2005年10月15日

作った人に感謝

atheneそういえば、昨日書き忘れたのだが、南北線東大前駅には粋な計らいがある。壁に大きな絵が飾ってある。それは「アテネの学堂」と呼ばれる作品の抜粋だ。(言うまでも無く上の画像も抜粋)

この絵はギリシアの哲学者を全員集合させたとてつもなく巨大な絵でラファエロの傑作。バチカン市国にある、聖ピエトロ大聖堂の署名の間の壁画である。キリスト教の聖地である場所にギリシア哲学者が全員集合しているというのも何だかおかしな話ではあるが、キリスト教神学にギリシア哲学が援用されだしたことを考えればおかしくはない。

少々浅学ながら絵の解説をしてみると、両側に門の柱を立てることで構図を安定させ、真ん中の二人、プラトン(はげてる方)とアリストテレスの二人に焦点をあわせるというやり方は実にうまい。やはりこの二人がギリシア哲学の代表というのは、二千年間変わらないことらしい。ちなみにプラトンは指を上に指し、アリストテレスは手を下に伏せているという動きも、わかる人にはおもしろい造詣だろう。

立ち位置も非常によく考えられている。なぜならこれら哲学者は数グループに分かれて立っているが、これは分野別のグループである。そしてそのもっとも注意のあたる位置にプラトンとアリストテレスの二人を中心とした哲学のグループがあるのは、哲学が全ての学問の中心だったということを示している。また、本当の哲学者の顔なんて残っていないことをいいことに(超有名人なら彫刻は残っていたが)、各哲学者の顔は当時のイタリアの芸術家の顔を拝借している。プラトンの顔はレオナルド・ダ・ヴィンチである。こうしたちょっとした遊び心があるのは嬉しいものだ。まあまだまだ解説しようと思えばできるのだが、話の本筋ではないので省略。詳しくは「まなざしのレッスン」におおよそのことは書いてあるので、興味がわいたならそちらを立ち読みしてほしい。


で、何が言いたいかというとこれを一週間に一回ではあるけれども、見ると本郷に来たな、学問の聖地だな、という気になる。満員電車で「もう帰りたい」と思った頃に見るから、余計にすばらしい。何より「アテネの学堂」というチョイスがいい。「モナ=リザ」とか「民衆を導く自由の女神」とかは確かに名画だが、あれを朝から見つめる気力にはならないし、大体東大とは全く関係が無い。とにかくナイスチョイスなので褒めちぎってみたが、通学中もしくは東大見学に来た際、三四郎池なんてどうでもいいから、ぜひ一度はこっちを見ていくべきだろう。