2009年11月07日

『秘境駅』牛山隆信著、メディアファクトリー

世の中に無人駅というものは無数にある。しかし、その無人駅からもう一歩進んで、乗降客が少なく、周囲に人家もなく、駅舎は廃墟寸前もしくは廃墟となっていて、鈍行にすらすっとばされることがある、というレベルの駅となると、あまり存在しない。著者の牛山隆信氏はこれを「秘境駅」と名づけた。もちろん造語である。

秘境駅を紹介する本としては著者の他の本があるが、本書は秘境駅写真集として編集されたものである。ほぼ全ページがフルカラーで、秘境駅の秘境っぷりがよく表現されたものとなっている。私自身は廃墟好きではあるが、鉄道そのものには大して興味が無い。しかし、友人に乗り鉄がいるので、彼にプレゼントするかということで買って読んだ。なるほど、廃墟となった駅舎もなかなか趣深い。鉄道以外の交通手段がまるでない、ホームや駅舎が自然と一体化している、等は個人的にポイントが高いように思う。

秘境駅はその度合に応じてランキングされており、著者のHPで公開されている。何がすごいって、1位から100位くらいまではほとんど北海道と東北地方で独占されている状態であるにもかかわらず、2位及び4位に燦然と輝く我らが飯田線。実は豊橋市民でありながら、新城の某友人宅へ行く以外の用事ではほとんど乗ったことがない非常ににわかな自分だが、それでも噂に聞く飯田線の凄さを改めて実感することになった。

ちなみに、200位までに東京、大阪、愛知県は一つも無かった。東京都にも無人駅が無いわけではないはずで、なんか悔しかったのでぐぐってみたら、青梅線の白丸駅は秘境駅として認定されているようだ。この方のサイトに取り上げられているが、青梅線のほか、八高線も相当ありそうである。ランクインするほどではない、ということか。愛知だとどうかなぁ。我らが渥美線も良い線行ってる駅がありそうな。

ちなみに、東京都区内の秘境駅と言えばゆりかもめのほとんどの駅じゃないかという話。裏をついててなるほど、と思った。何度かサイクリングに行ったことがあるが、確かに臨海地区は場所を選ぶと本当に人がいない。ただ、最近豊洲は開発されてきたので、東雲と新豊洲は外してもいいだろう。市場前と有明テニヌの森は本気で存在価値を疑うので、気になる人は今度のコミケの時でもゆりかもめに乗ってみるといいだろう。


秘境駅秘境駅
著者:牛山隆信・栗原 景
販売元:メディアファクトリー
発売日:2008-07-02
おすすめ度:3.0
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