2021年11月29日

とにかく照ノ富士が強かった場所

阿炎の大活躍がある程度予想できたという点も含めて,予定調和的な優勝争いと優勝者であった。また,超速の再出世を遂げた照ノ富士,ぴりっとしない正代,順当に二桁勝つも優勝争いには絡まない御嶽海,今年躍進した若手(明生・若隆景・豊昇龍・霧馬山)大集合の上位,謹慎後に大活躍した阿炎の存在も含めて今年の総まとめのような場所だったとも言える。相撲内容は日によって出来がバラバラで,内容が濃い日もあれば淡白な日もあり。

トピックを1つ挙げるなら,審判が物言いをつけるタイミングについての話題だろう。中日の貴景勝・逸ノ城戦で,取組途中で逸ノ城が貴景勝の髷をつかんでいたが,それから長い相撲になり,逸ノ城が一度は勝った。しかし物言いがついて髷の指摘が入り,軍配差し違えとなったという。九日目にも栃ノ心・松鳳山戦で,取組の途中で栃ノ心のかかとが出ていたが行司が気づかなかったために続行,栃ノ心が一度勝ってから物言いがついて軍配差し違えとなった。これらについては,2012年の奇しくも同じ九州場所の九日目(とっててよかった当時の記録),日馬富士・豪栄道戦で審判が日馬富士の足が出ていたと指摘して行司が取組を止めたが,映像や蛇の目の砂を確認するに足は出ていなかった。これがゆえに審判が原因で力士に取り直しさせてしまったという苦い記憶が審判部にあり,これ以降,指摘の内容が確実でない場合は取組が終わってから物言いをつけるという取り決めが作られたと,今回の2件のため協会から改めて説明があった。これに対して勝敗がついているのに取組を続けさせるのは体力の浪費であるという批判も一部にあって,ネット上で少し議論になっていた。私としては協会の判断が正しく,審判が取り直しさせるのは最悪であるし,審判が誤審を恐れて物言いをつけづらくなるのもまずい。力士の体力の浪費は仕方のないところだろう。


個別評。優勝した照ノ富士は,先場所の「自身が伝統的な横綱相撲を意識していて,受けの相撲に転向した」という路線がさらに強まっていた。先場所の段階ではまだ元安美錦の安治川親方が言っていたのに過ぎないが,今場所は優勝インタビューでそれを公言した。その上で全勝優勝したというのは偉業である。膝が悪く受けには向かないというのもあり,まだその相撲に転向してから2場所目というのもあって本来であれば全く真の実力が発揮できない場所であったところ,圧倒的な実力で15日間に渡り他の力士をしりぞけ続けた。面白かったのは,積極的に捕まえに行かない分,技が多様になったことである。初日には小股掬いという小技があり,得意の極め出し・小手投げもあり,寄り切り・すくい投げ・上手投げがあるのは当然として,十一日目には足取り(決まり手は寄り倒し),十二日目には掛け投げも出た。技巧があるのは知っていたが,ここまで多彩に見られたのは楽しかったし,四つ相撲の技術が出せないとなると技術の側が多彩になるというのは面白い現象だった。照ノ富士は自身初の全勝優勝。6度目の優勝で,今年4度目の優勝。新横綱からの連続優勝は大鵬以来59年ぶり。全場所優勝次点以上で11勝以上,計77勝で年間最多勝と大活躍であった。年間最多勝が70勝(平均約12勝)を超えるのは7年ぶり。照ノ富士は優勝インタビューで「優勝回数を二桁に乗せたい」と言っていた。そこまで行けば日馬富士の9回は超えることになる。身体に大きな故障があるという点では共通する武蔵丸は12回,そこを目指して続けてほしい。

大関陣。貴景勝は優勝争いに絡んでの12勝で十分な成績。突き押しが強く内容上も文句の付け所はない。12勝はしたが,優勝次点ではないので綱取りにならないのがややかわいそうか。正代はまあこんなもんだろう。例によって早々に負けが込んだので照ノ富士戦が消滅し,先場所に貴景勝が消えたのに続いて2場所連続で大関なのに上位総当たりではなかったという悲しい展開にはなったが,先場所・先々場所に比べると以前の防御力,上体をそらして相手の当たりを上方に逃すという不思議な防御が戻ってきたように見えた。そこから当たり直して左を差して勝つのだから面白い。

三役。御嶽海は,私事ながら10月に木曽御嶽山に登り,泊まったペンションや登山道中の山小屋の人等と話して地元民に強く応援されているのを知ったので,けっこう応援していた。地元民に「彼は欲が無くてねぇ……」と言われてしまっていたが,今場所の11勝を起点に今度こそ大関取りを成功させてほしい。四つ相撲が苦手というわけではないのだが,出足が止められると敗色濃厚になってしまうのが最後の欠点か。明生は惜しい負け越し。割りと何でもできるのだがこれという型が見当たらない点で豪栄道に似てきた気がする。逸ノ城は地力の限界を見てしまった気が。重さが発揮されれば貴景勝や照ノ富士でも苦労するのだが。霧馬山は膝が少し治ってきたのではないか。6勝だが星のつぶしあいの結果であって内容は悪くなかったと思われ,投げ技がよく効いていた。

前頭上位。若隆景は九日目まで上位総当たりで2勝7敗,そこから立て直して勝ち越した。こういうメンタルの強さは上位定着に必要なもので今後に期待が持てる。隆の勝は上位総当たりで二桁は2回目,低く強い押し相撲が見られた。隠岐の海はわずかに負け越したものの,久々に懐が深さを生かした相撲が見られ,照ノ富士も攻めきるのに苦労していた。豊昇龍はよくがんばっていたがやはり圧力が足りないか。技が出る前に崩れると立て直せない。高安は初日から四日目まで合計8分超の長い相撲をとったため,スタミナが尽きて後半失速した。いかに長い相撲が得意とはいえ限界はある。

前頭中盤。宇良は10勝,以前の小兵らしい立ち回りに前進する圧力も加わり,相手からすると圧力を警戒すればいいのか小兵の立ち回りを警戒すればいいのかわからない厄介な力士に成長した。まだもっと上で取れそうである。初の技能賞とのことで,4年前に幕内にいたときには受賞していなかったのが意外だった。碧山は4勝で大敗,突っ張りがあまりにも上突っ張りで相手に圧力がほとんど伝わっていなかったのが心配である。

前頭下位。北勝富士は11勝したが上りエレベーターだろう。琴ノ若は上りエレベーターとなるかと思いきや負け越した。身体の大きさが活かせず,動きがもっさりしていてダメな時の魁聖に似ていた。輝も相撲が小さく,もろ差しにこだわって自滅する悪癖が一時見られなくなったかと思っていたが,今場所は復活していて残念であった。最後に阿炎について書いて明るく終わろうと思う。謹慎前は三役常連であったわけだからそこまではスルスルと戻るだろうと思っていたが,それにしても今場所は動きが良く,貴景勝を沈めるまでに突きの威力・回転ともに良かった。突き押しの相撲の場合は引くのも1つの手段であって千代大海にせよ貴景勝にせよ要所で引くなりいなすなりしている。しかし,阿炎はあれだけ突いていけるのならば引かない相撲の方が良いだろう。次は一気に上位総当たりの地位まで上りそうだが,続く活躍を期待する。

白鵬の引退記念記事は近日中に書きたい。
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2021年11月27日

ニコ動の動画紹介 2021.1月下旬〜2021.3月下旬




unrailedの対戦プレーと協力プレーの動画。これは確かに皆でやったら盛り上がるだろうなと思った。




無限ループやんけ。ウマ娘のためにジャガーマンシリーズが復活したのは当時に笑った。



競馬ファンがきっちりウマ娘をやってMADも作る時代なんだなぁと。



3年前の時点でウマ娘にはまっていたファンにとってはアニメ2期とプリティダービーの人気は感動もひとしおだろう。




白山直人氏。納得度の高いランキング。「Dye the sky.」か「何度でも笑おう」が1位でもおかしくないかなと予想はしていたが4位と3位だったか。



でこちゃん氏。上半期20選選出。前は深刻な素材過多と言えばミリマスだったが,今はシャニマスか。こういうのの主人公で映えるのはやっぱり放クラ。途中で「ふゆたちは空中戦じゃ」って出てくるのは予想可能回避不可能。笑うしかない。



mobiusP。上半期20選ノミネート。千早で作られるとやっぱり嬉しい。



bluespirit氏。上半期20選選出。Dye the sky. はあまりにも名曲なので,無限にMADMVが作られてほしい。



メカP。上半期20選ノミネート。765AS曲(カバー曲)でシャニマスMADを作るという。オチが想定外の方向に飛んでいった。



大麦氏。おしゃれなMAD。音楽と映像のテンポがあっているのが気持ち良い。



tktk氏。上半期20選選出。まだ色を追加するなら完成をいつまでも待ってます。現時点でも十分にすごい。



一匹狼くん氏。カノンごのうた一周年記念。  
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2021年11月26日

私は言うほどマジックカットが苦手でもないのだが

・スマートフォンでマンガを読む時代における「見開き」の表現について:『怪獣8号』の事例(マンガLOG収蔵庫)
→ 記事の説明しているところについては面白く読んで首肯した以外に特に何もないのだが,支持体(芸術作品の物質的な基盤)によって表現が変わっていくというのは極めて美術史学的な分析手法であるので,それが無意識的に使われている点にも面白みを感じてしまった。スマホで1ページずつ読まれるという現象は漫画史においてかなり革命的な現象であって,支持体がこれだけ大きく変わるのは20世紀後半以降の日本漫画史上でも初めてに近い現象かもしれない。


・ソーシャル・データサイエンス学部・研究科〈仮称〉の設置について(一橋大学)
→ もとより社会科学部専門の大学であるのだから,こうした学部ができることは特に驚かない。現時点でのこの新学部の注目ポイントは定員の少なさで,1学年60名というのは他学部の1/3〜1/4程度しかない。後から増やしていくということだろうか。
→ あと気になるのは入試の配点で,一橋大学は共通テスト・二次試験ともに必要な科目と総計1000点満点という点は共通で,配点が学部により極端に違う。志望学部によって受験勉強戦略が根本的に変わるレベルで違うのだ。詳しくは募集要項のp.14を参照。たとえば,社会科学部は二次試験の地歴が230点とかなり高いが,数学は130点しかない。そのため,二次の世界史でアレな問題が出るかどうかが死活問題になる。一方,商学部は二次試験の地歴は125点しかないが,数学が250点もある。ソーシャル・データサイエンス学部は2023年度からの開設になるので現時点では配点不明であるから,来年度の募集要項に注目したい。おそらく数学の配点が商学部並に高くなると思われる。
→ なお,一橋大学の数学は難易度が高いことで有名。伝統的に必ず整数問題が出題され……というよりも整数問題が正式な高校数学課程には無くグレーゾーンだったのに伝統的に出題していたので,よほど経済学・商学の素養に整数問題が必要だと思っているっぽい。この整数問題のクソゲー度が高いので,2/26辺りになると地歴ほどではないがたまに話題になっている。


・VTuberの餅月ひまりさんが絶版エロゲの復刻プロジェクトを計画しているらしいので応援したい(Togetter)
→ ずっと追っているYouTuberの餅月ひまりさんだけども,本当にエロゲの造詣が深くて驚く。プレイ済の本数が尋常ではないし,1本1本のシナリオをけっこう覚えているし,エロゲ史にも詳しい。まだ本格的に活動し始めてから歴史が浅いものの,この1年でこんなにエロゲ界隈に食い込んだ人も珍しいのではなかろうか。休刊前の末期の『TECH GIAN』で連載を持ったときには驚いたが,今では声優さんやメーカーの中の人とも交流していて,milktubさんやSCA自さんがたまに動画のコメント欄にいる。
→ 本人が「内容を知らない作品は復刻できない」と言ってプレミアエロゲをどんどん購入しており,最近ではとうとう『書淫』を買っていた。そんな彼女だからこそ,本当に権利関係をなんとかして『書淫』等を復刻してしまうかもしれない。期待して見守りたい。というか古参のエロゲーマーにはひまりチャンネルのエロゲ語り回(特にメンバーシップ登録者限定回)が本当に面白いのでチャンネル登録を勧める。


・「どこからでも切れます」←「嘘だ!!!!」マジックカットが上手く切れないという悲鳴が。仕組みは知ってる?(Togetter)
→ 手が濡れている・汚れていると切れないから手を洗ってふけというのであれば,マジックカットは手が濡れたり汚れたりする環境で切ることが想定されるのだから合っていないのでは。そこで手を洗ってふくというワンアクションが入るくらいだったら普通に切り口を用意しておいてほしい。作る側がマジックカットの方が安かったりするのだろうか。そうでないなら双方不幸なような……


・愚神礼讃で知られるエラスムスの像、江戸初期の日本に漂着し300年近く祀られるものの村人からはとんでもない名前で呼ばれていた(Togetter)
→ 像の来歴が無茶苦茶すぎるのだが,まず船乗りの聖人の聖エラスムスに代わって人文主義者エラスムスの像がリーフデ号の船首に飾られていたのが一番意味がわからない。そこからリーフデ号が解体されて江戸幕府の所有物になったところはわかるとして,解体された時点でもう貨狄と勘違いされていたらしく,すでに西洋由来という情報が消えている。とすると幕府が適当に下賜し,下賜された側も別人に手渡し……と大して貴重品扱いされてなかったのはわかるところ。船から外されたのだからという由来が残っていて,貨狄像とされていただけマシだろう。しかし,まさか地元民に妖怪扱いされるとは。天国のエラスムスも頭を抱えたに違いない。よりによって開明的な思想家の像が,異教の妖怪になるとは不思議な縁だ。
→ 本像は東博に寄託されているとのことだが,常設展で見たことがない。見たいのでぜひとも表に出してほしい。保存状態等に問題があるのだろうか。  
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2021年11月22日

Webメディアの雑な歴史記事への指摘2件

・米国エリート教育と第1次世界大戦の深い関係 GAFAがリベラルアーツ教育を重視する理由(東洋経済オンライン)
→ この記事の歴史理解があまりにもひどい。半年経過している記事ではあるし,どの程度ページビューを集めた記事なのかもわからないが,このまま何も論評されずに放置されるのも不健全なネット社会だと思うので,まずい箇所別に指摘を入れていく。ただし,紙幅の関係でこういう表現になったのかもしれないと思う箇所もあるので,『教養としてのギリシャ・ローマ 』という単著もあるようだからそちらを読んで判断するべきなのかもしれない。

>12世紀の十字軍遠征の時代、拠点だったイタリアには、戦利品としてアラビア地域から古代ギリシャ学問の文献が大量に持ち込まれました。その翻訳作業を担うために発足した知識階層の組合が、今日の大学の前身と言われています。
12世紀ルネサンスを呼んだ翻訳活動は十字軍とは直接的な関係が薄く,重要な文献の大半がトレドとパレルモで翻訳されている。イタリアが大学の先進地域で,最初期の大学はラテン語に翻訳されたイスラーム世界由来の文献が教科書に使われていたから,イタリアでも翻訳活動はあっただろうが,トレドとパレルモを無視したこの説明は誤解を招くし,著者が正確な知識を持っているか疑われても仕方がない。加えて,中世の大学においても自由七学芸はあくまで基礎教養であって,無論のことながら人文学部が置かれた大学もあるが,基本は神学・法学・医学部の専門課程を学ぶのが大学であった。中世の大学起源について自由七学芸に焦点を当てすぎるのも誤解含みになってしまう。

>その古典学問を再発見することで起こった一大ムーブメントが、いわゆる「ルネサンス(文芸復興)」です。
12世紀ルネサンスと”ルネサンス”の区別くらいつけてほしい。著者がついていたとしても読者には不親切であろうし,本稿の読者の知識水準を考えると12世紀ルネサンスというタームを知っている人も多いはずで,首をかしげられたのではないか。

>古代ギリシャ学問の領域は、自然学、天文学、修辞学、論理学、数学、幾何学、哲学、建築や造船、芸術の分野など多岐にわたります。「ヘレニズム」と呼ばれるこれらがリベラルアーツの起源であり
古典的な意味でのリベラルアーツは文法・修辞・論理・幾何・算術・天文・音楽の7科目であってそれ以外を含むのは現代的な定義である。中世の大学を説明する文脈でこれを混ぜ込んでしまうのは誤解を招きかねず,面倒だからといってその説明を端折るべきではない。

>それまでのヨーロッパは、「暗黒時代」と呼ばれるほど破壊と略奪が数世紀にわたって繰り返され、荒廃しきっていました。
いつの時代の歴史観だよ。

>1914年に始まった第1次世界大戦は、神聖ローマ帝国崩壊後のドイツ、オーストリア=ハンガリー帝国や、オスマン帝国、ブルガリアという古参の秩序を保った国家と、大航海時代を経て大きく台頭したイギリス・フランスを中心とする西ヨーロッパ諸国との対立の図式でした。
この段落は全く意味がわからない。知識として誤っているというわけではないから余計に。第一次世界大戦の文脈で「神聖ローマ帝国崩壊後のドイツ」を引く意味はあるか。言うまでもなくドイツ帝国は統一されている。第一次世界大戦からそれほど遠くなく成立した新興国家ブルガリアが古参の秩序を保った国家とはどういう理屈だろうか。「大航海時代を経て大きく台頭したイギリス・フランス」も,そんな数百年単位のスパンで引用する枕詞でもあるまい。協商国を「西ヨーロッパ諸国」というのも意味不明で,ロシアの存在が消えている。リベラルアーツを重視した国々に優位があったという論旨のためにロシアを消したのなら悪意がある。あるいはロシア革命で途中で脱落したから欠いたということか。

>世界秩序は西ヨーロッパ諸国主導、さらにアメリカ主導へと大きく塗り替えられていきます。それに伴い、長く世界の中心だった地中海は、その地位をアメリカ両岸に位置する太平洋・大西洋に譲りました。
その3段落前に自分で「大航海時代の新大陸発見により、世界は地中海中心から大西洋・太平洋の二大洋の時代となり」と書いているのを忘れている? 論旨が崩壊しているのだが,筆者はともかく編集者も気づかなかったのだろうか。


・モンゴル語教育激減、中国が内モンゴルで「文化的ジェノサイド」(JBpress)
→ よりひどいのがこちらで,学者が書いたわけではないということを差し引いても(言うても近現代中国史の著作があるノンフィクション作家なのだが),媒体がかたいものではない点を差し引いても,なお知識の誤りが多い。こちらは前記事と違って私以外に指摘している人が極わずかにいたが,誤りのレベルを考えると全く批判されていないに近い状態であるので,やはりおかしな点を以下にまとめておく。あまりにも誤りが多いので私も気づいていないものもありそうだ。ここまで事実誤認があると論旨の説得力もない。

>古くは、11世紀にチンギス・ハーンが中央アジアに分散していたモンゴルの遊牧民を統一し、イラン、東ヨーロッパ、中央アジアから中国まで征服して、モンゴル帝国を打ち立てたことはよく知られている。
モンゴル帝国の成立は1206年なので13世紀。またモンゴル高原は普通中央アジアには入れない。加えてチンギスの時代にはまだイラン・東欧・中国を完全征服できていない。

>朱元璋は明王朝を打ち立て、漢族支配を高らかに宣言した。モンゴル高原でまた遊牧生活に戻ったモンゴル帝国の末裔たちは、その後の国際政治に翻弄されることになった。
モンゴル高原の遊牧国家は明朝に対して優位に戦ってる歴史は無かったことになったようだ。エセンやアルタンが泣くぞ。

>17世紀初め、中国東北部に住む満州族(女真)が、明王朝を滅ぼして清王朝を樹立すると、モンゴルの文化や伝統を尊重した。
明朝の滅亡は李自成の反乱によるものであって清朝に滅ぼされたわけではない。17世紀初頭も誤りで,明朝の滅亡は1644年。

>満州族は文字を持たなかったため、当初はモンゴル語を清王朝の公用文字として使ったくらいだ。
「モンゴル語が公用文字」という表現に違和感は無かったのだろうか。モンゴル文字の誤りだろう。

>1911年、孫文が「漢民族の国家を再興する」という旗印を掲げて辛亥革命を起こし
孫文は辛亥革命勃発後に国外から急いで帰国したのであって,革命を起こした張本人ではない。

>社会主義国・ソ連の影響力は強かった。中国に共産党を誕生させたばかりか、中国東北部に進出して鉄道を敷設して居座り、中華民国を揺さぶった。朝鮮半島にも影響力が及んだ。
ここからの近代史が本当にひどい。まず東清鉄道の敷設はロシア帝国と清朝の時代で,ソ連も中華民国も未成立。次に,ソ連が成立した頃には朝鮮半島は日本の統治下。この文脈でいうところの「影響力」は及びようもない。最後にこれは細かいので無視してもいいが,中国共産党の誕生は1921年,ソ連成立は1922年だから時系列が逆。

>これを足掛かりに、ロシア革命を経てソビエト連邦となっていた同国を中国・東北部から追い出し、そこに退位した清朝皇帝・溥儀をいただいて「満州国」(1932年)を樹立した。
追い出したのは張学良の奉天軍閥勢力で,東清鉄道の利権は満州国成立後にソ連から買い取っている。なお,ソヴィエト=ロシアは1919年のカラハン宣言で一度は東清鉄道の無償返還をうたったが,その後カラハン宣言を修正,結局利権を保持した。1929年に張学良が武力に訴えた際には返り討ちにしている。満州国から圧力を掛けられるとさすがに戦争への発展を危惧して売却した形であるが,いずれにせよ中華民国を蚊帳の外にした帝国主義国家間の交渉に過ぎず,本稿のように日本の奪取を肯定的に書けることではない。



今回偶然にも私の目についたのがこの2記事というだけで,実際には世の中に雑に書かれた記事が無数にあると思うと暗澹たる気分になる。しかし,やるだけ無駄とは考えず,気づいた範囲で(&自分の意欲と体力の範囲で)指摘を続けていきたい。  
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2021年11月20日

登山記録(高尾山・天覧山・三ツ峠山・富士山)

5・6年前から趣味の1つに加わったはいいが大してブログに書いてなかったために溜まりこんだ登山系の旅行記と,好きなのに全く感想を書いていない『ヤマノススメ』の漫画&アニメの感想,そして既存の登山難度グレーディングに対する注文をどう処理しようか迷った挙げ句,まとめて処理すべく,登山記録をつけていくことにした。記録の順番に迷ったが,『ヤマノススメ』の聖地巡礼として行ったところをまず原作登場順に記録し,次に未登場の山を北から順に書き,尽きたところからは時系列とすることにした。また,1記事につき4・5座程度として,ストックのある35座程度が消化し終わるまでは2・3週間ごとに投稿し,尽きてからは1シーズンごとに投稿することにした。

紹介形式であるが,まず山のステータスを書いて,後ろに登山の感想などを付していくことにする。山の名前には何かしらの情報サイトへのリンクを張っておいた。

〔標高と標高差〕
文字通りの標高と,自分が登った際のスタート地点とのおおまかな標高差。
〔百名山認定〕
日本百名山・二百名山・三百名山・花の百名山・新百名山に入っている場合はそれをここに記載。重複しているものは左に書いたものを優先。
〔ヤマノススメ〕
『ヤマノススメ』の原作またはアニメに登場している場合はここに話数を記載。なお,私が登山を始めた契機は寺社仏閣巡りの延長線上で,投入堂と浅間大社奥宮が当初の目的であり,『ヤマノススメ』は後付だったりする。天覧山・富士山・谷川岳・金峰山以外はそれ目的というよりも偶然重なっていたという意味合いの方が強い。ヤマノススメの聖地巡礼については次のサイトが参考になる。
・ヤマノススメ聖地巡礼 全山行一覧(クレコ)
〔県のグレーディング〕
都道府県が認定している難易度グレーディングがある場合はここに記載。これには少し補足説明が要るだろう。登山ブームによる無謀登山が増えたことを受けて,近年は長野県や山梨県が中心となって地方自治体が難易度の目安を発表している。たとえば長野県はこれ。他の都道府県にもリンクが張られている通り,参加している県は年々増えており,5年前くらいは8つだったと思うのだが,現在は11まで増えた。非常に有用なのでできれば全県で実施してほしい(埼玉県のお前のことだぞ)。なにせ百名山でさえまだ67座しかカバーされていない。このグレーディングの基準は2つあり,数字とアルファベットで表示される。数字の1〜10は体力度で,実際には細かな計算があるが,大雑把に言えば数字が1増えると2.0〜2.5時間くらい歩行時間が増える。アルファベットは技術などの難易度で,
A:初心者向け。ほぼ階段か土の斜面しかなく,ほとんどがスニーカーで登れる。
B:多少の岩場・鎖場・痩せ尾根・沢登り等の危険箇所が登場。登山装備が必要になるが,滑落しても死ぬ危険性は低い。
C:中級者向け。危険箇所がBよりも増え,滑落したら明らかに死ぬ箇所が出てくる。
D・E:上級者向け。
となっている。
〔私的な難易度と感想〕(写真がある場合は写真)
実は上述のグレーディングはA〜Eの5段階でつけている関係で,特にA・Bはそれぞれの中での幅が広く,比較すると同グレーディングとは思えない事例が散見される。また,アスレチック的な技術・ルートファインディング能力・日照や補給への対策等の難度を一本化して評価したものであるため,特にA〜CはこのうちのどれのせいでAではなくてB・Cなのかがわかりにくいという欠点がある。そこで本記録では私自身の経験とネット上の他者の登山記録等から,A・B・CをさらにA・A+・B-・B・B+・Cの6段階に分け,その上でB-以上はA+以下ではない理由を付すことにした。なお,D以上の山は私自身が登れる気が全くしないため,本記事にはそもそも登場しない。というよりもD以上を登れる人はB以下の細かい難易度の差なんて大して気にせんでしょ(偏見)。以下は一例。


No.1 高尾山
〔標高〕599m
〔標高差〕約400m
〔百名山認定〕花の百名山
〔ヤマノススメ〕1巻・アニメ1期
〔県のグレーディング〕2A
〔私的な難易度と感想〕2A(1号路)・2A+(6号路,稲荷山)
皆大好き高尾山。スニーカーでも,何なら革靴でも登れる山として有名。私も1号路・6号路・稲荷山ルートで4回くらい登った。1号路は寺院沿いということもあって整備されているというよりも石段が続くが,1号路は石段がかえってきつい。純粋な膝への負担だけで言えば6号路よりもきついと思う。ただ,観光地としては優れているので,6号路で登って1号路で下るのがよい。『ヤマノススメ』は正反対に1号路から登って6号路から下りているのだが,その6号路の途中であおい・ひなたがここなと出会っている。6号路と稲荷山ルートはどちらも1号路に比べるとちゃんとした登山路であるが,私は6号路を進める。6号路は樹林歩きが気持ちよく,簡単な沢登りがあって,これが結構楽しいからだ。沢登りがあるのでA+とした。滑って転ばないように気をつけよう。これに比べると稲荷山ルートはちょっと見どころに欠けるかなと思う。ただし眺望は稲荷山ルートの方が良い。



天覧山No.2 天覧山・多峯主山
〔標高〕197m・291m
〔標高差〕天覧山で約80m
〔百名山認定〕認定なし
〔ヤマノススメ〕1巻・アニメ1期,3巻・アニメ2期
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕1A
完全に『ヤマノススメ』の聖地巡礼のためだけに登った珍しい山。天覧山は1883年に天皇がここから練兵を視察したことからこの名前がついた。その天覧山は1Aというか,完全に散歩である。15分もあれば重文に登頂可能。景色は写真の通りなかなか良く,飯能の市街地が一望できる。飯能市が誇るのも,『ヤマノススメ』の作品最初の山に選ばれるのもよくわかるところ。1つ奥の多峯主山(とうのすやま)になると少しちゃんとした登山になるが,それでも高尾山6号路よりは楽で,天覧山からは30分弱で着く。樹林歩きとしてはまずまず楽しいし,山頂からの眺望もあるが,聖地巡礼が目的でないならしいて行かなくていいかなと。なお,天覧山麓にある飯能市博物館が無料の割にコンテンツが充実していて,飯能市の歴史や自然がよくわかるのでお勧め。また,多峯主山からの下山はピストンで天覧山に戻った方がいい。そのまま反対側に下山すると市街地から大きく外れることになり,正直に言って見どころが薄い。


こんな感じで続きます。
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2021年11月16日

2021年6〜10月に行った美術館(渡辺省亭・川瀬巴水・天台宗)

感想記事をサボりにサボっていたのでまとめて消化。

東京芸大の渡辺省亭展。渡辺省亭は明治期に活躍した花鳥画の名手で,海外で評価されたが,日本での知名度は低い。その理由は展覧会に行ってなんとなくわかった気がした。感想を書くのが億劫になる程度には特徴が無いのだ。渡辺省亭の特殊さは活躍時期が明治期であったことと,海外で評価されたこと,エドガー・ドガと交流があったこと,涛川惣助とコンビを組んで七宝焼にも携わったこと……と多岐に渡る。しかし,いずれも作品そのものへの評価ではない。もちろん花鳥画としては抜群に上手いのだが,このくらい上手い人は日本美術史上他にもいたわけだ。その時代を表象していることでもって美術史には刻まれるべきであろうが,こうして回顧展で見て楽しいかどうかは別問題である。現在の低すぎる評価は覆されるべきであろうとは思うものの,そのパワーがあるかはちょっとわからない。展覧会の感想としてこういうものになるのは珍しいので,これはこれで行った価値があったかなと思う。


SOMPO美術館の川瀬巴水展。大正から昭和にかけて活躍した版画家で,何人かいる「最後の浮世絵師」と言われる画家の1人である。同じようなポジションの画家に吉田博がいるが,実際にこの2人は風景画が主体で,どちらもしばしば旅行に出かけて写生し,帰宅後にコンビを組んでいる彫師や摺師と一緒に一気に作品を仕上げてしまうという制作スタイルも同じで,海外でも人気を博したことも共通する。逆に相違点を探すと,吉田博は登山家だが川瀬巴水は登らない,吉田博は人物を苦手としていたが川瀬巴水にその様子は無いことか。画風ももちろん違いがあって,川瀬巴水の方が色彩のコントラストが強めて,吉田博は淡くグラデーションの美しさに定評がある。個人的には登山家である親近感を差し引いても吉田博の方が好きだなーと思いながら眺めていたら,展覧会の終盤に,川瀬巴水の収集家だったスティーブ・ジョブズが「ノー,(吉田博よりも)巴水こそベストだ!」と言っていたらしく,やつとは美的感性が合わないことを再確認した。自分の中のアンチアップルの精神が成長した。今後もAndroid使うわ。まあそれはそれとして,ジョブズの審美眼にかなった画家というのはやはり偉大であろうと思う。なお,川瀬巴水展は展覧会期間が長く,年末までやっているのでジョブズの審美眼を確認したい方はぜひ。版画であるため作品数が多く,新しくなったSOMPO美術館の広さも相まってボリューミーな展覧会になっている。



東博の天台宗展。東博だとこの1つ前の聖徳太子展にも行っているのだが,サントリー美術館の聖徳太子展とまとめて書きたいので,少々お待ちいただきたい。さて本展は比叡山延暦寺の寺宝や最澄・円仁・円珍の活躍を中心に,日本全国の天台宗の寺院から寺宝をかき集めて展示したもので,今年の東京都の美術館の企画展としては最大規模のものであろう。企画展名「天台宗と最澄のすべて」は伊達ではない。現存最古の最澄の肖像画(国宝)からして教科書で見たやつとなること請け合い。その他にも最澄直筆の手紙,嵯峨天皇の宸筆等の国宝や重文がどんどん登場する。あとは日本史関連だと『往生要集』や慈円の消息の展示もあった。なお,延暦寺の宝物のうちの一部は宝箱からの開封に朝廷の許可が必要というルールが現存していて,今回も大真面目に宮内庁におうかがいを立てたという時代がかったエピソードがあり,その様子が撮影された動画が公開されている。私はこの場に立ち会ったら吹き出さない自信が無い。

それ以外にも最澄・円仁・円珍の足跡がわかるような展示や説明が豊富になされている。地方への広がりという点では,東京ならではの話題としてやはり天海と東叡山寛永寺・日光山輪王寺(日光東照宮)がクローズアップされていて,上記3人以外では例外的にかなりのスペースをとっていた。そういうわけで全く予期していなかったのだが,「摩多羅神二童子像」の本物を拝むことができて非常に感動した。『東方天空璋』の元ネタと言っても過言ではない絵画作品で,『闇の摩多羅神』の表紙にもなっているあの作品である。この天台宗展は東京・九州・京都の3つの国立博物館を巡回するのだが,地域色を出すために天海関連のものは東京展でしか展示されないようだ。プチ聖地巡礼を楽しみたい方は東京展で行くことをお勧めしたい。

闇の摩多羅神
川村 湊
河出書房新社
2008-11-19

  
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2021年11月15日

コルトレイクは一週間ほどで急激に国際的な知名度が上がったのだろうなぁ

・【記者の目】響龍さん死去は大相撲の未来に警鐘 頭部強打で迅速に対応を(日刊スポーツ)
→ 国技館内に医師が常駐しているものの土俵下にいるわけではないので,周囲の人々が響龍さんを仰向けにするまで約1分,それから医師を呼びに行って実際に土俵に来るまで約3分,最終的に担架で運ばれるまで計約6分以上とのこと。これが医師が最初から土俵下にいれば最初の4分は省略できよう。脳震盪から発生する病気であればこの4分間はあまりにも貴重である。これまで1人も死者が出ていなかったのは奇跡的としか言いようがない。
→ この事件から半年が経過したが,体制が根本的に改善されたわけではないのが極めて残念である。どうせ控室にいる医師を土俵下に移動させられない理由は何だろうか。いや,花道を下がった後に(頭部以外の場合の)ケガをした力士を診察する必要があるから控室常駐という理屈はわかるのだが,そこは医師の数を増やすなりできるところだと思うのだが。また,当時に医師が来るまでに医師免許を持たない人でもできたはずの対応も杜撰だったのも批判されていたし,担架が首を固定させられないものだったのも批判されていた。前者は親方衆に定期的な講習会を行うようにしたようだが,後者はどうなったのかわからない。
→ と同時に思ったのは,やはり脳震盪自体を減らすべきであって,その観点から立ち合いのかち上げで胸ではなく相手の顔面を直接ぶつけるのは反則扱いすべきだろうということだ。これについては避けられない方に問題があるというべきではない。まあ,その使い手が引退してしまったのではあるが,引退したからこそかえって使い手を不利にさせるためではないとして堂々とルール変更ができるようになったとも考えうる。


・ベルギーの農家、うっかり領土「拡大」 国境の標石動かす(BBC)
→ 言うまでもなく現在のフランス・ベルギーの関係が良好である上に実態としてすでにこの石碑は国境に影響を及ぼさないから完全に笑い話ではあるのだが,事件の背景にあるコルトレイク条約はちょっと気になった。おそらく事情から言えばウィーン議定書で詰めきれなかったから「後は二国間で解決してください」と放り投げられ,フランス・オランダで改めて話し合われた結果,5年後の1820年に結ばれたのがコルトレイク条約ということなのだろうし,この推測でほぼ正しいと思われる。しかし,確証を得ようと思って簡単に調べたが,何もわからなかった。まずWikipediaが英語・オランダ語・日本語の3つしかなく,条約の原文であり当事者であるフランス語版にページが無い時点で絶望的である。世界中がこの事件があるまでこの条約の存在にほとんど気づいていなかったと思うと,それはそれで面白い。ここで日本語がある辺り,日本人はこういうネタが好きなんだなあと。そして日本語と英語でググっても,今回の事件以外のページを見つけること自体が難しい。そこまで興味があるわけでもなし,早々に打ち切った。フランス語かオランダ語で調べればもうちょっと情報が出てくるかもしれないが。


・ジンジャーエールがあるならば、ミョウガエールやネギエールがあってもいいじゃないか( デイリーポータルZ)
→ これは面白かった。私がご飯を探す際に重視するのは,第一には美味しいものであるが,第二には珍しいものを食べたいというのがあって,未知の味に出会ってみたいという欲求は常にある。それが明らかに苦手なものや辛いものと予測されうる場合は除くが。それで行くと,言われてみるとたしかにジンジャーエールの「ジンジャー」を変えたらどうなるかというのは気になる発想で私の欲求にピンポイントで刺さった。本記事で試されているのはミョウガ・大葉・梅肉・ネギで,いずれも成功している,というよりも筆者が成功するように試行錯誤している。梅肉エールは記事中でもセルフツッコミが入っているように一周回って居酒屋で普通に見るやつという感じがしてしまったし,ネギはさすがにスパイスの力を借りすぎているように思われたが,ミョウガと大葉は普通に売れそう。また,他にも「この系統」の味の植物ならまだバリエーションが広がりそう。料理に自信がある人は探してみてほしい。私は飲む専門なので。
→ なお,ミョウガエールについてはやはり先行事例があった。JA高知がレシピを紹介している。  
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2021年11月06日

ニコ動の動画紹介 2021.1月上旬〜2021.1月下旬


RTA in Japanの何でもあり部門で大きく話題になった,ホットプレートでSFC本体の温度を一定に保つことで,セーブ直後の電源のオンオフで起きるバグ(通称電源バグ)で生じる数値を調整するチャート。バグなどは次の記事とそのリンク先に詳しい。
・「ドラクエ3」RTAで見事世界記録が誕生し「ホットプレート」がトレンドに 解説「これがホットプレートの力です」→ そして焼肉へ…(ねとらぼ)
この動画はRTA in Japanの大会時のプレイヤー本人視点のもので,大会配信と同時にニコ生で配信していた。RTA in Japanの会場はこちら。なお,現在の何でもあり部門は一桁分台まで短縮されているのでこれは旧記録であるが,むしろホットプレート部門という新たな部門を開いたことが功績と言えよう。祝勝会で焼き肉が始まりホットプレートが有効活用されているのが笑える。




part2から徐々に編集がうまくなっていくのでpart1で切っちゃうのはもったいない。ドラクエ8は道具が強いというのを見せつける縛りであった。




そんなことできるのかと思ったら,できてしまった。どこで何を使うのか全く予想がつかない,強い行動が序盤でバンバン切られていくので最後まで見どころが多い。FF8の普段なら大して使わない変なコマンドアビリティの多さが役立った縛りであった。





経験が積まれてきたので鹿が豊富に狩れるようになり,料理スキルも上がって美味しそうなものが多いシリーズとなった。狩猟生活シリーズはこれで終わりとのこと。





秋葉原在住氏。上半期20選ノミネート。サムネの通り,ノクチルでワールズエンド・ダンスホール。テンポの良い静止画MAD。



伯方氏。たべるんごのうた一周年記念。



十六夜カズヤP。「なんどでも笑おう」良い曲だよなぁ。



金爆の皆さんが「Brand New Theater!」を歌っていてびっくりした。
  
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2021年11月05日

書いている間に「ウルトラソウル」がイヤーワームになった

・【中日ドラゴンズ】『燃えよドラゴンズ!』の歌詞と同じ打席結果で進行した試合が存在するのか調べてみました(つぎはろぐ)
→ スコアブックを読むだけで2ヶ月かかっている力作。私的に99年優勝くらいから落合政権まではそこそこ真面目に応援していたので,このネタは面白かった。結論を言えば完全一致したものは無いのだが,条件がかなり厳しいのでまあ無いだろうなというところ……と思っていたらはてブで完全一致が1回ある(2019年)という指摘があった。調査漏れかな。現状これが唯一の事例ということでよいのだろうか。
・中日ビシエド、逆転6号3ラン 4回怒涛の猛攻撃に「ドラゴンズの歌みたいだね」(Full-Count)
→ しかし,これだけ調べたら副産物が面白いのは当然なわけで,本記事はここから先が真骨頂である。そもそも打順自体が一致率0.0%の年があるのが良い。それ以外では,2008年はけが人が多くて打順がころころ変わってたなとか,2004-6年は実際に打順が固定されていた覚えがあるなとか。1999年は割とこの打順だったような気がしたけど34.3%で思っていたよりも低い。2009年は最終的に2位なのに序盤不調だったから曲が作られなかったのだが,言うほどゲーム差が無かったので作られなかったのが当時は不思議だった。立浪は1・2・3番,福留は2・3・4番で歌詞に登場するが,それぞれ1つ足りなくて”グランドスラム”は未達成という発見もあった。


・三大下の句(増田)
・さらばすべてのエヴァンゲリオン(増田)
→ 近年稀に見る良増田。本文ですでに3つが完成されていてツッコミ待ちなのに,さらに完璧な4つめが来てしまうという予想されない展開。ブコメに百人一首に「さらばすべての」を入れたものが並んでいるが,どれもしっくり来すぎて困る。こういうことがたまにあるからはてなはやめられないんだよな。
→ この中で「それにつけても金の欲しさよ」だけやたらと古いが起源は何かと軽く調べてみたが,山崎宗鑑説と大田南畝説があるようだ。どちらが正しいのかによって随分と古さが異なるが……気になるので文学者の人調べてみてください(丸投げ)。
→ なお,「そして輝くウルトラソウル」は2001年。「メイクアメリカグレートアゲイン」は1980年と言いたいところだが,実際には2016年と言っておくべきだろう。「さらばすべてのエヴァンゲリオン」は言うまでもなく2021年で一番新しいものの,通じる寿命が短そうな気がする。なんにでもしっくり来る感は4つの中でも高いのだが。


・佐賀県の観光や名物を地元出身のあの人に聞いてきた(SPOT)
→ 佐賀はゾンビランドサガの聖地巡礼にかこつけて行ったのだが,こうして見るとまだ伊万里も行ってないし祐徳稲荷神社も行っていないし,魚山人も面白そう。佐賀もまだまだ行くところがある。2期の聖地巡礼にかこつけてまた行かないとな。
→ なお,祐徳稲荷神社は日本三大稲荷の座をかけて実家近隣の豊川稲荷と争っているので,敵情視察()としても行かねばなるまい……


・テイエムオペラオーのオペラトークを解析する - ウマ娘考察 - (世界観警察)
→ (私は『ウマ娘』未プレイながら)面白かった。オペラはほぼ全くわからないので,曲を聞きながら読んでいたらかなり時間がかかった。著者自身が深読みもあると書いている通りでこじつけっぽいのもあったが,明確なものの方が多い。基本はヴァーグナーとプッチーニなのかな。担当ライターが好きなのがその辺りなのかも。
→ 何がすごいってこれほどの細かいネタでも,広い広いユーザーのうちの誰かは気づくだろうという予測があって練り込んだというライターの度胸であり,それに応えたユーザーである。これは解説がされなければショックだろう。だからこそ,諸コンテンツで西洋美術史ネタが出てきたらなるべく気づいて拾って解説しておきたいなとは思う。そういう意味では(最近サボっているけど)『アルテ』は単行本が出るたびに解説記事を書いているのと,『魔法少女まどか☆マギカ』の11話で《天地創造》が出てきた意味をちゃんと書いたのは,それなりに義務を果たせているのかなと。  
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