2008年11月30日

いつか、届く、あの空に。 レビュー

賛否両論激しいゲームだが、私は「賛」の側の人間ということになりそうだ。OPまでが体験版ゾーンだった、とのことだが、これは君のぞオマージュか。しかしだったら、「天体観測シネマNVL」などとごまかさずに、最初から伝奇的作品ですよということを明示する気概は欲しかったかもしれない。体験版をやらなかった結果、本気でだまされたユーザーもいただろうに。しかし、OP直前の流れは本当に君のぞの一章終了間際を彷彿とさせ、すごい勢いで引き込まれた。あの演出は、何度出会っても鳥肌が立つ。

欠点はといえば、どこかのレビューで「情報管理と説明不足は別の概念」という言葉を読んだが、全く持ってその通りである。このシナリオライターは完全にその区別がついていなかったようで、情報を秘匿しまくった結果、せっかく丁寧に張ってきた伏線を回収がすごくわかりにくい。ふたみルートはいいのだが、此芽、傘ルートは説明不足の極致である。しばしば「主人公の理解力が早すぎてついていけない」というプレイヤーもいたようだが、それもうなづける話である(個人的には問題なく、むしろあの話のテンポの早さは心地よかったのではあるが)。

そのせいか、設定が矛盾してるのか公開されてない何かがあるのか、それとも単に大半のユーザーが気づいていない設定が存在しているのか、さっぱり判断がつかない点が多い。ゲーム内で一度説明されたことがあとから「あの設定はあのキャラの誤解で真相は別でしたorわざと嘘の説明してました」というのが発覚するというパターンが、これまた非常に多いので余計に混乱する。そして、公式発表がまた当てにならない。レビュー・考察サイトはそこそこ数があるが、皆困惑しているようである。

他の点では、Hシーンが一回しかなく、薄いうえに無理な場面設定だなと思った。せっかく萌木原御大の美麗なCGが売りのゲームなのにもったいない。設定上仕方が無いとは言え、メメが攻略できないのは惜しい。のんやみどのはしょうがないとしても、メメぐらいは、という気がしないでもない。

点数は75点強。全ルートがOP前かふたみルートくらいのクオリティなら90点も夢ではなかった、非常に惜しい作品である。

これで今積んでいるものは全部終わったし、金も冬コミに向けてとっておかないといけないし、就活で少しばかり忙しいので、当分エロゲはできないかと思う。まあ年内に復帰してたら「さすがDGさんっすねwwwww」とか褒め称えてくれればいいじゃない。


以下、ネタばれ。

考察に関してはこのサイトが非常に詳しい。特に命ゲージがわかりやすくていい。メインヒロインの誰かしらは描写されない裏で死んでて、トゥルーエンドが無いというのはおもしろい。


ふたみルート

「お主人ちゃん」の呼称は正直どうかと思うが、こういう典型的な押しかけ女房はやはりかわいい。ただ、やはりあの珍妙なメイド服でのHシーンが欲しかった。静もまた典型的なロリババアですなぁ。本来なら私の直球なんだろうが、ただ、見せ場が少なかったのが痛い。ま、でもお約束として「OK、ババア。愛してるぜ」。

刀好きとしては雷切が出てきたところで鳥肌たった。解体の能力は非常に便利なんだが、こと武器に限定されてしまうとゼロ魔のサイト君の能力と丸かぶりではある。いや、だからどうしたというわけではないんだが。もっとも、本当に策が見ていたのは武器の本質ではなく「銘」らしい(でなければ説明がつかないことは確かに多い)。しかし、そうすると今度は随分万能な能力に……

エンディングについて。ふたみはおまけシナリオを信じるならどうやら太陽・雲・人間形態はかなり融通がきくようなので、策が狼を殺して第二の太陽になる必要が無かったため、太陽から人間形態に戻ったのだろう。策が狼殺しから人間に戻れた、「生きる権利」を回復したのは、オーディンの恩返しだろうという説をとりたい。


此芽ルート

このゲームで一番かわいいと思えたのは此芽。やはり対一般人と対策での態度のギャップが萌えのツボだった。対策の態度はいじめてオーラが出すぎでしょう。それだけに、みどのさんには失望したわけだが。そこは触手の出番だろ……常識的考えて……お前は何のために魔術が使えるんだと小一時間(ry

「偽グングニル」を槍ではないと解釈するなら、やはり矢ではないかと。要するにしばしばグングニルやゲイ・ボルクと同一視されるブリューナクだと考えるなら、武器の種類が槍以外の投擲武器だと判断されてもおかしくはない。しかし、逆式魔槍も大概チート兵器である。熱力学第一法則も第二法則もあったもんじゃない。

エンディングで桜が咲いたのはやはりオーディンの恩返しだったと考えれば納得が行く。全ルートで一番わかりやすい形での恩返し。


傘ルート

戦車の登場は笑ったというより場違いすぎて困った。しかも三式中戦車なんてまた中途半端な。チハだったらギャグになってたのに。しかも、傘姉は「異なる世界」に移動できる能力なんて持っててそれだけ強いなら、力づくでラグナロクを止められたんじゃないかとか、そこで鶏を殺しちゃったら結局人外が人間の活動に介入しちゃうことになってて、それはアスクの目的に反するんじゃないか、とか。とにかく超展開だらけでどうにも。

エンディングで策が傘に会わせたい人物は公式発表でふたみと確定しているが、これもオーディンの恩返しで生き返ったんじゃないだろうか。ふたみルートでも此芽ルートでも、ラグナロクが阻止されてから恩返しが発動するまでに割りと間隔が空いているので、ふたみの蘇生にもタイムラグが生じたんだろう。


最後に。強さをランク付けするなら

(太陽化ふたみ>)覚醒此芽=傘>静>解体覚醒策>メメ>明日宿父>茂一=菊ノ丸>御前(個人)

で、静と策の間に割りと巨大な壁がある感じ?みどのは茂一や菊ノ丸と同じくらいのランクじゃないかなぁ。太陽化ふたみはギャグだけど。


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