2007年05月19日
第103回「ドイツ人とドイツ美術 やっかいな遺産 」ハンス・ベルティング著、仲間裕子訳、晃洋書房
ドイツには醜い形象に対する耐性、言い変えるならば受け入れる土壌があった。醜い形象と言っても二通りに分けることができる。一つは醜い作品、つまり下手だったりわざと汚く描いてあったりする作品で、もう一つは醜いものを表現した作品である。ここでの「醜い形象」とは、後者を指す。その理由について、延々と弁解してみたりフォローしてみたりしているのがこの本である。
加えて、サブタイトルにあるように、「ドイツ特有」という属性は政治的に複雑な状況が数百年前からほんの15年ほど前までずっと続いてきたドイツにとって、極めてめんどくさいものであった。具体的に言ってしまえば中世から1871年ドイツ帝国成立に至るまでの諸侯分裂。第一次世界大戦後のファシズムに、冷戦の東西分裂と、ほんとろくな目に遭っていない。
こうしたドイツ人の政治的、芸術的コンプレックスはデューラーの頃からすでにあったようで、デューラーはイタリア的な審美観とドイツ的な審美観の狭間で悩んでいる。この本ではデューラーはほとんど扱っておらずゲーテから始まっているが、ドイツ人のコンプレックスを実感するには十分であろう。
ドイツ人とドイツ美術―やっかいな遺産
加えて、サブタイトルにあるように、「ドイツ特有」という属性は政治的に複雑な状況が数百年前からほんの15年ほど前までずっと続いてきたドイツにとって、極めてめんどくさいものであった。具体的に言ってしまえば中世から1871年ドイツ帝国成立に至るまでの諸侯分裂。第一次世界大戦後のファシズムに、冷戦の東西分裂と、ほんとろくな目に遭っていない。
こうしたドイツ人の政治的、芸術的コンプレックスはデューラーの頃からすでにあったようで、デューラーはイタリア的な審美観とドイツ的な審美観の狭間で悩んでいる。この本ではデューラーはほとんど扱っておらずゲーテから始まっているが、ドイツ人のコンプレックスを実感するには十分であろう。
ドイツ人とドイツ美術―やっかいな遺産
Posted by dg_law at 22:38│Comments(0)│