2010年08月24日

うみねこのなく頃に EP7 Requiem of the golden witch レビュー

久々に,ゲームクリア直後に放心してしまった。端的に言って大変おもしろかった。完全ネタ晴らしシナリオ。8〜9割方の謎は解明されたと思う。そこそこ短くまとまりだれるところもなかった。EP6のレビューでも書いたが,これだけのストーリーを謎の奇病・東京なしにまとめあげたという点において,本作は「ひぐらし」よりも高く評価しても良いだろう。(ただし,エンタメ作品としては向こうのほうが上だったが。)残りの謎に関してはEP8待ち,ということになるが,もはや何の心配もしていない。

さりげなく私の高評価の理由の一つとして,うみねこwikiでの推理がほとんど当たっていたということにある。EP4か5くらいまでの推理の複合で正解が導き出せているのだ。その意味で,今回の戦いはニンゲン(プレイヤー)の勝利と言えるだろう。しかし一方で,我々は,EP4・5まででちゃんと解けるようにヒントを小出しにした,魔女(GM=竜騎士)の手のひらで踊っていただけとも言える。解かれることがベアトの望みであった,という設定もあるわけで。この絶妙な布石は「ひぐらし」に足りなかったものでもあり,EP6・7は今までまじめに推理してきた人にとっては最高のプレゼントになったのではないか。

ツイッターでもつぶやいたが,一応もう一度書いておく。「確かにEP1〜4までのヒントで全部解けます。自分の推理も部分的にですが正解でした。今回はひぐらしの「東京」のような逃げは(完全に無いとはいえないけど)ほぼありません。これからEP1からやる気のある人は安心してどうぞ。」EP7単体としては90点。EP1-7通しての点数としては80点強。EP8の出来次第だが,名作認定しても問題ない。


以下,ネタばれ。感想というよりも単なる情報の整理。


犯人はヤス。これがやりたかっただけなネーミングだが,それはさておき


ヤス=孫ベアト=白ベアト(クレル)=シャノン=カノン=リオンってことでおk?


整理するとベアトは全部で3(4)人いる。一人目はベアトリーチェ・カスティリオーニ。言われてみれば「ベアトリーチェ」というイタリア人にしかいない名前,加えて「金蔵は二次大戦を契機にのし上がった」という情報から,黄金10tの由来については推理できていてもよかった。今思えば,なぜ思いつかなかったのだろう。潜水艦の件については,ヨーロッパ側の枢軸国の潜水艦が日本まで来るという話は似たようなものなら実在しているし,しばしば架空戦記に使われるネタであるので,これに関してもむしろ思いつかなかった側が悪い,かもしれない。ただし,黄金獲得の経緯については,観劇者権限で見たものと死んだクレルの贓物では大きく食い違いがある。これも一種の猫箱か。

二人目は九羽鳥庵のベアトリーチェ。娘ベアト。金蔵にレイプされたのは確定のようだ。ただし,それが光源氏的過ちであったのか,それとも純粋なレイプだったのかは,やはり描写に食い違いがある。はいはい猫箱猫箱。三人目のベアトは,これをカウントするのならば,熊沢が主犯的に生み出した悪食島の怨霊と金蔵の黒魔術,使用人たちの噂が合体してできた魔女幻想としてのベアトリーチェ,通称姉ベアト。ただし,姉ベアトはEP6での描写同様(これも今考えれば完全に伏線なのだが),四人目のベアトであるヤスに吸収される形で消滅する。

四人目はそのときのレイプで生まれた娘(息子?)。通称ヤス,もしくは孫ベアト。本名は「安田紗代」なのであろう。上記で書いた式の通り,多重人格者である。リオンを含めて性別不詳であることや,崖から放り投げられたときに重傷を負ったがそこを源次と南條に助けられたということ,そしてクレルの贓物による描写で「恋も出来ない身体」と言っていること,これらを総合するに,幼少時のケガで子宮が無く,女性ホルモン不足のまま育ってしまったのではないかと思われる。そうすると,3年さばよんでるのに小1で通用してしまうほど身体の成長が遅い,ということにも説明がつく。リオンはともかく,カノンも女性並に小柄である。wikiにはもう一歩進んで「髪の色や長さが不定なのもそれが原因では?かつらかもしれない」という説もあった。十分にありうる。孫ベアトには,金蔵の血が濃すぎることでの障害が発生している可能性もある(単純に考えれば金蔵75%,祖母ベアト25%)。


私の推理が当たっていたと言ってもいい点があるとすれば,次の点である。すなわち,私はEP4終了時点で「バトラ以外は全員容疑者(犯人ではなく容疑者)と考えればすんなり行く。」と述べている。15人それぞれに犯行の動機は存在しているためだ。「少しだけ具体的な話をすると、まず間違いなくどのEPでも誰かしらの殺人にかかわっているのが絵羽と嘉音。」とも言っている。我ながら良い線をついていたようだ。

もう一つ整理しておくべきこと。ヤスこと孫ベアトの「黄金の魔法」について。これは連続殺人を達成するための手段であったわけだが,これは人を動かせる能力,というのが適切であろう。そのための能力源は複数あった。1986年10月4日に六軒島にいたのは,すでに死んでいる金蔵を除き,シャノン=カノンを本人として両方除けば,残るは15人。これをどうやって動かすか。

1,当主の指輪による命令権限
→ これにより片翼の紋章付の使用人及び孫ベアトの出生の秘密を知っている者は全員自由に動かせる。該当するのは熊沢と南條,源次の3人。郷田は使用人ではあるが紋章付ではないので微妙なところ。
2,10億円の実弾
→ 表お茶会で孫ベアト本人が語ったとおり。「実弾」として使えば,親兄弟世代は自由に動かせる。クラウス・夏妃夫妻だけは難しいので,次男・長女夫妻とローザの5人か。郷田も従うかもしれない。山狗的な何かを雇ったりすることも簡単にできるだろう。
3,姉ベアトとしての魔女幻想
→ これはマリアを動かせる要素。魔女として話しかければなんでもやってくれる。
4,19年前の男
→ ぶっちゃけて言えばこれは性別不詳の孫ベアト本人だったわけだが,性別を確認していない夏妃には男のほうが効果があったと言えよう。「秋」のカードは本人がシャノンとして夏妃の部屋を掃除するときに設置できるし,秋が好きというのを知っているのもなんら不思議ではない(シャノン以外に聞かれていないという設定だったはず)。男の声は十三でも雇えば簡単に捏造できるだろう。これで夏妃も自由に動かせる駒に。クラウスも夏妃経由で間接的に動かせそうである。EP5の描写を見ている限り。
(5,惚れた弱み)
→ これをカウントするかどうかは迷ったところだが,これでジョージは動かせそうである。カノン×ジェシカのほうは恋愛描写自体が幻想である可能性があるためまだなんとも言えない。

1〜5により,ヤスに動かせない人間はジェシカとバトラの二人だけである。これだけ共犯がいればバトラに勘付かれぬよう連続殺人を成功させるのは可能であろう。より具体的に各事件の真相を言えば,wikiにあった例だが,たとえばEP1の第一の晩の場合,シャノンの死体を確認したのは秀吉と南條のみである。この時点で長女夫婦は買収済なのであろう。死体がシャノンと考えると,この死体は偽装である。EP1の時点では赤字がないのにも救われているが,これでベアトはマスターキーを持ちかつ影のように動ける。第二の晩に長女夫妻が死亡しているのもその証拠だろう。チェーンロックの密室内での殺人事件は,現時点で既になんら密室ではない……といったように,EP1〜5の事件はおおよそ説明がつく。

バトラとの推理勝負においても,シャノンという影分身を使える上に,足りないはずのマスターキーの問題も解決するので,ほとんどのアリバイトリック,赤字はすり抜けられる。これは本編中にウィルがばっさり切った通りである。幻は幻に。ただし,EP1の第九の晩による夏妃殺し,およびEP3のラスト,譲治・南條殺しのみはウィルが解答をしていない。竜騎士のミスでなければ,重要なフラグになるのか。少なくとも,前者は実は死んでなかったシャノンが銃殺した,で済みそうな気がするのだが。


残りEP8待ちの明らかになっていない謎は2点だけ。84年10月〜86年10月の空白の二年間に何が起きたか。ヤスが連続殺人の実行を決めた真の動機とは何か,ということ。もう一つは,バトラの出生の秘密。明日夢の息子でなければ一体なんなのか,ということ。期待して待とう。

ああ,しいて言えばもう一つあったな。ジョージによる「83年のバトラの手紙握りつぶし疑惑」。これ本当だとしたらジョージが真犯人のような……。某動画大正解なるか。

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