2011年02月06日
『三国志 5・6巻』宮城谷昌光著,文春文庫
ある方のブックレビューに,「宮城谷氏の曹操は平凡だったけど,劉備の描写は非凡だった」というのがあった(ちなみにこれ)。8巻読了時点でのものだが,5・6巻まで来て,その言葉を実感しつつある。このかたが挙げている3つの特徴はすべて当たっていて,極めて的確な書評であると言わざるをえない。
5巻は官渡の戦い,6巻は赤壁の戦いで,三国志の二大イベントを両方終えてしまった。官渡の戦いまで来た時点で,曹操という人物はすでに完成されてしまっている。それに対して,劉備が諸葛亮に会うのは5巻末の時点だから,劉備という人格が形成されていくのは,むしろこれからである。もちろん,ここまでの描写でも十分劉備の描写は特異であった。過去になかったわけではなく,全く新しい斬新な物というわけでもない。ああした,無頓着で義侠の人だけれども,決して仁徳の人ではなく,将軍としては大概勝つけど曹操・呂布レベルには全く勝てない中途半端さ,というような劉備像自体は,比較的正史より『三国志』ならば,割とよく見る。『蒼天航路』の劉備も,広い意味ではこの範疇に入る。
宮城谷三国志の劉備が本当にすごいのは,そのうちの無頓着さが序盤からとことん追及されている点で,これは何の伏線なのかと読んでいけば,三顧の礼であった。なるほど,劉備はやるかやらないか,選ばされたのだ。頓着しなければ覇を競えない。領土を持たない群雄など聞いたことがない。しかし,劉備は土地にも物にも他人にも頓着しないからこそ強かった。圧倒的な生存本能が働いた。その生き様は奇跡であろう。そこで諸葛亮が言うのだ。「覇者になりたければ,私の戦略を採用しなさい,荊州と揚州に頓着しなさい」と。
三国志〈第5巻〉 (文春文庫)
著者:宮城谷 昌光
文藝春秋(2010-10-08)
販売元:Amazon.co.jp
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三国志〈第6巻〉 (文春文庫)
著者:宮城谷 昌光
文藝春秋(2010-10-08)
販売元:Amazon.co.jp
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5巻は官渡の戦い,6巻は赤壁の戦いで,三国志の二大イベントを両方終えてしまった。官渡の戦いまで来た時点で,曹操という人物はすでに完成されてしまっている。それに対して,劉備が諸葛亮に会うのは5巻末の時点だから,劉備という人格が形成されていくのは,むしろこれからである。もちろん,ここまでの描写でも十分劉備の描写は特異であった。過去になかったわけではなく,全く新しい斬新な物というわけでもない。ああした,無頓着で義侠の人だけれども,決して仁徳の人ではなく,将軍としては大概勝つけど曹操・呂布レベルには全く勝てない中途半端さ,というような劉備像自体は,比較的正史より『三国志』ならば,割とよく見る。『蒼天航路』の劉備も,広い意味ではこの範疇に入る。
宮城谷三国志の劉備が本当にすごいのは,そのうちの無頓着さが序盤からとことん追及されている点で,これは何の伏線なのかと読んでいけば,三顧の礼であった。なるほど,劉備はやるかやらないか,選ばされたのだ。頓着しなければ覇を競えない。領土を持たない群雄など聞いたことがない。しかし,劉備は土地にも物にも他人にも頓着しないからこそ強かった。圧倒的な生存本能が働いた。その生き様は奇跡であろう。そこで諸葛亮が言うのだ。「覇者になりたければ,私の戦略を採用しなさい,荊州と揚州に頓着しなさい」と。
三国志〈第5巻〉 (文春文庫)著者:宮城谷 昌光
文藝春秋(2010-10-08)
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三国志〈第6巻〉 (文春文庫)著者:宮城谷 昌光
文藝春秋(2010-10-08)
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Posted by dg_law at 23:29│Comments(0)│