・ルネサンス初期の絵画、台所から見つかる フランス(AFP)
→ たまにある変なところから古い美術作品が見つかるやつだが,よくあるのは近代の絵画であるところチマブーエとは異様に古い。「女性宅の台所と居間の間の壁に掛けられ」ていたそうだが,その前の来歴は不詳なのだろう。なお,続報により当初の予価の約5倍の約2400万ユーロで落札されたとのこと。中世絵画としては最高額らしい。市場にジョットの作品が出回ることはまず無いと思われるので,これを更新する記録は当面出てこないのではないか。
→ ところでチマブーエをルネサンス初期にするのは問題があるのではないかと思う。明確にゴシック様式だと思われるので。AFPはフランスの通信社の割にそこにこだわりは無いようだ。原文までは見ていないが,わざわざ日本語版に訳す時にそこを改変するともあまり思われず。フランス語に堪能で暇な方がいたらチェックしてみてほしい。朝日新聞は「中世」としていた。
(追記)
→ はてブでコメントがあり,フランス語のAFPの記事は見つからなかったが,Le Mondeの記事ではpre-Renaissanceとされていたとのこと。プレルネサンスなら表現として適切で理解できる。
・関電役員の金品授受、経団連会長「友達で悪口言えない」(朝日新聞)
→ 私的に近年の失言の中でも大きな衝撃を受けたやつ。我が国の上層部,ここ何十年かの単位で本当にお友達意識で動いていたというのはさすがに信じがたかった。10・20代の若者ではなく70代の実業家が,そのキャリアを背負って言っていい言葉ではない。さすがに安倍さんの周囲だけだと思いたかったが,経団連会長もこうならもう全体的にダメかもなのしれない。
・英旅行大手トーマス・クック、破産申請 旅行者15万人の帰国作戦が開始(BBC)
→ 歴史ある企業でも容赦なく潰れるのは当然として,このレベルで有名な企業が潰れるとさすがに驚く。近代ツーリズムの創始者である。創業178年ということは1841年創業,飛躍の契機になったのは1851年の第1回万国博覧会への団体ツアー企画であった。鉄道と汽船航路の拡充に沿って近代ツーリズムは拡大していったが,オンライン予約普及に耐えられなかったか。実は2011年の段階ですでに一度倒産仕掛けていたようだ。時代の変化である。
→ ちょっと本ブログらしいことを書いておくと,トーマス=クックは2013年以前の課程までは一応範囲内だったはずだが,2014年以降の新課程では範囲外になった。近代ツーリズムの誕生というのはそれなりに重要な世界史上のトピックとは言えようが,トーマス=クックに代表させる意味もあまり無かろうかなとは。当のトーマス・クック社が倒産した今となっては,7年前の高校世界史業界に先見の明があったというべきかも。その後,長らく出題が無かったが,2019年に中央大の商学部〈会計/商業・貿易学科〉で出題があったのを確認している(当然例の企画の収録対象)。
・【図解・社会】天皇陛下が訪れた主な山々(2019年5月)(時事通信)
→ 有名な山に登って主要な山小屋をのぞくと「皇太子殿下ご宿泊」とよく見かけるとは思っていたが,いざ調べてみると納得の結果である。関東・長野の百名山・二百名山だと登っていない山の方が少なそう。
皇太子登山一覧
→ より詳細に調べられているもの。しかし,更新が2010年で止まっているのが惜しい。これで確認した限りでは,自分が登った二百名山はやはりほとんどが重なっており,逆に重複していないのが男体山と伊吹山の2つだけであった。逆に陛下がこの2つに登っていないのはかなり意外である。特に男体山は記録漏れを疑っている。
→ もし他にもっと良いまとめ(更新が続いているまとめ)があったら教えてください。