2008年10月29日

百合カップリングの成立要因について

百合話でもう一つ。注意文は前回同様。またしても「百合が主眼ではない作品における百合の扱い」の話なので、アイマス、東方中心。こちらは考察ではないので、されても答えに窮するかもしれない。


いかにカップリング厨の妄想力が豊かであっても、メジャーなカップリングとなるとやはり公式に何かしらの設定が無いと難しい。火の無いところに煙は立たぬというものである。

アリマリは永夜抄での会話が無いとあそこまで盛り上がることは無かった。パチェマリは「もってかないでー」と「なによまたきたの」が全ての発端である。が、フランとにとりも含めてそうであるが、魔理沙カップリングには基本があり、必ず「相手は引きこもりで人見知り」である。まあアリスを人見知りと言ってしまうのはかわいそうではあるが、実際深い付き合いの相手は少ない。「本気を出したがらない」という性格付けも、二次創作における孤独なアリスを強調しているように思える。

パチェとアリスは互いが魔法使いであり、魔理沙は「他の魔法使いと相性は良いが、仲は悪い」という公式設定がある(求聞史紀や地霊殿のおまけ.txt他)。これを曲解させればアリスはツンデレになるしパチェは恥ずかしがり屋さんになる。そりゃ原作信者がぶち切れるわ、という曲解っぷりであるが、自分もその曲解に乗って楽しんでいる一人なので何もいえない。いいじゃないか曲解。

その点で、にとまりはもっと描かれてもいいと思う。魔理沙カップリングの基本であるはばっちり抑えているので問題が無い。(これに関しては神主が完全に狙っている、でなければにとりにそういう設定をする必要も無いし地霊殿でまさかの登板をさせる理由も無い)。しかも魔法使い同士ではないからわざわざ設定を曲解する必要も無い。むしろにとりは人間大好きであり、ここで「人間でありながら魔法使い」という魔理沙の設定が生きてくる。ここまで条件がそろっておきながら地霊殿前には影も形も無かったのが驚きなくらいだ。そしてその地霊殿での会話も軽妙でおもしろい。(ついでに、にとまりといえばコレ、という漫画。MATILDAさんのにとまりは俺の故郷

霊夢側のカップリングで考えても理由付けは多い。レミリアは紅魔郷のエンディングが無ければ盛り上がっていないし、萃香は萃夢想で博麗神社に住み着いていなければ成立しづらい。紫との組み合わせのほうが多くなっていた可能性は高い。アリスは旧作つながり。魔理沙は言うまでもなく主人公コンビではあるが、香霖堂や三月精の影響はどうしても大きいだろう。

もう一歩深く見た場合の考察は前回ほとんど書いたとおりである。レミリアや萃香については「なつく」という要素が強い。レミリアのほうから会いに来る、住み着いている、という点は大きい。それらに対して霊夢は無関心(という公式設定)だからいい。あれでべたべただったらくどすぎて、霊夢が東方の主人公たりえない。

結界組は霊夢カップリングの中でも異色である。これも東方設定のおもしろいところだと思うのだが、あれだけ登場人物の数がいて、霊夢が年上的に頼れる相手は、幻想郷の守て手という設定上、紫しかいない。前回結界組の関係について「友人であり親子」と書いたのはそういう理由である。これをうまく生かした二次創作は多い。いよかん。の「季節外れの夏の唄」や四面楚歌との「夢現」、PERSONAL COLORの「公的事情により」何かは結界組好きにとってたまらない同人誌であると思う。ゆえに最近の神主の「幻想郷の守り手としての八雲紫」プッシュは私的にかなり嬉しい(緋想天然り地霊殿然り儚月抄然り)。


アイマス側でも、公式の火種があるほうが盛り上がりやすいというのは同じである。ゆきまこ、みきまこという王道は完全に釣り餌である。みきまこはMA以前だとほとんどみたことがない。似たようなカップリングに見えるが、美希は「君」付け、雪歩は「ちゃん」付けというところに、このカップリングの違いを見たい。はるちは、ちはやよいはほぼ完全に中の人ネタであるが、はるちはの「歌」という共通点は公式の狙いでもあるだろう。

そこへ行くと、今隆盛を極めていると言ってもいい「やよいおり」はかなり自然発生的で現象としても非常におもしろい(むろんの事ながら、私もやよいおり大好きである)。公式の火種はというと、知っている限りではニコニコ大百科同様のことくらいしかない。あれはよほど相性が良かったと言うほかない。あれは伊織のほうが男らしく見えて実はやよいが支えになっているという、変則的な王道カップリングと言えるだろう。

「亜美真美を入れるとロリトリオになって百合っぽさが消える!不思議!」というのは確かに驚きの現象であるが、不思議ではない。実のところこの三人にはロリトリオということぐらいしかつながりがなく、公式も意外と出番が少ない(L4Uのアイドラくらいでしか見たことが無い)。要するにこれと言った火種が無い。

加えて、亜美真美はそもそも百合に向かないキャラである。年齢が低すぎるのもあるが、これはもうキャラの問題としかいえない。律子やあずさでのカップリングをほとんど見ないのと同じ理由である。彼女らも百合には向いていなければ、別に他のキャラとの火種も無い。ただし、あずささんは中の人つながりで「あずちは」は可能ではあると思う。そして、やはりすいぎんPは偉大だなと思うのであるが、愛m@s24のときのような使い方であれば、あずささんも十分使えるというのが証明された。

この「亜美真美を考慮するかどうかで百合かただのトリオか変わる」という現象は、カップリング厨の思考回路を解明する大いなる一助となるであろう。次アイマスの百合で何がはやるのか?それは公式が次何をプッシュしてくるかにかかっている。それによってはゆきまこやみきまこが続くかもしれないし、新しいカップリングが成立するかもしれない。もっとも、東方ほどキャラが多くないのでパターンも限られてはいるが。

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