2008年09月22日

阿吽の呼吸も難しい

大相撲秋場所も中日が過ぎたが、立ち合いの手つきの厳格化が秋場所の要点となっている。良いことだとは思うが、タイミングがあまりにも悪かった。力士たちはともかく、審判団や行司に意識が行き届いていないのはいただけない。取組ごとに全く基準が違い、見ていていらいらすることが多い。確かに以前よりはフライングが減っているものの、目に見えて減ったと感じるほどでもない。

力士たちの動きが明らかにぎくしゃくしていて、力士たちも視聴者も流れがよくわからないうちに取組が終わるという不思議な取組が続いている。両者がふわっと立ってしまい力の入らない相撲になることも多いし、片方が立ち合い不成立と見て力を抜いていたら成立していた、なんてことも多い。明らかに不公平が生じており、運の要素が強い。普段ちゃんと手を付いていることの多い白鵬でさえ、前半で既に一回事故った。逆に今まで立ち合いが最悪だった朝青龍と安馬は、安馬がかなり気をつけているのに対し朝青龍は全く手が付いていないのにかなり見逃されている。これは由々しき問題だ。まあこの辺の話は場所が終わった後しっかり話しあわれることを期待して、今場所は改革の犠牲になったと思うことにしたい。

しかし、一方で手付きの厳格化がおもしろい現象も生んでいる。これまでは手付きがいい加減だったので張り差しや変化がしやすかったため、皆やるようになってしまい意外性が薄れてしまっていた。しかし、今場所五日目辺りからそれらが異常に減っていることに本来の相撲巧者たちが気づき、「ちゃんと手を付いた上での張り差しや変化」を繰り出すようになってきた。相手としては手を付いたらまともに来るとどうしても想定するため、これが抜群の威力を発揮している。

四日目、元々変化の多い朝赤龍が手を深く付いた上で変化し千代大海を瞬殺したのを始め、六日目には琴欧洲が鶴竜に、朝青龍が安美錦にそれぞれ変化でやられた。逆に中日には、白鵬が安美錦の変化を読んで楽勝したというパターンもあった。変化や張り差しはあまり好ましいことではないが、相撲巧者がきちんとやる分には相撲風紀上の問題にはならないと考えたい。後半、変化や張り差しの頻度が優勝争いに影響を及ぼす可能性は十分にある。

ついでに、おもしろいものを見つけたのでここに貼っておく。

http://jp.youtube.com/watch?v=B9Sccql14AQ

前理事長VS現理事長。



優勝は順当に行けば13勝2敗で白鵬。番狂わせがあるとしたら朝青龍か千代大海だろうが、まずありえない。残りの三大関は見るところ無し。安馬は11勝できそうな気がするが、白鵬や朝青龍とガチでやって勝てるかというとまだ無理そう。ここ数場所迷い続けている稀勢の里はいいとして、旭天鵬の不調が気になる。豪栄道、栃煌山、鶴竜の三人の若い力士が調子良く、どこまで行くか楽しみである。

あとはやはり、十両の山本山か。あれだけ重量がありながら、身体が苦しそうに見えない上に身体の動きが曙や小錦のようなとろさがなく俊敏である。その上、学生相撲出身だけあって相撲がすでに形になっており、身体能力だけで勝ちあがってくる外国出身力士とは一線を画している。今の全勝モードもうなづける話。これはひょっとして市原以来の十両一場所突破か(13勝以上で確実に幕内昇進)。そして重量優勝争いも、どうやら市原との幕下付出し対決ということになりそうだ。