2017年10月31日

非ニコマス系動画紹介 2017.4月中旬〜2017.4月下旬



デバッグルームを使ったダメージ限界突破版FF8。エンドオブハートのダメージが9999で止まるのはもったいないと当時は思っていた(その後FF10が出て99999ゲーになってしまったのは若干萎えた)。単発で5万を超えるんだな。



未完結。というよりも,なぜ天和・地和含みで達成可能だと思っていたのかw。




新記録,完結済。緻密な計算に基づく戦術で,まさかの多くのステージで算術不使用。必要なアビリティは持っているモブを勧誘で引き抜くというのも斬新。



テントバグによる再走スタート。未完結(正確にはプレイ完結済,未動画化)。700歩以上も更新されるとは……




MMDではなくBlenderでハイクオリティな東方の弾幕動画を作り続けているminusT氏の地霊殿動画。今回も豪華・美麗な弾幕動画になっている。魔理沙が闘う裏で,アリス・パチュリー・にとりの裏方組もせわしなく動いているのが良い。次回作は地霊殿EX?



まさかのヒテッマンリスペクトとけもフレのコラボ。



珍しいシリアスな12.X話。シリアスへの導入が上手い。完結済。  

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2017年10月27日

京大を受ける(受かる)ポテンシャル

・一部で話題になっていた透明ミルクティーを飲んでみた。表現が難しいが,「近未来の合成紅茶ってこんな感じなんだろうな」と思うような人工感あふれる味で,紅茶と言われて飲めば紅茶だが,言われないと気づかないかもしれない。一度飲む価値はあるが,多分二度と飲まないと思う。


・「東京出身の京大生」が紹介する 人をダメにする都市、京都。(360° 京大発オンラインメディア)
→ なるほど,全体的には東大に無い要素だ。まず,実家暮らしの南関東出身者が多く,下宿も分散しているから,溜まりにくい。授業やサークル活動が全部終わると,皆さっさと生活基盤に帰ってしまう。当然飲んでも終電までに解散する。道に迷いやすい以前の問題として坂が多すぎて自転車は全く向かない。家賃は当然とんでもなく高い。近隣にも大学が多いので,「見かけた大学生は全部東大生」みたいなことにはならない。特に駒場はこれが顕著で,渋谷に近隣のあらゆる大学生が流れ込む。本郷はまだ本郷通りならまず間違いなく“同胞”という雰囲気がするが。
→ 駒場は進振りがある上に,政治活動が活発で,のんびりした雰囲気がほとんどない。本郷は多少なりともマシだが。私もこういう京大の雰囲気で学生時代を過ごしてみたかったが,京大ではなく東大を選んでしまった時点で,ポテンシャルが足りなかったということで。あと,ある方の「森見登美彦の作品のノリに納得した」というコメントに全力で同意する。


・ FF6の飛空艇バグの人、EDYさんは何をしているのか?
→ 複雑怪奇極まるエディさんの「FF6高ステータスデータ作成」は一体何をやっているのかということの,第三者による親切解説。なにせバグ技を使える限り使い倒して進んでいくところ,飛空艇バグが物語のフラグをバキバキに折るものだから,戦闘回避・低レベル維持のためのストーリー破壊と,物語を正常に進めるためのフラグ回収が交互に進んでいく。しかも無理やり低レベルを維持するために他のバグも利用するので,バグにバグが重なっていく。整理してみると意外と理解できるのだけど,動画の投稿ペースに沿って何ヶ月かぶりに最新動画を見ると,今どっちをやっていて,何のためにこのバグを起こしてるんだっけ? となる。しかもこれ以外のシリーズも並走しているので,究極的には「今何のシリーズだっけ?」という。よく本人が混乱してないなと本当に思う。


・無期懲役刑は終身刑だ(弁護士三浦義隆のブログ)
→ 確かに,「20年で仮釈放」って話は,10年以上前に聞いたことがある。当時としても誤りではあるのだが,当時はまだ中高生であり,インターネットの普及も中途半端だったので,デマであるかどうかの判断はつかず。あのデマもどこから出てきたのやら。厳罰化を望む勢力ということか。


・痴漢冤罪問題は刑事司法問題の縮図だ(弁護士三浦義隆のブログ)
→ 同ブログより。この記事からたどれる痴漢冤罪三部作は非常に読み応えがあるので,読むべし。端から端までおっしゃる通りとしか。  
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2017年10月23日

捏造せずとも奇問は多いのに

・【解説】 英政界はどうなっているのか 総選挙後の展望(BBC)
→ 6月にやったイギリスの選挙について。イギリスの議会は日本と違って頻繁に解散するものではないからこそ,メイ首相のやらなくてもいいことをやってしまったという失敗感が強い。とはいえ保守党が負けたというわけでもなく,ほとんど誰にとっても煮え切らない選挙であった。DUPは記事中にある通り,かなりアレな政党なので,こいつらが一人勝ちというのは予想だにしない展開であった。完全に他人事として見るなら選挙の妙味を感じるおもしろい出来事ではあったのだけども,うちの国でも起きかねないから笑えない。
→ 元々Brexitを遂行するための安定した政権を築くという目的の選挙であったが,記事末尾で触れられている通り,Brexitへの影響は出そう。ところで,
>「女王演説」は伝統的に、ヤギの革を使った羊皮紙に書かれるのが決まりで、乾くまでに何日かかかる
→ とあるが,イギリスはマグナ=カルタ以降の全ての法律を羊皮紙に記録して保存しているそうなので(維持費がばかにならないから廃止しようという論議もある),議会の重要書類は羊皮紙を使う伝統と考えた方がよさそうだ。


・6億円のバルテュス作品、個人が寄贈 愛知県美術館(朝日新聞)
→ 愛知県美は去年もムンクを5.5億円で買っていた。コレクションが充実していっている。ムンクの絵もまだ見に行ってないし,まとめて見に行きたいが,愛知県美以外の用事が名古屋になさすぎて行けていない。
→ で,このバルテュスの作品はというと,なんともコメントしがたい……はっきりと言えばよくわからない。のっぺりとした描き方で少女(女性)と動物という点はバルテュスの典型例を押さえているものの,むしろそれ以外はバルテュスのよくある作品からは外れている(なお,私のバルテュス評はこちら)。
→ 本題からはずれるが,記事中に出てくる「副田一穂学芸員」ははてな村民で,今回の記事もしっかりブックマークしている。意外と知らない人が多そう。


・早稲田の入試問題は美術史がお好き?!(いまトピ)
→ 美術ファンの側が世界史の入試問題に注目するというのは珍しいので,コメントを残しておく。
→ 2016年早稲田大文化構想学部の方。「フェルメール」はこの中だと難問に入るが,範囲内。というよりも,21世紀になってから教科書等への記載が増えていて,おそらく美術ファンの側の動きが反映されていると思われる。
→ 2015年早稲田大文化構想学部の方。確かに,「モニエ通りの舗装工事」の絵だけでマネを問えば当然範囲外の難問・奇問になり,拙著の収録対象である。しかし,拙著の2巻をお持ちの方は見ていただければわかる通り,収録されていない。これは漏れたのではなくて,本来の問2で問われた空欄はセーヌ県知事「オスマン」の方で,標準的な問題である。出典も明示しておく。大問8,p.10以降である。問題を捏造してまで話題のネタにするのはさすがに早稲田大への濡れ衣であり,風評被害になるのではないか。
→ この記事の筆者のブログ「青い日記帳」はたまに読んでいるが,Takさんはこういうことをする人では全くなさそうなので,いまトピ側に問題がありそうか。ちょっと問い合わせをする気力が無いので,放置しているが……
  
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2017年10月15日

「島ケルト」問題とか

・けものフレンズ特集(dアニメストア)
>かばんの中には何が入ってるの?
>かばん:ええっ!? えっと、色々入ってますけど、名前が分からないものってどういう風に説明したらいいんでしょう…? うーん、ううーん……
→ かばんちゃん,自分のかばんの中に入っているものが何かわかっていないことが発覚。てっきり,かばんは中身が空っぽと思っていたので衝撃を受けた。たつき監督の頭のなかでは設定が固まっているのだろうか。


・「睡眠負債に気をつけよう」(視点・論点)(NHK 解説委員室)
→ これは衝撃的なデータだった。まず,6時間以上はとってもあまり意味がないと聞いていたので,睡眠6時間と8時間の間に有意な差が見られ,しかも8時間睡眠の方が注意力散漫になりにくいということ。次に「寝だめは意味がない」というのは前から知っていたが,負債も解消はきかないと思っていた。負債が解消できるのであれば,尚更8時間以上寝る意味は出てくる。実のところ,寝すぎると時間を無駄にした感じがして謎の罪悪感があったのだが,これからは眠いものは眠いと割り切って,休日はよく寝るようにしたい。


・台湾の東方文化は“オタクのタイムカプセル”だった!? 国外で発展中の東方最前線に迫ってきた【第二回博麗神社例大祭 in 台湾・レポート】(電ファミニコゲーマー)
→ この記事の要点は「比較的短い期間に浸透せざるをえない“輸入文化”ならではのダイナミズム」という一点に尽きると思う。各時期の流行はそれぞれおもしろかった面がある一方で,流行は流行でしかなく,後追いでは厳しいものがある。この点を気にせず追える分,後追いは海外の方が有利なのかもしれない。
→ なお,東方では同じような現象がニコニコ動画で東方ファンが広がった07〜08年にも起きていて,永新参から07年までの流行がミックスされた状態で再度展開されたものだから,それこそ既存のコミュニティとの衝突がすごかったのを覚えている。古参からすると若気の至りを発掘されているようなものだから,その意味でも気持ちはわからんでもない。


・「島のケルト」は「大陸のケルト」とは別モノだった。というかケルトじゃなかったという話(現在位置を確認します。)
→ これもすごく驚いた話。記事中にもあるが,改めて調べてみると,20世紀末頃にはすでに研究者の間で指摘されていたようだ。近年進んでいるのは遺伝子研究の分野であり,それ以外の分野での研究は特に近年というわけではないようである。いかに専門領域から一般の好事家に下りてくるのに時間がかかるかという話かもしれない。
→ 高校世界史的に言うと,やっぱり「ローマ征服前には,大陸・ブリテン島ともにケルト系の民族が広がっていて」という教え方になっているのをどう修正するか。また,アイルランド・スコットランド・ウェールズは“そこから血統的につながった”ケルト系と教えてしまっているので,この辺をどうするのか。という大問題に直面する。当然,この辺りは入試にも出しづらくなり,旧説に基いて出題すれば悪問の温床になってしまう。もっとも,ラ=テーヌ文化が各教科書から消えて範囲外になったくらいなので,そもそも近年の入試でケルト人に関連する問題を見たことがないから,入試問題としてはそれほど問題にならないかもしれない。
→ ちなみに,そういえばと思って引いてみたら
◯2014年までの旧用語集のケルト人「……その後大部分はローマ人・ゲルマン人に征服され,同化されたが,今日でもイギリス・フランス・スペインの一部にこの文化を引き継ぐ人々が居住している。」
◯2014年以降の新用語集のケルト人「……(同化されたまでほぼ同じ説明)妖精や森を題材とした彼らの神話や文学作品は,ヨーロッパ世界の文化形成に大きな影響を与えている。」(イギリス〜の説明はカット)
→ これ,新課程の説明を書いた人は学説の変化に気づいているのでは? こんなミクロな記述の変化気づかんよ……もっとアピールしてくれよ……用語集は教科書よりフットワークが軽いからできたのかも。そうすると,教科書の側も書き換わっていってほしいところだけども,時間がかかりそう。
(追記)
→ 大陸ケルトの神話には妖精とか出てこないから,やっぱり駄目なのでは? という指摘があった。言われてみるとその通りで,これは気づかなかった。しいて言えば,用語集の表現は旧課程から新課程に変わる際にもほぼ引き継がれているところ,書き換えたということは何かしらの理由があると推察され,具体的な地名を避けたところは一応評価してもよいのかもしれない。
  
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2017年10月14日

ウェスターマーク効果,覚えておきたい

・近親相姦はなぜいけない?意外と説明できないタブーの正体(ダイヤモンド・オンライン)
→ ウェスターマーク効果は大学の教養(長谷川眞理子氏の授業)で習った覚えがある。ウェスターマーク効果だけで考えれば,生き別れの近親よりも幼馴染と結婚するほうが不自然ということになる,という話が印象的であった。


・実例から見る『展覧会の公式サイトが終了後すぐ消えてしまう問題』(日毎に敵と懶惰に戦う)
→ ほんとこれ。アーカイブの保存の重要性を一番知っている人たちがインターネットサイトの保存に興味がないとかいう矛盾。後から「美術館広報の歴史」なんてテーマで研究する人が出てきた時に,何の史料も残ってないなんてことになりかねない。独自ドメインで後から消えるのは不便極まりなく,何らかの形で残してほしい。著作権法上問題があるなら,画像だけ削除してまとめ直すだけでも十分意味があるだろう。
→ 私もzaikabouさん同様,美術館の展覧会評を書く際に,前は独自ドメインの広報ページにリンクを張っていたが,最近はより残りやすい美術館内の広報ページにリンクを張ることにしている(それでも消える時は消えるのだけど……)。その意味で「公立系の博物館・文学館のドメイン/nowexhibitionみたいなのも本当にやめて欲しい」も全くの同意。後から見たらリンクがずれてしまうので。


・弁護士が簡易裁判所を避ける理由(弁護士三浦義隆のブログ)
→ これは初めて知った。「一般の方はたいていこれを知らないから、言うといつも驚かれる。」とあるが,はい驚きました。「簡裁判事ガチャ」……なんて恐ろしい用語なんだ……


・中国史におけるブタトイレの風景(壁魚雑記)
→ おもしろい。今までそれほど注目していなかったけど(呂后と戚夫人のエピソード含めそういう風習があるのは知っていた程度),今度中国美術の企画展が来たら,あるいは中国の美術館に行く機会があれば探してみようと思う。なお,意外にも東博の東洋館には無いっぽい。


・小宇宙高い系なのでギリシャの神殿にアテナ像を立てる(本しゃぶり)
→ いつもながらに良い旅行だ。ミニチュアのアテナ女神像を現地に持っていってそれっぽく写真撮影するの,聖地巡礼の醍醐味だよなぁ。これができるから聖地巡礼はやめられないのだ。


・古代都市を築き上げる都市開発シミュレーション『Ancient Cities』開発中。原始時代で未開の荒野に文明を築き上げる( AUTOMATON)
→ やっている時間があるかどうかを横に置いておけば,興味はあるゲーム。イメージ的にはBanishedに近いが,もう少しタイムスパンが長そう。出ている情報だけだと,戦争は無く(あるいはメインではない),農耕もできない(あるいは農耕が終着点)っぽい感じか。  
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2017年10月12日

ドラゴンクエスト11 シナリオ面の感想

シナリオ面についても,バトル面の評価と同じで,基本的にネタバレは避けている。また,例によって6・7・8とは盛んに比較しており,9・10にはほとんど触れていない。


ドラクエ11は,シナリオ面での世間的な評価も高い。これだけシナリオ面で高評価なのはドラクエ5以来じゃないかと思う。自分の考える理由を2つ挙げる。

ドラクエ6はよく言われるように本筋(メインストーリー)の存在がわかりにくいとされる。ドラクエ7はいかんせん長い割に本筋の割合が小さく,特に中盤までは無きに等しく,ほとんどがドラクエ特有の「お使い」である。みんな大好きレブレサックを含めて個々のお使いはおもしろいものの,それゆえに評価が難しい。この点で,わかりにくいか無きに等しいかの違いはあれど,6・7のシナリオは同型と言える。ドラクエ8はつまらなくはないという程度で,6・7に比べるとシナリオが議論されること自体が少ない。お使いっぷりがひどさは6・7並であり,にもかかわらず6・7よりも序盤から明確な本筋の目標が設定されているだけに,余計に「お使い」感が強かった。ドルマゲスを追うついでに,使いっ走りさせすぎだろう。9・10もあまりシナリオで議論されているのを見たことがないが,これはプレイ人口の問題もあるかもしれないし,私がプレイしていないので評価は避けたい。(ところで,お使いの決着は大体人情噺になり,しかも解決すると主人公一行が次の町に行ってしまうので,ドラクエのシナリオが「水戸黄門的」と言われる理由にもなっている。なお,「水戸黄門的」なのは堀井雄二が自覚してやっているというのは何かのインタビューで読んだ。そこから逆説的にドラクエがお使いゲーになる理由もわかるところである。)

閑話休題。本作の高評価の理由は,バトル面同様に,この辺の反省が活かされているのだと思う。相変わらずお使いは多いものの,7と8の中間という感じで,本筋の大目標は立てられるものの,本筋のイベントに挟まれるお使いは2つか3つというのが良い塩梅であった。結果的に7のように「もうお使いを10個も済ましているけど,島が復活するだけで,結局これって何なんだろう……」というような虚無感にふと襲われることは少なく(無いとはいえない),一方で8のように「このイベントって結局ドルマゲスと何が関係あるんだっけ?」となることもなかった。挟まれるお使いの数が3つ程度までなら,プレイヤーは本筋を忘れにくい,というのが(ナンバリング11個めの30周年にもなってやっと)わかってきたということなのだろうか。雑多な「人情噺系お使い」で話が進むという伝統を捨てないまま,可能な限り本筋も大事にしようとしたバランス感がドラクエ11の魅力ではないかと思う。

その上で言えば,本筋は追いやすく,十分にドラマティックであった。最初の「なんで勇者が悪魔の子と呼ばれて逃亡する羽目になるの?」というところから始まり,クリア後のどんでん返しと裏ボス決戦まで飽きさせないつくり。お使いイベントの狭間で埋もれないだけの魅力があったと言えよう。加えて,本当にどうでもいいような「お使い」イベントは,本作は「クエスト」という名前の完全なサブストーリー扱いにしてしまっていて,面倒ならやらなくていい扱いになっているのも大きい。


2点目は,今作は徹底して「勇者」という存在にスポットが当てられている点で,これはここまでのドラクエの反省というよりも,意図的な反転と言えよう。ドラクエは3まで(ロトシリーズ)は勇者が特別な存在であったが,4は最終章になってやっと登場,5はご存じの通り主人公は勇者の父親,6・7は誰でもなれるただの職業となってしまい(ただし7は誰でもなれることに意味があった),どんどん地位が低下した。8では一応主人公が唯一の勇者という状態に戻ったものの,ストーリー上特別強い意味を持ったわけでもなかった(9・10は例によって知らないので省略)。そこへ行くと,本作は最初から裏ボス撃破に至るまで,3以前のドラクエかそれ以上に「勇者」が強い意味を持つ。

ドラクエ11の主人公はストーリー上,明確に終始「勇者」として扱われ,勇者とはいかなる存在なのかが問われ続けることになる。それこそ最初は「悪魔の子」から始まって,中盤以降にいかなる能力を持ち,いかなる運命を背負った者なのかが次第に明らかになっていく。本作の主人公はドラクエにしては珍しく個性が強く,「はい」「いいえ」以外のセリフがないことを考えれば異常なほどにキャラが“濃い”。それもそのはずで,最初は「左手の甲に特徴的なアザがあるから,お前は勇者」と言われて故郷の村を出発し,最初の城に着いて王様に会えば「悪魔の子」と罵られ,周囲の作る流れに乗った人生を歩んでいた。しかし,中盤以降は明確に勇者としてのアイデンティティを徐々に確立していき,極めて自然な成り行きで「世界を救うべく旅をする者」になる決意を固める。本作は主人公の成長譚になっているので,どうしたってキャラは立つのである。こう要約して書いてしまうと陳腐なストーリーだけに,主人公に,そしてプレイヤーに着実に,次第に「世界を救うという決意」をさせる流れがあまりにも自然であるのが,本作のシナリオ面の最大の美点ではないかと思う。表のラスボス撃破付近の主人公は,本当にかっこいいので必見。グラの進化を上手く使ったところではないかと。


最後に,世評が分かれているポイントについて触れておく。本作のサブタイトル「過ぎ去りし時を求めて」は,シナリオ上のテーマである「後悔先に立たず」という意味合いもあるし,もう一つ本作が10までのドラクエの徹底的なセルフオマージュになっているという意味合いもある。世評が割れているのは後者で,あまりにもセルフオマージュが徹底的かつ露骨すぎて過剰演出になっているという批判が少なからずある。

上手い部分もある。たとえば本作に出てくる「ホムラの里」という町はどう見たってドラクエ3のジパングであり,BGMからして同じである。近くには活火山のダンジョンもある。にもかかわらず,最初に訪れた時には竜も出てこなければ生贄の話題もなく,ヒミコっぽい人もストーリーに絡まない。しかし,二度目訪れた時にはこれらの話題が出てくる。じゃあ,ドラクエ3の時と同じ展開になるかと予測していると,ちょっと違ったオチになる。こういう,完全に同じというわけではなくて,オールドファンの予測が裏切られる展開は楽しい。同じような事例としてドラクエ6から持ってこられた人魚のイベントがあり,なかなか泣かせるので未プレイの方はお楽しみに。あるいは,(軽微なネタバレ)ベロニカの最強固有装備がドラクエ7のフォズ神官の衣装になるというのは,フォズが部分的にでも再登場するとは全く思っていなかったところであり,しかも登場時間がそう長くないながらそのかわいさから強いインパクトを残したキャラであるので,おもしろい趣向だったと言える。

一方で,丸々そのまま持ってきた感じのものも多く,特にBGMは3〜8(9・10もあるのだと思う)から満遍なく持ってきた感じで,全体的に聞き覚えがある。ありすぎて「これ,新曲だっけ……?」という疑念すら抱くようになってしまった。しかも終盤になればなるほどストーリーや装備品などでセルフオマージュが増えていくので,満腹感を通り越してしまったのは否めない。さすがにもっとオリジナル要素が見たかった。とはいえそのセルフオマージュを見て「悔しいけど感じちゃう(ビクンビクン」状態だった自分もいて,思い出の暴力に殴り倒された感覚である。ということで,私としても過剰セルフオマージュについては,泣かされといてなんだけども,あそこまでは必要なかったのではないかと思う。


とまあ,これ以外にもボウガン要らないだとかロードが長すぎるだとか細かいところに文句が無いわけではないのだけれど,バトル面・シナリオ面その他総評するに,ドラクエシリーズの中でも屈指の大傑作と言って差し支えない。皆やろう。Nintendo Switch版待ちでもいいから。ちなみに,表のラスボスクリアまでに50〜60時間,裏ボス撃破までに80〜100時間が目安です。
  
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2017年10月02日

ドラゴンクエスト11 バトル面の感想

PS4版。ようやく裏ボスまで倒したので,本作のバトル面での感想と,攻略上の個人的なメモを。なお,過去のドラクエとの比較を頻繁にしているが,ドラクエ11は未プレイだが6・7・8くらいまではプレイしていた人を想定読者にしているためである。一方,私自身も9・10をプレイしていないので,取り上げたものが11での革新要素ではない可能性がある。その点はご了承願いたい(そういう意味では8以前と9以降のドラクエの差異の総集編として読んでもらえるとよいかも)。


すでに散々言われていることではあると思うが,本作のバトル面の快適さは非常に高い。これは既存のドラクエ(特に6・7・8)で出てきた欠点が大幅に改善されているからだと思われる。たとえば,既存のドラクエではダンジョンの長さやボスの強さが未確定であるにもかかわらず,MPを回復させる機会はかなり少なく,アイテムかマホトラに頼るしかなかった。ゆえに基本戦略は基本的にMPを節約して耐えに耐えてダンジョン最深部まで行き,リレミト・ルーラのMPを残してボスは全力ということになる。これはこれでMPの使いどころを考えるという楽しみがあったことは否定しないものの,とするとどうしても使い勝手がいいのはMP消費の少ない前衛職のキャラになる。これで攻撃呪文の威力が前衛職の通常攻撃よりも圧倒的に高ければまだ使いどころがあったのだが,大概のナンバリングにおいて大差がなく,しかもドラクエ6以降は事実上の前衛職のための攻撃呪文である「特技」が誕生してしまったので,ますます攻撃呪文の価値が薄れてしまった。輝く息をMP消費なしで打てるのに,マヒャドを唱える必要がある場面は極めて少ない。極めつけはドラクエ8で,ゼシカさんメラゾーマを唱えるよりもバイキルトかけての双竜打ちの方が強くてコスパも良いってどういうことなのかという。

この点ドラクエ11はこういう手を打ってきた。たとえば,こまめにMPを回復できるポイントが設置されている。まず,魔法職のキャラが持つ杖は,通常攻撃時に高確率でマホトラが発動するようになった。MPが尽きそうになったら,弱そうなエンカウントモンスターと戦ってぺちぺち殴れば,割とすぐに回復する。しかもMP吸収量がダメージと比例するので,魔法職にも強い武器を持たせるインセンティブを発生させることにもなっている。次に,ダンジョンの中盤に「キャンプ」という休憩ポイントが設置され(ラスダンなど一部を除く),これが宿屋と教会の機能を持っている。これにより,ボスで全滅しても町まで戻されてダンジョンの最初からということもなくなったし,エンカウントモンスターでもそれほど気にせずMPを浪費できるようになった。ここだけ聞くとヌルゲーになった感じもするが,実のところ中盤以降のダンジョンはエンカウントモンスターがやや強めに設定されており,キャンプに着くまでがそれなりにしんどいというバランスのとり方になっている。

呪文よりも特技のほうが使い勝手がいい問題にも,手は打たれている。今作は呪文の威力が固定ではなく,魔力というステータスに比例するようになった。既存のドラクエにも「賢さ」という死にステータスがあったが,これは消滅している。呪文と特技の差異の一つに,呪文はどれだけ賢さが上がっても呪文の威力はほとんど変わらなかったが,特技は力が上昇すると威力が変わるものがいくつかあった,という点があった。呪文の威力が変動するようになったことで,呪文側のデメリットが一つ減った。しかも,攻撃呪文の威力は同レベルの前衛職の通常攻撃よりも圧倒的に高く,前述の通りエンカウントモンスターが強めに設定されていることもあって,唱えないで道中を進むデメリットも高くなった。そうそう,PS4版の今作はシンボルエンカウントなので,プレイヤーの側でエンカウント数をかなり調整できる。当然全部よければレベルが上がらず長期的にはつらいが,1戦1戦でそれなりに傷つくのでダンジョン道中で当たりまくるのはお勧めできず,かといって安全なフィールド等でレベル上げをするのも面倒……というトリレンマはかなり絶妙に設定されている。

しかし,であれば余計に呪文と特技の差異がなくなってしまったのではないか,と思われるかもしれない。ここにも対策はなされていて,今作は前衛職の最大MPは上昇が緩やかだが,魔法職は成長が早いという特徴がある。感覚的に言えば,レベル50前後なら前衛職はHPが400〜500くらいでMPが150かそこらだが,同レベルの魔法職はHPが300,MPは400というような様相である。しかも,ほとんどの特技はMPが消費されるようになった。結果として,魔法職は前述のMP回復手段も相まってかなりカジュアルに呪文を唱えていけるが,前衛職の特技は本当に必殺技というニュアンスになった。そう,ダンジョン道中のMP消費とボス戦へのマラソンというジレンマは,いまや魔法職ではなく前衛職のものとなったのだ(といってもキャンプがあるので,それほど悩まないが)。実はこのジレンマに一番襲われるのが主人公というのもおもしろいところである。なぜなら,ステータス上はほぼ完全に前衛職なのに,回復魔法を覚えていくからである。

一方で,これにより死んだものもいくつかある。魔法職の前衛用装備が典型的なところで,これまでのドラクエの槍や鞭というと,僧侶や魔法使いが道中のMP節約のために装備した武器だった。道中で攻撃呪文を唱えたくないので,通常攻撃で戦闘に参加してもらうことになるため,こういう装備が用意されていたし,重宝した。特に鞭はグループ攻撃できる貴重な武器という側面もあった。しかし,道中の戦闘でバンバン呪文を唱えることができるようになったことで,魔法職にわざわざ槍や鞭を持たせるメリットが激減した。加えて今作の杖は上述のようなマホトラ仕様であり,しかも装備すると魔力を上昇させるので,呪文主体で戦闘するならメリットが大きい。序盤は仲間の加入順の関係や,まだ魔法職の最大MPが低いことから出番がなくもなかったが,レベル20あたりからまったく使うことなくラスボスまで行ってしまったプレイヤーも少なくないだろう。前衛職の武器の中でも,同様の理屈でブーメランは使い勝手が比較的悪い。カミュにブーメラン投げてもらうよりもベロニカにイオ系統を唱えてもらった方が強いので。この辺の改善点は,また5・6年後に出るであろうドラクエ12に期待したい。


以下は各キャラ評を,スキルパネルを中心に。基本的にネタバレは避けているが,部分的に伏字あり。特に断りがない場合,序盤はレベル20まで(仲間が7人になる),中盤はレベル35まで(大きなイベントが起きる),終盤はレベル50まで(ラスボス撃破),最終盤はレベル70まで(裏ボス撃破)の意味で使用。
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