2005年10月18日

認知度が微妙なライン

Moreau文化村のギュスターヴ・モロー展に行ってきた。モローというと、自分の中ではサロメのイメージしかないが、前もって調べていくにフランス国立美術学校の教授で、ルオーやマティスが教え子にいたらしい。意外だ。全然似てない。モローは一応象徴主義には分類されるが、独自の道を行っている気がせんでもない。

今日の展示でも神話や聖書の話を多く書いたモローらしく、歴史画重視だった。特にサロメは大量に飾ってあった。さすが。習作を見せた後に完成品を持ってくるという展示の仕方もうまい。こうやって絵画ができていくのね、と勉強になった。ただ問題は、なんか大量の習作でごまかされた気が。あんまり完成品の量が無かったぞ。どう考えても50いってない。これで900円(大学生)は高い。

モローの特徴はある意味わかりやすい。わざとしっかり塗ってないというか。かすれ具合を大事にしているところがある。左のプロフィールに載っている自分の好きな画家を見ればわかる人にはわかるように割りとしっかり塗る人が好きなので、個人的な趣味には合わなかったが、これはこれでおもしろいと思う。王宮の壁の擦れた感じとか、サロメの服の刺繍の複雑さとか、効果的に残している。「夢の中にしか本当の現実は無い」と言ったのはボードレールで、それを絵画にしたのがモロー、と展示冒頭の説明文に書いてあったが、夢よりもっと幻想的な世界への旅路だったように思われる。

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