2007年03月27日

秒速5センチメートル

相変わらず、桜の花びらと宇宙(空)が好きな人だなあ、と。物語としては、とても甘酸っぱい気持ちにさせてくれる、まあいつもの新海誠。

新海さんのすごいところは、あまりにも美しすぎる自然背景とそれを活かしきって動き回るカメラワークにあると思う。KEYの作品で言うところの「えいえん」や「幻想世界」にあたるような部分と、「現実」の境目がより曖昧になっていて、それが彼の映画に共有されるテーマ性と非常にマッチしている。やっぱり彼はすごいや。

だから、紙飛行機を飛ばすシーン、お前それ『ef』のムービーと全く同じやんなんて野暮な突っ込みは、けしてしてはいけないのである。天門の音楽も、すばらしいんだけど全部同じに聞こえる、とかね。

あと、わかる人にだけ書くとすごく『はるのあしおと』をしてる作品だった。


以下、ネタばれ。

(小学生の)明里かわいいよ明里。第一話ヤバイ。宇宙ヤバイ。何あの文学少女。萌えすぎ。

まあそんな戯言は置いといて、思うにこれはどのくらい新海関係の作品に触れているか、というのでやや感想は変わってくるだろう。「大いなる断絶」(この断絶は「男女間の断絶」であり、「少年少女と大人との間の断絶」でもある)というテーマ性は、『ほしのこえ』も『空の向こう、約束の場所』でもそうだったわけで、今更あのバッドエンドにどうこう言うべきものでもない。むしろマンネリ気味でさえある。

環さんが指摘しているように、この物語にはエンターテイメント性が薄い。だがそれも『はるのあしおと』や『ef』を想起すれば、「minoriからすればいつものこと」だと納得できる話ではないか。どっちも物語中に、ほとんど何も事件が起きない。ただ、淡々と主人公とヒロインの精神的な成長だけが描かれている。ハッピーエンドということだけが、新海誠単独作品との違いと言える。(逆に言えば、新海一人で「はるあし」という映画を作ったら、主人公は最後NEETに逆戻りだろうか。)

自分の場合は、昔からそうだが、唯美主義者なので美しければ何でも感動してしまうところがあるので、別に物語に起伏が無かろうともたいした問題じゃないし、テーマ性もその演出も非常に美しかったので感動できた。だが、万人がそうじゃないことも確かで、特に『空の向こう』に比べてごっそり物語的な部分をそげ落としたのが、どう評判に影響したかな、という感じ。

もう一つ大事な点を挙げるなら、『ほしのこえ』も『空の向こう』も完全なセカイ系だが、今回は思いっきりそれを否定した形となる。社会性という点を「大いなる断絶」というテーマに組み込むにおいて、セカイ系という特殊な環境は魅力的である一方邪魔な存在にもなったのだろう。

要するに、一つの思い出のために人生を棒に振る「まで」のストーリーが『秒速』。振って「から」の再生が『はるのあしおと』だ。この映画に感動できた人でまだはるあしをやっていない人は、ぜひプレイしてほしい。感動できなかった人は、一生minoriの作品には触れないほうがいいだろう。

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この記事へのコメント
>唯美主義者なので美しければなんでも感動してしまう
なるほど。なんで新海作品がここまで世間的に持て囃されてるのか
今いちピンときてなかったのですがこれで納得。
「美しいだけ」というのを肯定的に捉えるか、否定的に捉えるか。
DG―Lawさんが前者なら自分は後者です。やっぱ「物語」はないと。

あと春休みでヒマなうちに個人的にオフで会いませんかー?と
思ったりしたのですがこういう申込みはどこに送れば良いのでしょう。
Posted by 環 at 2007年03月28日 16:11
>「美しいだけ」というのを肯定的に捉えるか、否定的に捉えるか。
そこはほら、自分美術史専攻ですからw

>あと春休みでヒマなうちに個人的にオフで会いませんかー?と
>思ったりしたのですがこういう申込みはどこに送れば良いのでしょう。
別にこのコメ欄でいいですよw一応メアドさらしておきますね。
ただ、自分残りの春休みは若干忙しいのに学期始まると暇になる謎NEETなので、どうしましょうか。

Posted by DG-Law at 2007年03月29日 18:58