2020年05月29日

ニコ動の動画紹介 2019.4月下旬〜2019.5月上旬




今更ながらFactorioの動画を一気見してしまった。面白いゲームだと思うけど,自分ではプレイする気になれないタイプのゲームだなー。




洋風牧場物語こと,Stardew Valley。やれることの幅がめちゃくちゃ広いのはすごい。でも自分でプレイしたらRPGパートばかり進めそう。




part16でオルゴ・デミーラで詰んでからの,巻き戻ってレベル上げ。最小戦闘勝利のままなのでレベル上げはもちろんザオリクか仲間呼びがある強制戦闘になるので苦行である。よく完走したなぁ。長いドラクエ7なだけあって強制戦闘自体は多いものの,敵味方ともに終盤でステータスが急激に上がるゲームなので,最後の最後のオルゴ・デミーラだけは最小戦闘勝利の稼ぎなしだと追いつかなかったのは面白かった。



おやつ氏。7年半ぶりの更新。サブフレームリセットが猛威を振るう。




そば処五三郎氏がちょっとだけ復活してた。



minusT氏の3D弾幕動画。今回は地霊殿EXのこいし戦。いつもながらに美しい。





いつものYa-maさんという感じ。自らの美声の有効活用。



whoP。むしろ動画見るまでは「こんなん間違えんだろ」と思っていたが,動画を見たら似てるなーと思うようになった。なるほど睫毛は確実に見分けポイント。



良い手描き動画。海外で謎のミームに巻き込まれていて,作者が落ち込んでいたのがかわいそうだった。  

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2020年05月28日

川の話と10年代アニメの話

・実は千葉県は本州と陸続きではないって知ってた…?「県境が川のラインなんだ…」「言われてみれば千葉入るのに絶対橋渡るもんな」※一部例外あり(Togetter)
→ こういうのを探すのは面白い。川は陸地扱いだから島にはならない,なんて野暮なことを言うのはだめだ。
→ 実際に利根川・江戸川・旧江戸川からはみ出ていたり,凹んでいたりする例外の箇所を探してみると,利根川の流路が変わってしまった影響なのだろうと見て取れる。完全な自然国境も難しいものだ。
→ なお,この理屈を通すのなら,ライン川・運河・ドナウ川でヨーロッパの大半が切り取れるので,ヨーロッパ大陸が成立するw。やはりライン川とドナウ川の向こう側はヨーロッパではない……?これに付随して,キール運河があるユーラン半島もユーラン島になる。より巨大な事例で言えば,バルト海から運河を伝ってヴォルガ川へ,ヴォルガ川を下ってヴォルゴグラードでヴォルガ=ドン運河を渡り,ドン川を下って黒海というルートでヨーロッパ=ロシアまで含めた巨大なヨーロッパ島が作れたりする。ヨーロッパは運河が多いので作りやすいのかも。他の大陸でもまだありそうだが,パッとは思いつかなかった。
(追記)
→ はてブで指摘があり,京杭大運河で北京から上海までの中国沿岸部のかなり巨大な領域が,エリー運河でカナダのノヴァスコシア州からアメリカのニューヨーク州の途中までが切り取れる。これらもかなり面白い。前者も後者も当該国のGDPの大部分を持っていきそう。


・渋谷川が天井から飛び出す広場ができた(デイリーポータルZ)
→ 偶然にも川つながり。渋谷駅の大改造で,元々暗渠だった渋谷川はどうしたんだろうというのはちょっと気になっていた。さすがはDPZである。
→ なるほど,これが本当の天井川。面白いけど,そこまでやるなら流路を大きく曲げるなり,さらなる地下に流路を作るなりもできた気も。このくらいの中途半端な流路変更で済ませたのは,経費の問題なのだろうけど,ここはあえて「これが本当の天井川」をやりたかったのだ,と思い込んでおくことにしたい。


・独断と偏見で選ぶ2010年代ベストアニメ10作(増田)
→ これは似たようなことをすでにTwitterでやっているので,貼っておきたい。

→ ただし,自分の場合TVアニメに限定したのと,1年1作縛りを課したので,元増田とは微妙にレギュレーションが違う。仮に1年1作縛りを外すなら,『四畳半神話大系』を外して『咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A』(2012年)を入れ,『有頂天家族』を外して『SHIROBAKO』(2014-15年)を入れ,『ユーフォ』1期を外して『ゾンビランドサガ』(2018年)を入れる。『けものフレンズ』1期と『ゆるキャン△』1期と『プリンセス・プリンシパル』と『SSSS.GRIDMAN』も候補に入ってくるところだが,10だと枠が無い。ましてやここに劇場版アニメを入れて悩みたくないので,この辺にしておきます。
→ いずれにせよこうして並べてみると『まどマギ』と『Fate/Zero』に始まって『鬼滅の刃』『Fate/stay night Heaven's Feel』『天気の子』で終わる2010年代,エロゲの残滓がアニメで成果を挙げた時代として見るとまとまりの良さがある。もちろん,それは一面的なまとめ方であって,偏った視点での観測結果に過ぎないのだけれど。  
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2020年05月25日

最近読んだもの・買ったもの

・『ゆるキャン△』10巻。
→ あー,またリンちゃんが新しい女の子といちゃついてるー!(CV:花守ゆみりまたは大原優乃) で感想を終わらせても許されそうな情勢である。あfろ先生が楽しそうで何よりです。
→ バイクで趣味が同じ,会うのが二回目とは思えないほどしっくり来る同気質,友達の友達,遠距離と要素を挙げていくと綾リンはさくリン並にゆるくないことに気づいて震えてきた。11巻は正気で読めるのだろうか。なお,『ゆるキャン』カップリング研究の第一人者しろし氏の最近のカップリング表(リンク先の最後)はためになりすぎて笑ってしまった。
→ 「油断すると美人になる大垣千明」,ナイス実写からの逆輸入。そして散髪を任された斉藤恵那に「こいつならかなりいじっても許される」という気の許し方をさせる関係性。大垣は良いキャラに育ったなぁ。
→ 大井川なら聖地巡礼しやすいな……と思っていた矢先の外出自粛令である。まあ,旅行に行けるようになったらね。


・『氷属性男子とクールな同僚女子』2巻。
→ メインの天然ボケカップルのイチャイチャだけで話を進めていくのかと思いきや,他の妖怪の末裔のカップルを2つ投入してきた。ネタの幅を増やすのであれば当然の選択で,良い選択だと思うのだが,なんとなくメインカップルだけでやっていくのかと思っていたのでちょっと意外だった。そしてその氷室くんと冬月さんはそろそろもう一歩前進してもよさそう。学生じゃなくて社会人のカップルであるわけだし。


・『八雲さんは餌付けがしたい。』9巻。
→ クリスマスプレゼントの手編みのマフラーを完成させてから,「29歳の女が高校生に手編みのマフラーを渡すなんて犯罪では」ということにはたと気づいて腹巻きに仕立て直す八雲さん,本作全体を通しても本作を象徴するハイライトでは。めちゃくちゃ笑った。


・『U.Q.HOLDER』20・21・22巻。刀太の魔天大壮習得,ナンバーズのニキティス・十蔵・七重楼登場,刀太とフェイトの決着,バアル一味によるアジト襲撃,刀太とエヴァのデート。
→ 20巻は感想を書いた気がしていたが,なぜか見つからない。
→ 十蔵の能力は直死の魔眼に近いし,もっと遡ればこんにゃくだけはなぜか切れないあの人もいる。刀を極めたらどうなるか? を考えたらこうなるという発想は万人に共通か。対して,ジンベエの空間入れ替え能力は,数多ある能力バトル物の空間操作系の能力でも,ここまでできるのはちょっと珍しいし,素直に面白い。
→ 22巻のラストは,『U.Q.HOLDER』はこうやってエヴァちゃんと刀太を使って泣かせにくるから卑怯だ。初恋にして最大の想い人のクローンにして,兵器にして育てた息子とあっては複雑すぎて今更普通の恋人としては扱えんわな……  
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2020年05月24日

「田舎そば」というネーミングも定着しない理由かも

・「つなぎが多いそばはダメ」という大きな勘違い(東洋経済オンライン)
→ 私も蕎麦が好きなので言いたいことはわかるし,この記事の趣旨には異論がない。しかし,これは十割そばに価値観を見出して喧伝してきたが,それの何に価値があるのかは説明してこなかった蕎麦業界にも問題があると思う。また,殻が入っている方が田舎そばという使い分けが明確でなく,そもそも田舎そばという言葉自体が定着していない状況を放置してきた点も問題であり,客が「蕎麦は十割に限る」と価値観を内面化してからこういうことを言い出しても,自業自得であると思う。
→ 同じような事例で思い出したのが日本酒で,ワインはあれだけ語彙が豊富なのに日本酒は甘い・辛い以外の語彙が最近まで乏しく,甘い・辛いも一般にはわかりにくいというのは近年業界が自己批判しているところだと思う。甘いとは実際に砂糖的に甘いわけじゃないし,辛いも唐辛子的に辛いわけではない,という時点で普通は混乱する。また,「甘い」が嫌われがちだった理由にいわゆるアルコール添加物論争(と誤解)が存在する辺りも,この十割蕎麦と田舎蕎麦の関係は近いものを感じる。日本人,これだけ食にこだわりがある民族性なのに,日本語の語彙の分野でさぼってきたのはなぜなのか。



→ このまま大学入試の地理に使えそうな良資料。たとえば東京圏だと異様に電車通勤圏が広いとか,郊外でも鉄道沿線だけ電車通勤だとか。武蔵野線と東京外環自動車道の内側で早々に電車通勤から脱落しているのが埼玉方面で,日暮里舎人ライナー沿線とつくばエクスプレス沿線沿線だとか(TXはその後に東武野田線と常磐線の効果で一瞬だけ電車通勤圏が復活するのも見どころ)。
→ 他の都市圏との比較だと,京阪神だと自転車がけっこう強くて,名古屋は逆に早々に自動車になってしまい電車通勤圏が非常に狭い。一番通勤電車として機能しているらしいのが東山線というのもイメージ通りではある。
→ 2枚めのツイートだと,いずれも徒歩がちょっと広いのが面白い。また,福岡市だけ多少は三大都市圏に近い。福岡市営地下鉄が使いやすすぎるからだろうか。
→ 4枚め,神奈川県のバスの強さ。東京も西の方だとバスが多い。鉄道が東京から放射状に伸びていくので沿線同士だとバスになるわけだが,埼玉・千葉方面だと沿線間が広すぎて自家用車の方が利便性が高くなってしまうのだろう。県ごとの公共サービスの違いの影響もありそうで,この辺の調査になると完全に地理の分野だ。
→ 6枚め,女性になると自転車とバスが増える。ツイート主の「女性の方が職場に近い場所に住む傾向が高い」という分析が当たっていそう。
→ 8・9枚目,学生だと電車・自転車が増えるのは当然として,札幌は徒歩が多い。これについては「雪が降るから冬は自転車は厳しい」「札幌ーすすきの間の地下街が快適すぎる」という指摘がブコメにあって,説得力が高い。


・ヨーロッパにおける「○世」の数え方は、当事者と周囲も間違っている!?…かもしれないという話(Togetter)
→ この手の話で一番面白いのは,Togetter上でも2番めに出てくるローマ教皇の数え間違い。よりによって選挙制のローマ教皇で間違えるのか。逆に神聖ローマ皇帝は戴冠までの過程が複雑すぎるので,数え間違いや解釈の違いが生じてもしょうがないと思う。ルドルフ2世については,偉大なるご先祖様を戴冠していないからと言ってスルーするのは不可能だっただろう。シチリア王フェデリーコ1世がフリードリヒ2世として高名でもあったために,フェデリーコ2世がいたように錯覚してしまって数え間違えた話もありがちで良い。
→ 時間が無くて調べていないが,諡号なり廟号なりで呼んで区別するのは東アジア文化圏だけではあり,他地域だとどうしていたのかはちょっと気になるところ。後世の歴史家がつけた名前だと「ジャヤヴァルマン7世」のように西洋史に合わせた序数呼びになるが,当のクメール王朝がそうしていたかは疑わしい。同様に「チャンドラグプタ2世」とか「コンスタンティヌス2世」とか。
→ そういえばこれで思い出したのだが,アッカド王朝でメソポタミアを統一した「サルゴン」は1世をつけない。その後のアッカド王朝でサルゴン2世が現れなかったため。Togetterで出ている現ローマ教皇も序数がついていないが,歴代のローマ教皇がほぼ全員ついているのでかえって違和感がある。当人とカトリック教会の意向には従うが,個人的な本音で言うと1世をつけて呼びたい。  
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2020年05月17日

『だもんで豊橋が好きって言っとるじゃん!』1巻の細かい感想




他県から豊橋に引っ越し・転校してきた女子高生の主人公と,異常なまでに豊橋と東三河を愛している高校の先輩たちを中心とした日常ものである。三刷まで増刷され,AmazonやTwitterで感想を探しても地元民に大好評,誤りの指摘等を全く見ない。コロナ禍のせいで本書が出版されてからまだ一度も帰省していないのだが,駅前の精文館でめちゃくちゃ押されていたらしい。その様子は見たかった。


さて,本書を元豊橋市民が「あるあるwwwwww」と言いながら読んだので,以下に感想をネタの逐次的に書いておく。本書を手元に置いて参照し,一緒に「あるある」しながら読んでくれてもいいし,この感想を読んで購入の判断をしてくれてもかまわない。このブログを読んだ東三河民は,買って読んだなら自分のブログやTwitterで私の拾いきれていないネタを拾うことをお願いしたい。

以下,本文からの引用は青字。
たとえば,

〔1話〕
>「ら? らだけで確認言葉になるの?」
三河弁の鉄板ネタその1。なるんだな,これが。ただまあ方言とはそういうものであって,関西弁の「ええやん」が異様なまでに多義語になるのと同じ現象ではある。三河弁だと,元は語尾に「ら」「だら」をつけるのだが,しばしば手前の文が全て省略されて「だら?」「だらー」だけで返事がなされる。ここからさらに「だ」が欠落すると「ら」になるが,さすがに「だら」くらいは言う人の多いと思うw。東三河の女子高生は1分に5回は「だらー」と言っている説,割と信憑性が高い。


こんな感じで。

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2020年05月10日

ニコ動の動画紹介 2019.4月上旬〜2019.4月下旬



おやつ氏。確かに最強キャラだった。状況再現以外はさして手間でもないのがすごい。



狂気に満ちた(褒め言葉)ドラクエ4の極限攻略が完結した。



プログラムの穴が少なくて壊れにくいFF5の例外的なバグの温床「かくれる」がここでも大活躍。FF6じゃないんだから,という第一世界へのワープ。



初めてこのゲーム聞いた時は面白そうと思ったが,プレイ動画見ると「今まで誰もこの発想をしなかった理由がよくわかった」と思う程度に一発ネタだった。これは多分すぐ飽きるやつだ。





いい加減な知識披露の多いニコ動の歴史解説にしては,このシリーズは質が高い気がする。



ハチナイのアニメの面白さの少なからずはこの解説シリーズだった。いいアニメの解説をありがとう。




カメ五郎さん。「自給自足生活」としてはかなり久々の投稿。つまり,鹿肉ではなくカエル肉や昆虫を食べている動画ということである。新たしい要素としては,テントと寝袋を持ち込まず,ベッドを自作するというビバークスタイル。後半では,以前に失敗していた釣り針と釣り糸を鹿の骨と植物の蔓から自作して釣りに再挑戦している。それで釣っちゃうんだからすごい。





この発想はあった。らんらんは堕天使かわいい。



上半期20選選出。実に生き生きとした神風節。



上半期20選選出。マスクエが出てきて泣きそうになるなど。



妖狐P。良い捏造予告PV。  
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2020年05月07日

最近読んだもの・買ったもの(『エーゲ海を渡る花たち』完結他)

・『よふかしのうた』2巻。
→ 二人でナイトプールに行った時にナズナちゃんがナンパされてコウくんが連れ戻しに来た後,ナンパしてきた男3人が全てを察した顔をして「ったく…! がんばれよ少年!」と心の中でつぶやくシーンの,コトヤマらしさよ。この辺の少年が少年であるがゆえに感じる感情を応援する姿勢は『だがしかし』から全く変わっていない。
→ ナズナちゃんは添い寝屋兼マッサージ屋をして生計を立てていたことが判明。夜型の吸血鬼にはうってつけのお仕事であり,吸血チャンスもあるので自然な設定。その後,24歳の疲れたOLが客として出てきて,完全に作者の趣味が『だがしかし』からトレースされてて笑った。これはゴスロリの少女以外は何が出てきても驚かんな。
→ コウくんの幼馴染の少女にせよ,OLさんにせよ,自由な夜の空気に触れた後はリラックスして日常生活に戻っていくのが良くて,ずっと夜に浸かっているナズナとコウとは対照的ながら,夜明けとともに日常に戻れるからこその自由な夜の貴重さを描くのもまた本作の良さであるなぁと。


・『ゴールデンカムイ』21巻。杉元一行は樺太からの撤収旅行,有古の二重スパイ化,鶴見と土方の偽刺青人皮をめぐる化かし合い,月島と鯉登の話し合い。
→ シネマトグラフが登場している。映画の発明は1895年頃であるので,10年経過しているから和人が持っているのは(ちょっと先進的すぎる気はするが)ありえなくはない。実際に,この頃の日本を撮影した映像は残っていて,「映像の世紀」の最終話で視聴することができる。
→ キロランケやソフィアに感化されたアシㇼパと,アシㇼパに戦ってほしくない杉元の対話。杉元はアシㇼパに殺人を犯してほしくないというのも当然あるが,戦争は単なる殺人以上に汚いというのが杉元や鶴見中尉周りでこれでもかというほど表現されている本作であるから,その現実を知ってほしくないというのもあろう。加えて,そもそも金塊を元手に自立する戦争を仕掛けたところで,日露戦争後の日本にはまず勝てない(その意味で土方の計画の無謀さも見抜いている)という現実的な試算も杉元の胸中にはあろう。まあ,アシリパさんには清くあるべきか否かも自分で決めると反論されてしまうのだが。
→ 月島軍曹は全て鶴見中尉が自分に心酔させるために打った小芝居であることを知った上で,忠誠を誓っていた。それが小芝居であっても,自分が救われたことには違いないのだから。鶴見の部下たちでは比較的常識人である月島だったが,だからこその冷静さというか,鶴見が一番信頼を置いている理由もわかるエピソードであった。この「(面白いから)鶴見劇場をかぶりつきで見たいんですよ,最後まで」というのも,月島ほど鶴見に付き添ってしまったならわかる感情ではあり,例えるならナチスの高官も割とこういう破滅願望に近いものがあったのではないか,と思わせられた。それで鯉登少尉も同調してしまうのが本作らしさであって,ここで鯉登が裏切るならそれは凡百の作品なんだな。(いや,ここでこれだけ同調しておいて後で実は裏切ったらそれはそれで面白いが)
→ 最後に鶴見中尉とアシㇼパが直接話して決裂する際に,鶴見がいつもの人たらし技術を使わなかったので月島が驚いていたが,あれは鶴見がアシㇼパ相手だとその技術が通用しないことに気づいて諦めたシーンだろう。要するに決裂が見えてしまったわけだが,鶴見自身がここで決裂した方が面白いという可能性を見出してしまって,アシㇼパの行動への反応が遅れたと考えると納得がいく。不憫なのは月島や鯉登ほどには覚悟が決まっておらず,決死の杉元との戦いに駆り出される部下たちや,この後板挟みにあうことが明白な谷垣であるが……


・『エーゲ海を渡る花たち』3巻(完結)。ネグロポンテ,コンスタンティノープル,最後はトレビゾンドへ。そして帰路とエピローグ。
→ けっこう宣伝されていて売れていた印象なのだが,帰路がほぼ省略されていることから考えると打ち切りなのだろうか。帰路も読みたかったところで,残念である。結果的に,作品名通りにエーゲ海を渡ったのはこの最終巻だけであった。
→ ビザンツ皇帝に嫁いだハザールのハンの娘チチャク,改宗後の名前はイレーネは実在する。全く知らなかったので,よくこんなところからネタを拾ってきたなと驚いた。義理の父はあのレオン3世なのだが,まさかそれが本当に伏線とは,つくづくよくできている。確かにイコノクラスムを逃れた当時の十字架とあっては貴重だろう。宝石の下に画像を彫り込んだペンダントは実際に存在し,信仰(崇敬)を秘匿する目的のものではないが私も見たことがある。
→ 本作ではヴェネツィアがデヴシルメ制を利用してオスマン帝国の中枢に送り込んだという設定のスパイが登場しており,創作としては非常に面白い。現実的には……まあ大仰すぎて無理よなと思うのだが,いたりしたのだろうか。また,他にもこういう設定の創作はありそう(私は知らない)。
→ 旅の最後がトレビゾンドというのも綺麗な終わり方で,ビザンツ帝国最後の残滓として歴史好きには印象深い国である。Europa Universalisでトレビゾンドで始めてなんとか生き残るロマンプレイ(無理ゲーともいう)にチャレンジしたプレイヤーは少なくないだろう。なお,トレビゾンドの住民たちが「もう我が国も長くはないだろう」と嘆いているが,実際に作中時間から約3年後の1461年に滅亡する。出発地点をヴェネツィアではなくフェラーラにしたのも納得で,確かにラヴェンナ(ビザンツ帝国のイタリア統治の総督府があった)に近い当時の大都市というとフェラーラになろう。見事な伏線回収である。本作は最終巻にして単なる紀行文から一歩抜け出した。
→ そういうわけで本作は,物に注目するなら,イコノクラスムを乗り越えた十字架がトレビゾンドでその役目を終える,行きて帰らぬ物語。本作はまさにビザンツ帝国の終焉を追う旅だった。十字架が売られていくシーンはちょっとこみ上げてくるものがあった。

エーゲ海を渡る花たち(3) (メテオCOMICS)
日之下あかめ
フレックスコミックス
2020-02-12

  
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2020年05月06日

最近読んだもの・買ったもの

・『ダンスインザヴァンパイアバンド ASO』2・3巻。
→ だいぶ展開が入り組んできたので,ストーリーの要約を(主に自分用に)書いておく。争いはミナ姫(バンド陣営)とケティ(テロメア陣営)の陣取り合戦へ。ケティはパイド・パイパーを用いて李大公家を下して傘下に収め,ミナ姫は李大公家の血を引くミンメイを使っての逆転劇を図る。
→ 人狼たちはアメリカからフィーと名付けられた娘を救出。アキラの弟ユウヒが女装して潜入,その後で実はフィーこそが本当に女の子だったことが発覚する流れはいかにも本作らしい。そういえば本作の人狼の女性は希少で本来は獣化できないという設定,フィーが出てきて思い出した。パイド・パイパーもケティにはそんな隠し玉があったなと思い出すことになり,メイレン(タチアナ)も登場してテロメア陣営にもそういう強キャラおったなとなり,長編になってきただけに持ってくる設定が活きてくると面白い。
→ 幼い少年少女4人の人狼たちは成人の儀式のための試練としてシベリアへ,というところで4巻へ。連載を追っているので展開は知っているが,感想はそちらで書きたい。また4・5巻とまとめてということになると思う。
→ 3巻末のおまけで登場したエルダーズのピッコロミーニ(ピッコローミニになっているが誤植であろ)は実在するシエーナの名門貴族ピッコロミーニ家から来ていると思われる。15〜16世紀にはローマ教皇を二人輩出しているが,画家はちょっと聞いたことがない。御年700歳ということであれば,画風は初期ルネサンスか。同時期の画家にシモーネ・マルティーニやピエトロ・ロレンツェッティがいる。「内戦で地下室が崩壊したところをミナ姫に拾われた」とのことであるが,これは第二次世界大戦か。ただ,シエーナが直接的な戦場になったかどうかまでは調べていない。いろいろ設定に妄想が広がるのでちょっと面白かった。


・『NEW GAME!』10巻。『デストラクションドッジボール』の発売後と,『フェアリーズストーリー4』の制作開始。
→ 八神コウが帰国した後,本当に遠山りんと同棲し始めるとは思わなかった。しかも同じベッドで寝ている。社会人百合として剛速球を投げ込んできますねこの漫画。さすがにコウちゃん鈍すぎじゃない? というか遠山さんはそろそろ素直になろう?
→ 『DDB』,イケメン小学生がたくさん出てくるから腐女子受けしてオンリーイベントが開催されるという展開,言われてみるとそりゃそうなるんだけど,予想していなかったというか作中でそれが描写されるとは思わなかった。これは『FS』シリーズもオンリーイベントありそう。
→ 紅葉はラノベの挿絵を依頼されるも,編集者がやらかして企画がポシャるという展開。この悪徳編集者,今の編集ではないと前置きした上である程度実体験であることがあとがきで示されているのが怖い。この辺は『NEW GAME!』が持つ妙なリアルさと相まってなかなか印象深い話に仕上がっていた。


・『好きな子がめがねを忘れた』4巻。
→ 本巻の最後で三重さんが小村くんからの好意に気づく。いや,本当に思ってたよりも展開が早い。もっと天丼ネタで続けるのかと思っていた。その観点で言えば,描き下ろしで入っていた「二人が東くんが告白されているところに出くわす」話はけっこう重要なイベントだったと思うのだが,これ描き下ろしで良かったんか。あと,東くんの好きな子が私気になります。断るための口実ってことは本作的になさそう。これで実は小村くんだったりすると面白いは面白いけど,ちょっと話として重いかな。  
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2020年05月04日

《ナロードニキの逮捕》も映像化しましょう


→ トレチャコフ美術館が2019年夏に開催していた企画展イリヤ・レーピン展に合わせて作成した映像で,レーピンの作品《思いがけぬ帰宅》を実写で完全再現している。写実主義の画家レーピンによる,物語の一瞬を切り取った絵画だからこそ動画化しがいがあっただろう。何年も連絡がなく,死んだと思われていた男が突然帰宅し,残されていた家族が歓喜と困惑で出迎えるという,緊張感のあるシーンである。男は見るからに富裕層の知識人階級であり,時代も考えるとナロードニキ運動に参加して官憲に捕らわれていたか,シベリアに流されたか自主的に逃げ込んでいたか,いずれにせよ本当に命が無かった可能性も高かった。男性自身も,家族には死んだと思われているのも当然であるのを自覚していて,やや怯えた表情で部屋に入ってくるのは,絵画よりもやや演出がかっている。歓喜する少年と困惑する妻の表情は絵画のままだが,母親は絵画では表情が見えないので,想像の余地が大きい。
→ というように登場人物たちの心情に多様な解釈が可能な絵画であるが,本動画は公式としてその一つの(そして唯一ではない)解答を出し,鑑賞の補助線を引いたと言えよう。すばらしい。


・2019年に史上最少だった決まり手。突き押し全盛、投げや吊りは不遇?(Number)
→ 2019年のデータ。これはAbemaTVの調査でも同じ結果だったので,やはり突き押しが増えているのだと思う。自分の見ている感覚でも明らかに突き押し力士が増えていて,躍進している。特に若手は突き押しが多く,貴景勝を筆頭に阿炎・豊山・阿武咲・北勝富士等々。中堅どころだとやはり琴勇輝・千代大龍,ベテランなら玉鷲と碧山か。
→ 分析は記事の通りで,四つ相撲の力士としては,突き押し相撲の力士が増えたなら,それは捕まえれば勝ったも同然という取組が増えるということで,わざわざリスクのある吊りや投げにいく必要がなく,そのまま寄り切ればよい。結果として決まり手が投げになることが減っているというのはあると思う。ただし,そうは言っても全体で見れば当然四つ相撲力士の方が多いし,四つ相撲同士で当たれば投げの打ち合いもよく起きるから,印象ではそれほど減った感じはしない。
→ 捕まるか捕まらないかという取組は見どころがシンプルではあるが,互いの技巧がぶつかり合う場面でもあり,身のこなしや腕の使い方に注目すると面白い。


・フォーマルな場に全裸で出る時の古代ギリシャ的ドレスコードについて【下ネタ注意】(Togetter)
→ いつもの藤村シシンさんらしさしかないまとめ。まとめ中にもある通り,亀頭が見えていると恥,陰茎が大きいと恥という概念は西洋美術にも受け継がれたので,特別な事情がない限り,古典古代が題材の男性ヌードのちんこは小さく描かれている。ルネサンス期だとヘラクレスもそうだが,ダヴィデ像なんかも小さい。問題はダヴィデの場合はヘブライ人なので古典古代の人間ではなく,ルネサンスの価値観を無視するのなら小さく作る必要はなかったようなと思われるところで,実際に当時から議論があったらしい。人類,500年前から押しのちんこのサイズで議論する。
→ これもまとめ中にあるが,確かに結んだ配位がびったんびったんして痛かったのではないかという点が心配になるw。  
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