2006年11月15日
第85回「自画像の美術史」三浦篤著 東京大学出版会
アイデンティティに対する関心が強まった近代以降、自画像の特殊性についての言説は尽きることが無い。それを一冊に凝縮したのが、この本といえるから、このブックレビューで長々と解説するのはよくないだろうから、この本に任せることにしたい。ともかく、かなり美術史の生徒向けに描いたといえる本なので一般的とは言いがたいものの、自画像についての基本書として的確な本である。
東大出版会の本に言えることだが、絵に白黒が多いのが非常に惜しい。値段の兼ね合いもあるのだろうから、仕方ないが、見づらい部分は多々あった。あとの心残りは、佐藤先生の書いた日本美術における自画像の部分が短く、あまりにも概説すぎて逆にわかりにくい。佐藤先生が長く書くにしろ二人に分けるにしろ、もう少し長い文章が必要だろう。
そういう細かい欠点を抜きにすれば非常に優良な本ではある。最大の問題は、意外と需要か。「今までこういった概説書が無かったから作ってみた」といった要旨のことが前書きに書いてあって最初は意外に思ったが、確かに無ければ無いでも世の中はあまり困らない本かもしれない。
自画像の美術史
東大出版会の本に言えることだが、絵に白黒が多いのが非常に惜しい。値段の兼ね合いもあるのだろうから、仕方ないが、見づらい部分は多々あった。あとの心残りは、佐藤先生の書いた日本美術における自画像の部分が短く、あまりにも概説すぎて逆にわかりにくい。佐藤先生が長く書くにしろ二人に分けるにしろ、もう少し長い文章が必要だろう。
そういう細かい欠点を抜きにすれば非常に優良な本ではある。最大の問題は、意外と需要か。「今までこういった概説書が無かったから作ってみた」といった要旨のことが前書きに書いてあって最初は意外に思ったが、確かに無ければ無いでも世の中はあまり困らない本かもしれない。
自画像の美術史Posted by dg_law at 00:10│Comments(0)│