2008年10月08日

借金姉妹 レビュー

これって悲恋モノじゃないか?


大金を借金している姉妹を手に入れて調教するゲーム。だが、調教要素をばっさり抜けば間違いなく純愛モノになる要素がちりばめられており、それを実現させた『借金姉妹2』が発売されたのもうなづける(それも1は低価格路線なのに2はフルプライス)。特に、某ルートをとりまく雰囲気は非常に物悲しく、調教モノらしい達成感とはかけ離れている。しかし、この雰囲気こそが本作の味噌であろう。

その最大の理由は主人公である。典型的な偽悪者であり、キャラクターとしてFFTのディリータ辺りにはよく似ている気がする。その出自、環境ゆえに自分にも他人にも冷徹だが、その実ものすごく愛に飢えている。表面上で既に大人な部分と非常に幼い部分が見え隠れしている。こういう系統のエロゲの主人公で、これだけ内面の設定が練ってあるのは珍しい。

ヒロイン二人が単純な設定ながらもかなり可愛いので、「エロゲ」としてはかなり使える部類。陵辱目当てなら完全な肩透かしを食らうほど和姦多めで、比較的ぬるい内容といえる。主人公が「身体破壊や改造は趣味じゃない」「自分も相手もイクのが理想」という割と真っ当な思考の持ち主で、調教も相手の感度を引き出すことに終始している。鞭も蝋燭も三角木馬も出てこない。ただし、CGの使いまわしが多いのと、終盤はかなりマニアックな責め方をするため、どの程度使えるかは個人差があると思われる。かく言う自分も、全く趣味にあわず閉口したものも多かった。

『燐月』といい、Selenはこういう妙に味のあるゲームを作ってくれるから割と好きである。ただ、『真・燐月』が思いのほかつまらなかったので、実はSelenは純愛モノ作れないんじゃないか疑惑が自分の中にあり、『借金姉妹2』をプレイするかどうかはかなり躊躇している(しかも品薄でなかなか中古の値段が下がってこない)。

あとは、システムがかなり使いづらいのが気になった。ウィンドウサイズの変更のために一々ゲーム終了させなければいけないなんて不便すぎる。バックログも短い。CG鑑賞、音楽鑑賞モードが無い。この辺は改善して欲しい。総合して、70点前後。


以下、ネタばれ。

というわけで、自分は愛奴隷ルート以外あまり評価していない。終盤の何とも言えない物悲しさはこのゲーム特有のもので、なかなか出せるものではない。若干調教期間が短く、かなりの速度で堕ちていった感じがしなくもないので、5ルートも作らずにこのルートに特化してしまってもよかったんじゃないかとさえ思う。残りのルートは単なるぬるめの調教モノに過ぎない。しかも、自分にはぼて腹趣味もスカトロ趣味も全く無いので、どのルートも終盤かなりげんなりした。

ところどころに入る妙なギャグに苦笑しつつも割と気に入ってしまった。「デモも初回版も無い!」じゃねーよw


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