2018年08月26日

世界史上の諸君主の出題頻度グレーディング:イングランド王(ランカスター・ヨーク朝まで)編

「イギリス王」でもいいのだけれど,スコットランド王等は扱わないのでイングランドとしておいた。イギリスとイングランドの関係は高校世界史上面倒な話題であるので,ここでは触れない。

基準はこれまでと同様に以下の通り。

A:基礎知識。センター試験世界史B以上の入試を受けるなら知ってないとダメ。
B:国立二次・MARCH以上の私大を受けるなら必要。
B-:教科書に載っていて用語集頻度もそれなりに高いが,便宜上掲載されているという色彩が強く,実際には入試にはほとんど出ない。ネルウァが好例。
C:高校世界史範囲内・外のグレーゾーン。用語集頻度が低いか掲載されていないもの,または旧課程では範囲内だったもの等,早慶上智対策としてなら見るもの。
D:高校世界史範囲外だが,早慶上智でなら見たことがある。満点が欲しいなら覚えてもいい(が当然推奨しない)。
E:完全な高校世界史範囲外で,早慶上智ですら10年に1回未満のレベルでしか見たことがない。

視認性を高めるために,グレーディングのアルファベットに沿って☆を付した。Aなら6個,Eなら1個である。ズレがあったら☆の数の方が間違いなのでアルファベットの方を信じてほしい。意外と思われそうな人は赤で表示した。また,感覚には個人差があるので☆半分くらいは異論があると思われる。特に綿密にデータを収集してデジタルな判断をしたわけではないので,DとEの差については多く異論がありそうだが,そこはご寛恕いただきたい。以下,本編。

《ノルマン朝以前》
君主名グレーディング
エグバート    B☆☆☆☆☆
アルフレッド大王 A☆☆☆☆☆☆
クヌート     A☆☆☆☆☆☆
エドワード証聖王 D☆☆
ハロルド2世   C☆☆☆
上記以外全員   E

アルフレッド大王は,人によってはBにするかもしれないが,エグバートに比べると出題されやすいのは確か。エドワード証聖王(懺悔王)はちょうど2018年の慶應大で出たところだが,Cにはできない。ハロルド2世も,個人的にはこんなん覚えんでも早慶上智には十分受かるだろうと思うので心情的にはDにしたいのだが,用語集の説明文にあるし,早慶上智対策の参考書ではたまに見るのでCにしておいた。


《ノルマン朝》
君主名グレーディング
ウィリアム1世  A☆☆☆☆☆☆
ウィリアム2世  E
ヘンリ1世    E
スティーヴン   E

圧倒的一人勝ち状態。メリハリがありすぎる。ウィリアム征服王は当然A。ヘンリ1世は,2世以降がメジャーなのに1世は出題されない。受験生に「そういえば1世ってどこで出てきたっけ?」とか言われてしまうパターンである。


《プランタジネット朝》
君主名グレーディング
ヘンリ2世    A☆☆☆☆☆☆
リチャード1世  A☆☆☆☆☆☆
ジョン      A☆☆☆☆☆☆
ヘンリ3世    B☆☆☆☆☆
エドワード1世  B☆☆☆☆☆
エドワード2世  E
エドワード3世  A☆☆☆☆☆☆
リチャード2世  E

高校世界史としてはメリハリが非常に大きくて面白い王朝。皆キャラが濃い。上3人は説明不要だろう。ジョン王に至っては,マグナ=カルタのせいで中学の社会科で登場するので,Sにしておいてもいいくらい。ヘンリ3世はなぜ高校世界史での重要度が高いのか,すぐに思いつかない人もいるかもしれない。それもそのはず,彼自身の功績ではなく,シモン=ド=モンフォールの反乱とその帰結としての身分制議会の成立によって名前が登場するため。エドワード1世もその関連で,身分制議会が彼の治世のうちに模範議会と呼ばれるようになったという事績で名前が登場する。こういう制度史にかかわると高校世界史上の出題頻度は高くなるというのは,社会人の歴史好きとのズレが出る面白い特徴だろうと思う。エドワード3世は模範議会の二院制化,百年戦争の勃発にクレシーの戦いと話題に事欠かない。この華やかな王朝にあって高校世界史上全く名前を見ない人が二人いるが,残念ながら当然というところか。リチャード2世はワット=タイラーの乱当時の国王なので,そのうち範囲外の難問として出題されそう。なお,君主ではないので省いたが,エドワード黒太子はBかCかというところだと思う。以前なら間違いなくBと言い切れたが,最近入試でめったに見ない。


《ランカスター朝・ヨーク朝》
君主名グレーディング
ヘンリ4世    E
ヘンリ5世    C☆☆☆
ヘンリ6世    E
エドワード4世  E
エドワード5世  E
リチャード3世  E

百年戦争とバラ戦争の混迷の時代の王朝。ものの見事にA・Bがいない。私もやってみて気づいたのだが,確かに王朝の名前だけ出てきて王様の名前は誰一人出てこない。英文学畑の人が卒倒しそうな結果になってしまった(特にリチャード3世)。なんでやヘンリ5世はアジャンクールの戦いで出るやろとお思いの方。悲報ですが,アジャンクールの戦いは現行の課程で範囲外です。まだCくらいかなと思うが,多分遠からずDに転落しそう。ヘンリ6世はDにしてもよかったかもしれないが,ぱっと出題例は思い出せない。


テューダー朝以降現在までは,次回でやる予定です。  

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2018年08月22日

紅白巫女と呼ばれるだけのことはあり

・東京駅の自販機で「売り切れ」続々発生も「頑張れ!」「もっとやれ」の声 背景にサントリーグループの残業代未払い問題(ねとらぼ)
→ 今のところ遭遇したことはないが,これが理由で自販機が売り切れになっていたなら,納得できるし応援したい。これについては,こういう話も。
・自販機大手求人、紹介中止を 都内職安に都労委が通報(東京新聞)
・「全問正解で有給チャンス」 サントリー子会社のジャパンビバレッジ、“有給取得クイズ”メールの存在認める(ねとらぼ)


・皮ごと食べられるバナナを発表(共同通信)
→ 味が気になるので,1回は試しに食べてみたい。食べた人によると「甘くない,剥いて食べた方がおいしい」とのこと。5本で4千円という値段を考えると,普及はしなさそうだが,一発ネタとしては生き残ってほしい。


・13歳少年が大手柄! 伝説的なデンマーク王ゆかりの品発掘 ドイツ(AFPBB)
→ ハーラル1世青歯王はデンマーク王国の統一とキリスト教化に功績があったデンマーク王で,実際には歯が青かったわけではないが,デンマーク語から英語に翻訳される過程で「浅黒い英雄」という意味の単語が誤ってBluetoothと訳されてしまい,そのまま定着した。原義で考えると「イルモーロ」が最も近いか。後世,こういう形でめちゃくちゃ有名になるとは,当時の人はおろか20世紀末の人間だって予想がつかなかった。
→ そういうわけなので,「北欧神話の戦トールにまつわる金づち」が発見されているのは,ちょうど移り変わりの時期らしさがあってよい。また,「見つかった硬貨のなかで最も古いものは、ウマイヤ朝時代のシリアで714年に作られたディルハム硬貨」というのも非常に気が長い話だが,当時の事情を考えれば,摩耗していなければ普通に使っていただろうと思う。当時としても骨董品だった可能性もあるが。


・科学史の定説をくつがえす−アラビア語写本の山をかきわけて−(広島大学)
→ 受験世界史の定番,近年最頻出テーマと言っても過言ではない12世紀ルネサンスに直接関係する研究で,高校世界史の基礎になっている研究を垣間見させてもらったという感想。955年没のマグリブで活躍し,アンダルスに広まった本なのであれば,おそらくイブン=ルシュドも読んだものだろう。12世紀ルネサンスだけでなく,イスラーム科学の西方地域の研究にも寄与する発見だ。
→ これで次はクレモナのゲラルドがなぜ原著者をマーシャーアッラーフと誤認したのかを調べる研究が始まるのだろうと思うと,書物の海の果てのなさに思いをはせることになる。


・「霊夢」中国で花の品種に。東方Projectの人気キャラから命名(huffingtonpost)
→ こういうのの裏を取りに行くのは大概ねとらぼかBuzzfeedのイメージだったので,ハフポスが取りに行ったのはやや意外。
→ どうやら名付けた本人は東方Projectを知らず,後輩が素知らぬ顔で「いい名前があるよ」と教えたということらしい。こういうのでありがちなパターンと言えばそうなるか。それにしても,誰もが納得するレベルで博麗霊夢を連想する造形。

  
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2018年08月19日

非ニコマス系動画紹介 2017.12月下旬〜2018.1月上旬





カタリナ主人公で最低戦闘回数25回に,真・四魔貴族の1体を加えた26回勝利戦闘だけで破壊するもの撃破を目指す。part8の「ロマサガ3一人旅の歴史」が熱いし,現在ではこの動画もその歴史の一部となっている。





こちらはTASによる25戦一人旅クリア。「ほぼ」になっているのは謀殺を禁止したためで,戦闘への影響はほとんど全く無く,完全な一人旅クリアと考えてよい。セレクトボタン禁止はメニューが開けなくなるので,装備の変更・技の変更・回復アイテムの使用ができなくなる。したがって全裸,技は閃いた順に7つまで,固定敵が複数いるマップは事実上の連戦となりWP・JPが回復できないといった制限が発生する。TASなので運ゲーは発生しないが,固定敵の倒す順番や7つしかない技は何を閃くか,そして比較的自由に習得できる術の選択といったチョイスが重要になる。TASさんなので当然即死技は重要になるが,それ以外は意外と予想がつかないかも。25戦クリアなので当然ラスボスは真・破壊するもの。しかし,意外にも最も苦戦したのは火術要塞のあのモンスターであった。



25戦一人旅のOPで使用されていたアレンジ。なんと投稿者本人による。なかなかかっこいい。




年末に現れて一世を風靡した動画。実際使い勝手が良い。それな。わかる。



こちらも年末に突如ブレイクしたVTuberのシロさん。こちらは公式動画。踊ってみた動画はこんなに普通にかわいいのにゲームの実況プレーはアレというギャップがポイントだろうか。



こっちがそのアレなゲーム実況集。「サイコパスを装うサイコパス」「戦闘用AI」とか言われてしまうはずである。PUBGのスモークが投げ込まれているのに雑談しだす・歌を歌い出すシーンが意味不明すぎて一番好き。



こちらはファンによるMMD動画。
  
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2018年08月17日

最近読んだもの・買ったもの

・『乙嫁語り』10巻。カルルクくん狩猟の修行編,鷹狩。スミスはアンカラに到着,タラスさんに再会。
→ 多分に森薫が鷹狩を描きたかっただけ感ある。
→ 革袋って凍って割れるんだな……さすがは中央アジア,寒さが違った。
→ 以前に乙嫁語りの年代は大雑把に言って19世紀半ば,どちらかというと前半寄りかと推測していたが,本巻でクリミア戦争後,ロシアの中央アジア侵略が本格化する前ということが判明した。これによりかなり狭く範囲が絞れ,具体的に言えば1860年代でほぼ確定する。意外と時間が経っていた。とすると4巻の「ペルシアだって黙ってやられはすまい」という発言はなんだったのか。とっくの昔にロシアにやられきってしまっているのだが……なお,作中でスミスが「ベヒストゥーン碑文が無ければ古代ペルシア語の解読は難しかった」と言っているが,ローリンソンによる解読は1850年の出来事であるので当時としてはタイムリーな話題。ローリンソンも存命である。
→ スミスがタラスと再会する展開は予想外だった。新婚旅行の振りをして探しに来てくれたタラスさんの旦那さん(仮),良い人すぎない……そして無名のまま去っていく。なんというかっこいいモブキャラ。


・『東方三月精 Visionary Fairies in Shrine』1巻。
→ 三月精としては第4期(比良坂版としては3期)になる。仕切り直してクラウンピース登場,今期は彼女が中心に話が動いていく様子。
→ クラピいわく,氷の妖精は「氷の世界は死の世界」だからレアらしい。競争相手が少なくて資源が少ないながら大きな力を独占できるのかも,という推測。チルノが特別力強い妖精という設定に,最近どんどん後付で理屈が備えられていっている感ある。
→ ヘカーティアがクラピの母親状態に。その片鱗は『東方文果真報』でもあったが,今回で確定したかな。元々二次創作ではこのネタが人気ではあったが,逆輸入というわけでもないだろう。
→ 久しぶりに公式絵の永琳を見たような気がする。比良坂版永琳かわいすぎない?
→ 映姫様も登場。映姫から見るとヘカーティアは「斜め上(別部署)の上司」であるので,呼称は様付ながら,「変わった人」という評価。東方に変わってない人っているんか……
→ 霊夢さんはクラピが神社の縁の下に住み着いたことでほうぼうの関係者に相談を持ちかけていたが,最終的に放置することに。「最近手に負えない事が起こりすぎて自信を失っていたのかもねぇ」との弁だが,確かに深秘録と紺珠伝はやけに話が重かった。昔自分でこんなことを書いていて,この論はいまでも有効だと考えているが,これに則るなら神主は宗教ネタを一通り片付けたので,儚月抄でも果たせなかった宿題を解消しようとしている&シリアス展開に再チャレンジしていたのがここ2015〜2017年頃の動きだったのかも。天空璋で少し落ち着いた感はあるが,今後の展開やいかに。


・『火ノ丸相撲』19巻。大相撲編本格始動。作品現在の各登場人物の現況,桐仁VS鬼丸,天下三名槍の登場,刃皇の「来場所優勝したら引退」宣言。
→ 桐仁が現実にいたらめちゃくちゃ人気が出そう。肺疾患による20秒限定力士の舛ノ山も人気があったが,それに遠藤のマスクと技巧があれば鬼に金棒。実際,川田先生の発想はこの組み合わせだったのでは。対鬼丸戦で最初に見せた技が逆とったり,続く技が網打ちというのも激渋。これは若い女性から玄人まで総じて受けますわ。
→ 復活後の鬼丸の戦法は主に突き押しであることも判明。おそらくどこかで四つ相撲も戻るとは思われ,それが本作のクライマックスになるであろう。
→ 169話で鬼丸が暴言を吐いた白狼を殴って叱責しているが,確かジャンプ連載当時にちょうど日馬富士の暴行事件が発覚して,大変にタイミングが悪いなと思った記憶が。そのしばらく後の回で鬼丸が「あれはダメだった」と反省しているが,現実の状況を反映したか。
  
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2018年08月14日

最近読んだもの・買ったもの(『けものみち』1〜3巻,『アルテ』8巻)

・『アルテ』8巻。アルテがヴェネツィアから帰還。アルテが女性肖像画家として歩みだす。
→ 組合のアロルド役員長とレオの会話でも,7巻でも語られていた「職人から芸術家へ」という話が出る。こうなると個性は武器となり,貴族出身で女性という個性の塊であるアルテは,師匠のレオよりも見込みがあるということに。アロルドもレオもアルテが望めば師匠を変えた方がよいという考えを持つが,本人はなかなか踏み切れないだろう。
→ 『アルテ』の5巻の書評の時に「『アルテ』の時代設定は1522年以降」という推測を立てたが,38話の情報でもこれが裏付けられる。ラファエロとレオナルド・ダ・ヴィンチが両方死んでいる。しかもそれがここ2・3年の話とのことである。ラファエロの享年は1520年,ダ・ヴィンチは1519年であるから,やはり本作は1522〜23年頃と確定できる。39話ではアルテがヴェロニカからエラスムスを借りているが,その書名がStultitae laus,すなわち『愚神礼賛』である。初版発行年は1511年。時代を考えれば流行の最先端に近い。そして40話ではローマの情景でシスティーナ礼拝堂天井画「天地創造」がちらっと出てくるが,その完成は1512年だから完成したてである。三大巨匠ではミケランジェロが唯一存命。そして彼は1564年まで生き続ける。本作はその頃まで描かれるであろうか。
→ この時代のヒエラルキーでは,宗教画(歴史画)を描かなければ一流の画家とは呼べなかった。しかし,アルテの強みは肖像画である。とりあえず今は肖像画に集中したいし,しばらくはレオの工房に居続けるということで先送りされたが,これらの葛藤はしばらく続きそう。
→ そして本巻のラストでは,新たな女性の登場人物がローマからフィレンツェへ。ここで出てくる話し相手の「ハドリアヌス様」は,当時のローマ教皇ハドリアヌス6世(在位1522〜23年)であろう。在位がわずか1年半,しかもメディチ家の教皇に挟まれている(先代が贖宥状で有名なレオ10世)ので大変に影が薄い。こんなところで名前を見るとは思わなかった。その教皇が「あなたのお兄様の頼みですから」と発言しているということは兄もまた重要人物っぽい。この女性はフィレンツェが国元ではないようなのでメディチ家ではないと思われるが,どこか有名な家系か。アルテのパトロンになるのかもしれない。次の展開が気になる。


・『けものみち』1・2・3巻。
→ 何買いかと言われれば,まったくモー助の絵が好きなので,自分には珍しい完全な絵買いである。もっと言えばドラゴン娘の花子さんがかわいかった。それだけである。そういうわけで,花子さんが表紙の2巻を貼っておく。
→ ストーリーは異世界転生物……なのだが,勇者として召喚されたのはケモナーのプロレスラーという異色の設定。主人公はペット文化の無い異世界でペット文化を広めるべく,ペットショップを開いて孤軍奮闘するのだが,いかんせん主人公自身の動物への偏愛がひどく上手くいかない。この主人公は「人間にはない部位がある生物」に欲情するというタイプのケモナーなので,亜人種・魔物・動物すべてOKでありかなりストライクゾーンが広い。しかもきっちり”欲情してしまう”ので,広めようとしている割に本人がペット文化の普及に向いていない,というのがギャグの発生ポイントになっている。茶化しているとも読めなくもないので,ケモナー勢に怒られていないか心配である。
→ そもそも亜人種がいて動物と魔物と亜人の境界線が曖昧なこの世界でペット文化は成り立つのか否か自体が相当に怪しいのだが,基本的にお気楽な感じでストーリーが展開するので,亜人種が存在することで人間と動物の違いが云々といったシリアス展開には今のところなっていない。今後なるのかもわからない。一応3巻で魔王の影が見え隠れするようになり(主人公は元々魔王討伐の勇者として召喚されたがその使命を無視してペットショップを開いた),多少なりとも本筋が進んでいるのか。

けものみち(2) (角川コミックス・エース)
まったくモー助
KADOKAWA / 角川書店
2017-10-26


  
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2018年08月13日

C94参加記録

メンバーはちょっと変わってORATORIO,頬付,ネ右です。ネ右はC84以来の参加だった模様。

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2018年08月09日

C94サークルチェックリスト(三日目)

適当につけていったら普段より増えてしまったかも。まあ,全部は回らないです。

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2018年08月08日

C94サークルチェックリスト(初日・二日目)

今回も二日目は不参戦です。今回の初日は東方と艦これが同じ東456なので,行くサークルがそこに固まった感じ。

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2018年08月06日

『りゅうおうのおしごと!』1〜5巻

私は将棋は駒の動かし方しか知らないレベルであり(よく意外と言われる),結局ほとんどそこから向上しないまま読み続けているので,完璧には楽しめていないと思われる。ついでに言うと囲碁もわからないしチェスもわからない。そうしたパワーは幼少期から大体全部麻雀といただきストリートに吸い込まれてしまったので,今になって若干後悔している。

それでも本作が面白いのはきらめく才能のぶつかり合いとして極上の表現であるからだ。本作2巻に「才能とは輝きだ。その輝きが強ければ強いほど,激しければ激しいほど,人は引きつけられる。」とある通りで,本作の面白さは究極のところこのフレーズに尽きる。磨かれて残った玉同士がぶつかって,真の玉として残るのはいずれか。残れず「石」になってしまった側はどう振る舞うか。本作はそのどちらも面白い。そしてまた,本作の主要人物は勝負師として皆優しすぎるのが良い。象徴的なエピソードが3巻の,あいが桂香さん相手に中盤まで全力を出せなかったシーンと,4巻の勝っているはずの桂香さんが号泣しているシーン。特に後者は強烈で,5巻の竜王防衛戦4戦目を除けばこれがベストバウトかもしれない。桂香さんが名勝負製造機と言われる所以である。

とはいえやはり5巻までの本作の白眉は言わずもがなその竜王防衛戦4戦目で,こういう作品で一番熱い勝負を扱うなら,その競技の本質に迫るものを使うのが最善手になるし,その王道を丁寧に仕上げきった。意外にも私が一番胸打たれたのはゴッドコルドレンさんがニコ生の解説でめちゃくちゃなエールを叫んでいるところ。なんででしょうね。前後の天衣も鵠さんも清滝師匠も姉弟子も良いシーンであるが,一番は横に並ぶライバルというのは,少年漫画を読んで育ってきたからか。


さて,言うまでもなくアニメ組です。アニメの出来については,アニメから入った身としてはあまりdisりたくないところで,加えて原作で言うと2巻まではそこまで削った部分が大きくないと思う(当然ながら個人の感想であって人によっては耐え難い部分が削られたかもしれないが)。一方でその後,3・4巻についてはちょっとスリムになりすぎた感がぬぐえず。アニメはどうしたって12話か13話にまとめる必要があるし,1話ごとに区切る必要もあるから計算して削り落としているのは理解している。加えて1クールのアニメをやるなら終わりは5巻の竜王防衛戦までやりきるしかないのも理解しているが,削ぎ落とされたもののもったいなさを考えると承服しかねるかな。最大の犠牲者はたまよんか山刀伐さんか。

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)
白鳥 士郎
SBクリエイティブ
2015-09-12


  
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2018年08月05日

予備校講師は残念一般書籍を出すのはやめよう

・もう3月末なのに「追加合格」って?(NHK)
→ 今年の私大の合格者は本当に絞られていて,大学側は入学者数の調整に大変そうであった。しかし同様に大変だったのが受験生の側で,予測されていたとはいえ,例年よりも要求される学力が跳ね上がってしまい,思っていたような成果が出ないことに苦しんでいた。私大文系なら,影響が薄かった早慶上智より下の,明治大や同志社大あたりからは例年よりかなり高い学力でないと受かっていない。昨年までいかに定員よりもかなり多く合格を出していたかわかるようなものだ。結果的に,滑り止めに行ったり浪人した人は多かったようだ。受験料の捻出が苦しかったり浪人できないようなご家庭が一番悲惨で,この影響で大学進学自体をあきらめることになった受験生も少なからずいたことだろう。
→ 一方,
記事中にある大学の担当者の「そこに入れなかったけれども優秀な学生がうちの大学に入ってくる可能性もある。そうなれば、学生の質も上がるし、ありがたい話だ」というのは正しい予測であり,文科省の本来の目的ではないものの,受験料・入学金ビジネスのどんぶり勘定の適正化という点では悪くない施策だった。受験料・入学金ビジネスが私大経営上の欠かせない収入源になっているのは,やはり不健全である。
→ さて,これが文科省の思惑通りに地方大学への学生の分散に効果があるかというと,おそらくほとんど全く無く,むしろ大都市圏の大学の偏差値がさらに上昇することになると思われる。元から地方の進学校の高校は大都会に行きたければ勉強しろというような方便を使うので,その説得方法がさらに大義名分を得てしまうだけなのではないか。


・「ポップ地政学」本の掲載地図批判-主に高校地理レベルでの内容の誤りについて
→ 愛大の人文地理学の教員による,世間の雑な地政学本批判。この先生は以前にも中学の教科書上の地理の誤りを指摘する等,教育課程や世間と地理のかかわりで積極的な情報発信をしている。そういえば,その割に今年のムーミンのアレの際には発言を聞かなかったが。以前に「通俗的な歴史本にも,専門家の批判はされるべき」と書いたので,地理でそれをやってくれるのは大変に心強い。やはり歴史家もやるべきであろう。
→ 本題であるが,私の立場から言えば,リストアップされた問題のある地政学本に少なからず世界史の予備校講師がいるのが大変に残念である。特に茂木誠は駿台の,荒巻豊志は東進の,それぞれの看板講師であり,押しも押されぬトップクラスの世界史の予備校講師である。後者は私も現役受験生の時にお世話になったので悲しい。「致命的な地図掲載数ワースト5」に限れば4冊が茂木・荒巻の著書で,特に3冊は茂木先生である。二人に共通して反共であるが,それが長じてこんなことになってしまったか。他に村山秀太郎はスタディサプリ・秀英予備校の講師であるが,私はこの人については詳しくない。予備校講師が櫻井よしこや倉山満と並んでこういうものを出版する時代になったか。
→ 指摘は概ね妥当であるが,ちと細かすぎる気も。たとえば,p.34のアフガニスタンのように枠外に重なるから国境線を省略しているやつは許してやってほしい。
→ 結語の「地図がゴミであることを冷静に周知させる• あとは放っておけば勝手に自滅するだろう」というのは甘くて,それで離れるような読者はそもそもこんな本を買っていない。


・3時間→10分に短縮! 吉野山の偉業にみる観光地の渋滞解消法(SankeiBiz)
→ JTBやるやんけ,からの3期では外されていて,しかも赤字化しているという……とても良い記事なんだけれども,その背景・理由が書かれていないので非常にもにょる。案外JTB側の負担が大きすぎて撤退したのかもしれない。それなら別の会社では上手くいかず赤字化したのは理解できる。


・広告業界と漫画村やAnitubeは完全にグル (アンテナ開発者ブログ)
→ 記事上段に出てくる広告依頼・受諾の流れが面白い。こんだけ入り組んでれば確かに罪悪感とリスクのロンダリングになるだろう。「そのサイト,悪質な著作権侵害サイトだよ」とか「デマサイトだよ」と言われても知らぬ存ぜぬで通せてしまう。これは,このネット広告に特有な構造を壊すしか無さそう。
  
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2018年08月01日

世界史上の諸君主の出題頻度グレーディング:フランス王(ブルボン朝・ボナパルト朝以後)編

次はイギリスの王朝で頼むという声もあったが,一度フランスを終わらせることにする。そういうわけでブルボン朝とボナパルト朝。

基準はこれまでと同様に以下の通り。

A:基礎知識。センター試験世界史B以上の入試を受けるなら知ってないとダメ。
B:国立二次・MARCH以上の私大を受けるなら必要。
B-:教科書に載っていて用語集頻度もそれなりに高いが,便宜上掲載されているという色彩が強く,実際には入試にはほとんど出ない。ネルウァが好例。
C:高校世界史範囲内・外のグレーゾーン。用語集頻度が低いか掲載されていないもの,または旧課程では範囲内だったもの等,早慶上智対策としてなら見るもの。
D:高校世界史範囲外だが,早慶上智でなら見たことがある。満点が欲しいなら覚えてもいい(が当然推奨しない)。
E:完全な高校世界史範囲外で,早慶上智ですら10年に1回未満のレベルでしか見たことがない。

視認性を高めるために,グレーディングのアルファベットに沿って☆を付した。Aなら6個,Eなら1個である。ズレがあったら☆の数の方が間違いなのでアルファベットの方を信じてほしい。意外と思われそうな人は赤で表示した。また,感覚には個人差があるので☆半分くらいは異論があると思われる。特に綿密にデータを収集してデジタルな判断をしたわけではないので,DとEの差については多く異論がありそうだが,そこはご寛恕いただきたい。以下,本編。

《ブルボン朝》
君主名グレーディング
アンリ4世  A☆☆☆☆☆☆
ルイ13世   B☆☆☆☆☆
ルイ14世   A☆☆☆☆☆☆
ルイ15世   B-☆☆☆☆
ルイ16世   A☆☆☆☆☆☆

さすがに全員出題される。アンリ4世はルイ14世・フィリップ4世・ナポレオン1世辺りと並ぶ最頻出事項。ナント王令は偉大であった。ルイ13世は本人を出題するくらいならリシュリューを出すことの方が多いが,聞かれないわけでもない。三部会停止・リシュリューの登用・三十年戦争参戦辺り。ルイ14世・ルイ16世は説明不要だろう。ルイ15世は教科書上はよく載っているが,実際にはあまり問われない。たまに盲点を突くつもりで「七年戦争時の君主」等で出題しようにも,ルイ14世とルイ16世の間だから推測がついてしまうという盲点のならなさが彼にとっての不幸(?)になった。


《ボナパルト朝以後》
君主名グレーディング
ナポレオン1世   A☆☆☆☆☆☆
ルイ18世      B☆☆☆☆☆
シャルル10世    B☆☆☆☆☆
ルイ=フィリップ  A☆☆☆☆☆☆
ナポレオン3世   A☆☆☆☆☆☆

ここも全員出題される様相。とすると逆に言えば,さして出題されない最後の王はアンリ3世までさかのぼるか。多くは補足不要と思われるが,復古王政の二人だけ。ルイ18世は復古王政の最初として問われる。近年では,現実が見えていて事実上の憲法も発布し,立憲君主制と復古的絶対王政のバランスをとってウィーン体制を軟着陸させようと必死だった人という評価に変わっている。ただし,周囲の貴族層は過剰に反動的であり,それに同調した弟が後継者だったのがよくなかった。そうして即位したシャルル10世は,七月革命前夜のどさくさに紛れてアルジェリアに出兵したという文脈で出題されることが多い。七月王政も出兵は継続した。揺らぐフランスの移民政策という文脈で,今後はより出題されるようになるかもしれない。ナポレオン3世の高校世界史における立ち位置は,以前に『怪帝ナポレオン3世』の書評にひっかけて書いた通り。


以下はおまけで,第三共和政以後の主要な首相・大統領。本企画の主眼は諸君主にあるが,どうせなので主要な首相・大統領も作ってみることにした。首相・大統領の場合,多くがEになってしまうので,D以上の人物のみ掲載した。記載のない人物は基本的にEにグレーディングされていると考えてもらってかまわない。

《第三共和政・ヴィシー政権の主要な首相・大統領》
政治家名グレーディング
ティエール(大統領)B☆☆☆☆☆
クレマンソー    B☆☆☆☆☆
ポワンカレ     C☆☆☆
ブリアン      A☆☆☆☆☆☆
ブルム       B☆☆☆☆☆
ダラディエ     B☆☆☆☆☆
ペタン(国家元首) B☆☆☆☆☆

ティエールは七月王政期に首相となり,長くフランス政界で活動した。初代第三共和政の大統領となり,普仏戦争敗戦後の混乱を収めた。パリ=コミューンをドイツ軍の支援で鎮圧したので,一部の人たちからは蛇蝎のごとく嫌われている。グレーディングとしてはBで,センター止まりなら不要だがそれ以上なら覚えておいてほしいところ。フランス第三共和政は基本的に大統領権限が弱いので,大統領として登場するのはこの人だけ。クレマンソーはパリ講和会議時のフランス首相。対独復讐強硬論を唱えたことで有名。上野の国立西洋美術館に肖像画があるので,見たことがない人は是非。 ポワンカレはルール占領時の首相。用語集頻度は意外と高いが,最近出ない。ブリアンはロカルノ条約とパリ不戦条約の立役者で,覚えてないと死んじゃうやつ。とはいえ実はロカルノ条約もパリ不戦条約も締結時は外相で,首相ではないというひっかけ問題なのがいやらしい。ところで,1920年代のフランスはポワンカレとブリアン,エリオとあと1・2人でぐるぐると政権を回していて,初期から桂園時代くらいまでの明治政府状態である。小党乱立と離合集散の悪い面であり,そりゃ国民も政治不信になるよなと思う。ブルムは評価が難しいところ。一応Bにしたが,人によってはCにすると思う。フランスで成立した人民戦線内閣の首相で,有給休暇制度と週40時間労働制を主要国で初めて法制化した人。ダラディエはミュンヘン会談に出席した首相。ペタンはBにしたが,人によってはAとするかもしれず,それでも納得する。

こうして並べてみると納得のメンバーであり,しいて言えばポワンカレが不要(D以下でいい)かなと思うくらい。なお,第二帝政以前の首相に言及するなら,ギゾーがC(最近全く見ない),カヴェニャックがD,残りはEか。


《第四・第五共和政の主要な首相・大統領》
政治家名グレーディング
シューマン(首相)  A☆☆☆☆☆☆
ド=ゴール      A☆☆☆☆☆☆
ポンピドゥー     D☆☆
ジスカールデスタン  C☆☆☆
ミッテラン      C☆☆☆
シラク        D☆☆


ひょっとして第四共和政の首相で登場するの,シューマンだけでは。しかもシューマン=プラン発表時は外相であって首相ではないのはブリアンと同じ現象。ド=ゴールは言うまでもなし。ポンピドゥーはどこかで出てたかもしれないが,ぱっと思い出せない。Eでもよかったかもしれない。ジスカールデスタンはサミットの提唱者として稀に見る。実は2014年の現行課程から用語集から外れて範囲外になった。ミッテランは第五共和政初の社会党政権として用語集頻度はそれなりにあるが,出題頻度はジスカールデスタンと変わらない。シラクも現行課程から範囲外になった。そもそも近年の入試でほとんど見たこと無いが。サルコジ以降は用語集未収録。

近現代までたどりついてわかったことがある。主要国の近現代史になるとおそらく高校世界史と世間の歴史ファンや一般教養とのズレは小さくなり,あまりやる意味がないということだ。
  
Posted by dg_law at 12:00Comments(0)