2008年07月20日

続・殺戮のジャンゴ レビュー

やっぱり虚淵は天才だった。もう大好き。


マカロニウェスタン。それってなんぞ?という人も多いでしょうが、要するにB級西部劇です。よくわかんねぇけど暴力かっけー!を突きつめた大人のためのファンタジー。むしろファンタジーのためのB級であって、本格派であってはいけない。じゃあこのジャンゴもファンタジーなのかというとそんな単純なことを虚淵がするわけなく、むしろマカロニウェスタンの「B級っぽさ」を全面に押し出した作りになっていて、そこを楽しむのが正解だと思う。

個人的には『Phantom』を超えて、『沙耶』に次ぐニトロの傑作になったんですが、世間の評価はそこまででもないようで。批評空間の点数を見ていても、べた褒めなのにつけてる点数は80点以下という人が多く、やっぱ短いのが原因で満点自体が低いのかなとか思ったらそれも違うみたいだ。意外と否定的意見の中でも多いのが、「女主人公」と「主人公含めて登場ヒロイン皆ビッチ」という理由。自分がエロゲ業界で唯一理解できないもの「処女信仰」にこんなところでぶつかるとは思いもよりませんでしたよ。

あと、詳しくはネタばれなので後述するが、上記に書いた「B級っぽさ」の再現を理解できていない人が多く(高得点な人の中にも)、「ここってなんでこんな安っぽいの?」とか「意味不明にださいシーン多くね?」とかそんなレビューがちらほら散見されたのは悲しいことこの上ない。ジョイまっくすが「予約率だけ見ると過去最低」と嘆いていたそうだが、それも仕方が無いのかなと。いや、新品じゃなくて中古で入手しておいてなんですが。これは予約して買うべき品だったと後悔。プレイ時間たったの7時間程度だけど、時間千円以上楽しめるよ間違いなく。何度も言うようだが、こういう作品があるから、エロゲは止められないのよね。

あー、何かに似てるんだよなーと悩んでいたが、『ブラックラグーン』だ。スィートウォーターにレヴィがいても何の違和感も無いわ。ニトロが『ブラクラ』の小説版をコミケで売るというのを聞いて気がついた。


以下、ネタばれ込みでぐだぐだ何か書いておく。やる気がある人は必ずクリア後に。

まず、タイトルがすごくB級。何が「続」なのかもうすでに意味不明。「ジャンゴ」って誰だよ、そんなキャラいねーよ。識者曰く「マカロニ・ウェスタンには意味不明な邦題がつくことが多いので、そのパロディなんじゃないか」と。なるほど。ただ、販促的にはまずいタイトルではある。ジョイの苦労が目に浮かぶ。

バッドエンドの代わりに出てくる「ガンマン十戒」に爆笑。CGコンプのために全部見たけど、常識的な範囲で西部劇を見ていれば一度も死ぬような選択肢ない。

腹筋ぶっ壊れたのは機関銃乱射でクリック連打させるシーン。B級ここに極まれり。「なんであんなに演出安っぽいんだよ」とか言っているうちはケツが青い。大体、プロトゾアンの砲撃はあんなに凝ってるのに、ここだけわざわざこうなってるんだから、何か意図があるに決まってるだろう。

HシーンにもB級っぽさは徹底されている。抜けるシーンなんてあるわけがない。登場キャラ皆アバズレすぎて笑える。意図したのかどうかは知らないが男もチ○コでかすぎて笑える。アルフィーが唯一の癒しだが、彼女だけ一回も男にひん剥かれなかったことに気づいて、エンディング後にもっかい笑える。完璧。

ストーリーの本筋も典型的なピカレスク・ロマン。だからこそ、というべきなのか、ブロンディの姐さんにほれちまいましたよ。600ドル鋳潰してるところで思わず感涙。今作は歌が全部いいが、スィートウォーターの歌は反則。

実はSFなのだが、設定が一度も崩れない。なんで遠未来なのに西部劇なんだよ、という疑問を全く生じさせない。これも地味すごいと思う。「SF関係の伏線が回収されなかったのが残念」という意見もあるが、実はちゃんと回収されている。最後の最後は一見してハッピーエンドに見えるけどそうでもない。これがSF要素の伏線の回収にもなるが、

1、実はレアメタルが豊富で、それはプロトゾアンの砲撃を食らっても後で採掘は可能である。
2、実は超古代文明の対プロトゾアン兵器が惑星の地下に埋まっている。しかもそれはプロトゾアンに手出しできない場所である。
3、それらのことを銀河連盟の財閥が知っている。(というよりもクラウス大佐が死んだ今、彼らしか知りえない)
4、革命軍は現政権を倒す程度の力はあるが、銀河連盟には逆立ちしても勝てない。
5、革命軍はプロトゾアンの脅威を利用して銀河連盟を抑えようと考えているが、銀河連盟にとってプロトゾアンは1と2の理由により脅威になりえない。

まあ、予想はつくよねぇ。虚淵のバッドエンド好きにはほんとまいった。


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