2007年05月17日

『遥かに仰ぎ、麗しの』元ネタ集その1、1話〜分校編2話まで

最近『遥かに仰ぎ、麗しの』というゲーム(通称『かにしの』)をやっているが、これが大変おもしろい。何がどうおもしろいかはまた別の機会に譲るとして、このゲームのおもしろさの一つは非常に小ネタがきいているところだ。そしてこの小ネタというのが『つよきす』を連想させるような、ヲタ専用のパロディから、田中ロミオを連想させるような衒学的なものまで、とてつもなく幅が広い。1時間に3回くらいテキストの中に何かしらのネタが混入されているので、全く油断がならないのだ。

しかし、こういう小ネタはきかせすぎてもわからない人には白ける要因になる。それがシナリオの根幹にかかわる部分なら、なおさらのことだ。しかも、この広いネット上それをきちんと調べているサイトはほとんどなかった。そこで、おせっかいではあるが『かにしの』元ネタ集なるものを作ってみることにした。

そのネタが登場する状況はそれなりに書いてあるが、シナリオにかかわりそうな場合は適当にぼかしてある。でも、『かにしの』プレイ予定の人、やってる途中の人は該当部分までしか読まないほうがいいかもしれない。プレイ予定の全く無い人は、「こんな無駄に力の入ったエロゲもあるんだよ」ということで、単なるトリビアの寄せ集めとして読んでいただいてもけっこうである。例えば、冒頭の二例を挙げればこんな感じ。


1話
・汝等此処より入りたる者、一切の望みを捨てよ
(状況)冒頭。
(ジャンル)文学
ダンテ『神曲』地獄篇第3歌第9行より、地獄の門に彫ってある言葉。原作は中世イタリア語だが、作中では現代イタリア語(Lasciate ogne speranza, voi ch'intrate.)で彫られている。このときのリーダさんと主人公のやり取りは、このゲームを象徴する一幕。

・タイガージェットシン
(状況)梓乃の犬の名前当て。
(ジャンル)プロレスラー
昭和後期の有名レスラー。犬の本当の名前がダンテ、という地獄の門に絡めた三段オチ。



今回は冒頭から分校ルートの2話まで。なお、めちゃくちゃいっぱいあるので、6記事くらい使う超大作になる予定。というか、自分自身まだ攻略途中だったり。では、続きをどうぞ。なお、作成にあたって大手サイト『独り言以外の何か』さんのこの記事が大変役に立ったので、付記しておく。



分校ルート1話
・うほ、やらないか
(状況)美綺のインタビュー。
(ジャンル)ネタ
言わずもがな、薔薇族の安部さんですな。

・首は泉岳寺に供えるから
(状況)美綺のインタビュー。
(ジャンル)日本史
赤穂浪士のお墓がある場所。現在は観光名所となっており、赤穂浪士記念館もある。なお、管理人自身は赤穂浪士は嫌いである。

・恋の女坂
(状況)美綺のインタビュー。
(ジャンル)名所
女坂は京都の東山(円山公園付近)に存在。都はるみの曲にも『女坂』がある。女坂ネタはこの後もちょくちょく登場。
(ジャンル)漫画
http://www1.odn.ne.jp/cjt24200/yamada/text/otokozaka/
友人ORATORIOからの指摘。これを参照。確かにこっちかも。


・〜〜は、今始まったばかりだ!
(状況)美綺のインタビュー。
(ジャンル)ネタ
ジャンプの10週打ち切りを示す、いわゆる一つのお約束。「それもう終わっちゃうよ!」というツッコミを入れるのが、日本の正しい友人の姿である。


分校ルート2話
・チェックポイントチャーリー
(状況)分校側の寮の、学院生側と職員側を分ける境。
(ジャンル)世界史
ベルリンの壁の、東側の検閲所の名前。Cチェックポイントだからチャーリー。Aはアルファ、Bはブラボー。

・心に棚を作れ
(状況)すみすみの家は公家だったんだぜ?
(ジャンル)漫画
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%B4%A4%CB%C3%AA%A4%F2%BA%EE%A4%EC
ORATORIO氏曰く、これじゃないかと。

・ヒヒイロカネ
(状況)通販さんの見ている外国人の通販番組で出てくる
(ジャンル)神話
「緋緋色金」自体は日本神話の出自で、いろんなSFに登場。ここでは「レムリアインパクト」とか言ってたので、デモンベインが直接の元ネタなのだろう。なお、通販さんのショッピングは複数回あるが、このゲーム随一のギャグシーンであり、そして物語の進行を示す時報でもある。

・ガミラス・イスカンダル効果
(状況)通販さんの見ている通販番組。ヒヒイロカネと同じ
(ジャンル)アニメ
宇宙戦艦ヤマトのアレ。

・盗んだバイクで走り出す
(状況)廊下を走ってはいけません。
(ジャンル)音楽
もちろん、尾崎豊のアレ。

・金継ぎ
(状況)日本の侘び寂び。
(ジャンル)美術史
実在する、陶器の修復技法。破片同士を金を溶かした接着剤でつなぎ合わせることで、割れた部分をわざと見せることでより味が出る。西洋の陶器は一度割れたら価値が全くなくなるのに対し、東洋の、特に日本の陶器は、割れ目の形や金継ぎの精度によってはむしろ値段が高くなる。この違いに、日本人の文化を見出したい。これだけ説明が長文なのは管理人の得意分野だからであって気にしてはいけない。

・超越心力
(状況)ど忘れ。美綺が関係していた気はする。
(ジャンル)宗教
本当は超越神力。元ネタはオウム真理教。

・灰色の脳細胞
(状況)道に迷ったら助けを呼ぼう。
(ジャンル)文学
名探偵ポワロの脳みそ。「私の灰色の脳細胞が活動し始めた」。


(2)へ。

この記事へのコメント
恋の女坂の部分は↓のリンクにも関わってるかと
http://www1.odn.ne.jp/cjt24200/yamada/text/otokozaka/
Posted by aaa at 2007年07月14日 23:36
あ、実はその指摘友人(ORATORIO)からも受けましたw

実は彼にダメだしリストを作ってもらったんですが、いかんせん暇が無く公表できておらず。これを機会に今日にでも出しておこうかと思います。
Posted by DG-Law at 2007年07月15日 07:11
序章で、どの映画を参考にしているか?
Posted by 桜の精 at 2022年10月11日 01:48