2010年11月06日

祝祭のカンパネラ レビュー

幸せな気持ちになったという点では,看板に偽りの無いファンディスクであった。『祝福のカンパネラ』のほうのレビューはこちら。余談のほうもどうぞ。


カンパネラの世界観は非常に簡明で,それがきちんと貫かれている。じっくり考えた結果は,なんであれ尊い。この思想が貫かれてるのがカンパネラの世界であるからだ。現実世界では,善意から生じる悪夢もあれば,沈思が直感に劣ることもある。でもここは理想世界だから,そうしたことは排除される。これを単なる理想世界だと,たとえゲームであってもそんな理想郷はありえない,と一蹴するのは簡単だが,まずは,そんなケツの穴の小さいことを言う男にはなりたくないなぁ,俺は。

レスターさんのすごいところは,朴念仁なイケメンなんじゃなくて,本当に精神的にもイケメンなこと。全員の好意を気付き,かつ受け止めて,それを受け流せるところ。受け流せるところが罪作りなわけだけどw,それは朴念仁なのとは決定的に違っていて。朴念仁はエロゲにあふれていて飽きてるから,レスターは新鮮である。ただ,その受け流し方はやはり「一見胡散臭く」軽薄に見えるわけで,エルタリア外から来た登場人物はその胡散臭さを感じ取る描写がちゃんとなされている。「祝福」のほうだと初期のアニエスがそうだし,本FDではリトスの過去が語られるわけだが,リトスは実はエルタリア到着直後,レスターを非常に警戒していたことが明かされた。

こういった気配りは登場人物たちの心情描写にリアルさを生む。ただまあ世間のレビューを見ていると,これに付いていけないプレーヤーも多数いるだろうし,下手したら朴念仁なのと区別のつかないプレーヤーもいるだろう。それは非常にもったいないことである。

しいて本作に文句を付けるなら,なぜハーレムルートが無かった,と。『はぴねす』にはあったわけですよ。レスターさんなら尚更それは許されたはず。正妻はどう考えてもカリーナだろうけど,それは他のヒロインたちも納得するところだろうし。あとは,文句というよりもやっぱりねという感じだが,ガーネットにHシーンはなかった。声優の関係だろうからなぁ,仕方が無い。その意味では,『はぴねす りらっくす!』に比べてフィオーレさんやシェリーママが攻略できなかったという点で,相当おとなしいFDになってしまった,とは思う。とはいえ,オカズとしてはこ〜ちゃ絵が好きならば十分すぎるほど活用できるかと思われます。BGMや歌も全部良い。

カンパネラ,というよりもういんどみるのゲームで一つ褒めておきたいのは,登場キャラの私服のセンスに大きな外れが無い。本作で言えば「祝福」のほうのチェルシーの私服だけどうかと思っていたが,FDでは見事に修正してきた。これは予想外に良かった。これは大きく原画家の差ではあるので(脚本やディレクターのほうから修正指示が入ることもあるだろうけど),こ〜ちゃのセンスということか。私服論については今度また別個に語るかもしれない。



ガーネットクエストについて。クイズゲームだが,誰でも分かるものからガチで難しいものまで。ラスト付近は本当に難しく,ノーパートナーノーコンでクリアできた人は,ぜひミリオネアなりタイムショックなりに出場してくださいというレベル。さくさくとクリアしたければ,まず一人のヒロインを徹底的に攻略し,ヒロインストーリーを出現させること。ヒロインストーリーは5問出題され,1問正解で1万pts,2問で2万pts,3問で4万pts,4問で7万pts,全問正解なら10万ptsが入る。内容はそのヒロイン及びカンパネラ本編についての出題なので,きちんと「祝福」のイベント内容を覚えていれば2〜3問は正解可能だろう。

膨大なポイントを得たらコンティニューを10個ほど生産し,余ったポイントは他のヒロインの好感度を上げるアイテムを作る。このゲームはパートナーの性能が非常に重要で,特に「選択肢−1」や「答えなおし」を持つヒロインが重要になる。終盤はパートナーを二人使えるようになるため,これらを用いて実質二択の状態に持っていけば,相当な難問でも突破できるようになるだろう。……実はラスボスが異常な難問を出してくるので,それでも何度かはコンティニューするだろうけど。

「選択肢−1」……カリーナ,アニエス,サルサ,リトス
「答えなおし」……チェルシー,ニナ,アヴリル

注意点として,ショートストーリーは概ね全て終盤回収できるが,2つだけタイミングを調整しないと取れないものがある。1つは409番で,これは紅水晶4つ目までの段階でしか取れない。もう1つが508番で,409を見た状態でかつ紅水晶5つ目の段階でなければ見られない。コンプリートするなら気をつけよう。


以下はネタバレ。攻略順。


・ミネット
この話は,三世代の物語でもある。ミネットは娘であり恋人であり。その双方で,レスターとの関係を形作っていく。またそれが,余計な背徳感抜きに許されるのがオートマタの特権で。意外とよく考えられた設定ではあると思う。それを見守るシェリー,ナーガン,アルトワーズはまさに祖父母世代。本編で,シェリーとレスターの教育はこれでもかというほど強調され,レスターのキャラ自体が一つ世界観に大きく影響を与えているため,この意味は大きい。

アバディーンがいない間にミリアムを攻略してしまった件については……アバ兄,ショックの余りに再び倒れてしまいそうだなぁ。魂紫珠が変な方向にうずきそうなw。


・サルサ&リトス
サルサ・リトスの正体発覚。これ,絶対に国際政治問題化するだろう,王女姉妹の亡命とかw。そりゃ何度も帰って来いって連絡来ますよね。ひょっとしたらファビウス大公がどっかで根回ししてるのかもしれない(領主としてそれなりに苦労してきたらしいことが今回語られた)。エルタリア大公国は北大陸との結節点で,商業上の要地でもあり,強国だから手出しできない,とか妄想が膨らむ設定である。トルティアも偽名なんだろうな。しかし,北大陸なのに暑いほうから来たということは,この世界は南半球のほうが大陸が大きいのか。というか,ノストラム地方,実は南半球の可能性が浮上。地図上で見ると,エルタリアの位置は北大陸と南大陸の間の小島になるので,ヴェネツィアよりはコンスタンティノープルか,あるいはもっと卑近に対馬なんかが近いのか。

サルサシナリオについてはそれほど語るところが無いが,リトスのほうは多い。このFDで珍しいシリアスなシナリオであった。リトスは作中では頭の切れる部類に入り,特にレスターを胡散臭いと感じる,カンパネラ世界にしては相当に異端。頭の切れにおいてシェリーに「レスターとよく似ている」と評されたのも納得である。技術屋で労働に高い価値を見出すという共通点もあるけど。

リトスは今回,トルティア・カンパニーやサルサのことで相当苦労してきた様子がうかがえるような描写が多々あった。逆に言えば,きっと堅苦しい王宮の中では,サルサの存在はリトスによって心の支えであって。だからこそこれだけ姉中心の人間になってしまったのだろう。


・カリーナ
ひょっとしてこの世界の悪い物は全部ベルリッティ家の地下倉庫に封印してあるんじゃなかろうか。逆さ人形然り,黒真珠の魔道書然り。今回のも「嫉妬」が封印してあったわけで。しかし,これ全部「本人」で別人格じゃないってことがばれたら,相当恥ずかしいんじゃなかろうか。それにしてもカリーナさんは重い女だなぁ。しかし,ただでさえイケメンで実質的なClanのリーダーで,アイテム技師・冒険者としても一流で家柄も良いレスターさんが,公爵跡継ぎになるのか……最強すぎるだろう……あと,誰かニックにもフラグを……!!彼良い人ですから……!ちょっと斧好きすぎるだけで。


・チェルシー
チェルシーの道迷い機能はFDになってから悪化した気がする。これはアニメの影響だろうか。それはさておき,完全に結婚済みである。カリーナは婚約中で親に挨拶の状態,アニエスは事実上婚姻状態ではあるけど名字が変わってなかった,サルサはまだ恋人になったばかりでリトスは過去編,ミネットはそもそも結婚できるの制度的に,という段階なので,チェルシーが一番時系列的に先に進んだ段階での話である。

ここでもレスターさんの異常性(一見した胡散臭さ)を「逆さ人形」さんが指摘。彼女,意外と一番常識人なんじゃね?慣れきって誰も指摘しないエルタリア人だけど,どう考えてもレスターは異常な女たらしだから,逆さたんから見ればチェルシーが影で泣いているようにも見えるだろう。

そういえば,2chのカンパネラスレに「シェリーは昔ナーガンにこらしめられた魔王なんじゃないのか」という推測があったが,案外当たっているかもしれない。仮にそうだとすると,逆さ人形とシェリーは比較的近い境遇になるわけで。二人でいろいろ語るところもあるのかもしれない。話は結局レスターがチェルシーに積極的に甘えるということで決着が付いたわけだが,チェルシーさん,「これでも私は,姉さん女房というものですから」いやいや,あんた実年齢何歳だよw


・アニエス
前述のようにアニエスもOasisの中では比較的新参で,レスターに対しては最初それなりに奇異の目を向けていたわけだが,現在のように恋人同士になってもやはりリアクションが他のヒロインとは一線を画している。赤面しながら「どうしてそういうことが言えるかなぁ」などと蕩けた声を出している様子は大変にかわいいわけだが,ユーザーからするとそのリアクションは新鮮に見える。カリーナにしろミネットにしろチェルシーにしろ,どれだけレスターが素で口説こうとも「レスターは優しいな」で終わってしまうわけで。

アバディーンとレスターの仲の良さとか,世界の謎の判明っぷりとかを考えても,アニエスルートがやっぱり正規エンドだったのかなぁ,とか。アニメ版もそうだったしね。しかし,一つだけ解けなかった謎として,アルトワーズの夫って結局誰なんだろう。アニエスとアバディーンの父親。


・ニナ
ニナの謝罪シーンは,Parfaitの恵麻から里伽子への謝罪シーンを思い出した。カリーナも大概だが,ニナさんも重い女性である。

今回,ニナさんの家族が健在なことは判明した。しかしそうすると,ベルリッティ家に預けられた経緯がわからない。ありうるのは,確かにヴィクトリア朝のメイドのうちでも,奥様付の者(侍従)はそれなりの家柄で,他の使用人とは一線を画してはいたのだけど。ニナさんも幼い頃からカリーナ付だったみたいだし,少し年上だから将来の友人兼秘書兼教育係として考えられていたのだろう。そうすると,ニナさんは良家の娘ってことになる。それも相当な。

そうするとなおさらエルタリアとノルキア・グレイスの間で何か政治的なやり取りがあった可能性もある。それだけ良家の娘さんを大公の娘の侍従にしてしまうのだから。良い方向に考えるなら両家は友好関係にあるし,悪いほうに考えるなら,実は半ば人質というのもありうる。さらに妄想して良いなら,両国間で商業上の協定があるとか?リンドベルイ家が大商家である,とか。これはこれで,サルサ・リトスばりに国際政治が絡んできたりしそうな。カリーナとニナの間柄に関する見方もちょっと変わってくるな。

ニナの実家は,そりゃ頻繁に帰って来いという連絡もするし,お見合いだって多く受けさせたくなる。早く帰って来いと内心非常に思っているだろう。その目線で見ると,レスターさんは申し分ないことこの上ない。次期大公の一人娘と仲が良く,高位の神官の息子で血統も悪くない。


・アヴリル
やめろ,俺の腹筋が崩壊するw。アバディーンがただの邪気眼にしか見えないぞこれw。「エッチしてください」じゃあなぁwwwww。おめでとう!アバディーンはシスコンからロリコンに進化した!とでも茶化しておく。そして,アバディーンはHのときくらい手袋外せ。

家族→トゥルーエンド。恋人→ハッピーエンド。しかし,このハッピーエンド完璧じゃね。

逆さ人形 → 魂紫珠の意志を封じ込めてしまい,起動しないのでチェルシーは用事が無い。(チェルシールートの問題解消)
天蓋の水車 → アバディーンがメンテナンスするので,アルトワーズがあーティファクトと一体化する必要が無い。(アニエスルートの問題解消)
ミリアム → 天蓋の水車が正常なら,何もしなくても活動が停止しない。(ミリアムルートクリア)

解決してないのはカリーナルートの黒真珠の魔道書だけということに。ということは,実はカリーナ様大勝利で誰も不幸にならない,最高のルートなのでは……


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