2020年11月29日

ニコ動の動画紹介 2020.1月中旬〜2020.2月下旬




徒歩で日本一周,見事達成。全部見ていたのでさすがに感慨深い。part617の時点でPCが壊れ,修理する前にゴールしたためpart618からはゴール後の編集となるが,旅の最中に編集していた風になっている。親族の不幸・PC破損などによる中断期間をカウントしなければ714日,カウントするなら2017年3月8日から2019年7月13日の約2年4ヶ月,踏破距離19613kmの大旅行であった。その714日のうち666日,つまりほぼ毎日,夜中に日中の撮影を動画に編集して翌朝に予約投稿というのを続けていたため,またGPSログもほぼ完全にとれているため,やろうと思えばほぼ完全に旅程がトレースできるほど豊富な記録が残っているという点でもこれは貴重な動画で,記録でもある。本人が全県の県庁所在地,すべての一宮,百名城,四国お遍路の制覇を目標に掲げて達成し,さらになるべく重伝建も寄っていたため,観光ガイドとしても優れていて,海岸線沿いだけでなく内陸も十分に踏破した。また,驚いたのは支援者の多さで,動画を見ている人やTwitterを追っていた人たちはこたつ氏が近くを通り掛かると差し入れを入れたり家に泊まらせたりしていた。これが現代のネットのつながりであるという点でも興味深い現象であった。本当にお疲れさまでした&あめでとうございます。




このシリーズは料理の幅が大きく広がって,鹿肉ハンバーグ回やこの最終回の鹿肉の香草ステーキは非常に美味しそうだった。そしてすぐに令和最初の狩猟生活の動画が始まって笑った。1ヶ月くらいで撮った動画で8ヶ月持たせているのだからそうなる。





AIシンガーきりたんこと,NEUTRINOがデビューして,世に衝撃を与えたのが2020年2月のことだった。こんなに自然な歌声になるとはなぁ。




倒し方は古式ゆかしきダンシングリーフ毒殺。リマスター版の追加装備と完封状態の強化を生かした戦法。




ちょっと独特のシステムの村落経営SLG。村内のアイテム数で発展度が測られ,発展度に従って村人が追加されたりイベントが進んだりするのは斬新だった。比較的村落の規模が小さく,きめ細かな管理が求められる。ただ,自分ではプレイしないかなー。





螺旋王P。上半期20選ノミネート。モデルの完成度が高い。



終わり詩P。上半期20選選出。この曲大好きなので,綺麗なPVに仕上げてもらって嬉しい。



ふるの氏,CYANGE氏。上半期20選選出。かっこいいRemix主体のPV。ラスト・アクトレスとMelty Fantasiaが入っているのもよい。  

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2020年11月27日

第二次奥鬼怒旅行記(2019年12月)

※ 本記事はまるっと1年前,2019年11月末・12月頭に行った旅行記を,帰宅直後に書いてから存在を忘れ,最近になって発掘したものです。


前に行った時。奥鬼怒温泉郷は4つの温泉宿があり,一般車両通行禁止である。うち2つの宿は自前でシャトルバスを運行させているが,残り2つの宿に泊まるには徒歩,すなわち登山道を登っていく以外に道が無い。前回は加仁湯に泊まって往復シャトルバスを利用したのだが,その時に「今度は登山道で行こう」という話をしていて,それが実現した形である。そういわけで2泊3日の旅程とし,初日はシャトルバスの無い手白沢温泉に,二日目は保険として最悪シャトルバスで帰れるように加仁湯に泊まるという布陣にした。真ん中の日は絶景という噂の鬼怒沼に登ることにした。どうせなら多少雪が降っていた方が面白いよな,という話になって11月末に日程を設定したところ,後から「思ってたよりも豪雪地帯らしい」ということが発覚して,急いでスノーシューと軽アイゼンを買いに行った。同行者はしいかあさんと頬付で3人旅である。

頬付カーで東京を出発。途中,日光で明治の館に行き昼飯。14時半頃に一般車両が通行止めになる夫婦淵に到着,15時頃に奥鬼怒遊歩道に入り,登山開始。


登山と言っても斜度は無く,2時間半の行程で標高が200mほど上がるだけである。奥鬼怒遊歩道は鬼怒川沿いを進んでいく遊歩道であるが,車道の方が前行った時の記事の如く落石でガードレールがボロボロになっていたところから察しがつく通り,こちらの遊歩道も「自然との熾烈な戦い」の様子が見られた。徒歩でしか行けない温泉宿があるからなのか,車道よりも遊歩道の方が明らかにマメに整備されていて,ガードレールが破れたまま諦めて放置されているのに比べると,こちらの遊歩道は荒ぶる大自然に継続的に果敢に挑み続けている形跡があり,何度も土砂崩れや落石を避けて道を引き直したり倒木を切ったりして「道」を作っていた。

鬼怒沼遊歩道


ご覧の通りの状況で,いかにも土砂崩れ多発地帯なのが見て取れよう。しいかあさんが「賽の河原で石を積むような治山工事」と表現していたが,言い得て妙である。道中には土砂や倒木により放棄された旧歩道を何本も見ることになるだけに,ありがたいことである。特に今回の我々が通った遊歩道は2019年10月12日の巨大台風で長らく封鎖されていて,その封鎖が開けたのがこの11月末のことであったから,なおさら新道という様子が強かった。今回の道がほぼ旧河道だったことや,明らかに元の歩道らしきものが山側にあってロープが張られていたことから,あれは台風で死んだのだろうと推測された。おそらく鬼怒川の治水を兼ねているので,遊歩道の整備としては採算度返しなのだろう。傾斜が無いこともあって歩きやすく,これなら普通に2時間半歩ける人で軽登山靴があれば特に問題なく踏破可能だろう。

17時頃に日没し,あと30分で着こうかというところで道が真っ暗になってしまったが,3人とも富士山登山時に使ったヘッドライトを持ってきていたので特に何も問題なくそのまま続行。さらに雪まで降ってきて,翌日の積雪を予感させた。今回泊まったのは手白澤温泉



最近は自分の温泉ツモ運が良いというか,ねらって良い温泉に泊まりに行けているというか,ここもすばらしい温泉宿だった。「ヒュッテ」を名乗るだけあって入り口の設備は完全に山小屋ながら,小屋の中の性能は旅館・ホテル級である。温泉は中性の単純硫黄泉でなかなか硫黄が強い。お夕飯が恐ろしく豪華で,鹿刺しが絶品。登山客しか来れないはずなのに常に週末は予約で満室になる理由がよくわかった。この日も全室埋まっていて,夕食時に見渡すと「この人たちも登ってきたのだなぁ,物好きだなぁ」という謎の戦友感を味わえる。ここも再訪したい宿リストに追加しておこう。(2020年11月末に追記:このコロナ禍の,前述の通りの行程が必要であるにもかかわらず,手白澤温泉は1月上旬まで予約で埋まっていた。感染対策で部屋数を減らしているのも影響している模様。)


雪は一晩降り続けていて,翌朝に起きたら外は一面銀世界に変わっていた。軽アイゼンとスノーシューを持っていってなかったら完全に死んでいた。ともあれ,夕食に引き続いて豪華だった朝飯を食べて出発,この日は鬼怒沼へ。日光沢温泉で登山届を提出して登っていく。積雪は奥鬼怒温泉郷の時点では10cmというところだったが,山中ですぐに20〜30cmほどに。滑って足場をとられるということはさしてなかったが,足の踏み場を間違えると雪の下が不安定な足場で転びかけるということは何度かあった。途中で初めてアイゼンを装着。スパイクすらろくに履いたことがない人間だったので,足に刃が着いている感覚はすぐには慣れなかった。あと単純に足に重しが着いている同然なので疲労感が違った。着けてからしばらくは「本当にこれ着けたままあと1・2時間歩くんか……」と思ってしまったが,人間慣れるものである。確かに鉄の爪が雪やその下の土や木を噛んでくれると,とりあえず滑って転ぶということはなくなる。



これ,11月の栃木県って言って信じられます? 栃木県にも豪雪地帯ってあるんやな……一つ勉強になった。あまりに雪が深いせいか,我々3人以外に登山客は皆無に近い状況で,まだ午前中なのに会う人は下山者ばかりであった。自分も愛知県育ちで東京での生活が長くなり,旅行も雪を避ける形になっていて,思えばこれほど一面銀世界という光景となると十数年ぶりであった。しかも同行者の2人以外はほぼ完全に無人という状況となるとおそらく人生で初めてで,冬の凛とした空気と動物の姿を見ない樹林帯に人間が3人だけというのはこれほどまでに自然な静寂になるのか,と静かに感動していた。非常に得難い体験をしたと思う。

それはそれとして体力的にはちょっと厳しかった登山で,3時間以上歩き続け,3人で「そろそろ時間的にも厳しいし,まじめに撤退の見切り時間を決めるか」と話し合っていたところで,到着。夏場の標準タイムは2時間15分ほどらしいので,さすがは雪道,4割増しである。それだけに到着してこの絶景には,

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恐ろしく感動させられた。元が沼沢地であるから積雪すれば当然フラットな雪原になり,沼も草原も覆い隠す。遠景には鬼怒沼山等の山々がそびえ立つが,それだけ。あとは本当に何もない,ただの雪原である。しかも前述の通り登山客がほぼ我々のみで,まだ誰も踏み荒らしていない未開の雪原が我々を待っていた。我々はここでこそスノーシューの出番だろうということで装着。すり足で歩くと浮力が生じて勝手につま先が浮くスノーシューは,スキーとも違った新鮮な感覚で,そのふわふわした浮き方がとても楽しかった。しかも浮力が推進力にもなるので,スノーシューの重さがかせにならずにスイスイ前進できる。これは勧めてくれた頬付に感謝したい。結果として3人とも疲れが完全に吹き飛んで,結局昼飯休憩を含めて鬼怒沼に1時間ほど滞在し,どかどかと歩き回って新雪を荒らし回った。その結果がこの惨状である。

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この後に来る人も当分いなかっただろうし,それまでには再度積雪しているだろうから許してほしい。なお,浮力があると言ってもスキーではないので限度があり,しいかあさんが沼に突っ込んで危うく片足を持っていかれるところだったというちょっとしたアクシデントもあったことを書き添えておく。浮力を過信するのはやめよう(自戒込)。この日はこの後は下山しただけなのだが,スノーシューの推進力で下山したら早いこと早いこと。これなら登山の段階で着けておけばよかったかもしれない。ただし,スノーシューもかんじきの一種には違いなく,浮力が生じるということはそれだけ接地面積が増えるということで,当然ながら岩場には全く向かない。特に自分のような運動神経が焼き切れているような人間だと容易に何かに引っかかって転ぶということも発見した。すっ転んだ際にストックをピッケル的に使って耐えようとしたら芯が歪んで一本廃棄になった。スノーシューも万能ではない。

そういうわけで下山は標準タイム1時間20分でその時間通りに下山完了。行きが3割増しだったことを考えるに,いかにスノーシューで”滑って”下りてきたかがわかる。暗くならないうちに下山しようとは言っていたが,まだ15時台であった。鬼怒沼登山についてまとめておくと,登りが2時間15分で標高1400mから2000mまで上がるのだからなかなかの斜度だが,よく整備されていて目立った鎖場や岩場は無く,技術レベルはAの上の方かBの下の方くらい。体力レベルも合わせれば夏場なら2Aか2Bといったところではないだろうか。なお冬場。

二日目は前述の通り加仁湯へ行って宿泊。決して悪い宿ではない(そもそもこの立地でバス送迎がある時点で素晴らしい)のだが,どうしても手白澤温泉と比較すると見劣りする点はあった。この日はさすがに疲労困憊で早々に爆睡。なお,加仁湯では宿泊者にスノーシューを貸し出しているので,持ってこずに普通の登山靴で来て,ここで借りて鬼怒沼にアタックするのも良いプランだと思う。


三日目。この日はほとんど帰るだけ。起きて朝食を食べたら,結局バスに乗らずに奥鬼怒遊歩道を使って下山した。雪で埋もれていたので行きとは違う風景になっていて飽きず。夫婦淵に着いたら荷物をまとめて頬付の車に乗り込……もうとしたら,降雪の中丸二日放置されていた車が雪に埋もれていて,凍った雪を屋根から避ける作業などをしてから出発した。帰りがてらでいくつかのダムによってダムカードをゲット。北関東の山地はダム銀座を言われるが,車で鬼怒川沿いを走っていると頻繁に見かけるので納得が行く。この日の昼飯はフライングガーデンとなった。



この感想は頬付も同じだった。我々はちゃんと食べ比べをしたので,本ブログの読者にもいるであろう北関東民の皆様にあたっては是非とも静岡県に行き,さわやかとの食べ比べをしてほしいところ。感想が気になる。この後は高速道路に乗って一路東京へ向かい,私としいかあさんが下車。頬付はそのまま静岡に帰っていった。実に良い旅行であった。
  
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2020年11月24日

琴奨菊引退に寄せて

稀勢の里・琴奨菊・豪栄道・栃煌山というと,2010年代前半の「次代の日本人大関・横綱」と呼ばれて期待を集めていた力士たちである。これでその全員が引退したことになり,「白鵬の全盛期に挑んだ日本人たち」というテーマでは一つの画期が終わりを告げたと言っていい。白鵬の全盛期の終わりとともに感慨がある。

琴奨菊は2002年初場所に前相撲で初土俵,2004年7月に新十両,2005年初場所に新入幕で,2007年3月に関脇に昇進していたから,ここまでの出世は早かった。しかし,そこからが長く,エレベーターからの脱出に時間がかかった。ともかく三役で二桁勝てないのである。特に上位陣には得意のがぶり寄りが対策されて全く勝てず,同格以下からなんとか白星を稼いで定着しているという状況であった。稀勢の里も豪栄道も2007-8年頃には同様の状況であったから,やはり彼らはよく似ている。しかしながら,この3人で言えばいち早く抜け出たのは琴奨菊であった。これは当時として意外なことで,琴奨菊のがぶり寄りはすでにやり方が固まってしまっていて伸び代が短いと思われていたためである。しかし,後段で詳述するが,得意のがぶり寄りに右からの突き落としを加える改良によってこれを打破し,2011年の5・7・9月で計33勝,大関取りに成功する。この2011年は年間5場所で計55勝,平均11勝と好成績で年間最多勝が白鵬の次点であった(白鵬は66勝だから大差がついているが,この頃の白鵬は全盛期なので)。また,この頃から立ち合い前に大きく背をそらす,本人命名「琴バウアー」のルーティンも取り入れられ,メンタル面も強化された。

大関になってからはケガに苦しみ,肝心のがぶり寄りの馬力が落ちる場所が見られた。特に右肩のケガが重く,新戦法の右からの突き落としに響いた。2012-15年はなんとか8・9勝で勝ち越すか負け越してカド番という成績が繰り返され,周囲の期待もしぼんでいった。とはいえ往時の大関互助会が存在せず,実力で延命していたのだから偉い。その矢先の2016年の初場所,誰も期待していなかった場所で琴奨菊が民族的日本人として10年ぶりの優勝を果たすのだから,相撲はわからない(2006年初場所の栃東以来)。この場所の琴奨菊の相撲は彼の相撲の完成形で,がぶり寄りからの右突き落としが光り,左四つでの奇襲もあった。元が満身創痍の身体であるので綱取りはあまり期待されておらず,実際に達成されなかった。しかしながら,白鵬・日馬富士・鶴竜でなければ優勝できないという空気が打破される契機にはなり,同年9月の豪栄道,翌年初場所の稀勢の里の優勝につながり,ひいては白鵬の衰えとともに現在の戦国時代の呼び水となった。その意味で,歴史的意義は高い優勝であった。もう一つ,こちらは偶然性が高いが,2016年から20年まで5年連続で初優勝の力士の優勝が続いていて(琴奨菊・稀勢の里・栃ノ心・玉鷲・徳勝龍),この起点にもなっている。

綱取り失敗後は元のぎりぎり勝ち越すか負け越すかという成績に戻っていき,2017年初場所でとうとう陥落する。翌3月場所では8ー5での14日目,照ノ富士に変化されて6敗目を喫して琴奨菊の1場所特例復帰の可能性が潰えた,という取組があった。照ノ富士が普段は全く変化をしない力士だっただけに琴奨菊は全く予想していなかったようだ。しかし,照ノ富士は14日目で自分が変化という切り札を使ってしまったために,千秋楽に稀勢の里の変化を食らって優勝を逃す。そしてここから照ノ富士の膝が限界となって番付の転落が始まり,稀勢の里も優勝はしたが大ケガを負って短命横綱となる……とこの一番はとんでもない三者の運命の分岐点となった。

琴奨菊は大関陥落後もがぶり寄りの一芸により若手の門番となり,番付運もあって長く幕内上位に残った。加齢による衰えでどうにもならなくなったのは2020年に入ってからで,11月に十両で勝ち越す見込みが無くなって引退となった。実働はまるっと18年と非常に長く,21世紀になってから伸びた力士寿命の典型例と言えよう。長かっただけに幕内在位92場所で歴代7位,幕内勝利718勝で歴代6位という記録も残した。


取り口について。琴奨菊の代名詞とも言うべき左四つがぶり寄りであるが,平幕にいた頃は単純ながぶり寄りで攻めが直線的であった。それゆえにまわしのとり方が不十分だったりするとかえって横の動きに弱くなり,振られたり引かれたりして前のめりに落ちる弱点があった。しかし,2011年の大関取りの年に,右上手の使い方に大きな技術的進歩が見られた。左四つであるから以前の琴奨菊は左下手にこだわっていて,右は雑であった。しかしこの改良により,右で前まわしをとって相手の左を殺す,がぶり寄りと見せかけて左に動いて突き落とす・極めて小手投げを放つ等,攻守に左が活きてくるようになり,見違えて相撲が改善された。特にがぶり寄りで相手の腰を浮かせてからの右突き落とし・右小手投げは強烈で,また右突き落としでフェイントを入れてからの左すくい投げというパターンもあった。これにより,がぶり寄りだけだと土俵際で粘られたり横に動かれたりすると自分が落ちていたところ,この突き落としのためにこれらの弱点が消えた。また,左右逆の右四つでも相撲がとれる稽古を積んでいて,これもかなりの効果があった。特に白鵬は一時期,琴奨菊の浅い左上手で右の差し手を殺されて苦戦するというパターンが目立つようになり,琴奨菊の戦術は全盛期の白鵬の数少ない攻略法にもなった。あわせて,攻め手のバリエーションの重要性を知らしめる進化であったと言えよう。

しかしながら,得意のがぶり寄りの突進力を高めるため,また本人の性格的にも立ち合いの変化をほとんど見せず,逆に変化にはめっぽう弱かった。加えて四つ相撲でしか相撲がとれないので突き押しの間合いになるとどうしようもなくなる他,まわしを中途半端にしか取れていないのに焦って攻勢を始めてしまうという悪癖があり,せっかくのがぶり寄りの突進力が半減してしまって押しきれず,逆転負けを喫するという場面も多かった。

それでも,一芸に特化し,その一芸の上にバリエーションを構築するというやり方で,がぶり寄りという古典的な戦法に新たな戦法を打ち立て,自らの伸び代を増やして大関まで勝ち取ったスタイルは異形であり偉業である。「琴バウアー」のルーティンも,相撲界にルーティンを取り入れてメンタルを安定させる手法を取り入れた点で先駆者だった。本人の温厚な性格やどっしりとした体型,がぶり寄りの直線的な印象とは裏腹に,むしろ革新的な創意工夫があった力士だったと言えよう。後進の育成にも期待したい。  
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2020年11月23日

2020年十一月場所:九州でやらない十一月場所

記事名は七月場所に重ねた。優勝争いも盛り上がったが,全体的に相撲内容がよく,見ていて楽しい場所であった。横綱・大関が4人休場していても,盛り上がらないということはないのである。

大関3人のうち2人が早々に脱落したが,優勝したのは残った大関であった。大関の優勝は2017年初場所の稀勢の里以来,22場所ぶり。随分と長い期間が開いたものである。間の21回の内訳は年によってかなり内実が違う。2017年の5場所は全て横綱の優勝であるが,2018年以降の16場所ではうち7回が横綱の優勝だが,関脇・小結の優勝が5回,平幕優勝が4回と割れている。特に平幕優勝4回のうち,今年の幕尻優勝が2回含まれている。その2017年初場所の大関陣は稀勢の里・照ノ富士・豪栄道・琴奨菊の4人で,この場所後に稀勢の里が横綱に昇進し,琴奨菊が陥落し,照ノ富士も4場所後に陥落した。そして今場所には当時のメンバーが誰も残っておらず,十両にいた琴奨菊が引退し,照ノ富士は二度目の大関取りにとって重要な優勝同点と4年の時間の経過を感じる。

貴景勝は自身二度目の優勝で10場所ぶり,最初の優勝は大関取りの起点となった。この間の貴景勝は左胸の筋肉断裂とそれを原因とする一度の陥落を含み,順調な歩みとは言いがたかった。先場所にやっと本調子の相撲が見れたくらいで,今場所も初日の時点では優勝本命とは見られていなかった。来場所は綱取りになるが,突き押し相撲の綱取りは難しいということについて,本人は「だから目指す価値がある」とコメントしていて心強い。貴景勝の取り口は以前と変わったわけではないが,改めて書いておくと貴景勝は突き押しの威力が強い上に,いなしを打つタイミングの見極めが極めて上手い。”組ませない”技術も高い。貴景勝は意外にも突き押しだけで勝負を決めることが少ないが,いなしが呼び込みになってしまうことが少なく,また組まれると負けるものの組まれる場面自体をほとんど見ない。こう書くと千代大海に近いようにも見えるが,千代大海の場合は引き技が決め技であったのに対し貴景勝はいなしはあくまでいなしであって決め技は突き押しである。また,千代大海と貴景勝はいわゆる「組んだら序二段」という点で同じだろうが,貴景勝は組まさせる場面が少なくてその印象が薄い。この新しいタイプの突き押し相撲に期待したい。綱取り要件は優勝か,14-1以上での優勝同点あたりだろう。


個別評。優勝した貴景勝以外の横綱・大関。鶴竜の休場は理由が理由なので,そろそろ親方は日本国籍を必須とする条項を廃止するなり特例をつけるなりの議論を協会はした方がいいだろう。白鵬は場所前まで稽古好調と報道されていたのは何だったのだろうか。朝乃山と正代の休場は全く予測がつかなかった。特に朝乃山の休場は花田虎上氏のデス予想の魔力が強すぎて,なんかもう笑ってしまった。照ノ富士に対しては意地になって右四つで勝とうとしていて,実際に私も実力は拮抗していると思うのだが,なぜだか勝てない。朝乃山は基本寄っていくしかないが,照ノ富士は投げ技のオプションがある分,朝乃山が不利ということなのだろうか。初日で右肩を負傷したから休場ということだったが,どちらかというと二日目に照ノ富士に負けて心が折れた雰囲気がした。正代は動きが固く,引き技で右足首をひねってのケガで,朝乃山よりも心配である。

三役。照ノ富士は先場所の8勝からすると大きな躍進で,膝の調子が良かったというか,要するに引くと膝がダメージを受けるので,そのような負担がかかる場面が多くなければ千秋楽まで持つということが改めて実証されたか。13勝優勝同点は大関取りの起点としては十分で,元大関であり優勝経験二度という経歴も加味すればハードルは極めて低くなると思われ,32勝あれば再昇進になると思われる。来場所も12勝以上なら,来場所後に再昇進もありうるのではないか。隆の勝は引き続き押し相撲が上り調子。高安はとりあえずこんなもんだろうというところ。御嶽海は悲しくなるほどその日の気分で強弱が違う。連敗すると心が折れるのも悲しい。なお,今場所の三役は全員7勝以上で来場所もメンバーが変わらない見込みである。これに大栄翔を足した5人でメンバーが固定されてしまった感があり,照ノ富士にさっさと大関に再昇進してもらわないと枠が空かない疑惑も。

前頭上位。大栄翔も隆の勝と同様に今場所も良い押し相撲だったが,10勝したのに再三役がなさそうで番付運が悪い。阿武咲は7−8で負け越したが悪い印象はない。先場所に続いて随分押す力が戻ってきていて,足が流れてばったり前に倒れることが減ってきた。来場所の成績によっては北勝富士・隆の勝・大栄翔に並べてよさそう。北勝富士は今場所やたらと長い相撲が多く名勝負製造機になっていた。特に十日目の宝富士との熱戦は同体取り直しとなったことも含めて,北勝富士の相撲人生を振り返るときに必ず触れられる一番になった。

霧馬山は上位挑戦3場所にしてとうとう左への回り込みが読まれるようになって大苦戦となった。動きと技の切れで勝負するタイプだが,動きが読まれると膂力の勝負となり,そうなると弱い。一方,上位初挑戦となった若隆景は7−8で,上位陣には全滅したが同格以下にはほとんど勝ってのこの成績であったので,初挑戦の結果としては上々だろう。先場所は押し相撲が多かったが今場所はもろ差しになる相撲が多かった。ところで,相撲協会の取り口を見ると「右四つ・寄り」になっているので,最近になって相撲が変わってきたのかもしれない。少なくとも直近2場所は右四つになった場面が少ない。最後に翔猿。翔猿も上位初挑戦だったが,オールドルーキーらしい物怖じしない相撲が見られ,貴景勝からも白星をもぎ取り,鮮烈なインパクトを残した。6−9で跳ね返されたが,これは地力の差で仕方がない。十三日目の高安にみまった蹴返しは教科書に載せたい見事なもの。また,翔猿は照ノ富士に吊り出しを食らった際に微動だにせず,北の富士から二代目シャケの襲名なったことも付記しておきたい。

前頭中盤……は竜電くらいしか書くことがある人がいない。今場所の竜電は場所の途中から立ち合いで腰を振ってリズムを取ることを始め,好調だった。あれは相手が立ち合いの呼吸を乱されて立ちにくい一方,リズムを合わせられれば一転して動きを読まれやすく,諸刃の剣であると思われる。来場所はどうなるか。

前頭下位。炎鵬は動きが読まれている上に痩せすぎ,公称の90kg台すら本当にあるのかという様子で,3−12という惨敗は納得が行くところ。豊昇龍は先場所と同じになるが,技の切れや粘り強さはあるが,身体が完成していない。力負けがさすがに多すぎる。一方で,力負けするからこそ技巧で補う相撲が見られ,これは今しか見れないと思えば貴重かもしれない。魁聖は動きがもっさりで悪い時の魁聖だった。逸ノ城は負けが込んできた後半になってから奮起しての8−7で,最初からやる気を出してほしい。

千代の国は10勝で敢闘賞だが,むしろただの上りエスカレーターで,三賞の価値があったかと言われると微妙な出来だったと思う。あまりに動きが良かったので,右肩のテーピングに偽装疑惑が出ていたのが面白かった。

新入幕の天空海は翔猿に続くオールドルーキーで,押し相撲が主体だが四つでもとれて案外器用であるが,真価はよく見えなかった。ところで,天空海は茨城県大洗町出身で,四股名の由来はアクアワールド由来というのを知らなかったのでけっこう驚いた。これはやっぱりガルパンおじさんとして応援しないとダメだろうか。最後に幕尻で11勝した志摩の海。またも幕尻優勝あるかと期待を持たせたが,さすがにそうもいかなかった。左右のおっつけが強く,そのまま押し続けるか右四つに組むかで白星を量産した。


臥牙丸が引退した。サカルトヴェロの出身で,2005年11月に初土俵であったから,15年勤め上げたことになる。2009年11月に新十両,2010年7月に新入幕,2012年3月に小結でこれが最高位。以後は2014年頃までエレベーター生活で,2014年下半期に突如力を落として幕内下位と十両を往復するようになる。2017年からは十両が中心になり,2020年は膝のケガでほぼ全休であったから,実質的なキャリアは2019年までであった。200kg近い体重を活かした押し相撲で,四つでも取れたが突きの威力は無かった。攻めが鈍重で二の矢が打てないまま逆に押されて負けるシーンが目立ち,キャリアハイの2011-12年頃を除くと変化やはたきにも弱かった。逆に言えばキャリアハイの頃は弱点克服の兆しが見えていたということであり,できていれば上位定着もあっただろうが,それがなかなか難しいのが相撲人生というものである。臥牙丸といえば日本人と見紛うほど日本語が達者で有名であり,口も達者でユーモアがあった。だからこそ引退後は協会に残らないのが意外で,日本にはとどまり,日本語を活かした仕事に就きたいとのことである。お疲れ様でした。もう一人の引退力士,琴奨菊は別記事で扱う。

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2020年11月20日

次は東京・神奈川の県境と多摩川の調査を……

・千葉県の県境はぜんぶ川らしいので歩いて確かめてきた(SPOT)
→ 皆大好きpatoさんの体当たり系記事。千葉県の県境の話題は過去に弊ブログでも取り上げている。そこにも書いた通り,実測するまでもなく例外的にはみ出ていたり凹んでいたりする場所はある。十分身体を張っているのだけど,欲を言えばちょっと物足りないというか,一週間くらいかけてガチで全部歩くか,2日で終わらせるなら自転車を解禁してほしかったところ。あるいはJRは禁止にするか。実際,ショートカットなく歩いていた序盤が一番面白かった。
→ 松戸から流山までショートカットした際に風景ががらっと変わったのでGooglemapで見てみると,実際にその境くらいまでは川沿いに野球用のグラウンドか住宅街が並んでいるのに対し,突如として田畑に変わってちょっと驚いた。対岸もほぼ同タイミングで同じ変化が起きているが,この境界は何なのか。なお,その先に進むと野田市に入ってしばらくすると住宅街に戻り,埼玉県側も同期して春日部市の途中から住宅街に戻る。あの地域は微妙にアクセスが悪くて開発されなかったということだろうか。
→ 利根川沿いは江戸川沿いと比べると田畑が多く,橋も多くない。飯沼川で6km近く回り道させられたのはかわいそうw。その先に出てきた千葉県が茨城県側に膨らんだ領域は菅生調節池といって,利根川の旧河道であり,利根川の氾濫時にはここを水没させることで他地域への被害を減少させることになっているとのこと。江戸川沿いは野球だけど利根川沿いはゴルフというのは土地利用法の違いとして面白い。江戸川沿いは人口密集地が近いのでより狭い面積で大人数がプレイできる野球になるのだろう。
→ 菅生調節池とは逆に茨城県が千葉県側に進出しているのは,三日月湖があるのでわかりやすく,記事中にもある通り,これも旧河道。3つ目の千葉県が飛び出ている土地はよくわからなかった。旧河道には見えない。その後,河口付近になって県境が利根川から常陸利根川に変わるのは謎。しかもpato氏が指摘しているように実はけっこうぐちゃぐちゃである。埋め立てや河道の変更によるものなのか。


・駐日ジョージア臨時代理大使(元キッコーマン勤務)「マーシャル諸島は醤油消費量が世界一で1.89リットルの醤油を販売している」(Togetter)
→ タイトルには「一人当たりの」という語が抜けているのと,明確なデータがあるわけではない。バーベキューを照焼で食べる影響とのこと。調べてみるとマーシャル諸島は醤油以外にも米食やマグロの刺し身(もちろん醤油をつけて食べる),塩辛もあるそうで,30年弱の日本統治期間の食文化への影響が大きい。しかしなんでまたそんな食文化ばっかり……
→ なお,マーシャル諸島はGDPが2億2100万米ドル,輸出が6170万米ドルしかないにもかかわらず,輸入が1億3340万米ドルに達していて,膨大な貿易赤字である。これをアメリカからの援助と軍事基地使用料で埋めているそうで,輸入額の大半は機械類と思われるものの,醤油や米も当然含まれているから,割と罪作りな食文化を残していった感じはする。


・世界の料理クイズ!「インド人は、わさびをスパイスだと思っている」〇か×か!?(和樂web)
→ わさびの辛さは唐辛子やマスタードの辛さとは方向性が違うので,インド人でもダメな人はいるだろうというのは想像がついたところ。しかし,わさびが野菜判定されてしまうのはちょっと驚いた。ついでに言うと,私はわさびは割とセーフ,唐辛子系統は最悪でマスタードもからしも割とダメなのだが,わさびとからしは辛み成分が同じというのは驚きだった。言われてみると確かに唐辛子が嫌いなのとマスタードやからしが嫌いなのは,自分の中で嫌いの方向性がちょっと違うので,違和感は無い。なお,わさびも好きかどうかと言われると微妙なラインで,ざるそばのそばつゆにはそこそこ入れるし寿司もわざわざさび抜きにはしないが,どちらも入ってなくても全く文句は無いくらいの感じなので,セーフというよりも慣れただけかもしれない。
→ 元記事の内容に戻ると,わさびの辛み成分は熱を入れると死んじゃうので,わさびカレーは単なる緑色の普通のカレー(ほうれん草を使ったサグカレーっぽいもの)というオチであった。カレーの原義上,煮込まないとカレーにならないからわさびカレーは実現不可能なのだな。ただ,辛くないわさびの味はそれはそれで気になるので,食べてみたいかも。  
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2020年11月16日

大学入学共通テストの第二日程騒動について

・大学入学共通テスト 来年1月16日から予定どおり実施へ 文科省(NHK)
・共通テ、校長判断で第2日程選択(共同通信)
情報を整理すると,
◯通常の共通テストは1/16-17で実施。浪人生は原則として全員こちらで受験。
◯第二日程として1/30-31でも実施。基本的には通常日程で受験できなかった人のための追試だが,現役生に限り,通常日程を回避してこちらを本試に選択可能。ただし,「新型コロナウイルスによる休校等で学習が遅れたため」という理由に限られ,第二日程を本試験に選択するためには所属高校の校長の許可が必要。
◯さらに特例追試験として2/13-14でも実施。第二日程を本試験として出願したが,「新型コロナウイルスに感染した」等の理由で受験できなかった人のみが受験可能。ただし,特例追試験の問題は共通テスト型ではなく,旧来のセンター試験型になる。
ということになる。つまり,現役生は第一日程を本試(第二を追試)とするか,第二日程を本試(特例追試験を追試)とするか,選べるようになった。ところが。


・大学共通テスト、コロナ考慮の第2日程は志願789人(朝日新聞)
受験生の願書受付が終わった11月中旬現在,蓋を開けてみると第二日程を本試に選んだのは1000人未満,残りの約50万人は通常日程を選んだということがわかっている。第二日程や特例追試験は置くだけ無駄だったということである。事前の予測ではもっと第二日程に人が流れるのではないかと言われていたが,予測が外れた形になる。理由はいくつか考えられるが,調べた範囲では以下のような理由が大きい。

1−1.既存のセンター試験の追試は本試験の翌週であったが,共通テストの第二日程は新型コロナウイルスの隔離期間を考慮して2週間の間がとられた。しかし,1/31まで共通テスト対策のための受験勉強がずれこむと,多くの私大は2/1から入試日程が始まってしまうので,私大対策の時間が著しく減少して不利になる。たとえば関西大・関西学院大・立命館大はいずれも主要学部で2/1にもう入試日程がある。仮に国公立大専願だとしてもこの時期の2週間はあまりにも大きい。

1−2.さらに,万が一に第二日程を受験できず,特例追試験に回った場合は悲惨である。共通テストとセンター試験は出題方針が違うので,2週間で修正は難しい。当然,私大・国公立大対策の時間が追加で2週間削られることにもなる。しかも2/13-14は多くの私大の入試日程ともろかぶりであり(慶應大・早稲田大・青山学院大・明治大・立教大等),最悪の場合,どちらかしか受験できなくなることが想定された。多くの私大は共通テスト出願締切日の10/8よりも前に「特例追試験を受験することになった受験生はそちらを優先してもらい,その得点で合否を判定する」と発表していたものの,様子の見えない特例追試験で戦うのはあまりにもリスクの大きいギャンブルである。
しかも,最近まで対応を発表してこなかった慶應大学からは下記のような発表があった。
【慶應義塾大学 2021年度一般選抜】新型コロナウイルス感染症に関わる追試験について
慶應大学は「共通テストの特例追試験と本学入試の重複は考慮しない」,すなわち特例追試験を受験になった段階で経済学部と商学部は自動的に失格と見なすとのことである。この共通テストないがしろっぷりよ。ところで,この大学入試改革の音頭を取った中教審の元会長さんってどなたでしたっけ?

2.そもそも第二日程が設置された理由は「新型コロナウイルスによる休校等で学習が遅れた受験生がいるため」であるが,本当に数ヶ月に及んだ休校で学習が遅れていたとすると,わずかに2週間猶予が与えられたところで焼け石に水であり,1に挙げたデメリットを越えるメリットは生じえない。逆に夏休みが大幅に短縮されたために追いついたという高校も多いらしい。

3.第二日程選択に校長の許可が必要になったことで受験生の選択に学校が一定の責任を持つ形になり,受験生が特例追試験に回ってしまった際に1・2に挙げたようなデメリットから保護者とのトラブルに発展するのを避けるため,教員・校長が受験生を第一日程に誘導した高校が多いと考えられる。

やはり影響が大きいのは第二日程を本試とするには高校の校長の許可が必要としたことで,おそらく文科省や大学入試センターとしては第二日程・特例追試験を受ける受験生を可能な限り減らしたいと考えて,ねらってこの条件をつけたと推測される。目論見通りの結果が出て安心しているのではないか。だったら最初から第二日程・特例追試験なんて作らなければよかったのではないかと思われるかもしれないが,この発表があった6月当時の日本の新型コロナ狂騒ぶりを考えると,何かしら「入試日程にも対策を入れました」というアピールは必要だった。あるいは,そうしろと官邸に言われたのだろう。上掲の朝日新聞にもあるように全国高校長協会が「全体の日程を1カ月ほどずらすよう要請」もしている。この要請は拙速に過ぎた。受験生は文科省に振り回されたというよりも,狂騒に陥った世間と官邸と高校に振り回されたという方が正しいように思われる。

文科省や大学入試センターが第二日程・特例追試験を受ける受験生を可能な限り減らしたいと思っている理由は,特例追試験がセンター型という点によく現れている。センター試験においても追試は問題の出来が本試に比べると荒めだったり実験作だったりで,ちょっと解きづらいことがある。世界史でもたまに本試だったらボツになってそうな問題に遭遇する。大学入試センターの体力から言って,本試のクオリティのものを2本作るのは不可能なのであろう。しかも,共通テストはセンター試験よりもいずれの教科でも作成難度が明らかに上がっているから,さらに大学入試センターの体力が心配される。なお,週刊文春なので信憑性に欠けるものの,すでにこんな報道もあった。科目によっては共通テスト通常日程の質さえ疑われている。
・大学共通テスト 作成委員が告発 「倫理を選ばないで」(週刊文春)
ましてや,降って湧いた特例追試験である。「共通テスト型ではなく,センター試験型にさせてくれ」という泣きが入っているのは,大学入試センターに3本目の共通テストを作る体力が全く残っておらず,特例追試験は過去のセンター試験作成過程で一旦はボツにした問題を改良してなんとかするという算段なのではないか。とすると問題の質は自信を持って世の中に出すものではなくなる。この辺りの心理は私も例の企画を毎年やっているので非常によくわかる。第二日程や特例追試験で出題ミスでも出ようものなら,マスコミは鬼の首を取ったかのように大騒ぎするだろうし,私が担当者だったら辞めると思う。


以上のように大山鳴動して鼠一匹感もある騒動となったが,岡目八目的に言えば,第二日程や特例追試験に受験生が流れないようにする文科省・大学入試センター側の仕掛けや,それにより事前の予測が外れた辺りの「答え合わせ」,さらに慶應大の無慈悲勧告などは面白い現象だった。あとは,これからやってくる第三波でさらなる混乱が訪れないように祈るばかりである。入試日程中止なんてことになったら目も当てられない。  
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2020年11月09日

最近読んだもの・買ったもの(『球詠』7・8巻)

7巻は熊谷実業戦と,柳大川越戦前半。8巻はその決着から夏の合宿編が始まるまで。

熊谷実業戦は短く終わったが見どころが多い試合で,「1年生中心でチーム全体が疲れている」という描写,特にしれっと全く打てていない稜と,初心者なのに神がかった活躍をしていた息吹の不調に,それでも交代を出せない層の薄さ。一方で疲れを見せない2年生2人,特にパワーヒッターとして覚醒した理沙先輩の成長と,先の展開を知っていると伏線だらけで,単行本でまとめて読むと大変に密度の濃い試合になっていた。その理沙先輩が久保田投手との対戦時に,急造・未知数のチームがベスト16まで来てしまったことについて感慨深げにしているところはまさに「地位が人を作る」好例で,夏大会終了後の8巻で息吹が「今大会で一番成長したのは多分理沙先輩」と言っているのはこういうことだろう。1年と2・3年の違い,特に1年は身体・精神ができていないという描写が明確なのは本作の美点であると思う。しかし,1年の中で主人公コンビだけは別格で疲れを見せず,1点差無死満塁で4番からの3人を無失点でパーフェクトリリーフする詠深ちゃんのダイアモンドメンタルよ。久保田との対決以外があっさりすぎて,気づいていない読者も多そう。

柳大川越戦は熊谷実業戦で張った伏線の全回収。ミート力に比してパワー不足で討ち取られる面々,結局は芳乃の作戦と詠深頼りの投手戦に持ち込むしかなく,それをフォローするための守備は体力不足やメンタル不調で崩れていく。実際に守備陣のエラーがなければ7回終了時点で1−1,延長戦に入っていた。対して柳大川越は強豪校らしく投手は朝倉・大野の二枚看板で1年も打てる子がそろっている。朝倉さんと大野さんという対比・関係性も最高だった。大柄でカリスマ性があり,でも天然ボケで抜けている朝倉さんが後輩で,小柄で意地っ張りで見栄も張っている大野さんが先輩というギャップに加え,しっぽがあったらブンブン振ってそうなくらい朝倉さんが慕っているのに,大野さんが気づかない振りをしているのは紛れもなく相互に巨大感情である。ちなみに,大野さんの好きな動物は犬という重要情報もここに投げ込んでおこう。

チームの雰囲気がよく,ここまで出てきた梁幽館や熊谷実業,影森などに比べると,柳大川越のチームの雰囲気は新越谷に近く,より上位互換というように見えた。層が厚いだけなら梁幽館も同じだったはずだが,まだ三回戦だったので勢いと作戦で乗り切れてしまった。柳大川越は練習試合をやっていて2回目ということもあって,1年中心の急造チームの弱点を見事に突かれての敗戦となった。逆に言えばその修正に今後の展開が当てられるわけだから,新キャラも登場したことだし,長期連載コースに入ったと見ていいだろう。

その新キャラ,光先輩は完全に私のストライクでしたね(「知ってた」というブログ読者の声が聞こえる)。おとなしそうに見える顔や性格に似合わぬ豪快なプレースタイル,これは今後の活躍に期待ですわ。
  
Posted by dg_law at 07:30Comments(2)

2020年11月06日

ニコ動の動画紹介 2019.12月中旬〜2020.1月中旬



わかりみが深い配信だった。K-1楽しかったよなぁ。



悪ノリが過ぎるという意見もわかるのだが,実際にアニメを見ると「これは原作とアニメで言ってないだけで実際には言ってる」という意見も理解できてしまう……



毎年恒例。新年はこれを見ないと始まらない感ある。



タイトルの通り,アトランタさんはダウナーかわいい。




この西郷さんのアイテム運の良さは一体なんなのだろうw。




伝説的なバカゲーのTAS。幕間の実写パートの寸劇と後半のストーリーの無茶苦茶さが面白すぎる。2も3も見たいところ。





Niku氏。39人ライブだからといって39人画面に写そうとしてはいけない(戒め)。



白山直人氏。下半期20選選出。大変おもしろい企画であった。アイマスASとデレマスの曲ばっかり聞いてしまう自分がミリオンライブやシャニマスの曲も聞くようになったきっかけでもある。



mobiusPと螺旋王Pの合作。上半期20選ノミネート。ここからシャニマス1stライブの再現PVが続く。



メカP。上半期20選ノミネート。アイマス曲を現実の歌手に人力ボーカロイドで歌わせるとして,ビリーバンバンを持ってくるという発想。そして現実がそれにカウンターを打ってくるという展開は熱かった。



上半期20選選出。あかりんごに押し流されがちだったが,これも上半期の重大事件だった。  
Posted by dg_law at 12:00Comments(0)

2020年11月04日

ZUNさんはセルフリメイク好きじゃなさそうなイメージ

・【東方】Steamで紅魔郷は無理らしくて悲しい(2ch東方スレ観測所)
→ 記事内で指摘されている通り,神主の性格から言ってなかなかやってくれそうにないが,イージーでもED到達可・立ち絵差し替え・大妖精と小悪魔に名前とスペカをつけた紅魔郷リメイクは見てみたい気はする。神主も紅魔郷を作ってから約20年で創作姿勢がいろいろと変わっているので,今の神主なら紅魔郷をこう作る,的なスタンスなら企画としてそれなりに面白い気はするのだが,それでやる気を出してもらえないだろうか。一方で,ただでさえ紅魔郷は人気が高いのに今更テコ入れせんでも,という気はする。


・開発者コラム 第3話 牌の偏り 後編〜初期プログラムの失敗(オンライン麻雀 Maru-Jan 公式サイト)
→  現実の全自動麻雀卓もそんなにかき混ぜていないので,長く打っているとそろいやすくなる。人間はそれに気づいてないので「流れ」と勘違いするのは面白い。確かに麻雀の神秘の正体の一つだ。一方で,「完全ランダムにすると,混ざりすぎて配牌がひどすぎることになる」ということについては以下のような反論がある。
・麻雀アプリに「牌操作」はあるのか?(koba::blog)
→ 「麻雀牌13枚のすべての組合せの平均シャンテン数は 3.58 であることが分かっています」とのこと。これは説得力がある反論だと思う。一方で,これは個人的な感覚になるが,配牌を開いて4シャンテンあったら私は割と絶望的な気分になって「七対子でもやるか……」って気分にはなるw。


・【検証】クイズ王は、大喜利の回答からお題を導き出せるのか?(オモコロ)
→ めちゃくちゃ面白かった。ただ,真似できるかというと出題側にも解答側にも尋常じゃないセンスが必要そうで,実際に5人目のお題は出題側にセンスがなさ過ぎて成立していない。他はおまけの3題も含めて丁度いい塩梅の難易度に見えるのだが。解答者のクイズ王も恐ろしく切れていて,特に4人目のお題の攻略がすごかった。ルールがしっかり整備されているものの,別の人たちで後追いで同じことをやるのはかなり難しいだろう。


・好きな丹下について語る(最終防衛ライン3)
→ 「丹下といえば?」と振られれば,まあ「桜」と答えるだろうなぁw。
→ それはそれとして,こうして丹下が並べられると『こち亀』で都庁に文句を言いに来た両さんが「丹下段平が作ったんだよなここは」って言ってたのを思い出す。個人的には左膳だけほとんど馴染みがない。ただ,丹下左膳も探せば『こち亀』の初期の方のどこかで登場してそう。なんなら丹下桜もどこかで1回くらい両さんが言及してそうだし,変なところでなんでもカバーしていた『こち亀』が浮かび上がりそう……。  
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2020年11月01日

白河に聖地巡礼に行くしかないか

・久侘歌がかわいいので福島に行った(スアリテスミ)
→ 6ボスは巡礼できる確固たる神社が少ないのに,3ボスは深掘りしやすそうという逆転現象。何はなくともとりあえず白河に行って巡れって感じなので,白水阿弥陀堂とかとくっつけていつか行きたいところ。
→ 一方で,一応は記紀神話の系譜につらなる埴安神と違ってニワタリ神がマイナーすぎ,既存のネット上の情報が極めて薄く,すっかり庭渡久侘歌が検索汚染になっている。同じくマイナーな神であっても摩多羅神は『闇の摩多羅神』という強い手がかりがあって,あの書籍は非常にわかりやすくて助かったのだが,ニワタリ神は今のところ東方考察班から有力な書籍が提示されておらず,調査が難しい。
→ という状況で,これだけ調べて実地見聞したこの人はすごい。「鶏要素が思った以上に全然ない」というのは寂しいが,これは行ってみないとわからないところで重要な発見だと思う。2019年の夏コミで買いそびれているのが悔しい。


・【東方】春紫苑と姫女苑の見分け方(2ch東方スレ観測所)
→ 東方ネタからもう1つ。植物は全く詳しくないが,ちゃんと関連性があるのだなぁ。つぼみや茎の特徴まで一致しているとは。身長は逆というのもまた趣深い。そして花言葉で死ぬ依神姉妹好きたち。


・天音さんは聖欲を満たしたい - 春馬外道(少年ジャンプ+)
→ うんまあ,《聖女テレジアの法悦》は当然としてケルンの大聖堂はエッチだな???(混乱)
→ とりあえず美術作品・建築の説明はしっかりしていて,女の子の興奮ポイントもわかりやすいので笑って読めた。もっと濃く語ってもいいと思う。2話で止まっているが,ネタはいくらでもあるので続いてほしい。
→ それはそれとして,この特徴的な眉の描き方,どうもあのイラストレーターさんっぽい気がするんだよな……多分このブログの読者の何人かは同じことを思っている気がするので,いつか春馬外道さんの真名が判明したら皆で答え合わせしような。


・デレマス歴9年目のユーザーがボイス総選挙で感じたお気持ち表明(増田)
→ この増田が一番おもしろかったのでこれを取り上げるけど,デレマス第9回総選挙&ボイス選挙はいろいろと予想外の結果だったためか,特にお気持ち表明やら選挙戦反省文やらが多く乱れ飛んでいて,傍から見ている分には面白かった。確かに私のTLでも浅利七海Pの今回こそはという圧は強かったので,ボイス選挙はあかり・あきらで3位は七海かなと私自身も思っていた。つかさ社長の応援も七海ほどでは無かったにせよ多かったので,七海が負けるとしたら社長かなとは思っていたから,結果はそれほど驚かなかった。逆に私のTLだとブルーナポレオン(というより松本沙理奈)やフリルドスクエアの応援は全然見なかったから,この増田のTLとは全然見えていた世界が違うようで,当然ながら自分のTLだけだと世界の様子はわからない。つかさ社長陣営は票の交換など戦略的で,「Pはアイドルに似る」というアイマスの格言通りの動きだったという話を後から聞き,今回の選挙ではそれが一番面白い話だった。
→ ボイス選挙に比べると第9回総選挙の方はあまり話題になっていないが,個人的には久川姉妹の人気が二人とも大きく上昇しつつも逆転していたことに注目したい。出だしは凪の言動の突飛さに注目が集まりがちだったが,はーちゃんはストレートかわいくて,じわじわと人気が広がったのは非常によくわかる。CoPはああいうのに"も"弱い(自己紹介)し,凪とデコボコ双子姉妹にしたのは長い目で見ると非常に良い。  
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