2008年07月28日
全勝は素直にすごい
先場所とは打って変わって白鵬の独壇場であったが、大関陣に角番も出ず、他の三役も勝ち越し2、負け越し2といい感じに入れ替わったことを考えると、終わりよければ全てよしと言えなくも無いのではないだろうか。客の入りも上々だったようだし、琴光喜が奮闘したこと等で場所全体の盛り上がりも悪くなかった。ただ、なぜだか立ち合いが合わないのが目立ったことだけ、場所の雰囲気に水を差していた。大概の場合、立ち合いの悪さはそのまま会場の雰囲気に影響するものだが、今場所はそうでもなく、それなりに良いまま終われたのは幸運であると思う。
今場所の総評としては他に書くことが無いので、ここらでもう個人評に移らせてもらう。優勝した白鵬。これはもう完璧だった。ただし、前半と後半でとっていた相撲が全く違うのは留意すべきかもしれない。前半はどことなく落ち着かず、朝青龍のような相撲に近かったこともあったが、後半はいわゆる横綱相撲だった。スピード勝負のほうがスタミナは消耗しないし、どっしり構えたほうが白鵬には適していて強いわけだから、合理的ではある。前半には張り差しが多かったが、後半は使っていない。
新聞の記事によると、これは意識した変化らしい。他のスポーツのように科学的なトレーナーに師事したという点は好感が持てる。土俵入り等の所作を見ても確かに落ち着いてきたような気がする。真価は来場所、朝青龍と対決して初めて問われる。そこでも優勝し、かつ所作が安定するようなら、もはや本物と認めるしかない。
朝青龍のほうは休場の真偽そのものが定かではない。調子が悪かったのは本当で、彼の強みであるスピードとテクニック、タクティクスを支えるだけの体が全くできていなかった。しかし、朝青龍が休場したのはモンゴル巡業の延期、中止がささやかれ始めた頃である。巡業開催先は朝青龍の親族経営の会場であり、その資金源は朝青龍が大相撲で稼いだ金である。そして朝青龍が休場したわずか数日後、北の湖理事長が「治安が安定しているようなので巡業は開催する」とか言い出した。これだけ状況証拠がはっきりしていると、物証が無くてもどうとでもなりそうだ。まあ、仮に朝青龍があのまま出場し続けていても、10勝が怪しかった。
綱を期待されながら大幅に裏切ってくれた琴欧洲だが、仮に彼が先場所並の強さだったところで、どっちにしろ今場所の白鵬には勝てなかった気はする。他に負けたのは仕方が無いとしても、初日の安美錦に負けたのだけはどうしようもない。苦手意識というのは覆しがたいものだが、朝青龍と琴光喜の関係に比べれば、力量からいえばかなりの格下なのだからなんとかしてほしい。千秋楽の白鵬戦は大熱戦だった。負けてはいるが、あれは評価できる。
去年までは大したことが無かった地元補正が、今年は急にかかった琴光喜。これが大関効果というものか。栃の洋にとった不覚以外は、まああんなもんであろう。千代大海は腕が治ってよかったのね、と。まだ完治していないようだが、もう半年も前のケガである。白鵬との優勝争いの代償はあまりにも大きかった。なんかもう、引退まで完治しそうにない雰囲気があって怖い。
魁皇はとうとう幕内勝ち星が大鵬を抜いて歴代三位だそうで。二位とは50勝近く離れているのでもう無理だろうが、それで大関というのはやはり不自然である。もっとも彼の場合、大関だからこそここまで記録が伸びたといえるかもしれない。大関は負け越しても翌場所角番になるだけで済むが、横綱は何場所も負け越すと周囲が引退を迫ってくるからだ。もう角番が記録的な数になっている魁皇では、横綱に昇進してしまっていたら、すでに引退は確実である。それにしても、いまだに右腕をとれば万全という伝説が生きているのはすごいことだ。さすがの今場所の白鵬でさえ、右腕は嫌っていた。
安馬は十勝おめでとう。おめでとうというよりはようやくという気もするが。安馬はモンゴル人力士としては珍しいタイプで、モンゴルへの送金よりもプロテイン購入を優先する等(いや、君に足りないのはたんぱく質よりも脂肪のような気はするが)、己の体第一主義者である。「俺は最強になるため日本に来た」という一歩間違えば非常に邪気眼臭がするコメントをなさっていたが、その求道者的姿は古風な日本人的とも言えるかもしれない。今場所は喉輪と足技にこだわっていて、本人からすれば実験的な場所だったのかもしれない。少なくとも六日目の琴奨菊と千秋楽の把瑠都戦は、こだわりを捨てれば勝てていた。来場所、彼の心のもちようによっては化ける。というか化けてほしい。彼にかかる周囲の期待は大きい。
琴奨菊はもう完全に「上体をあわせなければ勝てる」相手として上位陣から見られているうえに、今場所は不調だった。大負けしなかったのが不思議なくらい。魁皇と安馬に勝っているのが大きい。稀勢の里は相撲に迷いが見られる。右で差せばいいのに左で差したり、無理な投げをうって自分が崩れたりといいところが無かった。成績だけ見ると前半が不調で後半は良かったように見えるが、これは番付の問題で前半に強い相手と当たり、後半は楽だっただけであり、調子自体は初日がよくそこから下降線であった。
豊の島も十勝おめでとう。しかし、また安馬と似たようなタイプが勝ったもんだ。把瑠都も十勝おめでとう。正直ファンの僕でも今場所ここまで勝てるとは思っていなかった。初日から連敗したときはどうしようかと思ったが、その後は圧倒的な強さだった。とにかく体が強いという利点が戻ってきた。これで新三役になるが、来場所勝ち越せるかどうかは何ともいえない。
あとはまあ、栃乃洋も安美錦もせっかくいいところで勝ったんだから勝ち越せよ、と。栃乃洋は思ってたよりも負けなかったけども。
今場所の総評としては他に書くことが無いので、ここらでもう個人評に移らせてもらう。優勝した白鵬。これはもう完璧だった。ただし、前半と後半でとっていた相撲が全く違うのは留意すべきかもしれない。前半はどことなく落ち着かず、朝青龍のような相撲に近かったこともあったが、後半はいわゆる横綱相撲だった。スピード勝負のほうがスタミナは消耗しないし、どっしり構えたほうが白鵬には適していて強いわけだから、合理的ではある。前半には張り差しが多かったが、後半は使っていない。
新聞の記事によると、これは意識した変化らしい。他のスポーツのように科学的なトレーナーに師事したという点は好感が持てる。土俵入り等の所作を見ても確かに落ち着いてきたような気がする。真価は来場所、朝青龍と対決して初めて問われる。そこでも優勝し、かつ所作が安定するようなら、もはや本物と認めるしかない。
朝青龍のほうは休場の真偽そのものが定かではない。調子が悪かったのは本当で、彼の強みであるスピードとテクニック、タクティクスを支えるだけの体が全くできていなかった。しかし、朝青龍が休場したのはモンゴル巡業の延期、中止がささやかれ始めた頃である。巡業開催先は朝青龍の親族経営の会場であり、その資金源は朝青龍が大相撲で稼いだ金である。そして朝青龍が休場したわずか数日後、北の湖理事長が「治安が安定しているようなので巡業は開催する」とか言い出した。これだけ状況証拠がはっきりしていると、物証が無くてもどうとでもなりそうだ。まあ、仮に朝青龍があのまま出場し続けていても、10勝が怪しかった。
綱を期待されながら大幅に裏切ってくれた琴欧洲だが、仮に彼が先場所並の強さだったところで、どっちにしろ今場所の白鵬には勝てなかった気はする。他に負けたのは仕方が無いとしても、初日の安美錦に負けたのだけはどうしようもない。苦手意識というのは覆しがたいものだが、朝青龍と琴光喜の関係に比べれば、力量からいえばかなりの格下なのだからなんとかしてほしい。千秋楽の白鵬戦は大熱戦だった。負けてはいるが、あれは評価できる。
去年までは大したことが無かった地元補正が、今年は急にかかった琴光喜。これが大関効果というものか。栃の洋にとった不覚以外は、まああんなもんであろう。千代大海は腕が治ってよかったのね、と。まだ完治していないようだが、もう半年も前のケガである。白鵬との優勝争いの代償はあまりにも大きかった。なんかもう、引退まで完治しそうにない雰囲気があって怖い。
魁皇はとうとう幕内勝ち星が大鵬を抜いて歴代三位だそうで。二位とは50勝近く離れているのでもう無理だろうが、それで大関というのはやはり不自然である。もっとも彼の場合、大関だからこそここまで記録が伸びたといえるかもしれない。大関は負け越しても翌場所角番になるだけで済むが、横綱は何場所も負け越すと周囲が引退を迫ってくるからだ。もう角番が記録的な数になっている魁皇では、横綱に昇進してしまっていたら、すでに引退は確実である。それにしても、いまだに右腕をとれば万全という伝説が生きているのはすごいことだ。さすがの今場所の白鵬でさえ、右腕は嫌っていた。
安馬は十勝おめでとう。おめでとうというよりはようやくという気もするが。安馬はモンゴル人力士としては珍しいタイプで、モンゴルへの送金よりもプロテイン購入を優先する等(いや、君に足りないのはたんぱく質よりも脂肪のような気はするが)、己の体第一主義者である。「俺は最強になるため日本に来た」という一歩間違えば非常に邪気眼臭がするコメントをなさっていたが、その求道者的姿は古風な日本人的とも言えるかもしれない。今場所は喉輪と足技にこだわっていて、本人からすれば実験的な場所だったのかもしれない。少なくとも六日目の琴奨菊と千秋楽の把瑠都戦は、こだわりを捨てれば勝てていた。来場所、彼の心のもちようによっては化ける。というか化けてほしい。彼にかかる周囲の期待は大きい。
琴奨菊はもう完全に「上体をあわせなければ勝てる」相手として上位陣から見られているうえに、今場所は不調だった。大負けしなかったのが不思議なくらい。魁皇と安馬に勝っているのが大きい。稀勢の里は相撲に迷いが見られる。右で差せばいいのに左で差したり、無理な投げをうって自分が崩れたりといいところが無かった。成績だけ見ると前半が不調で後半は良かったように見えるが、これは番付の問題で前半に強い相手と当たり、後半は楽だっただけであり、調子自体は初日がよくそこから下降線であった。
豊の島も十勝おめでとう。しかし、また安馬と似たようなタイプが勝ったもんだ。把瑠都も十勝おめでとう。正直ファンの僕でも今場所ここまで勝てるとは思っていなかった。初日から連敗したときはどうしようかと思ったが、その後は圧倒的な強さだった。とにかく体が強いという利点が戻ってきた。これで新三役になるが、来場所勝ち越せるかどうかは何ともいえない。
あとはまあ、栃乃洋も安美錦もせっかくいいところで勝ったんだから勝ち越せよ、と。栃乃洋は思ってたよりも負けなかったけども。
全体的に先場所からあまり動きが無い。大勝した力士も少ないし大負けした力士も好くない。
Posted by dg_law at 17:24│Comments(2)
この記事へのコメント
横綱は強いものなんだという一般常識が強化された名古屋場所でした。
各大関があと3勝ずつしてたらもっと番付通りに見えてたかもしれません。でも琴欧州は3年くらい大関のままで地力をつけていった方があちこち幸せかもしれませんね。
7勝7敗同士というわけでもないようなのに千秋楽で負け越した力士が何人かいたようで、来場所ではもうちょっと張り切ってもらいたいものです。
各大関があと3勝ずつしてたらもっと番付通りに見えてたかもしれません。でも琴欧州は3年くらい大関のままで地力をつけていった方があちこち幸せかもしれませんね。
7勝7敗同士というわけでもないようなのに千秋楽で負け越した力士が何人かいたようで、来場所ではもうちょっと張り切ってもらいたいものです。
Posted by EN at 2008年07月29日 08:59
本来大関は十勝が最低限の目安ですもんね。
ただまあそうすると、どうしても前頭の上のほうが壊滅的な状況にならざるをえないので、難しいところだと思います。
今回の場合も、若ノ鵬、北勝力、普天王、若の里が大敗してくれたおかげで上位陣の勝ち星のバランスがとれたようなところがありますし。
そういえば今場所は千秋楽で負け越しが多かったですね。番付の変動が少ないのもそのせいかも。気負ったものがいろいろあったのかもしれませんがふがいないですね。
ただまあそうすると、どうしても前頭の上のほうが壊滅的な状況にならざるをえないので、難しいところだと思います。
今回の場合も、若ノ鵬、北勝力、普天王、若の里が大敗してくれたおかげで上位陣の勝ち星のバランスがとれたようなところがありますし。
そういえば今場所は千秋楽で負け越しが多かったですね。番付の変動が少ないのもそのせいかも。気負ったものがいろいろあったのかもしれませんがふがいないですね。
Posted by DG-Law at 2008年07月29日 10:32