2006年12月18日
隠者の庵、という意味らしい

最初は知らん画家ばっかりでやや不安になったが、後ろに進むにつれ大物が出てきて安心した。別に知名度にこだわるわけではないが、やはり大物のほうがうまいと思えるものが多いのは確かだ。というか自分がわからなかったのは、単に今回の展示がジャンル別で分けられていて、1部が「家庭の情景」、2部が「人と自然の共生」、3部が「都市の肖像」だったので、単に自分が風俗画に詳しくないだけなのかもしれない。風景画と静物画なら自信があるのだが。
知らない画家でももちろんすごいと思った作品は多い。まだまだ勉強が足りない。せめて専門に近い範囲や好みの画風の画家の名前は覚えてしまいたいものだ。というより、そうやって覚えていくのが一番の近道なのではないか。たとえば↑の絵はフラマンというアカデミーの画家の非常にすばらしい絵だが、全く知らなかった。
もちろん今回の展示で自分が一番注目したのは第2部の風景画なわけで、ライスダールもロランも大作が来ていて、それだけでも来たかいがあったと思える。もっとも、彼らの作品は大作志向なうえにそもそも数が多いので実はしょっちゅう見ており、大してありがたみはなかったりする。
ちょっと専門的な話をすると、一応美術史上ではライスダールが写実的な風景画で、ロランが理想的風景画と区別されるが、極端に反対なものはどこかで一致してしまうという一般的な法則の通り、彼らの作風はどこか似ていると思う。もっと正確に言うと、ライスダールの作品も十分理想的風景というか、確かに題材となっている風景はありふれた光景なんだけど、うますぎて現実には見えない。ロランは最初からそこをあきらめているというべきか、見た瞬間「こんな風景無い」と思える。
もっともライスダールの作品は確かに荒々しく、ロランの作品は優しげで、その意味では確かにライスダールが現実主義でロランが理想主義なのかもしれない。そうすると、自分の好きなロマン派の風景画はどこに置くべきだろうか。絶対に現実にはないような理想主義的な風景ながら、荒々しい。非常に興味がある。似たような理由で、廃墟画も好きだ。今回の展示にも複数の作品が来ていた。
カタログを買って帰った。見てみるとかなり気合が入ってるのか、キャプションがめちゃくちゃ詳しい。これは金欠ながら、いい買い物をしたと思う。
Posted by dg_law at 23:50│Comments(0)│