2008年10月24日
四国上陸するか……

それでも、よくこれだけの貴重品を日本に持ってきたなとは思う。中にはガラスケースに入っておらず、触ろうと思えば触れてしまうなんて考える人がいてもおかしくない状態のものまであったが、それでいいのだろうか。意外とイタリア当局は貴重品だと思っていないのか、それともそういうものだけ貸してくれたのか、はたまたどうせすぐに修復予定だったか。確かに、むき出しのものは保存状態の際どいものが多かった。
フレスコ画ではなくテンペラ画が多かったのも印象的であった。フレスコ画は完全に壁画なので輸送が面倒だが、テンペラはまだ板絵が多いので楽だったという事情だろう。テンペラのほうが発色がよく、見栄えがいい。しかしテンペラとは卵黄に絵の具を溶いたものであり、要するにたんぱく質なので非常に腐りやすく、そういう意味では保存に気を使うものであるはずだが、そこは日本の空調を信頼したのだろう。
しかし、国際ゴシックの絵はどれもこれもよく似ているので、途中でどうしても飽きる。確かにゴシックとルネサンスの過渡期であってその両方の要素を持っているのはわかるのだが、題材や構図はやはり中世的要素が強く、どれだけ筆致が違おうともおおよそ同じ絵に見えてしまう。一番言いたいのは、何でも聖母子描いておけばいいってもんじゃねーぞってことだ。まあ中世の人に言ってもしょうがないのだが。
がんばって元の教会に飾ってあるように見せようとする涙ぐましい美術館側の努力はわかるのだが、安っぽいベニヤ板で作ったっぽい装飾を見ると何ともいえない気分になる点は否めない。やはり、大塚国際美術館に行け、というありがたいお説教というように解釈することにしよう。
なお、非常に珍しいことに常設展示のセザンヌが貸し出されており、代打でモネの絵が展示してあった。ウッズ代打福留のような豪華さである。というか、持ってるなら常設展示のゾーンを増やしてもっと飾ればいいのにと思わなくもない。
Posted by dg_law at 12:00│Comments(0)│