2006年02月24日

第48回「イメージを読む 美術史入門」若桑みどり著 講談社

若桑みどり氏の美術史入門書第二段。特徴としては、向こうがテレビ番組の収録という関係上、多くの絵画を取り扱い、短く、少しずつ解説しているのに対し、こちらは大学の集中講義なので一枚の絵に対してかなり長く語りを入れるという形になっている。

確かに、美術史とはいかなる学問かを考えるにおいては、向こうよりもこちらのほうがわかりやすいかもしれない、そういうテーマの下で書かれているのだから。しかし、本人はこっちのほうが簡単だ、と書いているが、実際の絵画に関する説明としては向こうのほうがわかりやすいと思う。そこら辺は人それぞれなのかもしれない。

なお、扱っている絵画は「最後の審判」(ミケランジェロ)、「モナ=リザ」(レオナルド・ダ・ヴィンチ)、「メランコリア1」(デューラー)、「ラ・テンペスタ」(ティツィアーノ)の4枚であり、それぞれ違う題材の絵画を扱っているので入門としては非常に妥当な選択だと思う。ただ、こっちもイコノロジー読解になっていて、向こうとの違いをもっと明確に見せてほしかった気もするが。また、まだ「ダヴィンチ・コード」が世の中に広まる前に出版された本なので、そういう視点から見た「モナ=リザ」の解説もおもしろかった。

読むかどうか迷うなら、「絵画を読む」を読んでから考えてみると良いと思う。



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