2005年10月24日
Life is beautiful
昨日のブックレビューとイタリアつながりで、というわけではないが「Life is beautiful」を見た。戦場のピアニストと似たような路線で、要はホロコーストの話だが内容は大きく違う。
戦場のピアニストは主人公がけっこう静かな人で、ポーランド系ユダヤ人。つまり迫害の理由十分な人で、これでもかというくらい次第に最悪な状況に追い込まれていく。期間も非常に長い。作中では詳しく語られていなかったように思うが、10年近い逃亡生活だったのではないだろうか。そして、彼は常に一人である。生きる意志は最初はいろいろな理由があったのだが、物語途中から(特にワルシャワ陥落直前あたりから)純粋に生きたい、という自己目的化しているような感じが強い。
一方Life is beautifulの主人公はすごく陽気な人で、典型的なイタリア人だ。ユダヤ人と言われても納得がいかないくらい。さらにイタリアということでユダヤ迫害開始も遅く、終戦も早い。こちらも詳しくは語られていないが1年か2年じゃないだろうか。主人公の陽気さもあって、また彼が一緒に連れてこられた妻や子供のため生きようとしている姿もあって、あまり悲壮感は無い。「楽しくなくては生きる意味が無い」というよりも、「生きているからこそ楽しくしよう」というのが伝わってくる。
両者に共通していることは、「とにかく生きよう」という意志だ。しかしその根源も結果も違う。偶然ではあるが、うまく好対照となっている。細かな共通点としては、両者とも現地民、すなわちポーランド人とイタリア人の妻がいるということだ。これは簡単に別離の悲劇を演出できるし、再会の喜びも演出できるという物語構成上の理由だと思われる。しかし、これは単純に戦場のピアニストを先に見てしまったという理由であってLife is beautiful自体は悪くないのだが、正直二度も同じ手段を使われると冷めてしまった。
自分としては「生きているからこそ楽しい人生を」という姿勢には非常に共感できるし、この姿勢こそまさしく美しい。特に、ウィットの効いたジョークがたくさん出てくるところがおもしろかった。だからLife is beautifulも好きだが、単純な映画としてのインパクト、感動できる具合としては、戦場のピアニストのほうが上だと思う。やはりあれだけの衝撃は絶望的なまでの悲劇じゃないと演出できないのだろう。あとシンドラーのリストを見れば、ホロコースト系の有名作品はコンプリートと言えるかもしれない。悪いが、東大教官がなぜか口をそろえて賞賛するショアーは講義中少しだけ見たが、長い&歴史は動いた的誇張が多いので、見る気がしない。
戦場のピアニストは主人公がけっこう静かな人で、ポーランド系ユダヤ人。つまり迫害の理由十分な人で、これでもかというくらい次第に最悪な状況に追い込まれていく。期間も非常に長い。作中では詳しく語られていなかったように思うが、10年近い逃亡生活だったのではないだろうか。そして、彼は常に一人である。生きる意志は最初はいろいろな理由があったのだが、物語途中から(特にワルシャワ陥落直前あたりから)純粋に生きたい、という自己目的化しているような感じが強い。
一方Life is beautifulの主人公はすごく陽気な人で、典型的なイタリア人だ。ユダヤ人と言われても納得がいかないくらい。さらにイタリアということでユダヤ迫害開始も遅く、終戦も早い。こちらも詳しくは語られていないが1年か2年じゃないだろうか。主人公の陽気さもあって、また彼が一緒に連れてこられた妻や子供のため生きようとしている姿もあって、あまり悲壮感は無い。「楽しくなくては生きる意味が無い」というよりも、「生きているからこそ楽しくしよう」というのが伝わってくる。
両者に共通していることは、「とにかく生きよう」という意志だ。しかしその根源も結果も違う。偶然ではあるが、うまく好対照となっている。細かな共通点としては、両者とも現地民、すなわちポーランド人とイタリア人の妻がいるということだ。これは簡単に別離の悲劇を演出できるし、再会の喜びも演出できるという物語構成上の理由だと思われる。しかし、これは単純に戦場のピアニストを先に見てしまったという理由であってLife is beautiful自体は悪くないのだが、正直二度も同じ手段を使われると冷めてしまった。
自分としては「生きているからこそ楽しい人生を」という姿勢には非常に共感できるし、この姿勢こそまさしく美しい。特に、ウィットの効いたジョークがたくさん出てくるところがおもしろかった。だからLife is beautifulも好きだが、単純な映画としてのインパクト、感動できる具合としては、戦場のピアニストのほうが上だと思う。やはりあれだけの衝撃は絶望的なまでの悲劇じゃないと演出できないのだろう。あとシンドラーのリストを見れば、ホロコースト系の有名作品はコンプリートと言えるかもしれない。悪いが、東大教官がなぜか口をそろえて賞賛するショアーは講義中少しだけ見たが、長い&歴史は動いた的誇張が多いので、見る気がしない。
Posted by dg_law at 00:19│Comments(0)│