2011年04月06日
第185回『「三国志」漢詩紀行』八木章好著,集英社新書
タイトルの通り,三国志にまつわる漢詩を鑑賞する本。あとがきを読むとわかるのだが,元々は三国志を題材とした漢文の教材を制作する予定で,3人の学者で故事・人物・詩歌と分担していたところ,諸事情で計画が頓挫し,詩歌の部分だけ原稿が完成してしまったため,どうしようかというところで集英社に拾ってもらい詩歌の部分だけ出版された,という経緯で誕生した本である。非常に偶然に恵まれた本であると言える。
冒頭は「三国志」誕生の歴史で,正史が誕生してから説話となり『演義』が生まれた経緯をたどっている。次に三国志の内容に軽く触れてから本編に入り,巻末に漢文・漢詩の基本的な説明がなされている(押韻や平仄についての説明)。紹介されている漢詩はおおよそ有名なもので,知っているものがある人もかなり多いのではないだろうか。無論,だからダメというわけではなく,だからこそ入門的にしっかりと仕上がっている印象を受けた。
具体的に言うとまず建安七子の王粲より「七哀詩」。タイトルを聞いてわからずとも「白骨平原を蔽う」と聞くとピンとくるかもしれない(私はこのフレーズで昔読んだことを思い出した)。曹操の「短歌行」も入っている。これもタイトルよりも「何を以て憂いを解かん。唯だ杜康あるのみ」の句と,『演義』では赤壁の戦場で詠んでいるシーンが比較的有名である。さらに曹植の「七歩の詩」,これは教科書に載っていたような記憶もある。曹植はもういくつか収録されている。
そこから時代が飛び,後世での三国志を題材とした漢詩が紹介される。特に大きく取り上げられているのが,諸葛亮を敬慕していた唐の杜甫と,「赤壁の賦」であまりにも風名な蘇軾である。杜甫にひっかけて諸葛亮の「出師の表」が説明され,また李白と杜牧の詩も短いが紹介されている。最後に漢詩ではないものの土井晩翠の「星落秋風五丈原」が引用されて本編が終わる。
以上の登場した文献を見て胸がときめく人種ならば,本書を読んで全く損はない。漢詩の知識はあるに越したことはないが,なくてもあまり困らないかと思われる。巻末に説明がついているので先に読めばよいし,登場する漢詩は全文書き下し文と和訳がついている。
「三国志」漢詩紀行 (集英社新書)
著者:八木 章好
集英社(2009-02-17)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
冒頭は「三国志」誕生の歴史で,正史が誕生してから説話となり『演義』が生まれた経緯をたどっている。次に三国志の内容に軽く触れてから本編に入り,巻末に漢文・漢詩の基本的な説明がなされている(押韻や平仄についての説明)。紹介されている漢詩はおおよそ有名なもので,知っているものがある人もかなり多いのではないだろうか。無論,だからダメというわけではなく,だからこそ入門的にしっかりと仕上がっている印象を受けた。
具体的に言うとまず建安七子の王粲より「七哀詩」。タイトルを聞いてわからずとも「白骨平原を蔽う」と聞くとピンとくるかもしれない(私はこのフレーズで昔読んだことを思い出した)。曹操の「短歌行」も入っている。これもタイトルよりも「何を以て憂いを解かん。唯だ杜康あるのみ」の句と,『演義』では赤壁の戦場で詠んでいるシーンが比較的有名である。さらに曹植の「七歩の詩」,これは教科書に載っていたような記憶もある。曹植はもういくつか収録されている。
そこから時代が飛び,後世での三国志を題材とした漢詩が紹介される。特に大きく取り上げられているのが,諸葛亮を敬慕していた唐の杜甫と,「赤壁の賦」であまりにも風名な蘇軾である。杜甫にひっかけて諸葛亮の「出師の表」が説明され,また李白と杜牧の詩も短いが紹介されている。最後に漢詩ではないものの土井晩翠の「星落秋風五丈原」が引用されて本編が終わる。
以上の登場した文献を見て胸がときめく人種ならば,本書を読んで全く損はない。漢詩の知識はあるに越したことはないが,なくてもあまり困らないかと思われる。巻末に説明がついているので先に読めばよいし,登場する漢詩は全文書き下し文と和訳がついている。
「三国志」漢詩紀行 (集英社新書)著者:八木 章好
集英社(2009-02-17)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
Posted by dg_law at 20:00│Comments(0)│