2006年06月10日

saving private ryan

リアルな戦争描写で有名なこの作品だが、他の戦争映画では考えられないような血しぶきの飛び方をしていてびびったことは確かだ。真っ赤に染まる海と、腸のはみ出た死体。史上最大の作戦と呼ばれるノルマンディー上陸作戦だが、公開当時アメリカでは15禁になったというのもうなづける話だ。日本は規制が無かったが、緩いのか、それとも日本人が死んでるわけじゃないからか。ちなみに98年だから、当時は自分は15歳じゃなかった。

ストーリーのアウトラインはいかにもハリウッド的スピルバーグで、フィクション100%という感じだが、珍しいのは陸軍上層部を批判していたこと。3人の兄弟が戦死したライアン一家のために、末の弟を前線から故郷へ連れ戻す、という話なのだが、この無茶な命令を出したのは司令部なわけで、実際ライアンを助けるために部隊は多大な被害を受けることになる。それ以外にもよく見ると、随所に「前線を理解して無い司令部」を批判してる節が見られ、ここはハリウッド的じゃないな、と思った。


インディペンデンスデイとかアルマゲドンとか見てチープだなあと思ったら、この映画でもどうぞ。

以下、ネタばれ。
やはり最も意見が分かれるのは、アパムの行動だろう。彼は本来事務員で銃は訓練でしか撃ったことがなく、にもかかわらずフランス語通訳要員として部隊に組み込まれた。そして実際戦闘に参加すると銃弾の補給という任務を請け負ったにもかかわらず、逃げ惑い部隊に大きなダメージを与えてしまう。そんな彼が唯一殺したのは、戦闘が終わり投降したドイツ兵が自分に対して罵倒したときである。

正直、腰抜けだと思う。だが「実際戦争未経験者が戦場に出たらあんな感じになるんじゃない?」という意見にも非常に同意できる。それこそ戦争に参加したことは無いし、する気も無いからそれこそわかるはずが無いのだが。

ただ逃げ惑うだけなら観客の好意を惹くこともできたのだが、最後の最後で彼にドイツ兵を、それも投降兵を、殺させてしまったところがこの映画の演出の最もうまいところだ。あの一瞬のシーンで観客の心情を大きく変えてしまった。さて、皆様はどう思われただろう?

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