2010年12月22日

2010年自薦記事

今年もいろいろ書いたなぁとは思ったが,良くも悪くも一つの記事に対する気力は増したが,その分更新頻度は随分と下がったもんだと思う。いまや毎日更新は名乗れまい。


1.センター試験に潜む変態
今nixで一番伸びている記事(二番目はいまだにエロゲ名作選という)。正直何の気なしに書いた上に半分他人の褌なので,割となんともいえない気分であるということは,この場で暴露しておきたい。実は,この1つ前のpat様の記事も割とアクセス数の稼ぎ頭だったりするが,あちらはどうも「pat様 センター試験」でぐぐるとうちが割と高いページに登場する模様。


2.ニコニコは本編削除である意味終わってた
これも書いた当初はあんなに伸びるとは全く思ってなかった記事。というよりも,はてブ数だけで言えば↑に次いで第2位というのは,「お前ら本当にニコニコ動画好きだなw」と言わざるをえない。記事本文の内容は自薦できるだけあっていまでも有効なことを言っていると思う。ただし,私はこの記事で単純に現象面だけを語ったのに,あさっての方向へのリアクションが見られたのが大変残念な記事である,とも言わなければならない。「誤解のないように言っておくが、今のニコニコにそんなに不満があるわけではない。」と書いているし,ちょっとブログの他の部分を見てくれれば,私が重度のニコマス民であることは自明であるのに。読解力が無いなら物を言うな,と初めて思った記事でもあり,今読むといらだった自分の追記もあって,やや感慨深い。


3.芸術定義議論の歴史的経緯(1)
一気に時期が飛んだが,間の時期はKanon問題だったり宮崎の口蹄疫だったりで,ろくなことを書いてなかったので仕方が無い。これは伸ばそうと思って書いたもので,実際伸びたので大変嬉しい結果であった。そもそもこれまでブログで美術系の記事を書いて伸びることなど無かったし,この記事を機会に過去記事もいくつか発掘されたことに至っては望外の喜びであった。


4.三国時代の歴史的意義を考える
さして伸びなかったけど,あえて自薦しておく。今年は3〜4年ぶりくらいに,自分の中で三国志イヤーであった。長らく積み本となっていた宮城谷三国志に手を付けられたというのも大きい。しかし,こうして書き出してみると「薄い歴史的意義」と言われがちな三国時代も,十分後世への影響を残しているのではないか。この点については,誰か三国志の識者に聞いてみたいところではある。


5.『東方コミュニティ白書』分析(1)
またしても半ば他人の褌で相撲をとっている記事ではあるが,自分としても力作には違いないので掲載しておく。久々に東方(と儚月抄)についてじっくり考える機会ではあったし,また自分の東方に対する価値観を省察することもできた。『東方コミュニティ白書』への注釈としても,単純に東方コミュニティに対する分析としても,読んでいただければ幸いであるように思う。ネット上で,コミュニティをここまで切ったものはあまりないとそれなりに自負している。


6.地政学シリーズ
打って変わって歴史系の記事。これも伸びるべくして伸びた記事だとは思うのだが,(4)の朝鮮半島史が一番伸びたのが驚きではあった。やはり身近な出来事のほうが関心を集めやすいのだろうか。個人的に一番熱が入っていたのは,(3)のオランダについての考察である。覇権国家の推移はウォーラーステインの近代世界システム論で語られがちだが,実は地政学から語れるのではないだろうか,という問題提起を改めてしておきたい。


7.完成度だけを追う見る専はわがままなのです
伸ばす気はないのに伸びてしまった部類。なので自薦としては微妙なのだが,今年の下半期はボーカロイドの話題を多く取り扱った記憶があるのと,読んでみると確かに自分のボーカロイドに対する価値観がよく現れているなと思うので選出した。なお,シンヴェニアさんのところでしたコメントにつながるので,ボーカロイドに興味のある方はそちらも読んで欲しい。


8.俺たちに翼はない レビュー
エロゲのレビューも一つくらい入れておこうか。しかし,作品そのものよりも背景の説明のほうに,どう見ても力が入っている文章。レビューとしてはどうなのか。でもまあ,PULLTOPの元ネタ探しシリーズといい,こういうのが自分のエロゲレビュワーとしての一つの役割なのではないかなと思う。一つ気をつけていることとして,シナリオ以外の要素にも必ず触れるレビューを書くようにはしている。今回であれば,西又葵の私服センスについて触れられたのは良かった。


9.第171回『アンナ・カレーニナ』トルストイ著,望月哲男訳,光文社古典新訳文庫
意外と反響のあったブックレビュー。この記事で読み始めた人が,自分の知ってる範囲で数人はいる。それだけ影響力を持つというのは嬉しいことだ。これだけ登場人物が生き生きしている小説は珍しいし,だからこそ古典文学の中でも傑作中の傑作扱いされるのであろう。記事中でも触れているが,エロゲプレーヤー,特に瀬戸口好きならば必ず読んでおくべき作品。なるべく新訳で。


10.東方イコノグラフィー 〜萌え絵への美術史学的アプローチ〜
まあ,最後はこれ以外あるまい。まだ書いてからそれほど日が経ってないのであまり言うこともないが,自薦する価値は十分にあると思っている。この場で少しブコメに反応しておくと,実は「判子絵」についての着想はまったく無かった。なるほど確かに,その意味での判子絵批判は無意味だ。しかし,現実としてひどい判子絵になってくると,アトリビュートもかぶって判別不能になるわけで。仏像に関しては,実は日本美術で一番様式史が洗練されているのが仏像なので,東西両方の美術史に通じている人なら「あー同じことやってるんだなー」というのはピンと来るところであります。「ぐぬぬ」に関しても同様だろう,あれはまさにアトリビュートの力。



来年もおもしろものが書ければいいなぁ。


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この記事へのコメント
こうして見ると見事にこのブログの多様性が現れていると思います。
スポーツ関連の記事が無いのが意外といえば意外ですが。
そこはやはりDG-Lowさんの個人の趣味の範囲ということでしょうか?

自分は芸術畑に関してまったく知識の無い人間ですが、それでも読んでいて面白いと感じられるのはDG-Lowさんの文才のおかげでしょう。
そのジャンルに興味のない人間でも面白いと感じられるブログというのは、なかなか書けるものではないと思います。

今回この記事のおかげでもう一度「アンナ・カレーニナ」のレビューをじっくり読みましたが、なるほどこれは未読者でもその本を読みたくなる記事だと思いました。
もちろん、自分が瀬戸なんとかさんファンだからでもあるのですがw

エロゲレビューに関しても、着眼点が他のレビュアーと違う(敢えてそうしている)ところが面白いと思います。
DG-Lowさんのレビューを読んだ後、もう一度プレイしてみたらその作品の新たな側面も見えてきそうな気もしますね。
個人的には、着眼点を変えてプレイしてみる切欠には最適なレビューだと思っています。

来年も一読者として面白い記事を期待しています。

余談ですが、今年はDG-Lowさんが述べていた通り例大祭会場の規模は去年と変わらないみたいですよ。
ホールごとの配置はなんとも言えませんが。
Posted by あずまんがっくす at 2010年12月26日 05:35
長文失礼しました、という一文を最後に付け加えるのを忘れていました。
無暗にコメント数増やして申し訳ありません。
Posted by あずまんがっくす at 2010年12月26日 05:40
返事遅れてすいません。

スポーツ関連と言いますか,大相撲の記事はそれぞれ気合い入れて書いているので,確かに一つくらい入れてよかったような気はします。
数を10に絞るために,いろいろ削ったらこうなったという感じです。
(あえて選ぶとすれば,朝青龍引退記事でしょうか?http://blog.livedoor.jp/dg_law/archives/51800396.html)

>そのジャンルに興味のない人間でも面白いと感じられる
それが一番の喜びですね。多分野に渡って書いているかいがあるというものです。
これからもそれを目標にがんばりますよ。


>例大祭会場の規模は去年と変わらないみたい
そうですか。まあこれ以上拡大してもなぁと正直思ってましたのでw
新規参入はやはり10年中に止まったかなと,他のイベントやニコニコ動画を見ていて思います。
Posted by DG-Law at 2010年12月27日 09:02