2005年05月27日

犬がかわいかった

latour
今日も講義が無かったので、上野の国立西洋美術館までラトゥール展を見に行って来た…断じてさぼりではない。本当に。

ラトゥールの知名度が低そうなので説明しておこう。ラトゥールは17世紀フランスの画家で、バロック派の画家である。光と闇の使い方で高評を博した。自分の好きな画家カラヴァッジョの影響が大きいので、行ってきた。今回はすごい。そもそもラトゥールの真作と認められた絵自体世界で40作品しかなく、今回はそのうちここに20作品も集まったのだから。残りは模作や写真で埋める形となっていたが、仕方が無いと言えるだろう。


ではしばし絵の感想を。評判通り、光の使い方がすばらしい。通常は光を観察者の側から当てるはずだ。しかし、ラトゥールは絵の中に光源を描き、その光源から光を拡散させることで現実感を生み出すという技法を確立した人物であり、そのリアリズムは卓越していた。

多分上の説明ではなんのことかさっぱりわからないと思うので、例を挙げる。ラトゥールは作品中にしばしばろうそくを描くのだが、そのろうそくを中心に光が広がり、遠ざかるにしたがって暗くなっていく。そうすることで、作品の外にある観察者の視点を、作品の登場人物のように作品中に取り込み、より深い現実感を与えることに成功しているのである。ここが革新的だ。

あと二日で終わってしまうが、東京在住の人は是非。おそらく、もう二度とこんな珍しい企画はあるまい。

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