2005年05月21日

グッバイレーニン!

ドイツ映画では最も有名、でもドイツ映画自体が超マイナー(苦笑),そんなわけで初めてドイツ映画見た。

内容は簡単に説明。1989年10月、東ベルリン。生粋の社会主義者である母が、息子が反社会主義デモに参加しているのを見て心臓発作を起こし倒れてしまう。8ヶ月後,母は奇跡的に目を覚ますも、時は1990年6月。母は、社会主義政権は崩壊したことも、ベルリンの壁が壊れたことも、街にコカコーラの支社ビルが建ったことも知らない。だが、医者は「簡単なショックを与えただけで、また心臓発作で倒れるだろう。次は命の保証はできない」と言う。ここから主人公の涙ぐましい努力が始まった…

この映画、すごく笑える。主人公が、母の生活環境の周りだけ東ドイツ時代に戻そうと努力する様子が非常に滑稽。まずは押入れに閉まってしまったぼろぼろの家具を元に戻し、東ドイツ時代の商品を探し回ったり、果てにはテレビのニュースをごまかすために、自分で番組撮影までする。その無茶っぷりがおもしろい。

でも皮肉なことに、母が治れば治るほど母の行動範囲が広がってしまい、ごまかしきれなくなっていく。そしてとうとう母は…ラストは一転して感動できる。この映画のすごいところは、単なる家族愛で終始しなかったところだと思う。特に、早すぎる時代の流れについていけない人々をうまく描いている。「東西ドイツ合併は成功だったか?」というアンケートをこの間ベルリンでとったところ、意外にも失敗だった意見が多かった、というニュースを耳にした。15年経って、こうなのだ。直後の混乱なんて想像できない。

それに、社会主義崩壊のドラマなわけだけど、けっして資本主義を称揚してない。コカコーラやハンバーガーチェーンが東ベルリンに「侵略」してくる様子を、生々しく描いていた。もちろん、社会主義だって賞賛しているわけじゃない。この映画の描く東ドイツの貧しさは目を覆うものがある。本当にここは西ヨーロッパか。結局どっちもどっちなのだ。

こうした多くのメッセージを載せつつも、家族愛をメインテーマにして、2時間でよくまとめていると思う。心にいやしが欲しい人はどうぞ。ドイツ語の勉強にもなります…多分。

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