んだりして百合妄想するのはとても楽しい。聖剣伝説LOMなんかだと,ガチバトルの時はレディパールとして,お遊びの時はよくエレを連れ回していた。ペットはカーミラで。  
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2016年12月01日

最近読んだもの・買ったもの

・『君の名は。 Another Side:Earthbound』。本編『君の名は。』を補完する短編集。三葉の中に入った瀧くん視点の糸森の生活,テッシー視点の糸森の話,四葉視点の不審な三葉を観察する話,そして宮水父視点の過去編(二葉と出会って結婚し,二葉が死んで現在まで)。
→ どれもおもしろいが,やはり出色の出来だったのは宮水父の話で,本書のレビューでは散々言われている通り,本編のラストでそのシーンがばっさりカットされた,三葉がどうやって父親を説得したのかということを補完する話になっている。以下少々ネタバレ:あれは説得されたのではなく,宮水父が自分自身で納得したのだなと。宮水父が大学の研究者→神職→町長という謎すぎる経歴をたどったという設定がようやく生きてきた。背景となる日本神話の話が意外としっかりしていて驚いたし,確かにこれを本編に出すと違和感が強くなる。青春物にいきなり伝奇物がぶちこまれることになり,それは食合せがあまりにも悪い。それに,せっかく若年層に受けているのに,小難しい話はやはり引かれよう。それゆえばっさりカットせざるを得なかったという事情は納得がいった。それにしても,天香香背男とは。私的には『アカイイト』の印象が非常に強い神だが,知名度の割によく見るのは,やはり使いやすい神ということなのだろう
→ また,本編作中でテッシーが「腐敗の臭いがするなー」と言っていたが,実はほんの10年前までの糸水はむしろ宮水神社を頂点とする近世的な社会秩序で,これでも宮水父が町長になってから急速に近代化した(その副産物として一般的な日本の地方に存在する政治と土建の癒着も生じた),ということがわかって,本編の印象が少し変わった。
→ 一時期はどこの本屋も品切れでAmazon等も品切れの状態だったが,さすがに11月くらいから在庫が復活して入手が用意になった。本編もそうだが,こんなに売れるなど全く予想していなかったのだろう。





・『マリー・アントワネット』(惣領冬実)。
→ 『チェーザレ』の連載が止まっているのに何新しい連載始めてるんですか惣領先生,と始まったときは大いに戸惑ったが,無事短編4話で終わって安心した。一方で,この4話は,ルイ16世とマリーの結婚から打ち解けるまでという,非常に中途半端なところで終わっており,これはこれで本腰入れてもう少し読みたかった。マリーの刑死までとは言わないから,革命前夜くらいまで。
→ テーマとしては近年のルイ16世の再評価,啓蒙専制君主としての側面に焦点を当てたものだが,それこそ彼の改革意欲が描かれる前に話が終わるので,「意外と博識で悪い人物じゃなかったんだよ」アピールにしかなっていないのが,いかにも画竜点睛を欠く。一方のマリーは「彼女がなぜ孤立したか」について描かれていて,そもそも歓迎されていなかったことに加えて,フランス宮廷のガチガチのしきたり・儀式に耐えられなくなっていったところ,ルイ16世に助けられたがゆえに,かえって夫婦として孤立した,という形になっている。だからこそこちらもプチ・トリアノンが建設されて家庭生活安定する反面,社会情勢はそれを許さなくなっていくところまで描いて欲しかった。高評価するには短すぎるのが何とも惜しい作品。とはいえ,これ以上『チェーザレ』の連載が止まるのも困るしな……


・『聖☆おにいさん』13巻。
→ 聖母とはいえ一般庶民には違いないことにコンプレックスがあるマリアさんと,高貴な生まれながら「産んだけど育ててない」ことにコンプレックスがあるマーヤーさんという二人の対比がけっこうおもしろかった。なんだかんだ打ち解けていたが,確かに聖母たるもの同士,独特の悩みを共有していそうである。
→ 父さん「一発芸,Twitter」はアカンでしょwwwwww。13巻で一番笑った。
→ イエスがコーヒーの淹れ方がわからなくてひどいことになってたけど,イエスが生きていた頃にコーヒーはなかったからね。仕方ないね。原産地エチオピア自体はキリスト教圏だが,伝播の事情を鑑みるに,聖人の中ではムハンマドさんが一番うまそう(時代的に考えるとこちらもコーヒーの存在は知らないことになるが)。
→ そういえば「坊主がBOSE」という鉄板ネタ,13巻まで使ってなかったのだなというのはちょっと驚いた。意外なところにネタがまだ残っている作品である。


・『ガールズ&パンツァー もっとらぶらぶ作戦です』7巻。表紙は知波単学園。黒森峰の出番はいつ来るのか。
→ 西住父こと西住常夫さん,この漫画で初登場どころか,漫画媒体全体で初登場か(アニメにも出ていないが)。戦闘民族西住家で唯一その血を引いてないから,まあこういう役割になるよなw
→ 確かに左衛門佐さんは今年の大河のおかげで一年中テンション高かっただろうなとw。おりょうさんと左衛門佐はそういう機会があるが,エルヴィンとカエサルは機会が少なそう。
→ 細見さんのあの髪型,この漫画ならネタにしてくると思っていた。しかしなんでまたあのデザインになったのか……  
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