2010年06月12日
カスパー・ダーフィト・フリードリヒについて付録:参考文献一覧
まあ,一応ね。レポートにしろ卒論にしろ,自分で読んでから書いてほしいという思いもこめて。書籍紹介にとどめ論文紹介まではやらんので,各自自分でCiNiiするなりなんなりしてください。ついでに各記事へリンクを作っておく。
・カスパー・ダーフィト・フリードリヒについて(1):思想形成
・カスパー・ダーフィト・フリードリヒについて(2):脇道、崇高概念について
・カスパー・ダーフィト・フリードリヒについて(3):人生と画業の遍歴・前編
・カスパー・ダーフィト・フリードリヒについて(4):人生と画業の遍歴・後編
・カスパー・ダーフィト・フリードリヒについて(5):評価/研究史・周辺の画家
・カスパー・ダーフィト・フリードリヒについて(1):思想形成
・カスパー・ダーフィト・フリードリヒについて(2):脇道、崇高概念について
・カスパー・ダーフィト・フリードリヒについて(3):人生と画業の遍歴・前編
・カスパー・ダーフィト・フリードリヒについて(4):人生と画業の遍歴・後編
・カスパー・ダーフィト・フリードリヒについて(5):評価/研究史・周辺の画家
A.日本語で読めるもので必読のもの,基本書
・ペーター・ラウトマン『フリードリヒ【氷海】』長谷川美子訳、三元社、2000
→ 真っ先に読むべき本の一冊。薄くてさっさと読めるが,フリードリヒ研究のエッセンスは詰まっている。《氷海》をまったく扱わないとしても読む価値が十分にある。ただし,フリードリヒの経歴を追う類のものではないため,その点の知識は増えない。
・ヘルベルト・フォン・アイネム『風景画家フリードリヒ』藤縄千艸訳、高科書店、1991(原著はEinem, Herbert von, 1950)
→ 研究史の古典にして,最もまとまっている本でもある。その輝きはいまだもってあせない。フリードリヒ研究の出発点はやはりフォン・アイネムである。翻訳で読めることに感謝を。ただし,amazonにも無いレベルの本なので,読むならがんばれ。
・ハンス・ヨアヒム・ナイトハルト『ドイツ・ロマン主義絵画 フリードリヒとその周辺』相良憲一訳、講談社、1984
→ やや古い本だが,フリードリヒを時系列で追い,かつ周囲の画家について簡潔にまとめてある。良書。
B.日本語で読めるもので,できれば読んでおきたい本
・ノルベルト・ヴォルフ『Caspar David Friedrich 1774-1840 静寂の画家』TASCHEN GmbH、2006
→ 参考文献一覧も無ければ脚注もついてない上にやや言い回しが難しい。しかも訳がところどころ酷い。しかし,フリードリヒについての貴重な翻訳には違いない。画集としては優秀。
・仲間裕子『C.D.フリードリヒ 《画家のアトリエからの眺め》――視覚と思考の近代』三元社、2007
→ 近年出たものでは最もまとまっている。この一冊で大体フリードリヒの人生と研究は把握できるだろう。ただし,ある程度フリードリヒを知っていることが前提になっている上,著者の問題意識が全面に出ているため基本書とは言いがたい。
・ヘルベルト・フォン・アイネム『ドイツ近代絵画史』神林恒道・武藤三千夫訳、岩崎美術社、1985
→ フォン・アイネムの分厚い本。いろんな意味で読み応えはある。これも,フリードリヒ自身とその周囲についてがっつり学べる良書。
C.直接関係ないけど読んでおいて損はしない本
・M・H・ニコルソン『暗い山と栄光の山』小黒和子訳、国書刊行会、1994
→ 何度か紹介しているので説明不要か。一応ブックレビューにリンクをしておく。
・ハンス・ベルティング『ドイツ人とドイツ美術 ―やっかいな遺産―』仲間裕子訳、晃洋書房、1998
→ ドイツの美術はなぜ特殊なのか,そしてドイツの美術史がなぜ複雑な変遷を遂げてしまっているのか,という点について解説したもの。ハンス・ベルティングは直接フリードリヒに関係はないが,ドイツの美術史家有名人上から10人には入る大物。
・ロバート・ローゼンブラム『近代絵画と北方ロマン主義の伝統』岩崎美術社、1988
→ ローゼンブラムもドイツの大物美術史家。しかし,これはけっこう美学的な本だったような覚えもある。フリードリヒからゴッホ、そしてマーク・ロスコへ至ったゲルマン系美術の系譜をたどる。
・フーベルト・シュラーデ『ドイツ・ロマン派』本江邦夫訳、美術出版社、1980
→ タイトルの通りの本。フリードリヒについてもかなり詳しい。ラムドール論争について載っている。
D.押さえておくべき展覧会の図録(年代順)
・『フリードリッヒとその周辺』穴沢一夫, 本江邦夫編(国立近代美術館)、日本経済新聞社 、1978
→ 日本最古のフリードリヒ展覧会。説明は現在の研究とずれているものが多数あるので注意。研究史的価値は非常に高い。
・『19世紀ドイツ絵画名作展 : プロイセン文化財団ベルリン国立美術館所蔵』東京国立近代美術館編、朝日新聞社、1985
・『ドイツ・ロマン派の時代』展(東京都庭園美術館)、ハンス・A・ペータース、藤縄千艸監修、ホワイト・パブリック・リレーションズ、1989
・『ドイツ・ロマン主義の風景素描』ペトラ・クールマン=ホディック・佐藤直樹編、国立西洋美術館、2003
→ フリードリヒ作品掲載。論文付で必読。
・『ドレスデン国立美術館展 −世界の鏡:カタログ篇』責任編集佐藤直樹、コルドゥラ・ビショッフ、ヴォルフガング・ホラー、日本経済新聞社、2005
→ フリードリヒと周辺の画家の作品が掲載。これもドレスデンとフリードリヒのかかわりに関する重要な論文付。
・『世界遺産・博物館島 ベルリンの至宝展 −よみがえる美の聖域』東京国立博物館、朝日新聞社編、朝日新聞社、TBS、東映発行、2005
→ 《孤独な樹》《海辺の月の出》の連作と《窓辺の女》が掲載。フリードリヒ周辺の画家の作品も多く掲載。ロマン主義に関する論文有。
E.がんばって読むべきドイツ語文献(ウムラウトの文字化けが激しいのでeで表記)
・Boersch-Supan, Helmut: Caspar David Friedrich, Muenchen, 1973
→ 基本書。でもやたら分厚い上に書いてあることがレゾネと全く変わらんのでスルーでも可。
・Boersch-Supan, Helmut / Jaehnig, Karl Wilhelm: Caspar David Friedrich : Gemaelde, Druckgraphik und bildmaessige Zeichnungen, Muenchen, 1974
→ いわゆるカタログレゾネ。読んでないと話にならない。
・Busch, Werner: Caspar David Friedrich: Aesthetik und Religion, Muenchen, 2003
→ 最近出たものでは比較的手に入りやすいような(webcat的に)。内容もベルシュ=ズーパンにケンカ売ってて割とおもしろい。
・Grave, Johannes: Caspar David Friedrich und die Theorie des Erhabenen, Friedrichs Eismeer als Antwort auf einen zentralen Begriff der zeitgenoessischen Aesthetik, Wiemar, 2001
→ 主に《氷海》について書かれたものだが,作品批評の態度が他の研究者とまったく違うので興味深い。薄いし読みやすい。
・Hinz, Sigrid: Caspar David Friedrich in Briefen und Bekenntnissen, Berlin, 1968
→ 手紙と素描集。ある意味もう一つのレゾネだが,ぶっちゃけ日本の図書館にはほとんど存在しないので,どうしても見たければ持ってそうな先生に連絡とってください。
・Kat. Ausst. Caspar David Friedrich, 1774-1840, Hamburger Kunsthalle, Hrsg. von Werner Hofmann, Muenchen, 1974
→ ドイツ語文献の中ではレゾネの次に大事かも。フリードリヒの本格的発掘のきっかけになったハンブルク美術館のフリードリヒ回顧展のカタログ。大変示唆に富んだ作品紹介がなされている。
・Koerner, Joseph Leo: Caspar David Friedrich and the subject of landscape, London, 1990
→ めんどくさいんでドイツ語ゾーンに入れてしまったが英語で読める。やったね! でもこれも日本の図書館にはほとんどない。がんばって探せ。
・ペーター・ラウトマン『フリードリヒ【氷海】』長谷川美子訳、三元社、2000
→ 真っ先に読むべき本の一冊。薄くてさっさと読めるが,フリードリヒ研究のエッセンスは詰まっている。《氷海》をまったく扱わないとしても読む価値が十分にある。ただし,フリードリヒの経歴を追う類のものではないため,その点の知識は増えない。
・ヘルベルト・フォン・アイネム『風景画家フリードリヒ』藤縄千艸訳、高科書店、1991(原著はEinem, Herbert von, 1950)
→ 研究史の古典にして,最もまとまっている本でもある。その輝きはいまだもってあせない。フリードリヒ研究の出発点はやはりフォン・アイネムである。翻訳で読めることに感謝を。ただし,amazonにも無いレベルの本なので,読むならがんばれ。
・ハンス・ヨアヒム・ナイトハルト『ドイツ・ロマン主義絵画 フリードリヒとその周辺』相良憲一訳、講談社、1984
→ やや古い本だが,フリードリヒを時系列で追い,かつ周囲の画家について簡潔にまとめてある。良書。
B.日本語で読めるもので,できれば読んでおきたい本
・ノルベルト・ヴォルフ『Caspar David Friedrich 1774-1840 静寂の画家』TASCHEN GmbH、2006
→ 参考文献一覧も無ければ脚注もついてない上にやや言い回しが難しい。しかも訳がところどころ酷い。しかし,フリードリヒについての貴重な翻訳には違いない。画集としては優秀。
・仲間裕子『C.D.フリードリヒ 《画家のアトリエからの眺め》――視覚と思考の近代』三元社、2007
→ 近年出たものでは最もまとまっている。この一冊で大体フリードリヒの人生と研究は把握できるだろう。ただし,ある程度フリードリヒを知っていることが前提になっている上,著者の問題意識が全面に出ているため基本書とは言いがたい。
・ヘルベルト・フォン・アイネム『ドイツ近代絵画史』神林恒道・武藤三千夫訳、岩崎美術社、1985
→ フォン・アイネムの分厚い本。いろんな意味で読み応えはある。これも,フリードリヒ自身とその周囲についてがっつり学べる良書。
C.直接関係ないけど読んでおいて損はしない本
・M・H・ニコルソン『暗い山と栄光の山』小黒和子訳、国書刊行会、1994
→ 何度か紹介しているので説明不要か。一応ブックレビューにリンクをしておく。
・ハンス・ベルティング『ドイツ人とドイツ美術 ―やっかいな遺産―』仲間裕子訳、晃洋書房、1998
→ ドイツの美術はなぜ特殊なのか,そしてドイツの美術史がなぜ複雑な変遷を遂げてしまっているのか,という点について解説したもの。ハンス・ベルティングは直接フリードリヒに関係はないが,ドイツの美術史家有名人上から10人には入る大物。
・ロバート・ローゼンブラム『近代絵画と北方ロマン主義の伝統』岩崎美術社、1988
→ ローゼンブラムもドイツの大物美術史家。しかし,これはけっこう美学的な本だったような覚えもある。フリードリヒからゴッホ、そしてマーク・ロスコへ至ったゲルマン系美術の系譜をたどる。
・フーベルト・シュラーデ『ドイツ・ロマン派』本江邦夫訳、美術出版社、1980
→ タイトルの通りの本。フリードリヒについてもかなり詳しい。ラムドール論争について載っている。
D.押さえておくべき展覧会の図録(年代順)
・『フリードリッヒとその周辺』穴沢一夫, 本江邦夫編(国立近代美術館)、日本経済新聞社 、1978
→ 日本最古のフリードリヒ展覧会。説明は現在の研究とずれているものが多数あるので注意。研究史的価値は非常に高い。
・『19世紀ドイツ絵画名作展 : プロイセン文化財団ベルリン国立美術館所蔵』東京国立近代美術館編、朝日新聞社、1985
・『ドイツ・ロマン派の時代』展(東京都庭園美術館)、ハンス・A・ペータース、藤縄千艸監修、ホワイト・パブリック・リレーションズ、1989
・『ドイツ・ロマン主義の風景素描』ペトラ・クールマン=ホディック・佐藤直樹編、国立西洋美術館、2003
→ フリードリヒ作品掲載。論文付で必読。
・『ドレスデン国立美術館展 −世界の鏡:カタログ篇』責任編集佐藤直樹、コルドゥラ・ビショッフ、ヴォルフガング・ホラー、日本経済新聞社、2005
→ フリードリヒと周辺の画家の作品が掲載。これもドレスデンとフリードリヒのかかわりに関する重要な論文付。
・『世界遺産・博物館島 ベルリンの至宝展 −よみがえる美の聖域』東京国立博物館、朝日新聞社編、朝日新聞社、TBS、東映発行、2005
→ 《孤独な樹》《海辺の月の出》の連作と《窓辺の女》が掲載。フリードリヒ周辺の画家の作品も多く掲載。ロマン主義に関する論文有。
E.がんばって読むべきドイツ語文献(ウムラウトの文字化けが激しいのでeで表記)
・Boersch-Supan, Helmut: Caspar David Friedrich, Muenchen, 1973
→ 基本書。でもやたら分厚い上に書いてあることがレゾネと全く変わらんのでスルーでも可。
・Boersch-Supan, Helmut / Jaehnig, Karl Wilhelm: Caspar David Friedrich : Gemaelde, Druckgraphik und bildmaessige Zeichnungen, Muenchen, 1974
→ いわゆるカタログレゾネ。読んでないと話にならない。
・Busch, Werner: Caspar David Friedrich: Aesthetik und Religion, Muenchen, 2003
→ 最近出たものでは比較的手に入りやすいような(webcat的に)。内容もベルシュ=ズーパンにケンカ売ってて割とおもしろい。
・Grave, Johannes: Caspar David Friedrich und die Theorie des Erhabenen, Friedrichs Eismeer als Antwort auf einen zentralen Begriff der zeitgenoessischen Aesthetik, Wiemar, 2001
→ 主に《氷海》について書かれたものだが,作品批評の態度が他の研究者とまったく違うので興味深い。薄いし読みやすい。
・Hinz, Sigrid: Caspar David Friedrich in Briefen und Bekenntnissen, Berlin, 1968
→ 手紙と素描集。ある意味もう一つのレゾネだが,ぶっちゃけ日本の図書館にはほとんど存在しないので,どうしても見たければ持ってそうな先生に連絡とってください。
・Kat. Ausst. Caspar David Friedrich, 1774-1840, Hamburger Kunsthalle, Hrsg. von Werner Hofmann, Muenchen, 1974
→ ドイツ語文献の中ではレゾネの次に大事かも。フリードリヒの本格的発掘のきっかけになったハンブルク美術館のフリードリヒ回顧展のカタログ。大変示唆に富んだ作品紹介がなされている。
・Koerner, Joseph Leo: Caspar David Friedrich and the subject of landscape, London, 1990
→ めんどくさいんでドイツ語ゾーンに入れてしまったが英語で読める。やったね! でもこれも日本の図書館にはほとんどない。がんばって探せ。
Posted by dg_law at 08:00│Comments(3)
この記事へのコメント
さいたま市図書館で以下のような書籍を発見しましたので、参考までにご報告致します。
モダン・デザインの展開 −モリスからグロピウスまで−
https://www.lib.city.saitama.jp/rentaldetail?5&conum=1740338
箸にも棒にもかからないかもしれませんが、ご参考までに。
モダン・デザインの展開 −モリスからグロピウスまで−
https://www.lib.city.saitama.jp/rentaldetail?5&conum=1740338
箸にも棒にもかからないかもしれませんが、ご参考までに。
Posted by 文系と理系の狭間 at 2017年06月12日 16:18
もうひとつ
さいたま市図書館で以下のような書籍を発見しましたので、参考までにご報告致します。
美と芸術の論理 −美学入門−
https://www.lib.city.saitama.jp/rentaldetail?5&conum=4890501
箸にも棒にもかからないかもしれませんが、ご参考までに。
さいたま市図書館で以下のような書籍を発見しましたので、参考までにご報告致します。
美と芸術の論理 −美学入門−
https://www.lib.city.saitama.jp/rentaldetail?5&conum=4890501
箸にも棒にもかからないかもしれませんが、ご参考までに。
Posted by 文系と理系の狭間 at 2017年06月14日 23:23
紹介どうもありがとうございます。
しかし,どちらもこの分野とはかなり遠いですね……
あと,さいたま市図書館のHPはログインしてないと書籍の概要が見れないようです。
しかし,どちらもこの分野とはかなり遠いですね……
あと,さいたま市図書館のHPはログインしてないと書籍の概要が見れないようです。
Posted by DG-Law at 2017年06月17日 23:41