2007年10月27日
エロゲ私的傑作選(1)
好評だった企画の二匹目のドジョウ、というわけではないが、前回作ったエロゲ名作選?にはあまりに広まりすぎたがゆえの誤解が多く、また自分としてもこれが絶対の基準ではないことを示すために、もう一つリストを作る必要性を割とずっと考えていた。簡単に言えば、前回のリストというのは「エロゲらしさ」「マイナーさ」にこだわったものであって、真なる意味で「傑作選」ではなく「名作選」であったのだ。
ここまで書けば今回のリストは何をやりたいのか目的がはっきりしてくると思うが、ずばり「ADV形式のPCゲーム、いわゆるエロゲ(ノベルゲー)」ということ以外に何の制限を加えず、主観的に「これは芸術作品」(※)と感じた作品を列挙してみたい。それによってエロゲ名作選?で生じた誤解を解くとともに、私のアイデンティティの発露としたい。前回のリストは出てくるゲームが人によっては必ずしも名作とは言えないものもあったので最後に「?」をつけたが、今回は逆に傑作であっても漏れているものも当然あるので、「?」をとって代わりに「私的」をつけることにした。
要は、前回のリストは「エロゲマでやるエロゲが無いと思ったらこれを推薦しておく」and「これらが好きなら、管理人と趣味が似てるから今度語り合おうぜ」という目的だったのに対し、今回は「メジャー作品も含めて俺が好きなのは絶対評価的にこんなランキング」という確認のリストってことで推薦リストですらない。だって、皆プレイ済みでしょ。
ゆえに、名作選と重なっているものが多い一方で、名作選のときには条件で省かれたものも多い。番号ははっきりとはしていないものの、おおよその順位。ただし、一部区間を除いてほとんど差が無いのであまり気にしないでほしい。また、名作選のほうの番号は単なる番号に過ぎないので、ご注意願いたい。
名作選を作ったときに「条件から省いた大作と、その関連作品を加えれば50くらいになるはず」と書いた。今回のリストは15作品しか挙げていないが、関連作品が多いので、名作選とあわせるとやはり50くらいになると思う。
※ 最近、「Fateは文学(笑)AIRは芸術(笑)CLANNADは人生(笑)」というテンプレがはやっているが、(笑)をつけて斜に構えてる(まあそれが特にニュー速の文化なんだけど)ほうがよほど阿呆であることは言うまでも無い。まあ、Fateが文学というのはどうかと思う、Fateという作品の質の問題では無く、文学という言葉の定義として。その意味で、このテンプレと同時によく見かける「Fateが文学なら、絵・音抜きで読んでみろよw」という揶揄に関しては、この揶揄のほうが100%正しい。私が言う芸術の定義や、このテンプレがいかにナンセンスであるかについては、このブログのカテゴリCriticismを古いほうから6/27くらいまで読んでいただければ、わかるかと。
ここまで書けば今回のリストは何をやりたいのか目的がはっきりしてくると思うが、ずばり「ADV形式のPCゲーム、いわゆるエロゲ(ノベルゲー)」ということ以外に何の制限を加えず、主観的に「これは芸術作品」(※)と感じた作品を列挙してみたい。それによってエロゲ名作選?で生じた誤解を解くとともに、私のアイデンティティの発露としたい。前回のリストは出てくるゲームが人によっては必ずしも名作とは言えないものもあったので最後に「?」をつけたが、今回は逆に傑作であっても漏れているものも当然あるので、「?」をとって代わりに「私的」をつけることにした。
要は、前回のリストは「エロゲマでやるエロゲが無いと思ったらこれを推薦しておく」and「これらが好きなら、管理人と趣味が似てるから今度語り合おうぜ」という目的だったのに対し、今回は「メジャー作品も含めて俺が好きなのは絶対評価的にこんなランキング」という確認のリストってことで推薦リストですらない。だって、皆プレイ済みでしょ。
ゆえに、名作選と重なっているものが多い一方で、名作選のときには条件で省かれたものも多い。番号ははっきりとはしていないものの、おおよその順位。ただし、一部区間を除いてほとんど差が無いのであまり気にしないでほしい。また、名作選のほうの番号は単なる番号に過ぎないので、ご注意願いたい。
名作選を作ったときに「条件から省いた大作と、その関連作品を加えれば50くらいになるはず」と書いた。今回のリストは15作品しか挙げていないが、関連作品が多いので、名作選とあわせるとやはり50くらいになると思う。
※ 最近、「Fateは文学(笑)AIRは芸術(笑)CLANNADは人生(笑)」というテンプレがはやっているが、(笑)をつけて斜に構えてる(まあそれが特にニュー速の文化なんだけど)ほうがよほど阿呆であることは言うまでも無い。まあ、Fateが文学というのはどうかと思う、Fateという作品の質の問題では無く、文学という言葉の定義として。その意味で、このテンプレと同時によく見かける「Fateが文学なら、絵・音抜きで読んでみろよw」という揶揄に関しては、この揶揄のほうが100%正しい。私が言う芸術の定義や、このテンプレがいかにナンセンスであるかについては、このブログのカテゴリCriticismを古いほうから6/27くらいまで読んでいただければ、わかるかと。
1、 『マブラヴ』シリーズ
『君望』+『マブラヴ』+『オルタ』(+『君望SFD』+『サプリ』+『AF』)。括弧内はスルーしても可。右翼のののしられようがガンパレのパクリと言われようが、これだけははずせない魂の作品。『君望』は違うんじゃないかという指摘はもっともだが、『君望』の第二章と『マブラヴ』EXのテーマが対、そしてそのままEXとULが対で、ULのテーマを煮詰めていったのが『オルタ』だから、一連の作品としてカウントしたい。
有名だからはずしたが、「エロゲらしさ」という点では名作選に入れるべき作品群だっただろう(ゆえに代わりに『螺旋回廊1・2』を入れたのだが)。しばしばageの作品は「底意地が悪い」と形容されるが、それこそがこの「エロゲらしさ」の所以だ。age(というかちよれん)はそういう作品を作るのが本当にうまいと思う。オルタの思想性について恐ろしく右寄りなのも、ある種の「罠」であろう。その意味で、全年齢化はどうかと思ったのだが、そこは商業的に考えて(ry。
2、 『この青空に約束を』(+『フォセット』)
私が丸戸信者であることは否定しがたいが、それでもやはり、ED周囲の作りは「神がかり的なあざとさ」と言わざるを得ない。このリストに入れなかったことでわかる通り、私はロミオ作品やるーすぼーい作品は入れてないがこれらはあざとすぎるがゆえに感動に至らず外した。じゃあなんで『こんにゃく』や鍵作品は入ってるのかと言われれば、あざとくても泣いていいことが許される状況作りが極めて巧妙だからだ。
あざとさとはすなわちわざとらしすぎて感情移入できなくなることであり、その閾値は人によって違うものだから、『こんにゃく』や『AIR』で泣けなかったという人の存在も、逆に『車輪』や『クロスチャンネル』で泣けたという人の存在も全く否定しない。ただ私が『こんにゃく』で感じているのは、この作品は鍵作品と比べても、そのあざとさの限界ぎりぎりを計算して封入したではないだろうか、ということだ。また、その点が同じく丸戸作品の『パルフェ』との違いを際立たせているのも、またおもしろい点だろう。
3、 『AIR』
『CLANNAD』がエロゲではないので一応外すと、この位置に来るのは『AIR』以外無いか。ただ、『AIR』は別にアニメでもできたように、けしてエロゲらしくはない(そしてこのエロゲらしからなさは『CLANNAD』、『Little Bsuters!』になるにつれどんどん進んでいく、『智代アフター』だけ持ち直したけど)。ただまあ、あの叙情性とか、BGM「夏影」の良さとかが本当にわかるようになったのは、大学生になってからかな、という気はする。そういう意味ではちゃんとエロゲだったのかもしれない。
最初に「が、がお……」って聞いたときは全力で引いたが、それでいてラストには号泣しているんだから不思議不思議。だーまえマジックということか。あざといという意味では『こんにゃく』とよく似ているのだが、『こんにゃく』が計算ずくめで泣かしているのに対して、『AIR』はだーまえが書きたいこと書いたら「奇跡的に」泣けるシナリオになった感が強い(その意味で『智代アフター』はAIR的、『リトバス』や『CLANNAD』は『こんにゃく』的)。実は最大の奇跡は、『AIR』の持つ偶然的なあざとさのバランスそのものだったのではないかと、クリアして7年後に思った次第である。
4、 『沙耶の唄』
またちよれん作品で恐縮だが、これは上三作品を否定するアンチでも納得せざるを得ないチョイスなんじゃないかと思う。短編だからこその密度、というものを堪能させてもらった。単にホラーとして見ても十分におもしろい。結局最後戦闘になるところで、『鬼哭街』や『Phantom』プレイヤーはニヤリと笑う虚淵テイストも見逃せない。
しかし実は、最大のおもしろさでありかつ論点となるのは、結局あれは「純愛」だったのか?という一点に尽きるのではないかと思う。もっと言うなれば、身体的な特徴を理由に純愛は始まるのか、という極めて考えがいのある問題を突きつけているのだ。
5、 『うたわれるもの』
ADVじゃないのでどうしようかと思ったが、エロゲはエロゲだろうということで。なお、アリスソフトやソフトハウスきゃらの作品まで行くともう完全にADVじゃないってことで外してある。また、『うたわれ』に関しても正直に言ってアニメやネトラジ、PS2版でかなり脳内に補正がかかっているので、PC版としてこの位置につけるのはいささか過大評価の感はあるが、そこはご容赦いただきたい。
それはそれとして、純粋に話がおもしろかったと思う。ラスト近辺は超展開と言われれば否定はできないが、あれだけ世界観に関して説明がつくならば超展開も許されよう。それも許さないというのではあまりに心が狭い。ただ、SRPGにしたのは正解。ADVだとすると少々だれていた可能性は否めないし、ラスト付近もあれだけ盛り上がることも無かっただろう。ゲームバランスとしてはかなりのヌルゲーだが、こと『うたわれ』に関しては難易度が高い必要性を全く感じないので、ヌルゲーで正解だったのではないかと。どうしてもシビアな戦闘が望みなら、DVD版を買えってことだし、ゲームバランスを求めるなら、PS2版を買えということだ。
うわー……5位まで鉄板過ぎて自分でも引いた。
続きは(2)へ。
『君望』+『マブラヴ』+『オルタ』(+『君望SFD』+『サプリ』+『AF』)。括弧内はスルーしても可。右翼のののしられようがガンパレのパクリと言われようが、これだけははずせない魂の作品。『君望』は違うんじゃないかという指摘はもっともだが、『君望』の第二章と『マブラヴ』EXのテーマが対、そしてそのままEXとULが対で、ULのテーマを煮詰めていったのが『オルタ』だから、一連の作品としてカウントしたい。
有名だからはずしたが、「エロゲらしさ」という点では名作選に入れるべき作品群だっただろう(ゆえに代わりに『螺旋回廊1・2』を入れたのだが)。しばしばageの作品は「底意地が悪い」と形容されるが、それこそがこの「エロゲらしさ」の所以だ。age(というかちよれん)はそういう作品を作るのが本当にうまいと思う。オルタの思想性について恐ろしく右寄りなのも、ある種の「罠」であろう。その意味で、全年齢化はどうかと思ったのだが、そこは商業的に考えて(ry。
2、 『この青空に約束を』(+『フォセット』)
私が丸戸信者であることは否定しがたいが、それでもやはり、ED周囲の作りは「神がかり的なあざとさ」と言わざるを得ない。このリストに入れなかったことでわかる通り、私はロミオ作品やるーすぼーい作品は入れてないがこれらはあざとすぎるがゆえに感動に至らず外した。じゃあなんで『こんにゃく』や鍵作品は入ってるのかと言われれば、あざとくても泣いていいことが許される状況作りが極めて巧妙だからだ。
あざとさとはすなわちわざとらしすぎて感情移入できなくなることであり、その閾値は人によって違うものだから、『こんにゃく』や『AIR』で泣けなかったという人の存在も、逆に『車輪』や『クロスチャンネル』で泣けたという人の存在も全く否定しない。ただ私が『こんにゃく』で感じているのは、この作品は鍵作品と比べても、そのあざとさの限界ぎりぎりを計算して封入したではないだろうか、ということだ。また、その点が同じく丸戸作品の『パルフェ』との違いを際立たせているのも、またおもしろい点だろう。
3、 『AIR』
『CLANNAD』がエロゲではないので一応外すと、この位置に来るのは『AIR』以外無いか。ただ、『AIR』は別にアニメでもできたように、けしてエロゲらしくはない(そしてこのエロゲらしからなさは『CLANNAD』、『Little Bsuters!』になるにつれどんどん進んでいく、『智代アフター』だけ持ち直したけど)。ただまあ、あの叙情性とか、BGM「夏影」の良さとかが本当にわかるようになったのは、大学生になってからかな、という気はする。そういう意味ではちゃんとエロゲだったのかもしれない。
最初に「が、がお……」って聞いたときは全力で引いたが、それでいてラストには号泣しているんだから不思議不思議。だーまえマジックということか。あざといという意味では『こんにゃく』とよく似ているのだが、『こんにゃく』が計算ずくめで泣かしているのに対して、『AIR』はだーまえが書きたいこと書いたら「奇跡的に」泣けるシナリオになった感が強い(その意味で『智代アフター』はAIR的、『リトバス』や『CLANNAD』は『こんにゃく』的)。実は最大の奇跡は、『AIR』の持つ偶然的なあざとさのバランスそのものだったのではないかと、クリアして7年後に思った次第である。
4、 『沙耶の唄』
またちよれん作品で恐縮だが、これは上三作品を否定するアンチでも納得せざるを得ないチョイスなんじゃないかと思う。短編だからこその密度、というものを堪能させてもらった。単にホラーとして見ても十分におもしろい。結局最後戦闘になるところで、『鬼哭街』や『Phantom』プレイヤーはニヤリと笑う虚淵テイストも見逃せない。
しかし実は、最大のおもしろさでありかつ論点となるのは、結局あれは「純愛」だったのか?という一点に尽きるのではないかと思う。もっと言うなれば、身体的な特徴を理由に純愛は始まるのか、という極めて考えがいのある問題を突きつけているのだ。
5、 『うたわれるもの』
ADVじゃないのでどうしようかと思ったが、エロゲはエロゲだろうということで。なお、アリスソフトやソフトハウスきゃらの作品まで行くともう完全にADVじゃないってことで外してある。また、『うたわれ』に関しても正直に言ってアニメやネトラジ、PS2版でかなり脳内に補正がかかっているので、PC版としてこの位置につけるのはいささか過大評価の感はあるが、そこはご容赦いただきたい。
それはそれとして、純粋に話がおもしろかったと思う。ラスト近辺は超展開と言われれば否定はできないが、あれだけ世界観に関して説明がつくならば超展開も許されよう。それも許さないというのではあまりに心が狭い。ただ、SRPGにしたのは正解。ADVだとすると少々だれていた可能性は否めないし、ラスト付近もあれだけ盛り上がることも無かっただろう。ゲームバランスとしてはかなりのヌルゲーだが、こと『うたわれ』に関しては難易度が高い必要性を全く感じないので、ヌルゲーで正解だったのではないかと。どうしてもシビアな戦闘が望みなら、DVD版を買えってことだし、ゲームバランスを求めるなら、PS2版を買えということだ。
うわー……5位まで鉄板過ぎて自分でも引いた。
続きは(2)へ。
Posted by dg_law at 12:00│Comments(4)│
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この記事へのコメント
Fateが文学ってのは作品を持ち上げる信者ときのこの文章力を皮肉ったものでしょw
Posted by at 2007年10月30日 02:40
それは全くその通りであって、加えて皮肉ってる側もだいぶ間抜けなことになってるよね、という意図で※以降は書いてます。
まあ現状、信者とアンチと信者の振りをしたアンチと、プレイしたことは無いけど信者がキモイからアンチなんていう状況なもんだから、端から見てる分にもつまらなくなってるんですけどね。
お前ら信者とアンチならもっとおもしろいこと言ってみろよ、と。
まあ現状、信者とアンチと信者の振りをしたアンチと、プレイしたことは無いけど信者がキモイからアンチなんていう状況なもんだから、端から見てる分にもつまらなくなってるんですけどね。
お前ら信者とアンチならもっとおもしろいこと言ってみろよ、と。
Posted by DG-Law at 2007年10月30日 03:56
沙耶の唄、よくぞ出してくれました!
ストーリー(と設定)で勝負する作品としては、他の長編と引けをとらないと思うのですよ。
ストーリー(と設定)で勝負する作品としては、他の長編と引けをとらないと思うのですよ。
Posted by at 2007年10月30日 16:20
いやー、ここで沙耶を出さないでこの傑作選意味あるの?ってところでしょう。
ファントムも鬼哭街もデモベも好きですが、Nitro+の最高傑作といえば沙耶という人は多いはず。
ファントムも鬼哭街もデモベも好きですが、Nitro+の最高傑作といえば沙耶という人は多いはず。
Posted by DG-Law at 2007年10月31日 02:52