2008年09月24日

秋色恋華/謳華 レビュー

最近なんの変哲もない学園物に飽きてきたわけだが、本作はそのとどめを見事に刺してくれたかもしれない。せっかくキャラ設定が、プロテニスプレーヤー、妹兼駆け出しアイドル、超金持ち、超貧乏と多彩なのに、シナリオが死ぬほど平凡な学園もので、ちっともおもしろくないし萌えもしない。

主人公は典型的なエロゲの主人公。なぜそろいもそろってエロゲの主人公はゲーセンに行きたがるのか疑問である。あと、04年のゲームということで久しぶりに前髪の無い主人公を見た。主人公の友達はかなり外し気味。軟派系リア充志望の子で、まったくおもしろくなく、シナリオ全体としては彼が一番の致命傷だったかも。けっこう共通長めで、全員とかなり仲良くなるところまであって、仲良くなってからはかなり適当感が漂う。共通部分はまだおもしろかった。

数少ない褒めるべき点は、やはり主題歌とOPムービー。これは紛れもなく神。あと、システムはすごく使いやすい。『明日君』でもそう思ったが、これは戯画と並んでエロゲ界で最も使いやすい部類。キャラとしては、葵と真由はよくできてた。基本的に妹(葵)ゲー。他は作りこみが足りない。翼がなぜ世間的にあんなに人気があるのかが謎。いや、確かにかわいいのではあるが。

ファンディスクである謳華のほうは、ボリュームの少なさに驚いた。秋箱で買ったから(中古で4k)損をした気分にはならなかったが、フルプライスだったらブチギレて許されるレベル。


共通ルートでやたら遊園地に行かされるが、そんなに背景CGがもったいなかったんだろうか。あれがシナリオの起伏を減らす原因の一つだったと思う。遊園地の元ネタは富士急ハイランドだが、そこまで一時間で着くということは、舞台は東京じゃなくてもっと神奈川、静岡寄りのどこかではないだろうか。少なくとも小田急線沿いの武蔵野のどこか。しかし、修学旅行のハワイ行きの飛行機は羽田から飛んでいると仮定すると、あまり空港まで時間がかかっている描写も無いので、やはり神奈川県のどこかか。

修学旅行先がハワイというのも豪勢な話で、私立高校なら珍しくはないが、その設定が生かされることは無かった。キャラの水着姿を無理に見せる必要もないし、どうしても見せたかったなら温水プールなりなんなりでよかったんじゃないか。結局、タイトルとOPムービー以外に「秋」という要素を見出せなかった。確かに、秋は夏や冬に比べて演出が難しいのはわかるが、わざわざ修学旅行でハワイに行かないでも、文化祭なり体育大会なりの行事はあるし、背景の木々を黄色か赤色に染めるくらいの工夫はあってもよかった。それにしても季節感の無いゲームだった。

別に最初からシナリオそのものには期待してなかったけど、キャラ萌えさせてくれるくらいの文章は欲しかった。『明日君』にはそれが出来ていたから、進化したということだろうか。しかし、『秋色』を褒める紫信者にさえ駄作と言われる『プリミティブリンク』や『春色桜瀬』は、一体どういう出来なんだろう……

以下、一応のネタばれ各ルート。クリア順。



葵ルート

妹兼駆け出しアイドル。CV木村あやかの熱演は良かった。ただ、挿入歌下手いでござる。橋本みゆきに歌わせておけばよかったと思わなくもない。あの展開で、フライデーされる展開がなかったのは不思議。お前らエッチしてないでライブ会場へ戻れよwwww衣装エッチはその後でもいいだろwwwwと思ったら負けだろうか。


英理子ルート

幼馴染のお姉ちゃん兼担任の教師。ぶっちゃけどうでもいい(ry。メガネが下にずれすぎだと思うな。シナリオは超展開&急展開すぎて笑った。シナリオライターはエロシーンが書ければそれで良かったんですね、わかります。それにしても、川口浩探検隊はいろんなエロゲでネタにされるな。


香澄ルート

超金持ちお嬢様、だけど牛丼好き。そのキャラ立て方法はどうかと思った。まあ。超貧乏と超金持ちが一緒に牛丼作る姿は確かにとてもシュール。その意味では、このシナリオ考えた奴は偉いかもしれない。ナチュラルに高飛車ですな。つよきすのエリーを彷彿とさせる(向こうのほうが後だけど)。正直、全くかわいいと思えなかったキャラでした。まあ、俺はエリーも嫌いやし。


伊吹ルート

プロテニスプレーヤー。才能のある人間はそれを行使する義務があると思っている自分にとっては、伊吹をフォローする主人公ともども腹の立つ子でした。主人公は伊吹を諭す方向性がことごとく間違っていて余計にフラストレーションが溜まる。しかも葵と英理子に迷惑かけすぎでどうしようもない。あと、クリーム(笑)で腹筋ぶっ壊れた。その発想はある意味無かったわ。


真由ルート

超貧乏で口ベタで実はいい子。買う前の下調べではあんまり注目してなかったが、最終的には『秋色』では一番好きなキャラになった。気づくと割と直球だったのかもしれない。しかし、このシナリオの主人公はヘタレすぎていただけない。告白するならハワイの夜しかないだろうに。ラストの「結婚しよう」はあまりの青さに耳すまを思い出した。最後に正直牛丼屋の制服がかわいいとは思えない。香澄の牛エプロンといい、あのデザインは無い。


翼ルート

翼編というよりは、ハーレムルート。既存のルートを全部詰め込んだ。それだけに牛丼がキーアイテムになったことは言うまでも無い。シナリオは相変わらず中身ない。超展開はもう慣れた。


この記事へのトラックバックURL