2007年04月15日
第99回「ローマ人の物語15 ローマ世界の終焉」塩野七生著 新潮社
『ローマ人の物語』もとうとう最後の巻である。しかし不思議と13巻や14巻で感じた寂しさは無い。やはり自分にとってここに描かれている国家は感覚的にローマではないのだろう。なんというか、全然見知らぬ国が愚策に愚策を重ねて勝手に滅びていくのをただ眺めているだけ、という感じだった。
どこまでを「ローマ人」と塩野女史が設定するのかが読む前の最大の関心事だったのだが、それはユスティニアヌスまでであったらしい。ユスティニアヌスの死をもって、この本の終わりとなっている。とは言っても読んでみると実際には彼女が最後のローマ人と設定したのはこの本の1/3を過ぎたところですでに死ぬ、スティリコという将軍であった。つまりそこから先は彼女にとって、エンディングスタッフロール後のおまけのようなものであり、描く気はあまりないけど尻切れトンボなのも気持ちが悪い、という程度で書いたものだったのだろう。ずいぶん駆け足な上に「ローマ人らしからぬ」という言葉ばかりである。
『ローマ人の物語』がすごいのは、何より完結したということである。それもいくつかの信条を保ちながら。けして研究書ではないながら長大でかつ含蓄があるという点では、彼女が参照にした古代の歴史家の著作によく似ているのではないだろうか。プリニウスもタキトゥスも、きっと満足なことだろう。
ローマ人の物語〈15〉ローマ世界の終焉
どこまでを「ローマ人」と塩野女史が設定するのかが読む前の最大の関心事だったのだが、それはユスティニアヌスまでであったらしい。ユスティニアヌスの死をもって、この本の終わりとなっている。とは言っても読んでみると実際には彼女が最後のローマ人と設定したのはこの本の1/3を過ぎたところですでに死ぬ、スティリコという将軍であった。つまりそこから先は彼女にとって、エンディングスタッフロール後のおまけのようなものであり、描く気はあまりないけど尻切れトンボなのも気持ちが悪い、という程度で書いたものだったのだろう。ずいぶん駆け足な上に「ローマ人らしからぬ」という言葉ばかりである。
『ローマ人の物語』がすごいのは、何より完結したということである。それもいくつかの信条を保ちながら。けして研究書ではないながら長大でかつ含蓄があるという点では、彼女が参照にした古代の歴史家の著作によく似ているのではないだろうか。プリニウスもタキトゥスも、きっと満足なことだろう。
ローマ人の物語〈15〉ローマ世界の終焉
Posted by dg_law at 16:54│Comments(0)│