2023年03月27日

2023年大相撲春場所の感想

先場所の評で貴景勝は「スタミナが持ちさえすれば連続優勝は十分にありうる」と書いた。それが一転して休場である。貴景勝が休場した段階で優勝争いは全く読めなくなった。徳勝龍のようなパターンもありうるのではないかと思わせるだけ翠富士が活躍していた。大栄翔も二度目の優勝に近づいていた。しかし最終的に持っていったのは霧馬山であった。とはいえ,貴景勝休場の段階で残された力士では,霧馬山は大栄翔・豊昇龍に次いで優勝可能性が高いと見られていたと思われ,その意味で驚きは無い。先場所も小結で11勝,十分な実力を発揮していた。三役が詰まっていたから昇進できていなかっただけで直近7場所連続で勝ち越しており,ずっと上位総当たりの地位にいる。安定性は混戦の時に武器になる。

霧馬山は角界入りから8年目で,昇進はゆっくりではあったが,ケガによる休場以外では大きく負け越すこともなく,確実に昇進を重ねてきた。その中では2021年は左膝のケガが重くて停滞していたが,2022年春・夏頃に回復したようで,モンゴル人らしい強力な投げが持ち味として見られるようになった。そしてちょうど先場所の評に「今場所は普通に寄り切っても強く,巻き替えやとったりも上手かった。」「若隆景・豊昇龍に次ぐ大関候補に名乗りを挙げたのは間違いない。」と書いていた通りで,ここにきて投げ技や左からのいなし以外の技でも勝負を決められるようになった。また「突き押しの相撲にやや弱いのが今後の課題か」と書いていたが,これも今場所は大栄翔を破っての優勝となり,弱点克服に向けて強く前進している。

さて,今場所は年6場所制以降で史上初の横綱・大関不在の場所となった。貴景勝も照ノ富士もすぐに引退ということはないにせよ,やはり横綱1・大関1という状況は不安定であり,また横綱・大関が関脇以下から白星を荒稼ぎしないがために,大関候補たちの多くが好成績を残す結果となった。今場所勝ち越した関脇・小結の面々の2場所計の成績は以下の通り。
・霧馬山:11+12=23勝
・大栄翔:10+12=22勝
・豊昇龍:8+10=18勝
・若元春:9+11=20勝
・琴ノ若:8+9=17勝
霧馬山は来場所10勝でよく,優勝経験もあるから極めて有利である。9勝でも上がるかもしれない。大栄翔は先場所の10勝が前頭筆頭なのが大きなハンデで,照ノ富士のような事例もあるから来場所も優勝同点12勝なら昇進があるかもしれない。豊昇龍は少なくとも来場所の大関取りはなかろう。逆にここに来てあり得る星勘定になったのが若元春で,12勝優勝同点・次点なら昇進させてしまう気がする。ただ,成長が急激すぎて本当に安定するのかに少し不安が残るか。来場所に10勝か11勝で,再来場所に豊昇龍と同時昇進をねらう展開が穏当かもしれない。いずれにせよこのまま行くと若隆景よりも早い。琴ノ若はまだまだ先だ。

今場所は特に後半に熱戦が多く,優勝争いもあって非常に楽しめた場所となった。来場所はさらに大関取りで加熱しそうであるし,逆に照ノ富士が復活を告げる優勝を飾るかもしれない。今から楽しみで仕方がない。


個別評。貴景勝はどうしてこう,気合が乗りすぎるとケガが悪化するのか。関脇。霧馬山は上述の通り。若隆景は本当に序盤に弱い。仕上げすぎて序盤はむしろスタミナが切れているが,中盤以降は体がそれに慣れてきて勝てるようになるという説を読んだが,本当に調整ミスかもしれない。周囲にちょっと相談してみてほしい。豊昇龍は「投げに自信がありすぎて強引に投げにいって自滅する悪癖があり,今場所はそれがもろに出て左足の負傷につながった」と先場所に書いたことそのままで,今場所ケガしなかったのは幸運でしかない。もうちょっと落ち着いて相撲をとってほしい。あと立ち合いでじらしすぎ。

小結。急成長してきた若元春は本当に足腰が強く,うっちゃりが上手い。あれでは怖くて相手は不用意に土俵際に寄っていけまい。豊昇龍が強引にでも投げで決めたのもわかる。霧馬山も押し合いのうちに勝負を決めていた。このあたりが攻略法か。大栄翔は優勝した時のような出足の良さで,これで優勝できなかったのは不運というべきかそうでないか。琴ノ若は9勝で十分すごいのだが,周囲が皆10勝しているので埋没している。翔猿も動きは悪くなかったが,今場所は周りが良すぎた。

前頭上位。玉鷲は全く前に出る圧力がなく,らしくない相撲が多かった。御嶽海もあまりにらしくない相撲が多く,出足が止められると何もできなかった。あまりにも脆く,土俵を割る前から力を抜いていた相撲が多かった。よほどどこか悪いのだろうか。逆に出足が戻ってきたのが正代で,ケガが直ったのかプレッシャーがなくなったのか。最後に場所の前半を引っ張った翠富士。元から引き技は巧みで肩透かしの名手であったが,ちゃんと引けるだけの後背地を用意するだけの圧力がなかった。今場所の翠富士はその圧力があって低く中に入るのも上手かった。結果としてむしろ肩透かしがあまりなく勝ち星が積み重なった。どうしても圧力負けする相手,たとえば阿武咲には躊躇なく変化し,その変化もまた上手かった。

前頭中盤。高安は10勝ながら番付を考えるとむしろ優勝しても全然おかしくなかったと思う。千秋楽に豊昇龍を破って存在感は示した。宇良は今場所も名勝負製造機として活躍したが,土俵際で無理に粘るのは見ていて怖い。平戸海が右四つ左前まわしになると相当に強く,今場所は突き押しやもろ差しよりも形が良かった。これを磨いていった方がいいのかもしれない。あとは錦富士。中盤に崩れたが,序盤と終盤は好調であった。もろ差しか左四つなら相撲になったが,今場所は突き押しの相撲に敗れる場面が多く,上位挑戦だとそこが不安かもしれない。

前頭下位。カザフスタン出身の新入幕,金峰山は新入幕とは思えない強さを見せた。突き押しの人と聞いていたが四つ相撲でも十分に強く,右四つでも相撲になる。先場所は十両5枚目で11勝だったというのだから1場所ごとに急激に成長している。四股名について,師匠の木瀬親方(元肥後ノ海)の出身が熊本県でその地元の山から取ったとのことで,読みは「きんぼうざん」である。金峰山とは元は奈良県の大峰山を差し,蔵王信仰の拡大に沿って日本全国に同名の山があるが,最も有名なのは山梨県と長野県の県境にある金峰山であろう。日本百名山の一座を占め,読みは長野県では「きんぽうざん」,山梨県では「きんぷさん」になる。難易度がそれなりに高いので万人には勧めがたいが,実際に良い山であった。……私は大相撲観戦以外の趣味の登山と歴史が役に立ってちょっと感動している。

閑話休題,同じく新入幕の北青鵬は見るからにパワーだけで取っていて,これだけ勝てるのは大器である。相手の力士が技術を駆使して崩しにかかるところ,圧倒的なフィジカルで吹き飛ばすのは爽快ですらあった。これで腰がちゃんと割れて体勢が低くなり,投げの技術がついたら手がつけられなくなろう。白鵬の手腕に期待したい。最後に水戸龍。こちらもパワーはあるし右四つの形も良いのだが,動きが鈍重で幕内の速度についていけていないようにも見えた。調子の悪いときの魁聖を連想させた。もう少しだけ動きが機敏になればもっと勝てそうなものだが,改善されるか。


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2023年03月19日

2023受験世界史悪問・難問・奇問集 その3(国立大)

昨日の続き。本日は国立大をお届けする。集まったのはいつもの面々であった。一番注目されるべき問題が共通テストの日本史Bだったりするのは例年と少し違うところかもしれない。長くなったのでおまけは無し。東京外大は未入手。

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Posted by dg_law at 17:00Comments(16)

2023年03月18日

2023受験世界史悪問・難問・奇問集 その2(早稲田大)

昨日の続き。本日は早稲田大をお届けする。入試は7学部で収録した問題は14問であるが,そのうち3つの学部が10問を占めた。少し偏っている。

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2023年03月17日

2023受験世界史悪問・難問・奇問集 その1(慶應大)

今年も無事に公開に至ることができた。3巻が好評発売中なので,過去の年度,特に早慶・国公立以外を見たい方はぜひお買い求めください(初手宣伝)。



<収録の基準と分類>
基準は例年と同じである。

出題ミス:どこをどうあがいても言い訳できない問題。解答不能,もしくは複数正解が認められるもの。
悪問:厳格に言えば出題ミスとみなしうる,国語的にしか解答が出せない問題。
→ 歴史的知識及び一般常識から「明確に」判断を下せず,作問者の心情を読み取らせるものは,世界史の問題ではない上に現代文の試験としても悪問である。
奇問:出題の意図が見えない,ないし意図は見えるが空回りしている問題。主に,歴史的知識及び一般常識から解答が導き出せないもの。
難問:一応歴史の問題ではあるが,受験世界史の範囲を大きく逸脱し,一般の受験生には根拠ある解答がまったく不可能な問題。本記事で言及する「受験世界史の範囲」は,「山川の『用語集』に頻度,任發いいらとりあえず記載があるもの」とした。


<総評>
 昨年は早慶で30個で,今年は28個であるからほぼ同数である。内容はやや異なり,あからさまな校正ミスや意味不明な日本語による悪問・出題ミスが減った。一方で,調べの足りない単純な知識的なミスが増えた。ちょっと面白いのは,早慶で知識的なミスをやらかす時の傾向が異なっていて,それが強まった印象があることだ。慶應大は教科書に依拠しすぎていて,私でもすぐには典拠がわからず教科書5冊をじっくり読み返さないと見つからないようなところから作問している。特定の教科書1冊にしか無いような記述から出題しようとして教科書マニアになっているのだが,結果として教科書執筆者の筆が滑ったような部分,教科書の記述自体が怪しい部分から作問してやらかしていることが多い。これに対し,早稲田大は教科書を雑にしか読んでおらず,結果として作問者の史実誤認がストレートに出てしまい出題ミスや悪問になっていることが多い。どちらの大学も,もう少し中庸な態度で作問できないものだろうか。
 なお,早稲田大は2024年を最後に人間科学部と社会科学部の入試科目から地歴公民を外すと発表した。早稲田大は往時には世界史で9学部受験できたが,2025年にはとうとう5学部しか受験できなくなる。寂しい限りであるが,一方で悪問を量産して改善できないくらいなら廃止が検討されるだろうと考えると納得もする。世界史の観点から言えば,あの社会科学部が廃止されるのはやはり感慨深い。


以下,本編。本日は慶應大のみ。二日目が早稲田大,三日目が国立大である。
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2023年03月14日

ニコ動・YouTubeの動画紹介 2023.1月上旬〜2023.1月下旬



解説がわかりやすくて本当に助かる。やっと先頭フラグ・存在フラグ・隊列でエディさんが何をやっているのかわかってきた。





完璧な人類悪の顕現に拍手。Rimworldに子育てと遺伝子工学の要素が加わったと聞いて嫌な予感しかしなかったんだよな……想像通りの展開になった第7回は笑いながら鳥肌が立つという奇妙な体験をした。




完全に来たるべくして来た動画。中の人つながりというだけでなく(それを言うには厳密にはずれているし),ギター弾きという点も共通しているのがすばらしい。



古典芸能。いたじゃんMADの生命力がすごい。



まとめとして恐ろしく完成度が高い。




けっこう上手くて好き。



音源事情で一度削除された動画を,演奏してもらって復元。このお祭り動画が復活して良かった。





弦が切ってボトルネック奏法まで再現しているのが面白いし,さすがは公式チャンネル。



中村太地七段のおもしろ将棋シリーズ,めちゃくちゃ楽しいので好き。影武者は全然わからなかった。  
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2023年03月13日

ジャブローが架空の地名と知ってもあまり残念ではなかった記憶がある

・ガンダム世界の歴史教科書に「アムロ・レイ」は、どんなふうに載っているだろうか?(Togetter)
→ これはいろいろな角度から切れる面白い命題&難題で,自分が語るにはガンダム知識が足りなくて参戦できない。参戦できそうな角度だけで語ると,シモ・ヘイヘや呂布みたいものだから歴史の教科書には載らないだろうとは断定しない立場をとる。個人的武功だけでは歴史の教科書に載らないのは確かだが,アムロ・レイはガンダムとセットで歴史の流れを変えているので,この点でシモ・ヘイヘや呂布とは違う。どちらかというとポエニ戦争のハンニバルやスキピオに近い。あるいは百年戦争のジャンヌ・ダルクか。
→ Togetter内もはてブ内もけっこう「一兵士が歴史の教科書に載るわけないだろ」という論調が強かったのでこういうことを書いてみたのだが,背景に歴史オタクやミリオタの恨みつらみが透けて見えている感じで,この現象自体が面白い。俺たちの呂布が載ってないんだぞ,アムロも同様だろ的な。


・オデーサ(オデッサ)のアニメショップで「日本でオデッサの名はガンダムで知られている」と言ってみたところ「ガンダムはちょっと世代が違うので…」と言われた(Togetter)
→ 確かにガンダムで覚えた地名で,それから数十年経ってこういう形で地名が広がるとは思わなかった。これ以外だとダカールとダブリンの印象が強いかな。ついでに言うとセダンもそうなのだが,作中ではゼダンであり実際の地名ではなく中域の地名である。小学生だった当時,同時に『漫画世界の歴史』も読んでいたので印象深かった。しかし,現在の高校世界史では「スダン」の読みに変わった上に用語集頻度が△泙撚爾って大して出題されない用語になってしまった。少し悲しい。綴りはSedanなので,英語読みだとセダン,ドイツ語読みだとゼダン(forvoだとセダンという人もいた)になる。フランス語はわからないのでforvoで聞いてみたが,スダンのようなスドンのような発音になるっぽい。ガンダム作品は濁点をつけがちなので,ゼダンを採用したのはわかる感じ。


・Netflixとかによる一斉配信やディズニープラスによる独占配信はアニメの話題形成に失敗している?「全然話題にならない」「一週間待つのが良かった」(Togetter)
→ それぞれの形態によるメリット・デメリットはあれど,日本のアニメはもう皆一週間に一話放映され,その間に深読みとファンアートで話題を盛り上げる消費様式に慣れきってしまっているので,一斉配信が来ると戸惑う。一度に大量の情報が来てしまうと消費が難しい。これが映画やゲームなら一度に大量の情報が来るのもやむなしなので,それを数週間かけて消化していく形になるから,できなくはないのだろうが,アニメというジャンルに入った途端その長期間書けた消費が異端になってしまう。しかも一斉配信で話題になるような強みのある作品であれば,おそらく一週一話流しても話題になる。
→ 独占配信は別の問題で,その作品の訴求力でプラットフォームの加入者数が増える見込みなのだろうが,実際にそのハードルを超えるほどのファン層はよほどの巨大コンテンツでもなければ多くない(現実的に今独占配信されて私がついていくコンテンツはちょっと思いつかない)。コンテンツを支えているのはもう少し周辺のファン層だが,このファン層はそのハードルを超えてくれないので,話題にならなくなって埋没してしまう。話題にならなくてもコアなファン層に訴求でき,プラットフォームに貢献できて,独占配信に伴う契約で利益が上がるという計算なら,製作者としては独占配信が選択肢に入るか。


・三大同じ単語なのにカタカナ英語で区別されてるやつ(増田)
→ セカンドとセコンド以外だと,ぱっと思いつくのはアイアンとアイロン,ガラスとグラスか。他のブコメで挙がっていて確かにと思ったものは,ストライク・ストライキ,マシン・ミシン,テキスト・テクスト,モバイル・モービル,ランチとローンチ。  
Posted by dg_law at 03:00Comments(0)

2023年03月07日

何気ない一作が大当たりして美術史の教科書に載るのは珍しいかも

・『嫌いとかではないけど、自分の人生に入る引き出しがない』人気ミュージシャンの曲が"刺さらない"人の秀逸な表現(Togetter)
→ この表現が微妙に覚えにくくて使っていないのだけど,言いたいことはよくわかる。音楽なら,一度聞いて良い曲だなと思っても,あるいはまあまあ好きだなと思っても,すでに似たような曲が脳内にあったり,特別趣味にあっているわけではなかったりして,聴き込んだり同じアーティストの別の曲を聞こうという気力までは起きない。一目惚れ的に次のアクションを起こすための気力が湧くほどには好きではない。流行の曲だとこうなりがちだから,Togetterの発端も音楽なのだろう。
→ 漫画やアニメやゲームなら,やはり流行の作品や,何か勧められたとして,その中にはちゃんと触れれば好きになる可能性があるなと自分でも思う作品が含まれる。でも即座に反応して触れるほど惹かれたわけではないし,じゃあ後で触れるかと言われると,それに近い作品がすでに心の中に存在していて,同じ枠にもう一つ入れるほどの時間的余裕が無い。それよりも他に触れなくてはいけないものがある。だから結局触れずに終わるか,非常に後になってから触れることになる。人生は有限なのだから,特別心の琴線に触れたものしか愛する余裕が無い。なるほど,いろいろな事情から「自分の人生に入る引き出しがない」となる。
→ とはいえ人間の感性は変わっていくものだから,数年ぶりにそれに触れてみると「ああ,前までの引き出しの形に合わなかったんだな」としっくり来ることもある。Togetter内にもある通りで,突然過去に流行したものにはまってしまったりすることもある。この喩えで言うなら,意外と変形が効いて,多くの人の引き出しの形にフィットしやすいものが古典として生き残っていくのだろう。


・100年以上猛暑日なし…関東の意外な避暑地 千葉・勝浦「夜は寒い」クーラーつけず長袖も(FNN)
→ 天国じゃん。海洋性気候は気温の日較差・年較差が小さくなるのは,地理・地学の基礎的な事項だからわかる。それにしたって極端で,他の房総半島の地域との違いがよくわからない。記事中の説明を読んでも,建物も山も低くて風が通り抜けやすいのは同じだろうと思うし,海水温が上昇しない理由は説明されていない。ググって出てきた別の新聞記事でも,隣の鴨川市との違いについて「観測地点が勝浦市よりも陸側にあるから」という説明で,観測地点同士で比べればそういう話になるんだろうけど……ということで本質的な説明ではなかった。不思議。


・焼却炉から金銀31キロ、3700万円に 新技術に相模原市長ご満悦(朝日新聞)
→ 都市鉱山は言われて久しいが,埋める前に拾えるならその方が楽かもしれない。約1億円分の金銀が回収されて市に3700万円の収入があったのなら結果は大成功と言える。何年分のゴミを燃やして金銀が31kgも溜まっていたのか,そこが知りたい気はする。どの程度こまめに回収すれば採算がとれるのか,もう企業は計算しているだろう。儲かるなら他の市町村でもやるべきだが,続報はあるのだろうか。


・19世紀のドイツ人画家による絵画『鬱陶しい紳士』のオッサンがまじで鬱陶しくて表現力に脱帽しちゃう件(Togetter)
→ この《鬱陶しい紳士(Der lastige Kavalier)》は美術史の本でたまに見かける印象。19世紀後半のドイツ人のアカデミー美術なんて西洋美術史からすると傍流で研究も盛んではないはずで,画家のベルトルト・ヴォルツェ(Berthold Woltze)もさして有名ではなく,他の絵を見ても普通に上手い19世紀アカデミーの画家という感じでしかない。それはWikipediaに8言語分しかページが無いところで十分察せられる。なぜか日本語版Wikipediaが一番詳しい(内容が正確かはわからない)。それでもこの作品がピンポイントで紹介されることが多いのは,それだけインパクトがあって鑑賞者の心に共感が残るのだろう。実際にこの作品,おっさんの鬱陶しさがわかりやすい。いるいる,こういう人。しかもよく見ると喪服で泣いている女性に話しかけて鬱陶しがられているから最悪である。亡くなったのは親か夫か。奥の老人の嫌そうな顔も良い。本作品はWikipediaの日本語・英語・ドイツ語版のいずれでも代表作っぽい扱われ方だったので,国際的にもヴォルツェの作品の中では本作が最も知名度が高いのだろう。ついでに言うとBerthold WoltzeでググるとサジェストにDer lastige Kavalierが出てきて笑った。英語やドイツ語でも同様に検索されているのではないか。  
Posted by dg_law at 12:00Comments(0)

2023年03月06日

マレーシアの盆踊りは世俗化が進めば日本でいうクリスマスになりそう

・マレーシアでは日本の盆踊りが3万人参加の人気イベント→宗教的な理由で論争に「海外の盆踊りって…」(Togetter)
→ これは知らなかった。不思議なところで定着したものだ。仏教行事は世俗化しがち,他の宗教と習合しがちなイメージがあるが,この事例もその一環なのだろうか。
→ 世俗化しているけど仏教行事には違いないので,ムスリムとしてありかというのが議論の対象になるのは理解できる。政治家がケチをつけて,スルタンの側が「単なる文化行事」と言っているのも面白い。政治家は市民の宗教心を煽って支持につなげたいが,スルタンは行事を穏当に定着させたいからそのせめぎあいだろう。本来なら政治家が大衆の支持という比較的新しい権力基盤で,スルタンが伝統的権威に拠っているのだから,ねじれている。


・イスラム教の大巡礼、今年は100万人参加(AFPBB)
>「巡礼できるのは65歳以下のワクチン接種を完了した人のみとされ」
→ ハッジでさえこうなってるのは面白い。面白いというにはかわいそうかもしれない。ムスリムにとっては一生に一度かもしれない重要な行事であるわけで,それがこう限定をつけられた挙げ句に抽選という。(行くべきとされている年齢という意味での)時期が決まっているわけではないから,外れたらまた来年応募すればよいのではあるが。2020年は数千人,2021年は6万人と記事中にあるから100万人は一気に回復した。3年間ひっくるめて,新型コロナウイルスの流行は1400年近く続く宗教行事にも影響があると思うと,改めて世界史的大事件である。
→ 逆に考えると全世界から100万人を優に超える応募があり,85万人分のPCR検査の陰性証明書の提出をさばいて実施するのだから,情熱とサウジの威信をかけた処理がすごい。アラビア語と信仰心による紐帯だなぁ。


・食べ物の味と見た目を変える装置、明大が開発 「牛乳→カニクリームコロッケ」などに変身 「エリンギ→毒キノコ」も(ITmediaNEWS)
→ 明治大学によるプレスリリースはこちら。
→ 最大の目的はアレルギーの人でも味を楽しめるようにということだろうが,個人的にはこれでベニテングダケ味がある程度再現できるなら食ってみたい。 というのもベニテングダケは美味とされ,その旨味成分自体に毒性があるためである。研究者の方もそれがわかっているからプレスリリースのためにベニテングダケ味を用意したというのはありそう。


・<わけあり記者がいく>手術に適応?いざ検査 薬抜き 私の体は幻覚の嵐(東京新聞)
→ このシリーズは面白い。パーキンソン病が,さすがは記者という筆致で書き起こされるので,何が起きて何に苦しんでいるのかがわかりやすい。また記者が積極的に最新医療を受けにいっているので,その進捗も良い。最近はパーキンソン病を脳に電極を埋め込んで治すのだな。ドクターKシリーズでこの辺を触れた話はあったか,よく覚えていない。
→ しかし,このシリーズは面白いのにまとめて読もうとすると新聞内を"<わけあり記者がいく>"で検索するしかなく,不便である。シリーズでまとめて項目を立てておくと目立つし,良いのではないか。  
Posted by dg_law at 03:01Comments(0)