2011年01月20日
うみねこのなく頃に EP8 Twilight of the golden witch レビュー
手品に決まってんだろそんなもん。
もしくは,別の方のレビューにあったが「愛があっても見えない。」という言葉がふさわしいゲームであった。まさかこのような事態になるとは,発売前に予想できていたプレイヤーは少数派であろう。今,本作の周辺は賛否両論で済めばよいが,名高きシリーズの最終作としてはあまりにも「否」とする声が大きい。実のところ,私自身本作には落第点(35点)をつけざるをえない。世間で本作が「否」とされる理由は,おおよそ以下の3点である。
1.事件の真相が明かされなかった。各種EPの各トリックの種明かしが具体的になされなかったことも不満点ではあるが,これはある程度EP7で解決されている。しかし,各EPとは基本的に"偽書"であり,事件そのものの真相ではないこともまた明らかである。であるのならば,作者は事件の真相を明かすべきであった。
2.読者をあまりにもバカにした態度であった。曰く,探偵のように(あるいは野次馬のごとく)事件の真相に至ろうとする態度は無粋であり,知的強姦者であるという。逆に真相に至らなければよい,好きに妄想させてもらう,という態度は魔女に屈したものであるという。そして推理も妄想もパスし,従順にストーリーと文章だけを楽しんでいる読者は,与えられたものを喜んでいるだけの思考停止した豚なのだそうだ。これでは読者に逃げ場がない。
3.EP8のストーリーがつまらない。前からその傾向はあったが,今回は特に何言ってるのかわからない,ちゃぶ台を返しているというよりもちゃぶ台をぶん投げている。メッセージが前に出すぎていて展開が適当である。それでもひぐらしは祭囃し編がしっかりしていたので信用しようと思いがんばったが,今回はどうしようもなかった。
私自身,1〜3のすべての点において,納得がいかない。が,やはり最も納得がいかないのは1だ。その前には2と3など大した話ではない。
もしくは,別の方のレビューにあったが「愛があっても見えない。」という言葉がふさわしいゲームであった。まさかこのような事態になるとは,発売前に予想できていたプレイヤーは少数派であろう。今,本作の周辺は賛否両論で済めばよいが,名高きシリーズの最終作としてはあまりにも「否」とする声が大きい。実のところ,私自身本作には落第点(35点)をつけざるをえない。世間で本作が「否」とされる理由は,おおよそ以下の3点である。
1.事件の真相が明かされなかった。各種EPの各トリックの種明かしが具体的になされなかったことも不満点ではあるが,これはある程度EP7で解決されている。しかし,各EPとは基本的に"偽書"であり,事件そのものの真相ではないこともまた明らかである。であるのならば,作者は事件の真相を明かすべきであった。
2.読者をあまりにもバカにした態度であった。曰く,探偵のように(あるいは野次馬のごとく)事件の真相に至ろうとする態度は無粋であり,知的強姦者であるという。逆に真相に至らなければよい,好きに妄想させてもらう,という態度は魔女に屈したものであるという。そして推理も妄想もパスし,従順にストーリーと文章だけを楽しんでいる読者は,与えられたものを喜んでいるだけの思考停止した豚なのだそうだ。これでは読者に逃げ場がない。
3.EP8のストーリーがつまらない。前からその傾向はあったが,今回は特に何言ってるのかわからない,ちゃぶ台を返しているというよりもちゃぶ台をぶん投げている。メッセージが前に出すぎていて展開が適当である。それでもひぐらしは祭囃し編がしっかりしていたので信用しようと思いがんばったが,今回はどうしようもなかった。
私自身,1〜3のすべての点において,納得がいかない。が,やはり最も納得がいかないのは1だ。その前には2と3など大した話ではない。
2の問題点において深読みするのであれば,竜騎士のメッセージはおそらく,ゲームマスターになれ,フェザリーヌになれということなのだろう。従順な読者でもなく思考する読者でもなければ,もう創作者になるしかない。そして,竜騎士はこの類の発言をしている(例の「コミケでオリジナルの同人ゲーム作ってたのは俺と『月姫』だけ」もその典型)。本作最大の嘘は彼女が観劇の魔女であるという点にある。大嘘もいいところだ。八代幾子はミステリー作家じゃないか。「妄想だったらなんでも許される」わけではない。「『自らの書いた物語』を持て」ということであろう。最終的にバトラもエンジェも小説家になった。この結末も示唆的だ(もっともあれは魔法ルートの裏お茶会なので,これ結末自体もフェザリーヌの創作である可能性はある。「お前らこれでお涙頂戴なんだろ」的な。)
この「創作者たれ」というメッセージ自体は悪くない,妥当であるように思う。だがそれでも私は知的強姦者でありたい。そして,そのように思う読者は多かった。「愛があれば見え」るのではないのか?見えないじゃないか。「愛があったら真相を暴こうとは思わない」のだろう。そんな言葉遊びが読者に通用すると思っていたのか。
『ひぐらし』もそうだったが,うたい文句とやってることが全く違うというのはどうしたらいいのだろう。それでも宣伝と内容が違うのであればまたよい。しかし,連載物で,連載中にそのテーマが変わり,しかもそのことに何の弁解もなく,さらにその変節が最終話で起こったとすれば,これはもうどうしようもない。読者に逃げ道はない。『ひぐらし』が許されるのはこの点だ。テーマの方向転換が比較的早かったし,真相は最終話より前にほぼすべて暴かれた。最終話は単純なハッピーエンドと,些末な部分の種明かしに過ぎない。その最終話も荒唐無稽な部分は多いものの,おおよそエンタメとして楽しめるものではあった。(これは私だけかもしれないが,祭囃し編のみ,主人公が「大人組」で,部活組はたいしたことをやっていない。ぶっちゃけて言えば,彼らがいなくても山狗は掃討できたのである。荒唐無稽な部活動組の活躍は本筋に関係の無い部分だ。私はこの点において祭囃し編を評価している。)
『うみねこ』もそうするべきであったのだ。エンディングを分けるにしても,魔法ルートでフェザリーヌ作の真実かどうかわからないハッピーエンドを見せつけるのであれば,「手品」を選んだ我々にはきっちりと真相を見せるべきであった。推理物として売ったのにもかかわらず,それをしなかったのは責任の放棄だ。創作者がやるべきことではない。なんでもそうだが,奇抜なことはやればいいってものではない。これまでやられなかった理由があるのだから,その欠点を埋めてからやるべきなのである。結局,竜騎士自身が,フェザリーヌになりきれなかった。
名誉を回復するには,今から『うみねこ解』を書くしかない。『礼』なんて作っている場合ではない。むしろこのための「散」というタイトルだったのだとしたら今からでも褒め讃えてやろう。
しかし本当にどうしてこうなったのか。EP7のレビューに書いた通り,あの時点では「これだけのストーリーを謎の奇病・東京なしにまとめあげたという点」で高評価だったはずなのに。ついでに,EP7のレビューから「現時点で解明されていない謎」として挙げておいたものを再掲しておく。
「84年10月〜86年10月の空白の二年間に何が起きたか。ヤスが連続殺人の実行を決めた真の動機とは何か,ということ。もう一つは,バトラの出生の秘密。明日夢の息子でなければ一体なんなのか,ということ。期待して待とう。
ああ,しいて言えばもう一つあったな。ジョージによる「83年のバトラの手紙握りつぶし疑惑」。これ本当だとしたらジョージが真犯人のような……。某動画大正解なるか。」
これ,全部解明されなかった。残念だな。
Posted by dg_law at 01:44│Comments(5)│
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この記事へのコメント
1.バトラの出生だけは明らかになりましたね。予想が当たってうれしい。
日記を読んだエンジェの行動から察するに基本的にEP7と思うことにしてますが、それにしても黄金を手にしたやけっぱちと考えるにはヤスの描写が薄すぎますね。ジョージ周辺と併せて何らかのエピソードが欲しいです。カノンに関してはモデルとなる使用人が別にいたという説がスッキリするので採用したい。
2.今に始まった事じゃなく、竜ちゃんはプレイヤーを挑発で収まるラインを度々超えるきらいがありますね。冗長で露悪的な演出も含めて、自制が効かないあたりが好きになれない。
メッセージも内容自体についてはくみ取れる範囲なので気にしません。皮肉のつもりもあるのでしょう。
しかし「創作者たれ」或いは「敬意を払え」などとし、ウィルというキャラクターまで用意してWhy done itを訴えた筈でした。ところがこのゲームにおいてプレイヤーはマスターには敬意を払いますが魔女盤自体は存在が許されています。バトラもベアトも対戦相手にメッセージを伝えることを免罪符にゲーム内容は駒の尊厳を踏みにじる動機のナンセンスが前提でで、心は魔女幻想というミスリード扱いです。(EP8中でもベルンの挑戦に敬意と、メタ的に思考停止した豚に推理の一端を味わって貰いたいという二重構造でしたが代わりに物語性は完全にありません。本編に到っては語るに落ちる)
どうもこの辺ダブスタ臭くてスマートじゃありませんね。
あと八城さんとフェザリーヌの二重構造で真相を煙に巻いていることは、魔女視点からではあくまで伝記と言い訳できるので観劇のつもりなのでしょう。
3.今に始まったことじゃry
”竜騎士自身が,フェザリーヌになりきれなかった。”
で終わってる。
…あれ? 終わった当初は「冗長だったな、いまいちだったな、まぁコレで終わりか」って気分だったのに書き出すとなんか腹立ってきた。
日記を読んだエンジェの行動から察するに基本的にEP7と思うことにしてますが、それにしても黄金を手にしたやけっぱちと考えるにはヤスの描写が薄すぎますね。ジョージ周辺と併せて何らかのエピソードが欲しいです。カノンに関してはモデルとなる使用人が別にいたという説がスッキリするので採用したい。
2.今に始まった事じゃなく、竜ちゃんはプレイヤーを挑発で収まるラインを度々超えるきらいがありますね。冗長で露悪的な演出も含めて、自制が効かないあたりが好きになれない。
メッセージも内容自体についてはくみ取れる範囲なので気にしません。皮肉のつもりもあるのでしょう。
しかし「創作者たれ」或いは「敬意を払え」などとし、ウィルというキャラクターまで用意してWhy done itを訴えた筈でした。ところがこのゲームにおいてプレイヤーはマスターには敬意を払いますが魔女盤自体は存在が許されています。バトラもベアトも対戦相手にメッセージを伝えることを免罪符にゲーム内容は駒の尊厳を踏みにじる動機のナンセンスが前提でで、心は魔女幻想というミスリード扱いです。(EP8中でもベルンの挑戦に敬意と、メタ的に思考停止した豚に推理の一端を味わって貰いたいという二重構造でしたが代わりに物語性は完全にありません。本編に到っては語るに落ちる)
どうもこの辺ダブスタ臭くてスマートじゃありませんね。
あと八城さんとフェザリーヌの二重構造で真相を煙に巻いていることは、魔女視点からではあくまで伝記と言い訳できるので観劇のつもりなのでしょう。
3.今に始まったことじゃry
”竜騎士自身が,フェザリーヌになりきれなかった。”
で終わってる。
…あれ? 終わった当初は「冗長だったな、いまいちだったな、まぁコレで終わりか」って気分だったのに書き出すとなんか腹立ってきた。
Posted by kome at 2011年01月20日 04:56
まぁきっと、しがらみがなければみんないい人だったんだよ多分。金蔵以外←コイツは言い訳できまい
Posted by kome at 2011年01月20日 05:00
>1.バトラの出生だけは明らかになりましたね。予想が当たってうれしい。
落ち着いて考えると,あの場面も幻想描写なので,実は明らかになってない。
もっとも,明日夢の息子でもなく霧江の息子でもなかったら,じゃあ誰の息子だよって話ではある。実は金蔵の隠し子とか?w
>ジョージ&ヤス関連が薄すぎる。
本当に。エンジェの心情に配慮して連続殺人の真相は明かさないとしても,六軒島爆発にヤスがかかわってるのは間違いないんだから,そこは明かすべきだった。心を大切にするミステリー(笑)なのに,一番大事なところの動機はぼかされるというね。
>2.竜ちゃんはプレイヤーを挑発で収まるラインを度々超えるきらいがありますね
本来それをなんとかするのが周囲のスタッフの役目なんだろうけど……まあ言及するのは止めておこう。波風立てそうだし。
>メッセージを伝えることを免罪符にゲーム内容は駒の尊厳を踏みにじる
このダブルスタンダードは前からずっと気になってたし,EP8で顕在化した感がある。3の項目にもかかわることで,竜騎士自身がかなり混乱していたように見受けられるし,そのせいで物語全体の筋がしっちゃかめっちゃかになったのかも。
魔女のゲーム盤上の駒の尊厳は大切にするのか,それとも駒は駒でしかないのか,整理して欲しかった。
>3.今に始まったことじゃry
記事本文中に書いた通り,『ひぐらし』の祭囃し編は評価しているので,今回はどうしてこうなったというのが自分の感想。
この辺は『ひぐらし』に対する評価によって,各プレイヤーごとに違うんだろう。『ひぐらし』評価してなければ確かに,今に始まったことじゃ,だわな。
落ち着いて考えると,あの場面も幻想描写なので,実は明らかになってない。
もっとも,明日夢の息子でもなく霧江の息子でもなかったら,じゃあ誰の息子だよって話ではある。実は金蔵の隠し子とか?w
>ジョージ&ヤス関連が薄すぎる。
本当に。エンジェの心情に配慮して連続殺人の真相は明かさないとしても,六軒島爆発にヤスがかかわってるのは間違いないんだから,そこは明かすべきだった。心を大切にするミステリー(笑)なのに,一番大事なところの動機はぼかされるというね。
>2.竜ちゃんはプレイヤーを挑発で収まるラインを度々超えるきらいがありますね
本来それをなんとかするのが周囲のスタッフの役目なんだろうけど……まあ言及するのは止めておこう。波風立てそうだし。
>メッセージを伝えることを免罪符にゲーム内容は駒の尊厳を踏みにじる
このダブルスタンダードは前からずっと気になってたし,EP8で顕在化した感がある。3の項目にもかかわることで,竜騎士自身がかなり混乱していたように見受けられるし,そのせいで物語全体の筋がしっちゃかめっちゃかになったのかも。
魔女のゲーム盤上の駒の尊厳は大切にするのか,それとも駒は駒でしかないのか,整理して欲しかった。
>3.今に始まったことじゃry
記事本文中に書いた通り,『ひぐらし』の祭囃し編は評価しているので,今回はどうしてこうなったというのが自分の感想。
この辺は『ひぐらし』に対する評価によって,各プレイヤーごとに違うんだろう。『ひぐらし』評価してなければ確かに,今に始まったことじゃ,だわな。
Posted by DG-Law at 2011年01月22日 09:41
>終わった当初は〜〜なんか腹立ってきた。
あるあるwwwwwwwwww
俺も記事書き始めるまではそんな感想だったよ。怒りというよりは諦念と言いますか。
レビュー書いてみて,逆に怒りがわいてきた感じ。
書かないほうが精神的には良かったかも。
>まぁきっと、しがらみがなければみんないい人だったんだよ多分。金蔵以外←コイツは言い訳できまい
俺はローザさんマジ悪女説をくつがえさないぞ!w
あるあるwwwwwwwwww
俺も記事書き始めるまではそんな感想だったよ。怒りというよりは諦念と言いますか。
レビュー書いてみて,逆に怒りがわいてきた感じ。
書かないほうが精神的には良かったかも。
>まぁきっと、しがらみがなければみんないい人だったんだよ多分。金蔵以外←コイツは言い訳できまい
俺はローザさんマジ悪女説をくつがえさないぞ!w
Posted by DG-Law at 2011年01月22日 09:46
自己レス。
よく考えたら「駒の尊厳を大事にする」というのは矛盾した話で,そんなことを言い出したら全てのフィクションのミステリー作家は冒涜者ってことになってしまう。駒の尊厳なんて最初から存在しない。
少なくとも「六軒島連続殺人事件」に関しては,作中では現実に起きたことという設定になっているからこそ,登場人物たちは「ゲーム盤上の駒」ではなく現実にいた人物としての尊厳が重視され,猫箱は暴かれないほうが良い,暴こうとする奴は知的強姦者だ,という結論に至ったわけで。
そうするとやはり,今描かれている描写はゲーム盤上の話(魔女幻想)なのか,それとも現実(という設定)の話なのかをぼかしながら,かつ「尊厳についてのお説教」をかますというのは,相当悪手だったのではないだろうか。ダブルスタンダードですよね。
これを言ったら元の子もない話ではあるけども,作中内の設定を考えなければ「六軒島連続殺人事件」はフィクションでしかないのだから,その真相を知りたがっても登場人物の尊厳をふみにじったことにはならないだろう。であるならば,その読者は知的強姦者のそしりを受ける筋合いはどこにもなく,やはり真相を明かさなかった作者は単純な責任の放棄でしかない。
各EPの冒頭で毎回「この物語はフィクションに決まってます。」と,わざわざフィクション小説の定型句にひねりを入れてまで明示してきたのは,「本作ではメタ的手法を活用しますよ」という宣言だと思うのだが,見事に反転して本作の矛盾をついてしまっている。
よく考えたら「駒の尊厳を大事にする」というのは矛盾した話で,そんなことを言い出したら全てのフィクションのミステリー作家は冒涜者ってことになってしまう。駒の尊厳なんて最初から存在しない。
少なくとも「六軒島連続殺人事件」に関しては,作中では現実に起きたことという設定になっているからこそ,登場人物たちは「ゲーム盤上の駒」ではなく現実にいた人物としての尊厳が重視され,猫箱は暴かれないほうが良い,暴こうとする奴は知的強姦者だ,という結論に至ったわけで。
そうするとやはり,今描かれている描写はゲーム盤上の話(魔女幻想)なのか,それとも現実(という設定)の話なのかをぼかしながら,かつ「尊厳についてのお説教」をかますというのは,相当悪手だったのではないだろうか。ダブルスタンダードですよね。
これを言ったら元の子もない話ではあるけども,作中内の設定を考えなければ「六軒島連続殺人事件」はフィクションでしかないのだから,その真相を知りたがっても登場人物の尊厳をふみにじったことにはならないだろう。であるならば,その読者は知的強姦者のそしりを受ける筋合いはどこにもなく,やはり真相を明かさなかった作者は単純な責任の放棄でしかない。
各EPの冒頭で毎回「この物語はフィクションに決まってます。」と,わざわざフィクション小説の定型句にひねりを入れてまで明示してきたのは,「本作ではメタ的手法を活用しますよ」という宣言だと思うのだが,見事に反転して本作の矛盾をついてしまっている。
Posted by DG-Law at 2011年01月23日 13:27