2019年04月29日

世界史用語集から消滅した用語ver.2019

山川出版社の『世界史用語集』はほぼ毎年出版されているが,大規模な改編があった場合は改版,ミクロな改編しかなかった場合は増刷という使い分けをしている。ただし,正確に言えば改版は刷数をリセットして第1版に戻すということをやっているので,改版ではなく再出版になるのだが,まあそこは置いといて。改版になるのは学習指導要領が変わったタイミングになることが多いが,そうでなくともたまに改版している。ちなみに,第1刷のみタイトルが『世界史用語集』で,第2刷以降は『世界史用語集 改訂版』という書名になるという小ネタがある。書店では最新版以外が売っていることはまずないが,Amazon等で注文する際はタイトルと発行年をちゃんと見ないと無駄に古いものを買うことになるので注意が必要だ。たとえば現行の『世界史用語集』は2014年に刊行,『世界史用語集 改訂版』は2018年12月刊行である。

さて,その2018年12月に出版された現行で最新の用語集も,学習指導要領が変わったわけではないので増刷扱いだったのだが,実は改版扱いにしてもよかったくらい,けっこう中身が変わっていた。特に目立ったのが収録用語の減少と1用語あたりの説明の増加で,あまりにも減っていたので気になって何が減ったのかリストアップしてみた。これを以下に示す。また,逆に増えた用語も少数ではあるが存在しているので,これもリストアップした。全体として,
◯無駄に立項されていた用語を削除した
◯近年の入試にないと思われる用語を削除した
という方針であったことが読み取れる。前者はたとえば「任那」と「加羅」が並列しているのは明らかに無駄であったのを,「加羅」のみ立項して任那を項目としては削除し,加羅の説明文内で任那に触れる形に変えた,というような形である。下のリストで「◯◯に吸収」と注記しているものはこのパターン。これは用語集としては小さいながらも改善で,支持したい。なぜなら,受験世界史においては立項されているかどうかに大きなウェイトがあり,立項されている用語を問うのは完全なホワイトだが,項目内の説明文でしか触れられていない固有名詞を問うのは,範囲外とは言われないにしても過剰に細かいと指摘されうる行為になるからだ。そうでなくとも,あまり細かく項目が分けられていて,しかもほぼ同じ説明が連続で並んでいるのは辞書としての利便性が低い。

ただし,今回の改訂は難関私大には逆に悪用される恐れはあり,「用語集には立項されていないが,説明文にはあるからセーフ」「用語集では一切触れられていないが,記載のある教科書があるからセーフ」というような範囲内と範囲外のグレーゾーンをうろうろしやすくなってしまったのは確かで,2020年の入試で注視する必要がある。

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2019年04月27日

ニコ動の動画紹介 2018.4月上旬〜5月中旬



絶望的な確率を膨大な試行回数で突破した。本当に開発者は何を考えてメタルスライムSのドロップ率を設定したのか。約5年と4ヶ月の長旅,お疲れ様でした。




昔P-Pさんがマリオやアイワナを足でクリアしていたが,これもすごい。(一部の)人類,意外と足でゲームができるらしい。この実況動画はゲーム作者も確認済。






ダメージがえしで倒すとなぜかHPがゼロになった判定と消滅モーションが始まるタイミングにずれが生じるので,逃走可能なボスはHPをゼロにさせつつ逃走できてしまう,とのこと。実際に使えるのはアルティミシア城のボスだけだが,あるボスは有用アイテムを落とすので意外と他のプレーに活かせる小技かも。



FF6も任意コード実行でTASの記録が更新された。ものすごく意外なルートと方法だったが。




キーボードクラッシャーも大人になっていた。大百科を見ると彼のあの動画以後の人生が追えるので,気になる人は読むといい。





長期連載の最後の方に現れた神回。こういう形でゲッベルスとヨハネ=パウロ2世を会わせて会話させるのは,本作でしかできない芸当だなぁと。ゲーム的にも最終盤で登場するヨハネ・パウロ2世が非常に良い役をこなしてくれた。



上半期20選ノミネート。やーまPの声なんだろうか。良い声すぎるw



上半期20選選出。けるまPは1年に1作すごいものを見せてくれるだけでも満足。



上半期20選ノミネート。仲良し三人組が歌いだしたところで大爆笑してしまった。反則である。



七海さんでMADというのも珍しい。実におしゃれ。  
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2019年04月26日

無釉ゆえの美,備前焼

備前焼国立近代美術館工芸館の備前焼展に行ってきた。備前焼は室町以前から日本で栄えていた窯業地の六古窯の一つで,私は基本的に磁器の方が好きで,なんとなれば金襴手や初代宮川香山が好きだったりするので好みから言えば正反対に近いが,不思議と備前焼の緋襷は魅力的に感じる。その辺の好みの再確認も兼ねている。

普通,陶器と言えば粘土に釉薬をかけて焼成するものであるが,備前焼は基本的に釉薬を使わない。すると当然吸水性が高くなってしまい水漏れの原因になり,まさにここが土器と陶器の違いになるところだが,備前焼の場合は土が特殊であることに加えて磁器並みの高温で焼成するため,固く焼き締まって陶器並の吸水性を持つ。こうした無釉の陶磁器を陶器・土器のいずれにも分類しない場合,Т錙淵好函璽鵐ΕД◆砲噺討屬,それほどメジャーな分類ではない。本展覧会でも使われていなかったと思う。私は好きな分類だが……というよりも釉薬をかけないのに陶器に分類されるのが嫌なのかも。なお,Т鐚体は備前焼に限定されるわけではなく,日本の他の古窯や西欧の窯業でも見られる。

Т錣量ノ呂鰐去悗任△襪ゆえにざらっとした表面が残り,野性的な趣がありつつも,土器のように素朴すぎない点にあると思う。特に備前焼は緋襷と呼ばれる強い緋色の独特の装飾法を持つ。これがまるでまだ熱を帯びているかのような鮮烈な緋色で,Т錣領篭さとよく調和している。本展のサブタイトルの「土と炎から生まれる造形美」というのはまさにその通りというか,一見するとそれはどの陶磁器でも言えることでは,と思ってしまうのだが,ここに無釉であるというニュアンスを感じると非常に納得感が増す。館内で流れていた映像でも,作家たちが備前焼の無釉であること,あくまで土と炎だけで造形していることに強いアイデンティティを抱いていることが伝わってきた。本来の趣味ではない私がこれだけ感動したのは,無釉のアイデンティティを活かした創意のためだと思う。つまるところ,私にとって陶磁器とは土と創意の融合であってほしいものらしい。

本展は古窯としての備前焼から現代までの歴史を,やや現代の比重が重いものの,一通り堪能できる。生活雑器を量産するという古窯の役目から次第に創意が強まっていき,戦国・安土桃山時代に茶の湯と合流して,茶道具の生産を始める。江戸時代中頃には生活雑器の量産に回帰したが,20世紀になって近現代の作家により桃山時代の研究が始まり,近代陶芸としての備前焼がここにスタートする。これまた私としては意外なことに,現代の作家の作品の方が好みかもしれない。アイデンティティに自覚的な分,備前焼らしさが全面に出てるのが良いのかもしれない。そうそう,現代作家の作品と言えば,従来の特殊な粘土の資源枯渇を憂いで,普段捨てているような土を混ぜ合わせた混淆土を開発している人がいて,やはり粘土も枯渇するのだなと,当然ながら普段あまり意識しないことに気付かされた。

そういえば楽焼のときも似たような感想だったので,そういうものかも。これが西洋の磁器だと「うーん,自分は19世紀のものがいいな」となるので違いがある。国立近代美術館は,前の楽焼も今回の備前焼も大変良かったので,またどこか通史で展示できそうな窯業地を拾って企画してほしい。


ところで突然全く話が変わるが,アイドルマスターシンデレラガールズに登場するアイドルの一人の藤原肇さんは岡山出身で趣味が陶芸であるので,備前焼関係者からにわかに注目を集めている。そこにある通り,藤原肇という名前自体が備前焼に拠っている。祖父が陶芸家らしいのだが,どう考えても人間国宝の父子の藤原啓・藤原雄がモデル,あるいはその親族のような設定ですやん……というわけで,完全に藤原肇を感じることができる展覧会となっているので藤原肇Pは必ず行くこと。会期はゴールデンウィーク中まで。  
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2019年04月22日

GRIDMANとゾンビランドサガの話

・グリッドマン4話のアカネちゃんが如何に「自分なら彼女のことを誰よりもわかってあげられる」という、オタクの身勝手で柔らかい部分を刺激したか(根室記念館)
→ 『SSSS.GRIDMAN』が完結して新条アカネの正体が判明した今になってこの記事を読むと,これはこれで結構面白い。以下ネタバレ。
→ 現実のアカネは普通の容姿でおそらく性格ももっと引っ込み思案だったのであろう。そんな彼女が理想の自分を描いたら,見事なまでに地雷っぽいオタク女が完成したという……で,これはこれでやっぱり本当に理想の自分なのかという話で,六花や響くんや内海くんと触れ合ううちにズレが生じた。GRIDMANが来てなくてもあの世界は遅かれ早かれ新条アカネの自壊によって崩壊していそうだし,その場合はアレクシスの都合がさらによいので,やっぱりGRIDMANは新条アカネを救いに来たんじゃないかと思う。練られていて納得感の強いキャラ造形だ。
→ また,その後の内海くんと楽しそうに怪獣トークしているのを見るに,現実の彼女はけっこうオタトークに飢えていて,フラグが立つかどうかは別とすれば記事中やブコメにあるような男オタクを無碍に扱う子ではないように思う。そこは悲観しすぎではないかと思うし,オタクと非モテを安直に結びつけるのは,完全に個人の主観で言えばあまりおもしろくない。
(ネタバレ終わり)


・アニメ『ゾンビランドサガ』平成と昭和のアイドル観の演出について(Togetter)
→ 『ゾンビランドサガ』はいろいろと面白かったが,一番面白いなと思ってのはここ。ゾンビという道具を使って昭和のアイドルと平成初期のアイドルを共存させるとは。純子は死んでかなり経っているので現実そのものに疎外感があり,愛は自分が所属していたグループが現役で活動中で「伝説」という名の過去になってしまったことを認めたがらないというギャップも良かった。愛の「私はまだ終わってない,過去なんかじゃない」ってセリフが本当にすばらしい。前述の通りの純子,記憶がないさくら,死因が死因なので前世に後悔の無いサキ,むしろゾンビ生活を謳歌しているリリィとゆうぎりさんと比べると,あの時点では明らかに自分の死を認めていなかった。6・7話は愛の二度目の死と復活の物語だった。
→ 疑似タイムスリップによる価値観の相違を描く舞台装置として,ゾンビとしての復活は案外ありなのかもいれない。その意味でゆうぎりさん回にも期待していたのだけれども,特に何も無かった。たえの謎とともに二期にとっておかれたと信じたい。なお,他の人の回でもゾンビの使い方は上手かったと思う。サキ回では同じく疑似タイムスリップの装置だったが,親子の物語の介入者として(これはこれでサキ自身への挽歌でもあった)。リリィ回ではピーターパンを描く手段として,そしてさくら回は真に二度目の人生を送らせるための手段として。
→ なお,あまりにも強烈なインパクトを与えたせいで二次創作のかなりの割合が伝説のアイドルコンビになっている模様。もちろん,ゆうリリもさくサキもさく愛も愛総受けもかなり描かれているんだけども,pixivで観測している限り,純愛コンビがまず間違いなく一番多い。  
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2019年04月15日

最近読んだもの・買ったもの

急激に消化しているが,まだ全然追いついていない。備忘録的にテンポよく感想を書いていきたいところ。


・『聖☆おにいさん』15巻。
→ カインの再審裁判,本作の最高傑作ではってくらい笑った。父さん(鳩)が今更すぎる裁判を無罪判決で終わらせるべく,当時の状況を見なかったことにしだしたあたりで腹筋崩壊する。
→ イエスが落語をやりたがる話があるが,実際にキリスト教ネタで落語をやるゴスペル落語というジャンルがある。一度も聞いたことがないが。


・『がっこうぐらし』10巻。ランダルコーポレーション本社へ乗り込み。ランダル保護機構との連絡がついたが,むしろ相手がこちらを殺しに来る展開に。
→ ずいぶんと久しぶりに単行本が出た。雑誌の方では追っていないので状況がわからなかった。
→ ゾンビ化発症のメカニズムは細菌,しかも空気感染するものだった。まあ,前者については本作の本質ではないのであっさり判明した形だが,「どっかのバカが手洗いをサボったせいで滅んだ」というのは本作らしい絶望感のあるフレーズ。
→ 1巻に出てきた新聞スクラップ類が取り上げられていた。やっぱりこの土地には何かありそうだが,そもそも最終的な種明かしをしてくれるのかどうかが不安な昨今の展開である。
→ ランダルは本社付近を掃討しに来るようだが,国家組織でもないのにそんな軍事力はないと思われるので,やはり国が結託した研究だったか。どこかでゾンビ化細菌が撒き散らされてから,本作の本編の裏でどういう流れがあってランダル保護機構が発足したのかというストーリーも読んでみたいところ。


・『プリニウス』7巻。ローマ大火とその消火,ネロ暗殺未遂事件。
→ ローマは基本的に石造りの街だが,当時は柱なんかが木組みだったので燃えたらむしろ石材やレンガが一気に崩落してくるという……
→ ローマ大火の原因はネロ側近ティゲリヌスの差金で放火というのが本作の筋書き。ティゲリヌスが依頼した放火犯がキリスト教徒という形だったので,それで処罰がされることになるか。
→ プリニウス一行はエジプトを探検中。ピラミッドの中にも入っていった。墓荒らしに間違われるが,プリニウスの愛猫が登場して神の使いと思われて助かるのはいかにもエジプト。そのための猫。


・『球詠』4巻。影森戦終了。三回戦:梁幽館戦スタート,初回の裏まで。
→ 完全コピー選手を投手に送って相手を動揺させてテンポを崩す作戦が奏功し,撃破。勝ち負けにこだわりだすと強みが薄れ,普段が完璧だからこそ一度崩れると脆いチームだった。初戦の相手として強すぎず弱すぎず,良い相手だったなと。
→ 試合終了後に各々が勝因を述べる中,希が芳乃に「采配がよかった」と主張していて,順調にこのカップリングが育っているなと。バッテリーとは別の,新越谷の実力者コンビで,この二人は大変に雰囲気が良い。今のところ芳乃の側があまり気づいてなくてそっけないのも面白い。
→ 優勝候補,強豪の梁幽館との三回戦スタート(初戦が実質的な二回戦であるので,新越谷の試合としてはニ試合目)。1回表で1点をもぎ取っての裏,詠深の初登板。魔球の公式戦お披露目。4番敬遠しての5番勝負というところで5巻へ。


・『火ノ丸相撲』21巻。蜻蛉切登場,対刃皇合宿終了。巡業編。
→ 大相撲の負の側面の象徴のような,蜻蛉切関登場。御手杵もアレな人だし,天下三名槍そんなんばっかかと思いきや,大和号関は普通に良い人という。3人並ぶとギャップがすごい。天下五剣もけっこう性格は違うが,悪い人がおらんので。
→ 巡業の初切は四方田が務めていた。「栄大コンビ」と言っていたが,もう片方が誰だか今ひとつわからず。
→ 火ノ丸は新たな顔の「無道」を身に着けた。捨て身も武器ではあれ肯定されるものではないので,どこかで否定が入るのがこの漫画だが,意外とそれが遠いのでけっこうやきもきした。この辺は22巻以降の感想で。
→ 最後は花相撲での刃皇VS童子切というところで次巻へ。
  
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2019年04月13日

最近読んだもの・買ったもの(『うたえ! エーリンナ』他)

・『うたえ! エーリンナ』(1巻完結)。
→ 古代ギリシア,女詩人サッポーの学校を舞台にした物語。奔放な主人公エーリンナと,その友人バウキスの二人を主軸に物語が進み,クライマックスの競技会に向けて練習に励んでいく。ちょうどバウキスが教師役,エーリンナが生徒役という形で古代ギリシアの女性や社会が紹介される一方,それに従わずに生きていこうとするエーリンナの女性自立の物語,また常識に囚われながらもそれに惹かれるバウキスとの百合物としても読める。多面的に言って短編の傑作と言っていいだろう。
→ エーリンナは実在の人物であるが,本書のあとがきにあるように実際にはヘレニズム期の人だそうで,サッポーと同時代人としたのは創作である。中世ヨーロッパの事典にサッポーと同時代人と誤って書かれていたところから着想を得たとのこと。
→ 言うまでもなく本作の舞台レスボス島はレズビアンの語源,サッポーはサフィズムの語源である。実際のサッポーは同性愛者ではなかったようだが,それを逆手にとって,あえてその生徒たちの軽い百合物に仕上げた点は面白い試み。
→ すでにKousyouさんが詳細で良い書評を書いているが,
・古代ギリシア×百合の爽やかな傑作『うたえ!エーリンナ』(佐藤二葉作)(Call of History)
→ ここで紹介されている史実があまりにもエモいので,本作を読み終わったら一読を強く勧める。
→ なお,作者の佐藤二葉さんは本職は「俳優・演出家・ドラマトゥルク・リュラー奏者」だそうで,漫画家ではないことで驚いた。絵は十分に綺麗である。藤村シシンさんといい,古代ギリシア界隈キャラが濃い。





・『ゴールデンカムイ』14巻。網走監獄潜入編(後編),樺太編。
→ のっぺらぼうの正体はアシㇼパの父親・ウイルクであった。しかし,「アイヌを殺したのは私じゃない」と言ったところで尾形に射殺される。そして白石・尾形・キロランケはアシㇼパを連れて樺太に逃亡。土方・牛山・永倉は脱出して別行動。残りの面々(杉元・谷垣・家永・インカラマッ)は第七師団に捕縛されて,命を救われて図らずも共闘関係に。そして杉元・谷垣・月島・鯉登の4人はアシㇼパを奪還すべく樺太へ。新章,樺太編のスタートである。
→ 結果的にキロランケはウイルクとともにロシアから来てアイヌに溶け込んだ反政府組織が出自,インカラマッはウイルクが北海道に来てからの旧知の仲ということが発覚。ついでに言うと鶴見がインカラマッに吹き込んだ「のっぺらぼうはウイルクではない」という嘘がばれたわけだが,インカラマッが重体なので流されている。逆に,ウイルクが殺したのでなければ誰がアイヌを殺したのか,殺した張本人でなければウイルクはなぜ金塊を持ち出せたのかという謎が,暗号自体の謎に加わった。しかし当分は謎が晴れず,樺太編が続く形になるだろう。さすがにそろそろ真相を少しは知りたくなってきた。


・『だがしかし』11巻(完結)。
→ ココノツくんが漫画で奨励賞をとって漫画家の道へ。ほたるさんは実家に帰ったが,それはそれとして遊びに来るという感じでエンド。謎のゴスロリ美少女が異様に駄菓子が好きで駄菓子をハイテンションで紹介するというギャップが本作の面白さで,アニメ化してほたるさんに竹達彩奈の声がついてギャップが加速したのは見事な相乗効果だった。それだけに紹介する駄菓子が尽きれば物語をたたまざるをえず,これくらいがちょうどいい長さだったのだろう。いろいろ身近な駄菓子が出てきて,やはりそういう回の方が印象深い。
  
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2019年04月10日

最近読んだもの・買ったもの(『咲』関係)

・『咲日和』7巻(完結)。
→ まさか咲日和が終わってしまうとは。ネタ切れが理由だそうだが,最終巻を読んでもとてもそうは思えなかった。よくこれだけ麻雀とは無関係なネタで続いたものだということにしておこう。お疲れ様でした。


・『シノハユ』9・10巻。県大会団体戦決勝&個人戦開始。
→ 白築慕さんが化物として覚醒しつつある感じ,大変に良い。見えてはいけないものが見えている感じ,自分の能力の自覚,対策されてもそれを超えていく自らの能力への自負,そして折れない心。これは牌に愛されてますわ。天江衣や椋千尋のようなカリスマ性があるわけではなく,宮永姉妹や神代さんのような普段はポンコツというわけでもなく,普通に良い子だからかえって恐ろしい。本編にもいないタイプの怪物に育ちつつある。将来が実に楽しみだ。
→ 椋千尋さんはいまだもって能力不詳で,まあデータが少なすぎるという事情はあるにせよ,往時の咲界隈なら考察が飛び交っていそうなところ,特に見ないのは(自分は全くやっていないので無責任ながら)ちと寂しい。その椋千尋がやりたい放題やっていて,あからさまに能力を発動していても驚かない,むしろ何かを察している慕もやはりやはり怪物であり,天江衣と宮永咲の邂逅と同じものを感じる。そして個人戦で直接対決。盛り上がらないわけがない展開で11巻が待ち遠しい。


・『咲-Saki-』18巻。5決副将戦・大将戦,決勝戦の開始。
→ 末原さんが咲さんを魔物センサー扱いしてるの笑うw。咲さんはポーカーフェイスを覚えましょう。咲さんがいないなら経験で補うのが末原さんらしいところ。この奮闘っぷり,覚悟の決まったリボンといい,5決大将戦の主人公はお前だ。
→ 南4局の四風連打にかかわる読みあいは大変に『咲』らしい攻防であった。リザベーションは面白い能力だがどうしても展開の工夫が難しいが,それが何翻かを読んであえて上がらせるのは本作の能力バトルの面目躍如たるところだ。
→ 無極天の竜華さんの半跏思惟像ポーズは弥勒菩薩とのつながりから。これについてはすでに深い考察がある。以前すでに紹介しているが,再度(・清水谷竜華さんについて考える。(さくやこのはな))。もうここから5年近く経っているかと思うと,咲は時の流れが遅い。
→ それほど連載速度が遅いからこそ,やっとたどり着いた決勝の場は感慨深いものが。1巻から積み上がってきた因縁,敗退した学校から受け継いだ思い。清澄は当然として,どのチームにも思い入れがあって,全員集合したこの場,読者としてはすでに万感こみ上げてくるものがある。そしてその感慨深さを感じさせる暇も与えぬダブリーからの天和。「捨てる牌がない」とは一生に一度は言ってみたいものだ。  
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2019年04月06日

『奇想の系譜』から49年

《山中常磐物語絵巻》都美術館の「奇想の系譜」展に行ってきた。ご存じの方も多い通り『奇想の系譜』は1970年に美術史家の辻惟雄氏が著した本であり,現在ではかなり定着している江戸絵画のまとめ方である。同書で挙げられた8人の画家の主要な作品を展示したのが本展になる。『奇想の系譜』出版49年という微妙なタイミングであるが,まあ約50周年ということで。

この8人での出世魚というと伊藤若冲になり,本展もトップバッターが伊藤若冲であったが,本展のみどころであったかと言われると疑問である。もちろん良い作品が展示されてはいたが,別に「動植綵絵」が出ていたわけでもないので,3年前の伊藤若冲展に比べるとどうしたって見劣りはする。しかし,あれも3年前か。印象が強すぎてせいぜい一昨年くらいの印象だった。結果的に,本展で注目すべきは他の画家ということになる。

二番手で登場し,奇想の系譜的に言えば伊藤若冲と同時代,経歴も似ていて両雄並び立つ感じで扱われることも多い曾我蕭白。ちょいちょい東博の常設展なんかで見るものの,これだけの量の作品をじっくり眺めたのは多分10年ぶりくらいだったので新鮮であった。カラフルと言えばいいのかさすがに補色がきついと言えばいいのか,展覧会ホームページの「けばけばしい着色を施したサイケデリックな画面」という表現が一番正しいかも。病質的な細かい表現も,伊藤若冲はそのまま受け取ることができるが,曾我蕭白の場合は着色のけばさとあいまってますます病的に見える。やはり江戸絵画の中では異端中の異端だろう。三番手,長沢芦雪は少し遅れて登場,円山応挙に師事しただけあって,前二者に比べて落ち着いた表現で,これはこれで。奇想の系譜に並べるか,普通に円山派として評価するかの境界線上にいるのは絶妙なバランス感覚と言える。

一気に時代が戻って岩佐又兵衛。『へうげもの』の印象がどうしたって強いが,『へうげもの』で描かれた時代は又兵衛にとっての修行時代であり,あの漫画は面白い補完であったと思う。それも含めて,戦国武将を出自に割と悲劇的な前半生を送り,京都で伝統を学び,江戸時代に絵師として伝統を活かした作品を描いて活躍するというのはできすぎているくらいの主人公設定である。伝統を引き継ぎつつ,戦国の遺風も感じさせつつ,新時代に即した清新な文化を打ち立てたのは,確かに小堀遠州あたりとポジションが重なり,『へうげもの』でもそういう扱いであった。最終盤に古田織部とたもとを分かつのはなかなかの名シーン。本展の展示物としてはやはり「山中常盤物語絵巻」(今回の画像)で,『奇想の系譜』で「又兵衛の母性への憧憬を感じさせる」と語られていたのが印象的なシーン。鮮血が撒き散らされたグロテスクなシーンであるのに,どこか色っぽい常盤御前がお見事。なお,この作品のキャプションに「グロ注意」とやんわり書いてあった。配慮である。

さらに続いて狩野山雪。『本朝画史』もあって高校日本史でも出てくる奇想の系譜では珍しい人で,実際まあ狩野派であると思うが,「梅花遊禽図襖」の幾何学的な梅の曲がり方は確かに奇想の系譜に並べたくなる。それこそ近年は狩野派も堅苦しい絵ばかり描いていたわけではないと指摘されているところで,思われているほど狩野派と在野の距離は遠くないのかもしれない。

白隠慧鶴は個人的にはあまり興味がわかず。ただ,こういう禅画あるよね,というイメージソースにはなっていて,日本社会に与えた影響は大きいと思う。鈴木其一は大好きだが,本展では今更という感じ。ここで語ることもあまりない。最後の歌川国芳もあまり興味が無かったが,確かにこの色使いは曾我蕭白あたりを彷彿とさせ,このラインナップにいるのは理解できた。

会期が今日明日しか残っていないが,総花的な展覧会としてはかなり面白いのでお勧め。  
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