2009年02月24日
『ネコっかわいがり!』レビュー
ネタバレなしには何も書けないので最初から隔離。今からやる気のある人は絶対に読んじゃダメ。ネタバレ踏んでもいいやという人とクリアした人のみどうぞ。
一応未プレイの人のためにストーリーを。この世界は普通にイヌミミ、ネコミミを持った人間が登場する。舞台は町から完全に隔離された山奥にあるとある診療所で、主人公はイヌミミ。そして前半部分は単なるネコミミ萌えゲーとして推移する。
しかしトゥルールートに入ると、以下のようなことが次々と発覚する。
・実はこの世界に狂犬病を数段凶悪化させたような致死率100%の病気(DOTES)が存在すること
・獣耳は人間がDOTESが感染した結果、死ぬ前に発症するものであること
・DOTESにより世界はすでに滅びかかっていること
・そして、この診療所はその特効薬を作るための人類最後の砦であること
・特効薬は発症者の脳髄から精製可能であるということが、この診療所の医師により突き止められたこと
・しかし、特効薬精製に適合する脳髄は主人公とヒロインのものしか既に残っていないということ
・主人公は元々感染してなかったにもかかわらず、特効薬のためにわざと感染したこと
最後には疾患していない唯一の人間でもある、医師を残して全員死亡する。医師は特効薬を精製し、診療所を後にした。
このゲームを一言で言い表すと「悪質」としか表現できない。前半とトゥルーのギャップがひどいのは確かなんだが、ひぐらしのように単に暗転してバッドエンドに直行というわけではなくて、突然自分たちの暮らしている世界に理不尽と悪意が突きつけられていることが発覚して、しかもユーザーにとってはかわいさの象徴であった獣耳が実は時限爆弾であったことが告げられる。その他の様々な要素も、細かく裏返って突然牙を剥く。しかも前半は、本当に取るに足らない単なる萌えゲーだから余計にタチが悪い。
救いはあるのだけれど、それは世界に対する救済であって、診療所を取り巻く小さな世界は破滅に向かっていくだけである。しかも、その破滅の最後のスイッチは、医師自身が押さなければならないものだった。ふと思ったが、この手法は鍵ゲーに近いものがあるかも。登場人物たちの努力次第では救いがある分、向こうのほうがマシだけど。
ほとんどのキャラの逝ったシーンが直接的には明示されず、死んだ事実だけが淡々と語られる。その誰もが最後の人間に、希望を託して。この希望が、重い。人類が絶滅寸前であるという事実の絶望よりも、重いかもしれない。久しぶりにエロゲで本格的に凹んだ。これだけ凹んだのは『キラ☆キラ』のきらりルート以来だ。(リンク先『キラ☆キラ』ネタバレ注意)
この後日談を語った『What a Wonderful World』も、痛い。制作者はアリスにかくも過酷な人生を歩ませるのか。彼女にはさらなる悪意と理不尽が襲う。必読である。この作品、企画からかなり急ピッチで制作されたとのことだが、確かに設定が深い割りに緻密ではない。『AIR』といい、えぐいゲームは切迫した制作環境から生まれるものなのかもしれない。ところで、医学ネタでこれだけ振り回して、目に見える破綻が無いというのは割と評価できることだと思う。一歩間違えればこの作品も『天使の二挺拳銃』の二の舞になっていただろうに。その他、言いたいことはSu-37さんが語ってらっしゃるのでそちらへ。13cm 『ネコっかわいがり!』 感想 ―― 可愛さいっぱいの世界 (ネタバレ有)
それにしても前半部分はつまらなかった。単なる萌えゲーとしてはそこまで質の高いものとは思えないし、伏線を必死に張ってるのはよくわかったがいつまでたっても回収されない。おまけにHシーンをすっ飛ばすと1ルート1時間で終わる短さ。いかにトゥルーにつなげるためにわざと典型的な萌えゲーに落とし込んだと言っても、もう少しなんとでもなったような気がする。これは獣耳目当てだけに買った人にとっては、二重の意味で地雷だったんじゃないか。
OPとEDは神。曲も歌詞もムービーも神。OPが神なのはプレイ前から自明のことであったが、EDにあれだけ凹まされる事になるとは。
しかしトゥルールートに入ると、以下のようなことが次々と発覚する。
・実はこの世界に狂犬病を数段凶悪化させたような致死率100%の病気(DOTES)が存在すること
・獣耳は人間がDOTESが感染した結果、死ぬ前に発症するものであること
・DOTESにより世界はすでに滅びかかっていること
・そして、この診療所はその特効薬を作るための人類最後の砦であること
・特効薬は発症者の脳髄から精製可能であるということが、この診療所の医師により突き止められたこと
・しかし、特効薬精製に適合する脳髄は主人公とヒロインのものしか既に残っていないということ
・主人公は元々感染してなかったにもかかわらず、特効薬のためにわざと感染したこと
最後には疾患していない唯一の人間でもある、医師を残して全員死亡する。医師は特効薬を精製し、診療所を後にした。
このゲームを一言で言い表すと「悪質」としか表現できない。前半とトゥルーのギャップがひどいのは確かなんだが、ひぐらしのように単に暗転してバッドエンドに直行というわけではなくて、突然自分たちの暮らしている世界に理不尽と悪意が突きつけられていることが発覚して、しかもユーザーにとってはかわいさの象徴であった獣耳が実は時限爆弾であったことが告げられる。その他の様々な要素も、細かく裏返って突然牙を剥く。しかも前半は、本当に取るに足らない単なる萌えゲーだから余計にタチが悪い。
救いはあるのだけれど、それは世界に対する救済であって、診療所を取り巻く小さな世界は破滅に向かっていくだけである。しかも、その破滅の最後のスイッチは、医師自身が押さなければならないものだった。ふと思ったが、この手法は鍵ゲーに近いものがあるかも。登場人物たちの努力次第では救いがある分、向こうのほうがマシだけど。
ほとんどのキャラの逝ったシーンが直接的には明示されず、死んだ事実だけが淡々と語られる。その誰もが最後の人間に、希望を託して。この希望が、重い。人類が絶滅寸前であるという事実の絶望よりも、重いかもしれない。久しぶりにエロゲで本格的に凹んだ。これだけ凹んだのは『キラ☆キラ』のきらりルート以来だ。(リンク先『キラ☆キラ』ネタバレ注意)
この後日談を語った『What a Wonderful World』も、痛い。制作者はアリスにかくも過酷な人生を歩ませるのか。彼女にはさらなる悪意と理不尽が襲う。必読である。この作品、企画からかなり急ピッチで制作されたとのことだが、確かに設定が深い割りに緻密ではない。『AIR』といい、えぐいゲームは切迫した制作環境から生まれるものなのかもしれない。ところで、医学ネタでこれだけ振り回して、目に見える破綻が無いというのは割と評価できることだと思う。一歩間違えればこの作品も『天使の二挺拳銃』の二の舞になっていただろうに。その他、言いたいことはSu-37さんが語ってらっしゃるのでそちらへ。13cm 『ネコっかわいがり!』 感想 ―― 可愛さいっぱいの世界 (ネタバレ有)
それにしても前半部分はつまらなかった。単なる萌えゲーとしてはそこまで質の高いものとは思えないし、伏線を必死に張ってるのはよくわかったがいつまでたっても回収されない。おまけにHシーンをすっ飛ばすと1ルート1時間で終わる短さ。いかにトゥルーにつなげるためにわざと典型的な萌えゲーに落とし込んだと言っても、もう少しなんとでもなったような気がする。これは獣耳目当てだけに買った人にとっては、二重の意味で地雷だったんじゃないか。
OPとEDは神。曲も歌詞もムービーも神。OPが神なのはプレイ前から自明のことであったが、EDにあれだけ凹まされる事になるとは。
Posted by dg_law at 12:00│Comments(0)